◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/4月1日~4月10日

2024-04-01 22:48:55 | Weblog
4月10日(2句)

★引き返し一枚羽織る花の冷え/桑本栄太郎
出掛けたのはいいが、思いのほかの花冷えに家に引き返して一枚羽織ってきた、と言う。今年は冷え込んり、雨が降ったり、桜が満開になるまで日にちがかかった。(髙橋正子)

★清明の雲を迎える湖の青/ 弓削和人
「湖の青」が「迎える」という清明の雲。「迎える」には、泰然とひろがる湖の青色が流れくる清明の日の雲を受け入れる特別感がある。(髙橋正子)

4月9日(2句)

★飛花落花雨の雫を散らしけり/廣田洋一
満開の桜が雨に当たって雫がついている。散る花びらに、ひらひら落ちる花びらに雨の雫がついたまま。「雨の雫を散らす」花となって、みずみずしい美しさが詠まれている。(髙橋正子)

★花桃や裏窓今朝は開けられて/多田有花
花桃が咲く時期は、新暦の3月3日ごろではなく、旧暦の3月3日ごろ。これはほぼ正確であろうが、少しずつ気温があがらい、北風の入る裏窓が久しぶりに開けられている。新しい季節が来ていることが印象付けられる。(髙橋正子)

4月8日(1句)

★そちこちに燕ひらりと身をかわし/多田有花
身辺に燕が自由に飛び交っている。透明な空気が見える感じがする。(髙橋正子)

4月7日(2句)

★満開をせかせる如く花の雨/廣田洋一
桜が咲くのを今か今かとまっているが、咲くときになって冷え込んだせいか、なかなか満開にならない。雨さえも、はやく満開になれとせかすようだ。満開の花を待つ心持。(髙橋正子)

★山桜若葉の色もさまざまに/多田有花
山桜の咲いている山は、早も若葉が湧き出していろんな色あいを見せている。山桜と若葉の色が、春から夏へ変わっていく景色の色を美しく織り成している。(髙橋正子)

4月6日(2句)

★暮れかねているよ花盛りの山は/多田有花
山に桜が咲いていると、そこが白く、明るく暮れ残る。暮れるのを惜しんで、暮れかねている山の雰囲気がよく出ている。(髙橋正子)

★葉の彩のともに美わし山ざくら/桑本栄太郎
山桜は花と葉と同時に見られて、葉の彩も捨てがたい。ともにうるわしい。(髙橋正子)

4月5日(2句)

★夕映えの山の桜よまた明日/多田有花
夕映えの山の桜は、咲き誇って今日の光を放っている。その桜を残して暮れて、さよならと言わなければいけないのは、心残り。「また明日」と言って、友達のように別れる。(髙橋正子)

★太陽光パネルへ春日垂れており/弓削和人
春の日のとろりとした感じがよく出ている。「太陽光パネル」と言う新しい素材に挑んでを詠んだのもいい。(髙橋正子)

4月4日(2句)

★鯉濃に舌打つ春の信濃かな/小口泰與
佐久の鯉濃を小諸の水煙大会のときに頂いたが、鯉濃は信濃の滋味深い料理。遅い春の寒さに熱い鯉鯉に舌鼓が打てるのも信濃の国にいてこそ。(髙橋正子)

★けさ二輪雲のいろしてさくら咲く/川名ますみ
ようやく咲き始めた桜が、曇り空なのだろう、雲とまがうような色に二輪咲いた。桜が桜色でなく、雲の色というのが、いい。たった二輪も可愛い。花時の空の様子がよく知れる。(髙橋正子)

4月3日(1句)

★雨に濡れ明りとならず花三分 /桑本栄太郎
桜が満開になると、あたりが明るくなり、「花明かり」と、言われるようになる。雨に濡れ、まだ三分咲きの花は、期待ほどの「明かり」とならない。それも花の風情としてとどめておくべきであろう。(髙橋正子)

4月2日(1句)

★桜咲くいつもながらの子らの声/廣田洋一
桜が咲くと日本は新年度を迎え、季節が一新される。子供たちは、桜が咲いてもいつもどおりに活気に満ちて遊んでいる。変わるもの、変わらないもの、それぞれが混じって時が進むのを実感するのが、「桜咲く」と言うことだろう。

4月1日(1句)

★山桜朝の光に咲きそろい/多田有花
朝の光が差す山桜は、匂うような清々しい風情。「咲きそろい」と言い切っているのがさわやか。(髙橋正子)
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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼 (多田有花)
2024-04-03 11:08:05
正子先生
「山桜朝の光に咲きそろい」を
4月1日の秀句にお選びいただきありがとうございます。

家の周りの山はヤマザクラが多く、毎年この季節は
灯がともるように続々と花を咲かせます。
私にとっての吉野山と思いつつお花見を楽しんでいます。
御礼 (廣田洋一)
2024-04-04 09:05:39
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
4月2日の「桜咲くいつもながらの子らの声」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難う御座います。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼 (桑本栄太郎)
2024-04-04 19:48:53
高橋正子先生
4月3日の今日の秀句に「雨に濡れ明りとならず花三分」の句を
お選び嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
この数日、丁度桜の開花かと思っていりましたが、生憎に雨に祟られ
開花のスピードが遅くなり、昨日3日で三分咲きほどの開花でした。
その為「花明かり」とはなる程ではあません。
御礼 (桑本栄太郎)
2024-04-07 21:19:47
高橋正子先生
4月6日の今日の秀句に「葉の彩のともに美わし山ざくら」の句を
お選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。よく晴れた昨日、近在の小畑川のお花見に出かけました。
今年の桜葉は少し遅かったようであり、ソメイヨシノも山桜も同時に
咲いて居ります。山桜の葉の色と花葉、よく合って居て豪華さは無くても風情がありますね!!。暫く、見惚れて居りました。
お礼 (多田有花)
2024-04-08 11:50:19
正子先生
「夕映えの山の桜よまた明日」を4月5日の
「暮れかねているよ花盛りの山は」を4月6日の
それぞれ秀句にお選びいただきありがとうございました。

家の周囲の山々はヤマザクラがたくさん生えています。
毎年、こんなにたくさんあったのかと驚くほどで、見事なヤマザクラを堪能できます。
先週は最盛期で、朝から晩まで窓を開けたりベランダに出たりして
ヤマザクラの姿、朝夕、時間とともに移り変わる姿を存分に楽しみました。
御礼 (小口泰與/転記)
2024-04-08 12:16:45
2024-04-07 20:03:13
御礼
高橋正子先生
4月4日の投句「春」の句を今日秀句にお取り上げ頂き、正子先生には嬉しい句評を頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2024-04-09 18:01:08
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
4月7日の「満開をせかせる如く花の雨」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難う御座います。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2024-04-10 07:51:18
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
4月9日の「飛花落花雨の雫を散らしけり」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難う御座います。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼 (多田有花)
2024-04-10 10:33:08
正子先生
「山桜若葉の色もさまざまに」を4月7日の
「そちこちに燕ひらりと身をかわし」を4月8日の
「花桃や裏窓今朝は開けられて」を4月9日の
それぞれ秀句にお選びいただきありがとうございます。

桜が咲き始めると周囲でいっせいに何もかもが生き生きと動き出す気がします。
山桜が咲きツバメが姿を見せ、キジや小綬鶏が鳴き、鶯の囀りも聞こえます。
花桃やチューリップなどいろいろな花も咲いて花壇がにぎやかになります。
街には新社会人や新入生の初々しい姿も見られ、新鮮な思いです。
御礼 (桑本栄太郎)
2024-04-13 20:04:52
高橋正子先生
4月10日の今日の秀句に「引き返し一枚羽織る花の冷え」の句を
お選び頂き、まったく句意そのもののご句評を頂戴しまして大変
有難う御座います!!。
今年の春は気候の寒暖差が激しく、晴れていても一のうちち朝方と
昼の気温差が激しく、着るものに困ります。
過日はいったん戸外にでたものの、風が意外に冷たく羽織るため
家に戻りました。

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