◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

3月31日(日)

2013-03-31 08:52:18 | Weblog
●小口泰與
快活な鳥語や我は春炬燵★★
春雨を吸い込む芝や草野球★★★
久々のメール着信春休★★★

●小西 宏
池泥に蝌蚪尾を揺らし地を移さず★★★
花屑を髪に置くまま振り返る★★★★
雪柳手に触れて地に雪の敷く★★

●河野啓一
真珠貝のかがやき春の大村湾★★★
筑紫野の春を豊かに次郎かな★★★
ムツゴロウ跳ねて隠れて有明海★★★

●井上治代
スムーズに家事捗りて春楽し★★★
うららかや幼子鳩と戯れる★★★
どこからも春の匂いの散歩道★★★

●下地鉄
雪洞の置かれて和む花の冷え★★★
一片の花こそ美しき小川かな★★★
処かえリュウマチ痛む余寒かな★★★

●多田有花
うすぐもり微風の中に三月尽く★★★
桜色満ち山ざくら開かんと★★★
サイクリスト山桜咲く道登る★★★

●黒谷光子
牡丹の花芽数える昼下がり★★★
乗り降りに見上ぐる駅の濃紅梅★★★
木蓮の蕾みて色は苞の内★★★

●桑本栄太郎
吹き上げる風に散り初め花の冷え★★★
一本のライトアップや花の宿★★★
若人のラップダンスや春ともし★★★

●川名ますみ
野の花の先にお壕と花の雲★★★
竹垣に透けし壕辺の土手青む★★★
空へ触る工場の跡の花こぶし★★★
工場跡の殺風で、物質的なところに、やわらかに辛夷の花が空に咲いている。その対照的な様子に、互いがその個性を強めながら、空を配置することで、ひとつのまとまりある世界を作っている。(高橋正子)
コメント (2)
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3月30日(土)

2013-03-30 08:50:12 | Weblog
●川名ますみ
新雪を踏む心地して花の塵★★★
飛花の道ゆくは新雪踏むごとし★★★
花昏く杉の古木の尚青し★★★

●迫田和代
【原句】逞しく木の芽が芽吹くちから見て
【正子添削】逞しく木の芽が芽吹くちから見し★★★
木の芽が、噴き出すように芽吹くのを見ると、木のちから、木の逞しさを目の当たりに実感する。(高橋正子)

【原句】上げ潮に乗りし桜よ空に舞う
【正子添削】上げ潮に桜の花びら空に舞う★★★★
原句では、「上げ潮に乗りし桜」が「空に舞う」に疑問を持つ。桜の花びらは、満開を過ぎると散り始めるが、上げ潮の勢いに風も多少上昇するのであろうか、花を空に舞わせる。「上げ潮に舞う桜」が絵画的で美しい。(高橋正子)

夕焼の空に北へと帰る雁 ★★★

●小西 宏
軽きかぜ桜花びら地を撫でる★★★
信号のフロントガラスに花ふぶき★★★
花待てよ孫はもうすぐ一年生★★★

●小口泰與
紅梅に百幹の竹奏でけり★★★
産土の山風荒き花こぶし★★★
ゼリー菓子増ゆる倉庫や花盛り★★★

●藤田裕子
心地よき風連翹の黄を揺らし★★★
桜若木いちりんにりん花を生み★★★
花びらの染める石段花の下★★★

●多田有花
花開く仰げば空のなお青し★★★★
花の中正午の鐘の鳴り渡る★★★
山々に花の姿の定まれり★★★

●桑本栄太郎
風白く詠い居りけり雪やなぎ★★★
ほつほつと畑に黄明かり茎立ちぬ★★★
地ならしの進む畑地や春の雨★★★

●古田敬二
咲き初めし春蘭花弁の透き通る★★★
腰高に揺れて春蘭咲き初めり★★★
花の香の満る山路に入りけり★★★

●高橋秀之
真っ直ぐに桜並木が道作る★★★
満開の桜を見上げ立ち止まる★★★
花冷えの夜明けにわが子送り出す★★★

●河野啓一
長崎へ一泊旅行
チューリップ光と色のファンタジー★★★
揃い咲き彩と光のチューリップ★★★
春霞さざ波も見え大村湾★★
コメント (1)
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3月29日(金)

2013-03-29 07:21:17 | Weblog
●小口泰與
紅梅やシャッター音の蒼天へ★★★
春の炉や視界奪いし土埃★★★
青空へ薄紅梅の文目かな★★

●佃 康水
 第二音戸大橋(愛称 日招き大橋)開通 2句
日招きの大橋春の海へ耀る★★★
島結ぶ丹の大橋へ花盛り★★★
旅立ちの夢語る子へ春満月★★★★

●多田有花
花曇割る半熟のゆで卵★★★★
花曇とゆで卵は相通じるところがある。花の頃の高い曇り空と、白身に黄身が優しい丸を作るゆで卵。はっきりしないが、体に親しく馴染んでくるものだ。(高橋正子)

宅配のトラック止まる花の下★★★
護摩堂にうすむらさきの馬酔木咲く★★★

●桑本栄太郎
さみどりの坂の地道や春落葉★★★
春雨や角の畑地は分譲へ★★★
ジャージーの走る校庭花の雨★★★
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3月28日(木)

2013-03-28 06:10:20 | Weblog
●小口泰與
春昼の煙霧を喰らう髪膚かな★★★
白梅や余命いくばく模糊として★★★
電線にアグリシートや春嵐★★★

●河野啓一
色づきて丘一面の竹の秋★★★★
春の芽吹きの中で、竹は色づき葉を落とす。竹だけが「秋」となって、丘一面の竹が違う色合いで目立つ。春と秋の混ざる植物の景色。(高橋正子)

せせらぎに色も見えたり春の川★★★
花の色とまどいながら咲き出る★★★

●多田有花
重きほどつらつら椿咲きにけり★★★
芽吹く山芽吹く香りに満ちており★★★
静けさを破りてひとつ落椿★★★

●桑本栄太郎
今年また古巣を慕い初つばめ★★
嬉々として人の言い合う初燕★★★
教会へいざなう道や連翹黄★★★

●黒谷光子
東の空へゆるゆる春の月★★★
薄絹を被りて春の月まどか★★★
春の灯に繕い物の糸通す★★★

●川名ますみ
土の上や窓に望みし芽吹山★★★
木の芽雨動物園の枝くろぐろ★★★
厩より古き桜のぐいと伸ぶ★★★
コメント (1)
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3月27日(水)

2013-03-27 07:59:38 | Weblog

●小口泰與
へら浮子の色彩さやか風光る★★★
春蘭に老若男女顔かさね★★★
あわあわと縹に染まる春の山★★★

●黒谷光子
蜂の巣を落とし閉じ込む皮袋★★★
つくしんぼ小川の縁に犇めける★★★
摘む人も児もなく群れるつくしんぼ★★★

●多田有花
まだ少し欠けているかな朧月★★★
青ぬたや雨音のせぬ雨つづく★★★
膝掛けで豚骨ラーメン花の冷え★★★

●河野啓一
一樹あり真白に咲きし桜花かな★★★
春寒の朝チラホラ花の咲き出る★★★
芝芽ぐむ球児の心弾むごと★★★

●桑本栄太郎
雲浮かべ湾処に空の春の川★★★
ローラーシューズ履いておつかい春休み★★★
うす闇に息をひそめし白木蓮★★★

●小西 宏
芽ぐむ木の丘ただ淡し朧月★★★
せせらぎや人知らずとも花楓★★★
花ひろがる屋内プールの大きな窓★★★★
屋内プールの大窓を覆い尽くして爛漫の花。泳ぎながら花を楽しめるのも現代。さほど混雑していないプールの平らな温水。春の淡い情感がいい。(高橋正子)

●川名ますみ
両輪に花屑つけし車椅子★★★
何気ないふうに桜を過ぎし雨★★★
膝の上に桜にふれし雨雫★★★

●下地鉄
春の湯にゆらりゆらりと逆さ富士★★★
とんび舞う湘南を後に旅の空★★★
青空や赤より赤き梯梧咲き★★★

●古田敬二
ハイカーのおしゃべりに垂れキブシ咲く★★★
一杯に眼(まなこ)開いてイヌフグリ★★★
鮮やかな色はためかせ初黄蝶★★★
コメント (1)
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