美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

大阪は誠に美しきもの(メーソン)

2010年02月18日 | 瓶詰の古本

   私は日本の街路にタキシの流れを見るのが大好きだ。リキシヤが亡んで、リキシヤマンが自動車の運転席に坐るやうになつたことは日本文化の滅亡ではなく、却つてその限りなき未来を暗示するものだ。
   若し日本が衰退しつゝあるといふ者があるならば、それは明かに誤謬である。諸君は偉大なる変化と適応とを成し来つた。文化の如何なる部門に於ても日本の進歩を妨げんとするものがあらば、そは排撃せらるゝであらう。大阪の街をタキシで走るとき、ある友達が私に尋ねた。
 「大阪の街を汚いと思ひませんか」
   私は答へた。
 「否」
   大阪は偉大なる物質的繁栄の中心である。大阪は明かに「メイド・イン・ジヤパン」の札を貼つてゐる。大阪は自ら創造し活動する日本の独自の能力を最もよく代表してゐる。生活の標準を高め人々の幸福を進めることが美しいことであるならば、大阪は誠に美しきものといつて差支ない。

(「創造の日本」 J・W・T メーソン述 鹿野久恒編)

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