◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/6月21日~30日

2018-06-22 11:10:31 | Weblog

生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之


◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
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今日の秀句/6月21日~30日

2018-06-22 11:09:00 | Weblog

6月30日(1句)

★梅雨明けの雲眩しめりヘルパーと/川名ますみ
生活を助けてくれるヘルパーさんと、梅雨明けの雲を、「眩しい」と眺める。共感できる嬉しさに、これから迎える夏本番への明るい気持ちが窺える。(高橋正子)

6月29日(2句)

★金色に咲き揃ひける胡瓜の花/廣田洋一
胡瓜の花を「金色」と感じたのは、花の生き生きとした様子から。咲き揃っているからなおさらのこと。いきいきと瑞々しいものは、すがすがしい。(高橋正子)

★新庄の村へと杉の夏木立/桑本栄太郎
「新庄」と呼ばれるところは、各地にあるようだが、新しく庄となった意味合いもあるだろう。その村へと抜けるには、杉の夏木立を通る。別世界があるようだ。杉の夏木立のすっくと立ち並ぶ美しさは涼しさに通じる。(高橋正子)

6月28日(1句)

★山峡の清流の香や心太/小口泰與
山峡の清流にひやされた心太であろう。心太を啜ると、清流の香がする。大方が水からなる心太の清涼さ。(高橋正子)

6月27日(1句)

★青芝へすぽっと沈む雀かな/小口泰與
青芝がふかぶかと育って、空から舞い降りた雀がすぽっとはまってしまい、頭ぐらいしか姿が見えない。雀も思わぬ深さに驚いたことだろう。(高橋正子)

6月26日(1句)

★片隅に固まり雨の余り苗/桑本栄太郎
田に植えきれない余った苗は、田の片隅にまとめて置かれている。これは、植えた苗が枯れたりした場合に植えるなどの用心のためである。その固まりも雨に濡れてそだっている。情をそそられる光景だ。(高橋正子)

6月25日(2句)

★もぎたての色清々し胡瓜漬/多田有花
もぎたての胡瓜の漬物。もぎたての色を残して漬かったときの嬉しさは格別。炊きたての白米のご飯と胡瓜の漬物は、私の場合は贅沢なご馳走にも勝る。(高橋正子)

★藻の花や蜂が一匹訪へり/廣田洋一
藻の花を見るのはごくまれかもしれない。澄んだ水に揺らぐ藻に浮くように咲く小さな白い花が藻の花だ。
澄んだ水と可憐な藻の花。それを覗く蜂。小さな生き物の命のふれあいが感じられる。(高橋正子)

6月24日(1句)

★万緑の一画為せる古墳かな/桑本栄太郎
古墳と言ってはっきり形として残っているもの、古墳とわかっていても、すっかり丘の一部となってしまったのものなど、いろんな形態がある。万緑の一画となっている古墳に、今につながる時間を感じる(高橋正子)

6月23日(1句)

★浴衣着て少女駆けゆく雨あがり/多田有花
「雨あがり」が効いている。浴衣の少女が駆けてゆくのは、夜市などの楽しみが待っているからだろう。雨があがったので、「さあ、出かけましょ。」と喜び勇んで駆けて行く。浴衣を着せてもらった少女のうれしさが、単純化されて詠まれている。(高橋正子)

6月22日(2句)

★女子会の妻帰り来し梅雨夕焼け/桑本栄太郎
女子会を楽しんだ妻を迎える梅雨夕焼けが、女子会の余韻のよう。さぞ楽しい女子会っだたことだろうと、思う夫。(高橋正子)

★日の暮て綺麗に巻かれ青簾/廣田洋一
青簾が綺麗に巻かれる。このことだけで充分に涼しい景色となっている。(高橋正子)

6月21日(1句)

★谷川の風に色濃く合歓の花/桑本栄太郎
合歓の花は、光が強れば、紅色がいっそう淡い。谷川の風が吹くところは、合歓の緑の葉に、花の紅色が濃く浮かぶ。谷川から吹き上げる涼風に、合歓の花が心地よさそうだ。(高橋正子)
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6月21日~30日

2018-06-22 11:02:03 | Weblog

6月30日(4名)

小口泰與
豊葦原の暑さの主や館林★★★
紫陽花や雨後の芝生の雀どち★★★
鳥声や日は燦燦と青田風(原句)
青田風空に鳥鳴き日は燦々★★★★(正子添削)

川名ますみ
白々と夏至の夕べに浮ける富士★★★
梅雨明の窓にまぶしく雲流る★★★

ヘルパーと雲を眩しみ梅雨明けぬ(原句)
梅雨明けの雲眩しめりヘルパーと(正子添削)
生活を助けてくれるヘルパーさんと、梅雨明けの雲を、「眩しい」と眺める。共感できる嬉しさに、これから迎える夏本番への明るい気持ちが窺える。(高橋正子)

桑本栄太郎
音のみのありて何処へ梅雨の雷(原句)
音のみの頭上にありて梅雨の雷★★★★(正子添削)

熊笹の坂道村へ夏の雲★★★
夏霧や嶺の端遠くとおくまで★★★

廣田洋一
ソーダ水夏の青さを共に吸ひ★★★★
検査終えほっと一息ソーダ水★★★
初デートおしゃべり弾むソーダ水★★★

6月29日(4名)

多田有花
雨近き空へ咲き初め合歓の花★★★★
蚊遣して吹奏鍵盤ハーモニカ★★★
隣家よりサッカー中継明易し★★★

小口泰與
半身を流れにあずけ香魚釣★★★★
ひたすらに杏を捥ぐや日は西へ★★★
八方へ干されし実梅との曇★★★

廣田洋一
夏草や田んぼの跡の遊水池★★★
実の色を先取りして茄子の花★★★
金色に咲き揃ひける胡瓜の花★★★★
胡瓜の花を「金色」と感じたのは、花の生き生きとした様子から。咲き揃っているからなおさらのこと。いきいきと瑞々しいものは、すがすがしい。(高橋正子)

桑本栄太郎
新庄の村へと杉の夏木立★★★★
「新庄」と呼ばれるところは、各地にあるようだが、新しく庄となった意味合いもあるだろう。その村へと抜けるには、杉の夏木立を通る。別世界があるようだ。杉の夏木立のすっくと立ち並ぶ美しさは涼しさに通じる。(高橋正子)

熊笹の坂道村へ夏の峰★★★
花合歓やトンネル高き米子道★★★

6月28日(3名)

小口泰與
この辺り梔子の香の残りおり★★★
山峡の清流の香や心太★★★★
山峡の清流にひやされた心太であろう。心太を啜ると、清流の香がする。大方が水からなる心太の清涼さ。(高橋正子)
薫風や喉を潤おす水の味★★★

廣田洋一
昼顔や咲きたる色の儚げに★★★
昼顔やひっそりと咲く道の端★★★
昼顔や荒畑をちと明るくす★★★★

桑本栄太郎
<高速中国道~米子道>
草茂る車窓つづくや中国道★★★
さみどりの樹上明るく栗の花★★★
赤瓦屋根の眼下や合歓の花★★★★

6月27日(3名)

小口泰與
捩花へ赤城山(あかぎ)の風の戸惑いし★★★
「風が戸惑う」というのはどういうことでしょうか。
捩花へ赤城山の風の時に吹き(正子添削例)

青芝へすぽっと沈む雀かな★★★★
青芝がふかぶかと育って、空から舞い降りた雀がすぽっとはまってしまい、頭ぐらいしか姿が見えない。雀も思わぬ深さに驚いたことだろう。(高橋正子)

梔子の新しき日に朽ちにける(原句)
梔子や新しき日にはや朽ちぬ★★★(正子添削)

多田有花
登校の列を見送る白日傘★★★★
出せばはや湿りを集め梅雨の海苔★★★
朝の窓開け涼風を部屋に入れ★★★

廣田洋一
小さくも真赤に咲きし松葉牡丹★★★
つば深く美形の鼻や夏帽子★★★
白きリボン大きく巻きし夏帽子★★★★

桑本栄太郎
蕊長き未央柳や雨しとど★★★
朝よりのうすき曇りや炎暑来る★★★
口笛を吹き登校や梅雨晴間★★★★

6月26日(3名)

小口泰與
起ちこぎの自転車疾駆早苗風★★★★
青芝へ影の巨大な雀かな★★★
水槽のああ三年の目高かな★★★

廣田洋一
立葵むれなし乱れ咲きにけり★★★
立葵四方を向きて咲きにけり★★★
雨上がり天を突きける立葵★★★★

桑本栄太郎
口笛を吹いて登校梅雨晴間★★★
片隅に固まり雨の余り苗★★★★
田に植えきれない余った苗は、田の片隅にまとめて置かれている。これは、植えた苗が枯れたりした場合に植えるなどの用心のためである。その固まりも雨に濡れてそだっている。情をそそられる光景だ。(高橋正子)

余震なお転び起きたる夏暁かな★★★

6月25日(3名)

小口泰與
捩花や雀の羽音けたたまし(原句)
捩花や雀の羽音強かりき★★★★(正子添削)
「けたたまし」が問題です。

湖の面を叩くモーターボートかな★★★
山に見て湖にもみしや御来光★★★★

多田有花
梅雨晴の風の涼しき森歩く★★★
梅雨晴間にぎわうコインランドリー★★★
もぎたての色清々し胡瓜漬★★★★
もぎたての胡瓜の漬物。もぎたての色を残して漬かったときの嬉しさは格別。炊きたての白米のご飯と胡瓜の漬物は、私の場合は贅沢なご馳走にも勝る。(高橋正子)

廣田洋一
藻の花や鉢が一匹訪へり
「鉢」は「蜂」のまちがい?
藻の花や蜂が一匹訪へり★★★★
藻の花を見るのはごくまれかもしれない。澄んだ水に揺らぐ藻に浮くように咲く小さな白い花が藻の花だ。
澄んだ水と可憐な藻の花。それを覗く蜂。小さな生き物の命のふれあいが感じられる。(高橋正子)

藻の花や小魚群れる池の底★★★
藻の花や探しに来たる親水公園★★★

6月24日(4名)

小口泰與
湖風に船のデッキの昼寝かな★★★★
もとの句「切れ」を考慮されるといいと思います。
湖風の船のデッキやわが昼寝(正子添削例)

てっせんや鉄路かかよう足尾線★★★
白波のさばしる湖のヨットかな★★★

多田有花
羽音に驚き蚊取線香つける★★★
バンダナの色とりどりを風揺らす★★★★
鮎釣りが大好きという男かな★★★
「鮎釣りが大好きな男」では、「鮎釣り」が男の属性となっているので、季語としてはどうでしょうか。
鮎釣りの好きな男に鮎匂う(正子添削例)

廣田洋一
栗の木の並びて揺れる茂りかな★★★
地鎮祭以後何もせず草茂る★★★
雨上がり脛を濡らせる草茂る★★★★
もとの句は「草茂」ですが、「茂り」は、木の茂りをいいますので、「草茂る」がよいと思います。

桑本栄太郎
万緑の一画為せる古墳かな★★★★
古墳と言ってはっきり形として残っているもの、古墳とわかっていても、すっかり丘の一部となってしまったのものなど、いろんな形態がある。万緑の一画となっている古墳に、今につながる時間を感じる(高橋正子)

山の端に峰雲育つ天王山★★★
徒の無き親の意見や茄子の花★★★

6月23日(4名)

小口泰與
梔子のあだに褪せたる朝かな★★★
植田はや名も知らぬ鳥来ておりぬ★★★
立あおい暁の赤城山(あかぎ)の深緑★★★★

桑本栄太郎
深梅雨や朝より鴉鳴き騒ぐ★★★★
との曇る空に梔子咲きにけり★★★
蕊濡らす未央柳の花に雨★★★

廣田洋一
垣の上紅き行列凌霄花★★★
空に向け炎燃え立つ凌霄花★★★
砂場にも零れ落ちたり凌霄花★★★★

多田有花
夏至の朝チャペルの鐘が鳴り渡る★★★★
洗いあげシーツを仲夏の陽に干せり★★★
浴衣着て少女駆けゆく雨あがり★★★★
「雨あがり」が効いている。浴衣の少女が駆けてゆくのは、夜市などの楽しみが待っているからだろう。雨があがったので、「さあ、出かけましょ。」と喜び勇んで駆けて行く。浴衣を着せてもらった少女のうれしさが、単純化されて詠まれている。(高橋正子)

6月22日(3名)

小口泰與
花摘みの作務衣の乙女菖蒲園★★★★
心太雨脚太くなりにけり★★★
雷の鳴らぬ上州犬寝顔★★★

桑本栄太郎
凌霄花の花びら零る図書館に★★★
梔子の花の八重なる香りかな★★★
女子会の妻帰り来し梅雨夕焼け★★★★
女子会を楽しんだ妻を迎える梅雨夕焼けが、女子会の余韻のよう。さぞ楽しい女子会っだたことだろうと、思う夫。(高橋正子)

廣田洋一
高層のマンション覗く青簾★★★
日の暮て綺麗に巻かれ青簾★★★★
青簾が綺麗に巻かれる。このことだけで充分に涼しい景色となっている。(高橋正子)
青簾越に眺める産土の森★★★

6月21日(4名)

小口泰與
次ぎつぎに雀舞い来る青芝へ★★★
乙女等の花がら摘みや菖蒲園★★★★
菖蒲園花がら摘みの作務衣かな★★★

廣田洋一
夏至の日や日没を待つ手にグラス★★★
曇れるも明るさ残す夏至の空★★★★
夏至の日の試合は定時W杯★★★

桑本栄太郎
谷川の風に色濃く合歓の花★★★★
合歓の花は、光が強れば、紅色がいっそう淡い。谷川の風が吹くところは、合歓の緑の葉に、花の紅色が濃く浮かぶ。谷川から吹き上げる涼風に、合歓の花が心地よさそうだ。(高橋正子)

女子会の妻は温泉夏至の夜★★★
西空の闇に滲むや夏至の月★★★

多田有花
五月雨のあがり空へと帰る水★★★
忽然と梅雨の茸の濡れて立つ★★★
夏至の日や押入れすっきり片付ける★★★★
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自由な投句箱/6月11日~20日

2018-06-12 12:13:45 | Weblog

生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

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今日の秀句/6月11日~20日

2018-06-12 12:12:42 | Weblog

6月20日(2句)

★行く人の傘にはじかれ濃紫陽花/廣田洋一
そこここに紫陽花が見られる季節。なかには道にせり出して咲く紫陽花もあり、道行く人の傘にはじかれることもある。はじかれてもとに戻る。みずみずしくたくましい紫陽花だ。(高橋正子)

★菜園の色を集めて夏料理/古田敬二
夏の菜園。とりどりの色の野菜が採れる。トマト、胡瓜、茄子、など。採れたもので料理する。色様々な、夏料理。涼しそうで、健康的だ。(高橋正子)

6月19日(2句)

★曲がり角群れて眩しく百合の花/廣田洋一
曲がり角に来ると、急にさっきとは違う景色がある。ちょうど角に百合の花が群れ咲いて、眩しい光を放っている。百合は、「眩しく」と形容されて、それが全く自然な花である。(高橋正子)

★余震なお空の茜や明早し/桑本栄太郎
大阪北部から京都にかけてのこの度の震度6の地震。一週間は警戒が必要と言われ、余震で夜も不安だ。まんじりともしないうちにはや夜が明ける。東の空の茜が却って不安な思いをさせるようだ。(高橋正子)

6月18日(2句)

★隠れ沼の濁り初めけり濃紫陽花/小口泰與
「隠れ沼の濁り初めけり」の濁り初める理由は、梅雨の雨量のせいか、また濁った空を映しているのか、
解釈に迷うところであるが、「濁り」と「紫陽花」は、似合っている。(高橋正子)

★アパートの影映したる植田かな/桑本栄太郎
植田の傍にアパートがたっている。都市近郊の風景。植田が残って水が物の影を映しているのは、いいものだ。(高橋正子)

6月17日(2句)

★梅雨晴の透き通りたる播磨灘/多田有花
瀬戸内海の波平らな海といえども、播磨灘が透き通るのはめったにないことだろう。梅雨晴れの播磨灘がすっきりと目に爽やかだ。(高橋正子)

★郭公やあくまで青き尾瀬の水/小口泰與
郭公の声、高原の尾瀬の空や水。尾瀬にも夏が来た。点在する地とうの水に映る空も、あくまで青い。
尾瀬に誘われる句だ。(高橋正子)

6月16日(1句)

★六月や目覚めの空の青いこと/古田敬二
六月は梅雨の季節。青空はさほど期待しない。ところが、目覚めたときの空の青さは素晴らしかった。驚くほど青かった。単純化された句が内容とよく合って、敬二さんの新境地と思う。(高橋正子)

6月15日(2句)

★紫陽花や山より雨の上がりける/小口泰與
「山より雨の上りける」が、この句の良さ。紫陽花が咲くところ向こうに山があり、山の煙霧が空へ立ち上る。いい景色だ。(高橋正子)

★麦秋は遠き故郷の畑の色/古田敬二
麦秋は、麦が熟れる畑があってこその季語なのだが、最近は麦畑もほとんど見られなくなった。故郷の畑を思い起こす。切なく美しい麦秋も遠い記憶となりそうだ。(高橋正子)

6月14日(2句)

<鳴門海峡>
★観潮船夏の潮へと向かいけり/多田有花
鳴門の渦を見る観潮船。「夏の潮」には、潮の色、渦の激しさに期待を寄せる、高ぶりが感じられる。(高橋正子)

★泰山木に花をわんさと空平ら/川名ますみ
泰山木の大きな白い花がわんさと咲いている。大きな花を下に空は平静を装うように、広く平らに広がっている。「わんさ」の白の華やかさ、また豊かさがいい。(高橋正子)

6月13日(1句)

★サバンナや白き蚊帳張るロッジかな/廣田洋一
アフリカのサバンナでの暮らし。以前『サファリ』(サファリは「旅」の意味/正子注)という句集を出された花冠同人がおられたが、そこにもサバンナでの生活が詠まれて、仕事ではあるが生活を楽しまれた様子が伺えた。「白き蚊帳」が、効いている。(高橋正子)

6月12日(1句)

★山百合の線路見下ろす阪急線/桑本栄太郎
山百合は、北陸を除く近畿地方以北に育つとされる。カサブランカの原種となる大きな花は、野生の百合とは思えないほど華麗だ。花の重さに茎は倒れがち。阪急線も山百合が咲く傍を走るところがあるのか、梅雨時期の見事な花が目に触れる喜びは大きい。(高橋正子)

6月11日(1句)

★狸に会う雨の降りだす梅雨の山/多田有花 
実際の狸はちょっと見には、犬と間違いそうだ。梅雨の雨が降りだす山に狸がひょこり現れた。野生の動物も、われらも、梅雨を受けている。「雨の降りだす」がリアルだ。(高橋正子)
コメント (12)
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