◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/6月11日~20日

2017-06-12 10:12:59 | Weblog

6月20日(2句)

★見晴るかす潮の彼方や青岬/桑本栄太郎
見晴るかす潮の向こうに見えるのは、青岬。青岬の見える景色に作者の思いは遥か。(高橋正子)

★木の匙に水饅頭の抵抗す/川名ますみ
「抵抗す」が面白い。木の匙は「切る」働きが弱い。けれど、手触りがあたたく、素朴なのがいい。葛饅頭と戯れの格闘もいいではないか。(高橋正子)

6月19日(2句)

★郭公や今朝は新聞休刊日/小口泰與
郭公の声が今朝はのどかに聞こえる。新聞も休刊日。世の中の喧騒と離れた静かな時間。(高橋正子)

★名勝園沢蟹道を横切りぬ/谷口博望(満天星)
広島の「縮景園」であろうか。私が広大大学院時代に訪ねた「縮景園」を懐かしく思い出す。(高橋信之)

6月18日(2句)

★割り箸の素直に割れて庭涼し/小口泰與
割り箸は、日本人の清潔好きから使われていると聞く。一度限り使う割り箸が抵抗なく割れて、庭の佇まいも風も涼しい。さっぱりとしたところに涼しさが生まれる。(高橋正子)

★郭公や神社の杉の高みより/廣田洋一
郭公の鳴き始めを畑仕事の合図としているところもある。神社の杉の高くで鳴く郭公の声に耳を澄ませば、いろんな思いが湧くであろう。涼しさも、淋しさも。(高橋正子)

6月17日(2句)

★懐かしき川べりの声蛍かな/廣田洋一
昔は川べりで蛍を楽しんだ。今また久しぶりに川べりを通ると昔蛍を楽しんだ声が聞こえる。懐かしさと嬉しさが湧く。(高橋正子)

★放したる目高器を我が物に/小口泰與
目高は、川でなくても、放されたところは、広い水。器のなかであろうと、そこは自由なところ。
(高橋正子)

6月16(2句)

★霊園の山より匂ふ栗の花/谷口博望(満天星)
「栗の花」には、独特な匂いがあって、遠くまで匂う。「霊園」との取り合わせは、更に独特な思いを読み手に与える。(高橋信之)

★激しさは快晴の日のほととぎす/多田有花
四国の松山にかっていた頃は、郊外をよく散策した。松山と高知との県境の山峡を一人歩くのを楽しみにしていた。ほととぎすが声高に鳴くのを聞いた日を懐かしく思う。(高橋信之)

6月15日(2句)

★梅雨空へ黄色いアドバルーンあがる/多田有花
梅雨空のグレーとアドバルーンの黄色の取り合わせが洒落ている。空高く揚がっているアドバルーンの軽さがいい。(高橋正子)

★時鳥こぞりて湖の白き波/小口泰與
時鳥が盛んに鳴き、梅雨時期の風があるのだろう、湖に白波が立っている。時鳥の声が刺さって湖が波立つようだ。(高橋正子)

6月14日

★山盛りの梅の実売らる道の端/廣田洋一
父は徳島の士族の出身で、私は、大阪の生まれだが、母は農家の出身で、妻も農家の出身なので、私は、農家の生活に馴染んできた。「梅の実」も懐かしい。母が自家製の梅干しや沢庵を作ってくれたのを喜んで食べ、育った。(高橋信之)

6月13日

★どんな過去コップの中の夏薊/満天星
コップの中の小さな世界を詠み、その世界を拡げた。作者の内面の世界の拡がりを見せてくれた。(高橋信之)

★鞍馬嶺の容(かたち)確たり梅雨晴間/桑本栄太郎
梅雨の晴間の季節をうまく詠んだ。街中に居て、遥かな「鞍馬嶺」の「容(かたち)確たり」と見た。「晴間」の喜びでもある。(高橋信之)

6月12日

★湖の色忽とかわりし夏座敷/小口泰與
湖の見える夏座敷。湖をずっと眺めているわけではないが、ふと湖に目を遣ると湖の色が変わっている。急に空に黒雲が湧き、夕立が来そうになったのか。変わりやすい天気の様子が見えて面白い。(高橋正子)

6月11日(2句)

★朝曇庭の花ばな仏壇へ/小口泰與
作者の優しさを読む。亡き人を悼む心は、先祖崇拝に繋がる。日本人の原点を見る。(高橋信之)

★あめんぼの流さることに倦みて跳ぶ/桑本栄太郎
俳句らしい俳句であり、しっかりした句である。(高橋信之)
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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (小口泰與)
2017-06-12 10:52:58
高橋信之先生、正子先生
6月11日の投句「朝曇」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、その上、信之先生には素晴らしい句評をたまり厚く御礼申し上げます。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難うございました。
御礼 (桑本栄太郎)
2017-06-12 18:27:04
高橋信之先生、正子先生
6月11日の今日の秀句に「あめんぼの流さることに倦みて跳ぶ」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
小川の流れに一日中流され上流へ、流され上流への行動を見て居て、あめんぼの心情になって詠んで見ました。
御礼 (小口泰與)
2017-06-13 12:32:48
高橋信之先生、正子先生
6月12日の投句「夏座敷」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、正子先生には嬉しい句評をたまり厚く御礼申し上げます。
これからもよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難うございました。
御礼 (桑本栄太郎)
2017-06-14 18:46:30
高橋信之先生、正子先生
6月13日の今日の秀句に「鞍馬嶺の容(かたち)確たり梅雨晴間」の句をお選び頂き、嬉しい過分なるご句評も頂戴しまして、大変有難うございます。時折、京都市内にでますと、四条大橋~祇園~高瀬川界隈を散策しています。京都の名山東山、鞍馬山を何時も眺めています。雨が上がり、山の端が明るくなり山容がくっきり見えます鞍馬山の嶺は、更にパワースポットが窺えます。
御礼 (廣田洋一)
2017-06-15 18:03:56
高橋信之先生
   正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難うございます。
6月14日の秀句に「山盛りの梅の実売らる道の端」をお選び頂き、その上信之先生には素晴らしい句評を賜り、誠に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼 (多田有花)
2017-06-16 09:25:03
信之先生、正子先生
「梅雨空へ黄色いアドバルーンあがる」を6月15日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
どんより曇った日、車窓から外を眺めていると、ぱっとこのアドバルーンが目に付きました。
正子先生のお言葉の通りの情景でした。
御礼 (小口泰與)
2017-06-16 12:31:08
高橋信之先生、正子先生
6月15日の投句「時鳥」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、その上、正子先生には嬉しい句評をたまり厚く御礼申し上げます。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (小口泰與)
2017-06-19 13:10:33
高橋信之先生、正子先生
6月17日の投句「目高」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、その上、正子先生には嬉しい句評をたまり厚く御礼申し上げます。
これからもよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (小口泰與)
2017-06-19 13:13:07
高橋信之先生、正子先生
6月18日の投句「庭涼しい」の句を今日の秀句にお選び頂き、その上、正子先生には素晴らしい句評をたまり厚く御礼申し上げます。
これからもよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (小口泰與)
2017-06-20 09:09:43
高橋信之先生、正子先生
6月19日の投句「郭公」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、その上、正子先生には嬉しい句評をたまり厚く御礼申し上げます。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難うございました。

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