◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/4月11日~4月20日

2024-04-12 11:36:31 | Weblog
4月20日(1句)

★連翹の黄色ははずむ堤かな/弓削和人
「連翹の黄色は」の「は」は限定の意味があるので、「連翹の黄色に限って」は、とか「連翹の黄色はとくに」の意味になる。「はずむ」で大きく切れる。
堤に連翹の花の黄色がとりわけ弾んでいるように思える、という生気ある春の景色が詠まれている。(髙橋正子)

4月19日(1句)

★昼の沼波立つ水をつばくらめ/小口泰與
真昼の沼は普段は静かなのだろうが、この日は風があるのだろう、波立っている。波立つ波をつばめが力強く、また自在に飛んでいる。(髙橋正子)

4月18日(1句)

★日を浴びて咲き崩れたるチューリップ/廣田洋一
チューリップは日光を浴びて花を開く性質がある。日を浴びて咲き崩れるのは、花が終わりということ。そんなチューリップは、開ききって、花びらが一つ欠けたり、落ちそうになったりしている。リアルな花の姿に感じることは多い。(髙橋正子)

4月17日(2句)

★夜の雷花の終わりを告げ激し/多田有花
「激し」が効いている。花の終わりをきっぱりと告げる雷に、季節はまた新しくなる。(髙橋正子)

★春深し白き小花の街に満つ/川名ますみ
「街に満つ」に、春の深さと詠み手の感銘が伝わってくる。清楚でかれんな小さい白い花が街にあれば、心魅かれる。(髙橋正子)

4月16日(2句)

★すかんぽの穂が伸び風を誘いけり/桑本栄太郎
すかんぽの穂が伸びるころ、野は明るくのびやかになる。ときには、夏近しを思わせる気温になることもあって、吹く風に心身のすこやかさが思われる。(髙橋正子)

★上着置き春の支度の軽きこと/川名ますみ
「上着置き」の情景が少しわかりにくいので気になるが、出かけようとして、上着を着ないでバッグなどの傍に置いている、と言うことなのだろう。

春の外出には冬のように、コート、マフラー、手袋などがいらないので、「支度の軽きこと」を実感する。上着も春用の軽いものになって、軽さはまた気持ちの明るさにもなる。(髙橋正子)

4月15日(2句)

★芝生にてヨガのポーズや若緑/廣田洋一
芝生でゆっくりとヨガのポーズをしている人がいて、傍には松の新芽がしなやかに伸びている。その関係性に妙がある。(髙橋正子)

★しゃがんでは湖面に揺れる若みどり/弓削和人
湖の近くに松の木があり、傍に寄ると松の若葉が美しいのが見て取れる。しゃがんでみると、湖面にその松の若葉が揺れるているのがよくわかる。(髙橋正子)

4月14日

該当句無し

4月13日(1句)
亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ/弓削和人
「亀鳴く」は、情緒的な季語とされ、実際亀は鳴くことはない。歳時記によれば、「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなり/藤原為家」に由来すると言われている。
気を使わないでもよい人との、例えば、妻との待ち合わせであろう。「ゆるき日暮れ」の情緒がよく、「亀鳴く」を思わせてくれる。(髙橋正子)

4月12日(1句)

★夢うつつ花時の嵐聞いている/多田有花
花時はまた春眠暁をおぼえずを思い起させる時。夢うつつに聞く花と嵐の交錯したイメージが、遠い出来事のように思える。それがまた夢うつつにいつまでも過ごすことになる。(髙橋正子)

4月11日(1句)

★満開の桜に雨の降り始む/多田有花
満開の桜の精一杯のかがやきに、雨の糸が伝い始めるとき、出会いの美しさがいい。(髙橋正子)
コメント (8)
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4月11日~4月20日

2024-04-12 11:33:02 | Weblog
4月20日(4名)

多田有花
空青く腰赤燕飛び交いぬ★★★
稜線の木々の芽吹きの盛んなり★★★
草の間に見え隠れして紋白蝶★★★

廣田洋一
紫を好む人逝き藤の花★★★
たんぽぽの絮吹き飛びて夏近し★★★★
加熱済み三河の浅蜊売られけり★★★

桑本栄太郎
木蔭行くさくさくさくと春落葉★★★
石垣の割目占め居り花すみれ★★★
穀雨とて午後より曇り雨催い★★★

弓削和人
チューリップ庭に花瓶につづきおり★★★
シクラメン紅茶を蒸らす静かさに★★★
連翹の黄色ははずむ堤かな★★★★

4月19日(5名)

多田有花
つちぐもりゆるゆる走る霊柩車★★★
穀雨なりまこと洗濯日和なり★★★
ちょっと来い朝から小綬鶏忙しき★★★

小口泰與
鳥交る白き浅間山の尖り峰★★★
ふと見れば量を積みたる花吹雪★★★
昼の沼如何に波立つつばくらめ(原句)
「如何に波立つ」の「如何に」がよくわからないので、直しました。(髙橋正子)
昼の沼波立つ水をつばくらめ(正子添削)

桑本栄太郎
春茱萸の種のあまたや坂の道★★★
へんぽんと校旗はためく春北風★★★
中空に影のとどまる虻の昼★★★

廣田洋一
新しき花壇囲めるチューリップ★★★
園児らと飛び回りたる白き蝶★★★
いつの間に子らと離れて浅蜊掘る★★★

弓削和人
土筆んぼう袴の数だけ野の主(あるじ)★★★
人影を失いにけり竹の秋★★★
子雀の空に生くるや親別れ★★★

4月18日(4名)

多田有花
一面のたんぽぽ踏んで散歩へと★★★
雉鳴くや陽はゆっくりと西へ行く★★★
子を抱きて春空見上げる父ひとり★★★

廣田洋一
一晩中小言呟く浅蜊かな★★★
日を浴びて咲き崩れたるチューリップ★★★★
春暁や目覚まし時計鳴りやまず★★★

小口泰與
赤城山あらぬ所に落とし角★★★
楤の芽や妙義山(みょうぎ)を洗う雨降れり★★★
怪獣や雪解の浅間山眼間に★★★

桑本栄太郎
ぽつぽつと躑躅つぼみぬ雨催い★★★
ぼん天の房咲き垂るる里ざくら★★★
路地狭めモッコウ薔薇の垣根かな★★★

4月17日(5名)

小口泰與
鳥声や青葉若葉へ朝日射す★★★
満緑やぴぃーつぴぃ-つと鳥の声★★★
鶯や風の梢の隙間より★★★

多田有花
花びらよ今年はこれでさようなら★★★
午後よりは花散らす風ことさらに★★★
夜の雷花の終わりを告げ激し★★★★

桑本栄太郎
木蔭行き影に気付くや虻の昼★★★
石垣をこぼれ垂れ居り芝ざくら★★★
子供等の嬌声庭によなぐもり★★★

川名ますみ
春深し白き小花の街に満つ★★★★
白山吹寄らんとすれば既に散る★★★★
つぶつぶと銀杏並木に木の芽張る★★★

弓削和人
こちらから声をかけゆく風光る★★★
木の芽増え遊覧船の発つ頃や★★★★
春眠の春の訪れ覚えけり★★★

4月16日(5名)

小口泰與
森若葉ぴぃーつぴぃーつと鳥の声★★★
早春の丘を駆け行く春の雉★★★
波音を消さんとばかり蛙かな★★★

多田有花
花を見てティラミス食べてお茶を飲む★★★
花に来て鵯盛んに蜜を吸う★★★
春土用静かな雨で明けにけり★★★

弓削和人
春蘭を透かすレースの生地やさし★★★
啓蟄に交じりてひかる塵芥(ちりあくた)★★★
ベンチより小さき一湖(いっこ)や黄水仙★★★

桑本栄太郎
どの木々も蘂の赤きや花は葉に★★★
すかんぽの穂が伸び風を誘いけり★★★★
濯ぎもの干すや狭庭の花みずき★★★

川名ますみ
満天星や新たな小さき療苑に★★★
あさみどり植えしばかりの満天星咲く★★★
上着置き春の支度の軽きこと★★★★
 
4月15日(4名)

小口泰與
立読みをあきらめ出づや春驟雨★★★
放流の鮎の稚魚をば岩の間に★★★
大いなる雪解浅間の朝かな★★★

廣田洋一
熊蜂の次々飛び来る桜かな★★★
春暁や目覚まし時計鳴りやまず★★★
芝生にてヨガのポーズや若緑★★★★

多田有花
花仰ぎ石垣白壁狭間瓦★★★
万国の人が集いぬ花の城★★★
花時の城から博物館へ行く★★★

弓削和人
水温む玻璃戸の色の鮮やかに★★★
陰雪や玄関の端欠けており★★★
しゃがんでは湖面に揺れる若みどり★★★★


4月14日(4名)

小口泰與
大沼の春の白鳥あらわなり★★★
春妙義奇岩に迫る雲一朶★★★
夕暮れのあらぬ梢に雲雀かな★★★

廣田洋一
若緑公園駆ける子らの声★★★
仰ぎ見る枝の先々若緑★★★
春暁の空に残れる星一つ★★★

多田有花
咲き初めし一輪千姫ぼたん園★★★
こぶりなる枝垂椿の花満開★★★
花影におのおの座りお弁当★★★

桑本栄太郎
<四条大橋界隈>
鴨川の河畔にカップル春の水★★★
せせらぎを花筏行く高瀬川★★★
木屋町の路地に赤きや花みずき★★★

4月13日(5名)

小口泰與
早春の赤城のすそ野露なり★★★★
眼間の桜満開散るもあり★★★
春ばらの葉のくれないに雨雫★★★

廣田洋一
沿道の紫つつじ艶やかに★★★
一畝の絹さやの花盛りなる★★★
梨棚をネットで囲み花盛り★★★★

多田有花
天守閣そびえる桜をしたがえて★★★
姫路城和船行き交う花の濠★★★
濠の水に姿映して花満開★★★★

桑本栄太郎
石垣の春茱萸熟れて垂れ来たり★★★
頂きに鉄塔ならび花の雲★★★
ねぎ坊主蝶を侍らせ並びけり★★★

弓削和人
亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ★★★★
鳥雲に入る石英の砂の山★★★
大試験娘(こ)らの旅行の支度して★★★

4月12日(4名)

小口泰與
春の暮歩みて遠き人の世よ★★★
春北風や妙義の峰の荒荒し★★★
麦畑を低空飛行の燕かな★★★

廣田洋一
葉桜に変わりつつある桜並木★★★
遅れ咲く年増のごとき八重桜★★★
色薄くはかなげに咲く躑躅かな★★★

多田有花
傘さしてあえて出かける花の雨★★★
夢うつつ花時の嵐聞いている★★★★
手を引かれ新一年生下校中★★★

桑本栄太郎
蒼ざめて御衣黄桜咲き初むる★★★
園児らのリュックベンチに青き踏む★★★
風なくもはらりはらりと花の塵★★★

4月11日(4名)

小口泰與
森閑とせる森へ一声鶯よ★★★
日を浴びる四月の丘や鳥の声★★★
鶯や丘に集いし人の数★★★

廣田洋一
焼海苔の香り漂うすまし汁★★★
春暁や星のまたたく西の空★★★
園児らの運動場や若緑★★★

桑本栄太郎
ぽつぽつと仰ぎ見上げる新芽立つ★★★
又はらり落つや哀しき花の屑★★★
むらさきと云うは愁いや花蘇芳★★★

多田有花
花盛りの下で三婆立ち話★★★
満開の桜に雨の降り始む★★★★
午後三時ついに降りだす花の雨★★★
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