◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/8月21日~31日

2019-08-22 10:44:15 | Weblog

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan02
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今日の秀句/8月21日~31日

2019-08-22 10:42:46 | Weblog

8月31日(1句)

★八月終わる歯ブラシを新しく/多田有花
終わるときに新しい歯ブラシを用意する。これは、心構えとして、始まりに備えて新しくしたと思える。さっぱりとした句で、さわやかな九月が迎えられそう。(高橋正子)

8月30日(1句)

★店頭に秋果とりどり並び初め/多田有花
実りの秋。店頭にいろいろ秋の果物が並び始める。林檎なら淡い色のつがる、梨、無花果、葡萄、青蜜柑など、色もとりどりに並ぶ。「並び初め」が、いかにも新涼の季節を表し、フレッシュでよい。(高橋正子)

8月29日(1句)

この辺り津波に襲われ蕎麦の花/廣田洋一
東日本大震災のときの津波は、多くの人の命を奪い、船を丘へあげてしまほど、とてつもなく大きな津波だった。その津波が襲ったあたりに、蕎麦の花が咲いている。優しい蕎麦の花に、津波の痕
とは思えなかった。しかし、確かに津波が寄せたのだ。(高橋正子)

8月28日(1句)

★こおろぎや山の冷気の殊更に/小口泰與
秋の虫のこおろぎがよく鳴く。山にいるのだ。まだ秋は深くもないのに、山の冷気はことさらに強く感じられる。そのせいで、こおろぎはよく鳴く。(高橋正子)

8月27日(2句)

★格子戸を開けて秋めく夜へ出る/多田有花
秋めく夜。格子戸を開けて外に出た。この設定に時代劇の場面を想像して愉快になった。格子戸と秋めく夜が物語を作っている。(高橋正子)

★栃の実や青きがままに膨らみぬ/廣田洋一
栃の実は、手に握れば、ちょうど手の中に納まる大きさ。今は実が太っていくときで、青いまま、膨らんでいる。大きく膨らんだ青さが魅力の新涼の季節だ。(高橋正子)

8月26日(2句)

★快晴やいつしか燕の消えし町/多田有花
今日の空は見上げれば快晴。雲一つない。そういえば、何かが消えている。いつの間にか燕が消えたさびしくなった町の空。来年の燕を待とう。(高橋正子)

★海青く浜茄子の実の赤きかな/廣田洋一
浜茄子はバラ科なので、赤い、バラのような実をつける。実の赤さは少しオレンジ色がかり、あいらしい。海の青さと赤い実のコントラストがいい。(高橋正子)

8月25日(1句)

★牧の牛草食む音や秋日澄む/小口泰與
牧場に秋の日が当たり、牧場の空気は澄んでいる。放牧の牛が草を食べる音さえ聞こえる。牧を閉じる日まで、牛たちはしっかりと草を食べる。その音なのだ。(高橋正子)

8月24日(2句)

★天の川流れ込みたる斜張橋/廣田洋一
斜張橋の美しさは言うまでもないが、そこに流れ込む天の川で景色はいっそう豊かみなった。(高橋正子)

★清流のさやかに走り芋水車/桑本栄太郎
芋水車の実物をまだ見たことがないが、水車にころころと洗われる里芋を見てみたいものだ。里芋は、水の豊かな田や畑に植えられ、清らか小川にかけられた小さい水車が収穫した里芋を洗ってくれる。清流と里芋ができる里の人々の知恵が今も生きている。(高橋正子)

8月23日(1句)

★寺の門くぐりて出会ふ秋の風/廣田洋一
寺の門のうちは、広々としている。その広さを吹く風がある。風に出会う。まぎれもなく秋の風。秋風にそういう風に出会いたいものだ。(高橋正子)

8月22日(1句)

★看板は熊に注意や松虫草/小口泰與
山を、高原かもしれないが、歩くと看板が出ている。「熊に注意」と。看板のそばには可憐な松虫草が咲いている。高原にきて出会う松虫草。高原に来て身近に感じる熊の生息。自然のリアルさとうのだろう。(高橋正子)

8月21日(2句)

★爽やかに石庭の風流れけり/廣田洋一
石に吹く秋風はさびしいものだけれど、爽やかなん風となれば、すがすがしい気持ちが主となる。禅の趣のある石庭のさっぱりとした爽やかさが際立っている。(高橋正子)

★きちきちの背ナを追い立て散歩かな/桑本栄太郎
散歩で野道を歩くと、驚いたようにきちきちが飛び立って、また止まる。歩めば飛び立つ。追い立てているようで、相済まないが、きちきちと遊ぶ余裕の気持ちも。(高橋正子)
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8月21日~31日

2019-08-22 10:38:21 | Weblog

8月31日(4名)

小口泰與
のど飴を舐むや赤城の嶺さやか★★★
山襞の彫り深くして秋まひる★★★
動かざる柱時計や時計草★★★★

多田有花
八月尽風が青空渡りけり★★★
遠くよりつくつくぼうし聞こゆ昼★★★

八月終わる歯ブラシを新しく★★★★
終わるときに新しい歯ブラシを用意する。これは、心構えとして、始まりに備えて新しくしたと思える。さっぱりとした句で、さわやかな九月が迎えられそうだ。(高橋正子)

廣田洋一
庭の隅ぽつりと青き露草かな★★★
露草や晴天の色取込みぬ★★★
朝霧に小蕊の光る蛍草★★★★

桑本栄太郎
ハイウェイの出口渋滞八月果つ★★★
あきつ飛ぶ編隊の飛行の橋の上★★★★
ふるさとの梨の着きたり”新甘泉”★★★

8月30日(4名)

多田有花
鮮やかな秋夕焼をプリントす★★★
店頭に秋果とりどり並び初め★★★★
実りの秋。店頭にいろいろ秋の果物が並び始める。林檎なら淡い色のつがる、梨、無花果、葡萄、青蜜柑など、色もとりどりに並ぶ。「並び初め」が、いかにも新涼の季節を表し、フレッシュでよい。(高橋正子)

温度計秋本番を示しおり★★★

小口泰與
秋なれや名もなき沼の空の色★★★★
新そばや古城の前の古のれん★★★
秋の朝赤城のすそ野あらわなり★★★

廣田洋一
外国の言葉混じれる夜学かな★★★
勤め終へ背広のままで夜学校★★★
部活終へすれ違ひたる夜学生★★★★

桑本栄太郎
夜半忌の滝のようなる豪雨かな★★★
アリランの歌も哀しく木槿咲く★★★
哀しみの滂沱尽きたり八月尽★★★

8月29日(4名)

小口泰與
大沼小沼(おのこの)の山影さやか秋小鳥★★★
秋雲を湖に浮かばせ榛名富士★★★★
秋雲の奇岩に生えて動かざる★★★

廣田洋一
この辺り津波に襲われ蕎麦の花★★★★
東日本大震災のときの津波は、多くの人の命を奪い、船を丘へあげてしまほど、とてつもなく大きな津波だった。その津波が襲ったあたりに、蕎麦の花が咲いている。優しい蕎麦の花に、津波の痕
とは思えなかった。しかし、確かに津波が寄せたのだ。(高橋正子)

復興の進む三陸蕎麦の花★★★
北上の川風撫でる蕎麦の花★★★

多田有花
法師蝉携帯電話解約に★★★
秋の朝スマホ教室に集う人★★★
秋風やようやく真実がわかる★★★

桑本栄太郎
恩讐の彼方となりぬ底紅忌★★★
夕暮れのすずめ塒へ秋涼し★★★★
爽やかに雨後の風来る窓辺かな★★★

8月28日(4名)

小口泰與
こおろぎや山の冷気の殊更に★★★★
秋の虫のこおろぎがよく鳴く。山にいるのだ。まだ秋は深くもないのに、山の冷気はことさらに強く感じられる。そのせいで、こおろぎはよく鳴く。(高橋正子)

姦しきつくつく法師露の間に★★★
あけぼのの畦へ群なす秋津かな★★★

桑本栄太郎
今朝よりのホットコーヒー涼新た★★★★
登校の児童の列や秋霖雨★★★
秋雨の豪雨となりぬ降水帯★★★

廣田洋一
一粒降り後の続かぬ秋の雨★★★
秋雨やゲリラ豪雨となりにけり★★★
公園の松青々と秋の雨★★★★

多田有花
家島の旨き魚を食ぶ初秋★★★★
秋の田を縫って家まで走りけり★★★
秋雨にテールランプが列を成す★★★

8月27日(4名)

小口泰與
鬼やんま鬼押し出しに遊びおり★★★★
蝗炒り朝の御勤め済ましける★★★
山影に隠るる日差し螽斯★★★

桑本栄太郎
との曇る空に紅さす百日紅★★★★
うそ寒や疲れ果てたる蝉の声★★★
秋雨の午後より暗く本降りに★★★

多田有花
格子戸を開けて秋めく夜へ出る★★★★
秋めく夜。格子戸を開けて外に出た。この設定に時代劇の場面を想像して愉快になった。格子戸と秋めく夜が物語を作っている。(高橋正子)

秋雨と思いし中を出かけゆく★★★
窓すべて閉め秋涼を楽しめり★★★

廣田洋一
栃の実や青きがままに膨らみぬ★★★★
栃の実は、手に握れば、ちょうど手の中に納まる大きさ。今は実が太っていくときで、青いまま、膨らんでいる。大きく膨らんだ青さが魅力の新涼の季節だ。(高橋正子)

復興の地稲田を囲むブルドーザー★★★
青空に白々揺れる蕎麦の花★★★

8月26日(4名)

小口泰與
噴煙の流るる先や実山椒★★★★
夕映えの田川へぽちゃり蝗かな★★★
あけぼのの畷に忽と群とんぼ★★★

多田有花
秋の朝ロードレーサー駆け抜ける★★★
秋の夜やネットライブでテレビ見る★★★

快晴やいつしか燕の消えし町★★★★
今日の空は見上げれば快晴。雲一つない。そういえば、何かが消えている。いつの間にか燕が消えたさびしくなった町の空。来年の燕を待とう。(高橋正子)

桑本栄太郎
さやけしや朝の窓開け青き空★★★★
誕生日まえの朝や秋気澄む★★★
目覚むれば夕日となりぬ秋の蝉★★★

廣田洋一
海青く浜茄子の実の赤きかな★★★★
浜茄子はバラ科なので、赤い、バラのような実をつける。実の赤さは少しオレンジ色がかり、あいらしい。海の青さと赤い実のコントラストがいい。(高橋正子)

白岩青松浄土ヶ浜の静まる秋★★★
秋蝶の踊り合ひたる黄色き花★★★

8月25日(4名)

多田有花
夜の雨降るごと秋の進みおり★★★★
吹く風を確かに処暑と思いけり★★★
同窓会の連絡入る処暑の朝★★★

小口泰與
榛名嶺の彫り深き襞鵙の晴★★★
明け初むる畦に数多や赤とんぼ★★★
牧の牛草食む音や秋日澄む★★★★
牧場に秋の日が当たり、牧場の空気は澄んでいる。放牧の牛が草を食べる音さえ聞こえる。牧を閉じる日まで、牛たちはしっかりと草を食べる。その音なのだ。(高橋正子)

廣田洋一
秋の潮皆で唄ういつでも夢を★★★
晴天に支度を急ぐ秋祭★★★★
道の駅小刀程の秋刀魚かな★★★

桑本栄太郎
うそ寒や慌て閉じ居り朝の窓★★★
耕衣忌の厨の妻の葱に泣く★★★★
わが影の色濃くなりぬ秋の昼★★★

8月24日(4名)

小口泰與
桔梗や奇岩巨石の雨後の山★★★★
見晴るかす赤城榛名や蕎麦の花★★★
鵯の羽音一閃大樹かな★★★

廣田洋一
久しぶりに空を仰ぎぬ天の川★★★
墓苑の裏山越える天の川★★★

天の川流れ込みたる斜張橋★★★★
斜張橋の美しさは言うまでもないが、そこに流れ込む天の川で景色はいっそう豊かみなった。(高橋正子)

桑本栄太郎
清流のさやかに走り芋水車★★★★
芋水車の実物をまだ見たことがないが、水車にころころと洗われる里芋を見てみたいものだ。里芋は、水の豊かな田や畑に植えられ、清らか小川にかけられた小さい水車が収穫した里芋を洗ってくれる。清流と里芋ができる里の人々の知恵が今も生きている。(高橋正子)

雨上がる風の音さえ秋の声★★★
溝川の音の微かに田水落つ★★★

多田有花
海鮮丼食す新たな涼しさに★★★
初秋にいただくマンゴープリンかな★★★
駅までの道にありけり豊の秋★★★★

8月23日(3名)

小口泰與
廃線の軌道統むる泡立草★★★
朝顔や明治時代の庄屋址★★★★
花葛や木道のはて日照雨★★★

桑本栄太郎
新涼の窓に風吹く雨のあと★★★
水滴の触れて散り居り萩の雨★★★
秋雨の止みてまた降り夕暮るる★★★

廣田洋一
秋風や川のせせらぎ際立たせ★★★
地鎮祭の注連縄揺らす秋の風★★★

寺の門くぐりて出会ふ秋の風★★★★
寺の門のうちは、広々としている。その広さを吹く風がある。風に出会う。まぎれもなく秋の風。秋風にそういう風に出会いたいものだ。(高橋正子)

8月22日(4名)

小口泰與
看板は熊に注意や松虫草★★★★
山を、高原かもしれないが、歩くと看板が出ている。「熊に注意」と。看板のそばには可憐な松虫草が咲いている。高原にきて出会う松虫草。高原に来て身近に感じる熊の生息。自然のリアルさとうのだろう。(高橋正子)

露草や靄を刷きたる赤城山★★★
パソコンを使いこなせず赤のまま★★★

桑本栄太郎
あいさつの目玉近づく鬼やんま★★★
かまきりの孤高に耐えず鎌をあげ★★★
小さくとも坊ちゃん南瓜の甘きかな★★★

多田有花
足型をとられて残る暑さかな★★★
法師蝉今年はあまり鳴かぬなり★★★
夜の帳下りれば始まる虫の声★★★

廣田洋一
水抜かれ色づき初めし稲田かな★★★★
大原女の姿を偲ぶ吾亦紅★★★
説教に合いの手入れるつくつくし★★★

8月21日(4名)

小口泰與
四五本の草花引きて供花とせり
「草花」の季語についてお教えいただき、ありがとうございます。
季語については、特に傍題となるような季語については、主宰や歳時記の編集者によって分かれるところがあります。

桔梗や杣道を駆く川上犬★★★
みそ萩や田川に並ぶいも車★★★★

多田有花
秋曇遠くで蝉が鳴いている★★★★
秋茄子をラタトゥイユにして食べにけり★★★
夜の稲妻閉じし眼の裏で光る★★★

廣田洋一
池の緋鯉紅葉と色を競ひ蹴り★★★
爽やかに石庭の風流れけり★★★★
石に吹く秋風はさびしいものだけれど、爽やかなん風となれば、すがすがしい気持ちが主となる。禅の趣のある石庭のさっぱりとした爽やかさが際立っている。(高橋正子)

金の鳳凰飛び立ちそうな秋の空★★★

桑本栄太郎
金網を蔽う南瓜の末枯るる★★★
捨て置かれ廃車埋もる秋の草★★★
きちきちの背ナを追い立て散歩かな★★★★
散歩で野道を歩くと、驚いたようにきちきちが飛び立って、また止まる。歩めば飛び立つ。追い立てているようで、相済まないが、きちきちと遊ぶ余裕の気持ちも。(高橋正子)
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自由な投句箱/8月11日~20日

2019-08-13 10:15:09 | Weblog

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今日の秀句/8月11日-20日

2019-08-13 10:13:54 | Weblog

8月20日(1句)

★朝顔の青の揃いし雨の中/小口泰與
雨の中に咲く朝顔もしっとりとして情趣がある。みごと雨にそろった朝顔の青。暑さから息を吹き返したように生き生きとしている。(高椅正子)

8月19日(2句)

★枝豆を貰ふ日向の匂ひごと/廣田洋一
近所の方に枝豆をもらったのだろう。とって間もなくて、日向の温みや匂いがのこっている。うれしいいただきものだ。(高橋正子)

★午後の陽が庇をくぐる秋初め/多田有花
「庇をくぐる」は、鋭い観察で言い得て妙。気づいているかもしれない陽の傾きだが、言葉にして表現するとよくわかる。確実に太陽高度は真夏より低くなっている。初秋なのだ。(高橋正子)

8月18日(2句)

★水澄むや熊除け鈴と歩みける/小口泰與
山を歩くとき、熊除けの鈴をつけてゆかねばならない山がある。尾瀬でもそうだったが、池塘の水や沼などが澄む季節、熊除けの鈴の音がちりんちりんと響く。(高橋正子)

★流灯に沿ひて歩ける人一人/廣田洋一
灯籠を流し、流灯となって流れて行くも、別れがたいのだろう、流灯にそって歩く一人がいる。その寂しい一人に目が行った。(高橋正子)

8月17日(2句)

★校庭に残暑の日差しのみ溢れ/多田有花
夏休みの校庭は、だれも居ない。広い校庭には残暑の黄ばんだ日差しがあふれている。「日差しのみ溢れ」が自然の寂しさを思わせる。(高橋正子)

★灯籠流し順番待てる姉妹かな/廣田洋一
灯籠流し。流し始めるところは広くない。順番を待って手にした灯籠を水に置いて流す。佇む姉妹がかわいくも楚々としている。祖父や祖母が亡くなって間もないのだろうか。(高橋正子)

8月16日(1句)

★青空の赤城ねっこし蕎麦の花/小口泰與
青空にそびえる赤城山のその麓に一面の蕎麦の花が咲く。そんな景色に初秋のなつかしさが思われる。(高橋正子)

8月15日(1句)

★火の山を目指し馬鈴薯掘りたるよ/小口泰與
句の情景は、馬鈴薯の畑の畝が火の山の裾まで続いている。その馬鈴薯の畝を掘り進むときは、火の山を目指して、ゆくことになる。広大な馬鈴薯畑と、火の山の対比が面白い。(高橋正子)

8月14日(3句)

★小説をめくれば見ゆる夏の果/川名ますみ
夏の間、涼しい部屋で小説を楽しんだが、小説もそろそろ終わりにさしかかる。同時に夏も終わるのだ。夏と別れ、小説の世界と別れ、初秋の現実へもどるとき。(高椅正子)

★山の日の山より下りて薬草湯/多田有花
山の日は、8月11日。海の日に対してあとで制定されたが、私としては望んだことだ。山の日に山に登り薬草湯につかる。自然を楽しみに癒された一日である。(高椅正子)

★台風に先立つ波のきらきらと/廣田洋一
台風が近づいている海。台風の風が届いているのだろう。波がきらきら輝いている。それだけ見れば、台風とは思えないが、あまりにもきらきらとする波が、台風を匂わせている。台風の先触れを感じた句。(高橋正子)

8月13日(2句)

★八月の日本海へと雲流る/多田有花
山頂からの眺めだろうか。気象に詳しくないので、8月の風が日本海へと吹く場合が気象的にどうなのか知らないが、「八月」と「日本海」の取り合わせに魅力がある。初秋のかろやかさにある、しかしその中の寂しさを感じさせてくれる。(高橋正子)

★の香や渓流よりの風さやか/小口泰與
渓流にそって咲く蘭が良い香りを放っているのか、渓流に臨むところに置かれた鉢の蘭が匂うのか、情景が少しはっきりしないが、蘭の香りに渓流のさやかな風に心よりのくつろぎを感じさせてくれる句だ。(高橋正子)

8月12日(1句)

★掃苔に今日は一人で出かけてゆく/多田有花
掃苔は、墓石の苔を取り除き掃除をすることであるが、俳句で「掃苔」と言えば、盂蘭盆前の墓掃除をさしている。例年は、誰か、例えば母とかと、墓掃除に出かけたのだろうが、今年は、一人で行かねばならなくなった。「出かけてゆく」に深い心情が汲み取れる。(高橋正子)

8月11日(1句)

★梨の実の白きを並べ玻璃の皿/廣田洋一
梨の実は水気が多くてその白さは透き通るよう。切り分けてガラスの皿に並べると、すずやかな姿形となる。(高橋正子)
コメント (8)
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