◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

●自由な投句箱/5月21日~31日●

2016-05-22 09:13:59 | Weblog

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
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今日の秀句/5月21日~31日

2016-05-22 09:12:50 | Weblog

[5月30日]

★せせらぎに沿いて風来る額の花/桑本栄太郎
せせらぎは、また風の通り道。せせらぎに沿って額の花が咲けば、額の花が風に揺れる。湿りがちな季節、せせらぎの音と風の涼しさが快い。(高橋正子)

[5月29日]

★あめんぼの水面(みなも)の沈む重さかな/谷口博望(満天星)
あめんぼの浮いている水面を見れば、わずかに凹んでいる。あめんぼの重さの分だけの沈みに、小さなあめんぼの重さが知れるというもの。(高橋正子)

[5月28日]

★翡翠色潰さず盛りて豆の飯/佃 康水
豆飯の緑は、「翡翠色」というほどきれいだ。その色を保って炊き上げるのも難しく、きれいに炊き上がったときは、大変うれしいものだ。まん丸い翡翠色をつぶさないように、茶碗に装う。目をも楽しませる豆飯は、季節感あふれる食だ。(高橋正子)

[5月27日]

★街の田の田水引きあり早苗待つ/河野啓一
街中に、開発されずに、まだ田んぼがまだ残っているところがある。田水が引いてあって、空を映して、静かに田植えを待つばかり。都会のオアシスのような田んぼだ。(高橋正子)

★森ゆけば紋黄揚羽がついてくる/多田有花
森の緑に美しい翅が際立つ紋黄揚羽蝶。その蝶が慕うように後をついてくる嬉しさ。人も蝶も同じ次元になれる森の自然の快さが素晴らしい。(高橋正子)

[5月26日]

★山羊の仔の産まれ青葉の触れ合いぬ/川名ますみ
句が表現するところは、「山羊の仔が生まれたので、青葉の枝と枝が、嬉しくて、喜び合っている。」だ。生まれたばかりの、真っ白い山羊の仔のかわいらしさがメルヘンとして詠まれている。「山羊の仔の生まれぬ青葉触れ合いて」とすれば、また別の意味になる。(高橋正子)

[5月25日]

★孫娘訪ね来れる花水木/河野啓一
「孫娘」と「花水木」との取り合わせとなったが、そこに命を見た。やや大げさではあるが、日常的なものとしての「命」で、嬉しい「命」である。(高橋信之)

[5月24日]

★晩鐘や楝の花の木の下で/満天星(谷口博望)
楝の花はごく薄い紫で、そして中心が濃い紫。大きく広がる葉蔭に咲く花は、優しいがさみし気。そんな花の感じが夕べの鐘の音と響きあっている。(高橋正子)

[5月23日]

★苜蓿の香りの原を大股に/古田敬二
苜蓿は、クローバー(白詰草)のことである。苜蓿の匂いを嗅ぐと、野の広やかさが実感できる。行く春を惜しみつつ、苜蓿の野原を大股で歩いた。(高橋正子)

[5月22日]

★薫風や音楽室のコーラスに/桑本栄太郎
「音楽室のコーラス」に少年少女たちの完璧とは言えないハーモニーの温かさ、清らかさを感じる。薫風の快さをコーラスの少年少女も喜んでいるだろう。(高橋正子)

[5月21日]

★大滝に揺れる箕面の若楓/河野啓一
箕面の大滝は、日本百名滝に数えられて、後藤夜半の「瀧の上に水現れて落ちにけり」はこの箕面の滝を詠んだもの。新緑の季節、滝の前では、若楓が滝の水が落ちるとき起こす風に揺れている。マイナスイオンに満たされて、清浄なさわやかさに心身が満たされる。(高橋正子)
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5月21日~31日

2016-05-22 09:12:08 | Weblog

5月31日(4名)

●谷口博望(満天星)
さくらんぼ幼き頃は甘かりし★★★
額の花額縁替えて名を変えて★★★
道行かば零れ散りけり花卯木★★★★

●小口泰與
ぐいぐいと田川の流れ夏燕★★★
初夏や川瀬にまじる鳥の声★★★
雲の峰山家の壁の弓と槍★★★★

●桑本栄太郎
木洩れ日の水面に映ゆる木下闇★★★★
鞍馬山夏の霞の遠嶺かな★★★
紫陽花や孫のみやげにトイザラス★★★

●多田有花
スタジアムの彼方に五月の夕陽落つ★★★★
ぱらぱらと降りだす雨や不如帰★★★
火星の大きく光りし五月尽★★★

5月30日(4名)

●谷口博望(満天星)
薔薇の名や少女アンネの美しき★★★
水琴の聞こえてきたり夏座敷★★★★
木の上に卵ありけり森青蛙★★★

●小口泰與
聖五月つぎむぎ変る湖の空★★★
雨後の朝畷の蚯蚓砂まみれ★★★
遠山の棚引く雲よ若葉風★★★★

●河野啓一
アジサイの溢るるばかり蕾かな★★★★
介護士は新人なるや今年竹★★★
小さきバラ見上げ道行く人もあり★★★

●桑本栄太郎
十薬の木蔭なれども凜と白★★★
せせらぎに沿いて風来る額の花★★★★
せせらぎは、また風の通り道。せせらぎに沿って額の花が咲けば、額の花が風に揺れる。湿りがちな季節、せせらぎの音と風の涼しさが快い。(高橋正子)

勇歌碑祇園白川青葉闇★★★

5月29日(3名)

●谷口博望(満天星)
あめんぼの水面(みなも)の沈む重さかな★★★★
あめんぼの浮いている水面を見れば、わずかに凹んでいる。あめんぼの重さの分だけの沈みに、小さなあめんぼの重さが知れるというもの。(高橋正子)

揺らめける原爆ドーム夏きざす★★★
菩提樹の花と苞葉てのひらに★★★

●小口泰與
糸とんぼ日を弾きたる水の空★★★
麦の秋大曲りせる小海線★★★★
畳なわる雲や卯月の雨後の朝★★★

●桑本栄太郎
南天の白きつぼみや五月闇★★★★
黒き実のつぶれ舗道に青嵐★★★
懸け上がる雨雲嶺に走り梅雨★★★

5月28日(7名)

●谷口博望(満天星)
オバマ来し平和公園薄暑かな★★★★
オスプレー飛んで広島薄暑かな★★★
マテバシイの花匂いけり聖五月★★★

●小口泰與
聞こえくる就業のベルや夏燕★★★★
鉄線の蘂の群れ立つ風の朝★★★
そうそうと岩噛む波よ夏蕨★★★

●古田敬二
老鶯の瀬音に混じる紀伊の川★★★★
老鶯や万葉人の越えし谷★★★
旅に出る春潮のぼる木曽川(きそ)を超え★★★

●桑本栄太郎
田道ゆく吾の独りや草いきれ★★★★
蔓ばらの高き垣根や幼保園★★★
金枝梅バスの出てゆくターミナル★★★

●河野啓一
夏潮の寄せる入り江の真珠貝★★★★
百合の花白く咲き出る気配して★★★
野菅草黄色く開く雨もよい★★★

●佃 康水
鉢またも増えて隣家の目高かな★★★
翡翠色潰さず盛りて豆の飯★★★★
豆飯の緑は、「翡翠色」というほどきれいだ。その色を保って炊き上げるのも難しく、きれいに炊き上がったときは、大変うれしいものだ。まん丸い翡翠色をつぶさないように、茶碗に装う。目をも楽しませる豆飯は、季節感あふれる食だ。(高橋正子)

被爆地に立つオバマ氏へ新樹光★★★

●上島祥子
満開の薔薇残されて空き家跡★★★★
夏落葉門扉固く閉ざす家★★★
鉄門に沿いて満開ヒメジョウン★★★

5月27日(6名)

●谷口博望(満天星)
ヒロシマの鎮魂の歌花ユッカ★★★★
もこもこと照葉林や青葉風★★★
雨に濡る花南天に主なく★★★

●河野啓一
走り梅雨天気図眺め雲眺め★★★
向日葵の苗ひょろ長く植え付けぬ★★★

街の田の田水引きあり早苗待つ★★★★
街中に、開発されずに、まだ田んぼがまだ残っているところがある。田水が引いてあって、空を映して、静かに田植えを待つばかり。都会のオアシスのような田んぼだ。(高橋正子)

●小口泰與
葉桜や髭を剃らずに山に入る★★★
花水木ジャズの漏れくる丸木小屋★★★★
花うばら幼き頃の通学路★★★

●多田有花
森ゆけば紋黄揚羽がついてくる★★★★
森の緑に美しい翅が際立つ紋黄揚羽蝶。その蝶が慕うように後をついてくる嬉しさ。人も蝶も同じ次元になれる森の自然の快さが素晴らしい。(高橋正子)

えごの花空の青さを際立たせ★★★
卯の花に昼のサイレン昼の鐘★★★

●廣田洋一
燕の子すいと餌捕るビオトープ★★★★
燕の子巣に戻さんと手袋す★★★
大口がトレードマークの燕の子★★★

●桑本栄太郎
ボール蹴る少年独り花ざくろ★★★
学校のチャイム鳴り居り筒あじさい★★★
幼子の靴のきゅきゅと緑陰に★★★★

5月26日(6名)

●谷口博望 (満天星)
目高見に癒しの水路ビオトープ★★★
ギラギラと桃色光る松葉菊★★★★
道行けば人恋うような立葵★★★

●小口泰與
柿若葉白妙の犬生まれたり★★★★
界隈は新樹の湖や雲一朶★★★
倒木の苔むす沼や若楓★★★

●川名ますみ
紫陽花の咲きそむる青つぼむ青★★★
揺れながら姫檜扇は平行に★★★

山羊の仔の産まれ青葉の触れ合いぬ★★★★
句が表現するところは、「山羊の仔が生まれたので、青葉の枝と枝が、嬉しくて、喜び合っている。」だ。生まれたばかりの、真っ白い山羊の仔のかわいらしさがメルヘンとして詠まれている。「山羊の仔の生まれぬ青葉触れ合いて」とすれば、また別の句意になる。(高橋正子)

●廣田洋一
揺れ続き崩壊したる夏野かな★★★
寝転がり草の香浴びる夏の原★★★★
草の葉の色とりどりに夏野かな★★★

●河野啓一
伊勢志摩の英虞の真珠や波静か★★★
夏潮を満たす入り江の賢島★★★★
伊勢志摩の真珠筏や夏の潮★★★

●桑本栄太郎
堰水の光り怒涛や走り梅雨★★★
卯月野の水田静もる在所かな★★★★
チケットの旅の手配や南風吹く★★★

5月25日(4名)

●満天星
神の島遥かなるかな夏霞★★★★
枇杷は黄にテニスコートの球の音★★★
青鷺が飛べば小さき被爆川★★★

●小口泰與
帆船の長き航跡白白と★★★
青嵐あえかな地震に目覚めける★★★
早漬の野菜や山は夏浅し★★★★

●桑本栄太郎
<四条大橋の上>
緑さす比叡の峰や眼前に★★★★
大橋を渡る四条や街薄暑★★★
南座の大屋根聳ゆ薄暑光★★★

●河野啓一
孫娘訪ね来れる花水木★★★★
「孫娘」と「花水木」との取り合わせとなったが、そこに命を見た。やや大げさではあるが、日常的なものとしての「命」で、嬉しい「命」である。(高橋信之)

山藤の岩登りかな上へ伸び★★★
万緑を走り抜け車はみどり色★★★

5月24日(6名)

●古田敬二
<長野県平谷村御柱祭り>
トンネルを抜ければ信濃の若葉山★★★★
御柱祭り矢作源流水豊か★★★
苗の丈映して信濃の苗田かな★★★

●谷口博望(満天星)
人知れず泰山木の花咲きぬ★★★
晩鐘や楝の花の木の下で★★★★
楝の花はごく薄い紫で、そして中心が濃い紫。大きく広がる葉蔭に咲く花は、優しいがさみし気。そんな花の感じが夕べの鐘の音と響きあっている。(高橋正子)

街灯下ぎんなんの実の緑映ゆ★★★

●小口泰與
中天は疾風なるか桐の花★★★★
夏は来ぬ牧場ロール点点と★★★
新緑の雨に鳥声定かなり★★★

●廣田洋一
青鷺や羽根を広げて日光浴★★★★
青鷺や道行く車眺めおり★★★
青鷺の水辺に立ちてみじろがず★★★

●桑本栄太郎
<遠い田植時の追憶>
鼻づらのいやいや進む田搔牛★★★
投げ入れる玉苗しかと水を食む★★★★ 
定規持ち後ろうしろへ田植人★★★

●河野啓一
丘の辺の緑を跨ぎ揚羽蝶★★★
樟若葉さわさわ揺れて陽は沈む★★★★
万緑の千里の森や陽は西に★★★

5月23日(6名)

●谷口博望(満天星)
黄鶲の烏恐れぬ高音かな★★★
桜桃の百顆に来りむく一群★★★
睡蓮の花開きけり池の雲★★★★(正子添削)

●小口泰與
一本の道や問わねど道教え★★★
蜘蛛の囲や投網打ちたる雨後の朝★★★★
畷出づ砂にまみれし蚯蚓なり★★★

●廣田洋一
雨匂い紫陽花の萼広がりぬ★★★
七変化白き花まず咲きにけり★★★★
世の変化映して変わる七変化★★★

●河野啓一
薫風や旧き友垣訪ね来て★★★
杖便りふと片蔭に入りけり★★★
滝の音遠く箕面の山深し★★★★

●桑本栄太郎
紅の実の葉蔭に宿す桜の実
桜の実葉蔭に宿る紅の実よ★★★(正子添削)
※「の」の使いかたにご注意ください。

甘き香の一日暮れゆくすいかずら
甘き香に一日くれゆくすいかずら★★★★(正子添削)

うつむきて風に儚き小判草★★★

●古田敬二
蝸牛踏まれるなよと草へ投げ★★★
苜蓿の香りの原を大股に★★★★
苜蓿は、クローバー(白詰草)のことである。苜蓿の匂いを嗅ぐと、野の広やかさが実感できる。行く春を惜しみつつ、苜蓿の野原を大股で歩いた。(高橋正子)

雨上がる青空目指し今年竹★★★

5月22日(4名)

●谷口博望 (満天星)
道行かば楝の花の匂いけり★★★★
老鶯や余生まだまだ衰えず★★★
慰霊碑を訪う人ありてさくらんぼ★★★

●小口泰與
郭公や牧草ロール整然と★★★★
苔むせし倒木の影四十雀★★★
戸より夕餉の支度両隣★★★

●廣田洋一
線路際色華やかに立葵★★★
青空に色を加える立葵★★★★
立葵一つ登りて一つ咲く★★★

●桑本栄太郎
薫風や音楽室のコーラスに★★★★
「音楽室のコーラス」に少年少女たちの完璧とは言えないハーモニーの温かさ、清らかさを感じる。薫風の快さをコーラスの少年少女も喜んでいるだろう。(高橋正子)

陸橋の眼下に見ゆや橡の花★★★
プロペラのうすき紅なり若楓★★★

5月21日(5名)

●満天星(谷口博望)
見たくても近寄りがたき蜥蜴かな★★★
節理てふ太古を這ふや青蜥蜴★★★
ベンチより空見上げれば風薫る★★★★

●小口泰與
噴煙の雲になりけり桐の花★★★
一本の道や初雷眼間に★★★★
雲の峰二生を経るぞ我が髪膚★★★

●廣田洋一
幼子や手の平に乗り泳ぎける★★★★
夏場所やまたも消えたか横綱の芽★★★
夏場所や息合わぬこと増えにけり★★★

●河野啓一
夏風邪の治りスッキリ鳥の声★★★
粘土捏ね夏の遊びは子に帰る★★★

大滝に揺れる箕面の若楓★★★★
箕面の大滝は、日本百名滝に数えられて、後藤夜半の「瀧の上に水現れて落ちにけり」はこの箕面の滝を詠んだもの。新緑の季節、滝の前では、若楓が滝の水が落ちるとき起こす風に揺れている。マイナスイオンに満たされて、清浄なさわやかさに心身が満たされる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
睡蓮の柵を越えたり今朝の池★★★★
万緑やトトロの森を行く日とも★★★
緑陰の肺の奥までみどりかな★★★
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●自由な投句箱/5月11日~20日●

2016-05-12 09:09:12 | Weblog

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今日の秀句/5月11日~20日

2016-05-12 09:08:42 | Weblog

[5月20日]

★山法師吹かれて風の鮮やかに/川名ますみ
山法師の白い花は、平らで空を向いている。遠目には、葉に紛れたように見える。風が吹くと、枝が揺れ山法師の花が鮮やかな白さを見せる。風によって蘇る花。(高橋正子)

[5月19日]

★緑陰となりし車内や並木行く/桑本栄太郎
街路樹の並木をバスで走っているのだろう。その並木の緑色が車内まで差し込んで、車内が緑陰をなった快さ。(高橋正子)

[5月18日]

★蜻蛉生(あ)れぬ緑の池の片隅に/河野啓一
蜻蛉が緑の池の片隅でひそやかに生まれた。生まれるとしばらくは葉に止まり、翅を輝かす。片隅の緑の静謐な空間に透明な翅が輝く命が生まれた。私は、5月15日都内の自然教育園の小さい池の立て札に、しおから蜻蛉とやごが止まっているのを見た。いよいよ夏だ。(高橋正子)

[5月17日]

★輝ける欅若葉や「第九」鳴る/満天星(谷口博望)
欅若葉が美しい季節になった。若葉の美さは、生命の美しさとも言えるほど。そこにベートーベンの第九交響曲が鳴り、「歓喜の歌」が生命を称えていると思える。(高橋正子)

★スコールに包まれ車止めにけり/廣田洋一
スコールはすぐに止む急な大雨。猛烈な勢いで降る雨に前も見えない。スコールにすっぽりと包まれた車。その車の中にいて、スコールに包まれた空間の感覚の経験。経験したものが知る感覚だ。(高橋正子)

[5月16日]

★青葉潮高速艇の水脈長し/谷口博望(満天星)
青葉豊かなころの潮は、緑濃い青い色。高速艇が引く水脈が豊かな潮に長くどんどん伸びてゆく。青葉潮を実感するのは、やはり瀬戸内海であろう。(高橋正子)

[5月15日]

★麦秋や鳩の胸元ふっくらと/小口泰與
「麦秋や」の季語を受けたこの句の鳩は、山鳩のようである。くーくーと胸をふくらまして鳴く鳩に夏のすがすがしさが思われる。(高橋正子)

[5月14日]

★澄む色を取り戻したり夏の川/多田有花
季節は春から夏へ。川は空を映して青く、春の長雨や雪解けの水の濁りもすっかり消えて流れている。涼しそうな澄んだ水の色に、さっぱりとした夏の川となった。(高橋正子)

[5月13日]

★早朝の円形花壇露に濡れ/河野啓一
イメージが鮮明で、広々とした円形花壇の景色がすぐ目に浮かぶ。早朝の爽やかさは何にも代えがたい。露に濡れた花が生き生きとしている。因みに「露」の季語は秋。

[5月12日]

★クレーン伸ぶ如く高々桐の花/佃 康水
高い空を見上げるとき、高々とクレーンが伸びている景色が脳裏に浮かぶのだろう。そのような位置に、今日は薄紫の桐の花が咲いている。現代的な景色と、古典的ともいえる桐の花との取り合わせの妙。(高橋正子)

[5月11日]

★燕来る街道沿いに一直線/河野啓一
燕が街道を知っているとは思えないが、街道に沿えば、邪魔な建物も木々などもなく、どこまでもあのスピードをもって、真っすぐに飛べる。そういう燕に出会えば、こちらまで、爽快になる。(高橋正子)
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