◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今週の秀句/1月11日~20日

2017-01-12 09:32:37 | Weblog

[1月20日]

★履き初めしスケート靴の尖りかな/上島祥子
(スケートは趣味で習っています。)
私の生まれは大阪だが、物心がついた頃は、旧満州の大連に家族と居た。住まいの近くに、当時東洋一と言われた陸上競技場があって、そこが私の遊び場であった。冬には、小学入学以前からスケートを履いて遊んでいた。スケートには、幼少のころの懐かしい思い出がある。アイスホッケーでは、学校代表の選手となって、市内小学校22校の頂点に立ったこともある。当時のメンバーで、アイスホッケーの日本代表選手になった者もいる。(高橋信之)

[1月19日]

★探梅や五戸より増えぬ峡の里/小口泰與
探梅に出かけたのは、毎年訪ねる峡の里なのだろう。五戸以上には増えない。ずっと昔のそのままが残されている。そんな小さな里にも梅がちらほら咲き始めるころがきた。(高橋正子)

[1月18日](3名)

★凍て防ぐために蛇口を少し開け/多田有花
いい生活俳句だ。何気ないところを詠んで、佳句となった。(高橋信之)

★重厚な雲は頭上に冬すみれ/小口泰與
「冬すみれ」は印象深い花だ。「冬」であれば、なお印象深い花だ。(高橋信之)

★一頻り凍雪踏みて登校生/桑本栄太郎
生まれは大阪だが、父の勤めが変わって、旧満州の大連に移り住んだ。冬は寒かった。「凍雪踏みて登校」には、懐かしい思い出がある。(高橋信之)

[1月17日](2名)

★雪時雨いま沖合いに陸を出て/多田有花
陸に降っていた雪時雨が、陸から去って沖合に出て行った。ここに降った雪時雨が今沖合にという、雪時雨の動きに、変化の面白さ、自然の姿を見せられる思い。(高橋正子)

★寒風に向かいて真白烏骨鶏/上島祥子
寒風に立ち向かう烏骨鶏の様子に迫力がある。寒風にあたり、白い羽毛はますます白く凄みさえ帯びてくる。(高橋正子)

[1月16日](2名)

★新刊書手に初雪の中へ出る/多田有花
新刊書を手にした心の弾み、初雪のうれしさが重なって、初雪が匂うように思える。(高橋正子)

★風花の自由に舞い飛ぶ青い空/上島祥子
風花が自由に舞う青い空。風花の雪片のはかなさが、冷たい青空を背景に美しい景色となっている。(高橋正子)

[1月15日](4名)

★枯蓮や平和の鐘の響きおり/谷口博望(満天星)
「平和の鐘」の「平和が」ことさらに「平和」を強めていないのがいい。枯の景色に自然に溶け合っている。(高橋正子)

★風さらに寒晴の空を磨きおり/多田有花
寒晴れの珠のような青色をさらに風が磨く。寒さの厳しさも快し思える。(高橋正子)

★蝋梅や一輪咲きて陽を透かす/廣田洋一
「一輪」が効いている。蝋梅の透明感が貴重だ。(高橋正子)

★初雪や幾度と窓に駆け寄れり/上島祥子
初雪のうれしさは、幼子でなくても。どんな具合が、幾度も窓によって見てみる。寒波に見舞われたここ二日であった。(高橋正子)

[1月14日](3名)

★一月の沖に希望の光あり/多田有花
作者の率直な言葉がいい。「希望」そして「光」といった言葉がいい。「一月」に相応しい言葉なのだ。(高橋信之)

★垣へだて風の中なる福寿草/小口泰與
「垣へだて」いても、「福寿草」であれば嬉しい。新年に相応しい「福」であり、「寿」である。(高橋信之)

★寒の窓開いてジャズの音もれ来たり/桑本栄太郎
日常の室内での写生句だが、いい句だ。季題の「寒」が効いたのだ。「ジャズ」が効いたのだ。(高橋信之)

[1月13日](2名)

★いつもより少し奥まで初掃除/川名ますみ
静かに過ごした正月も終わり、日脚が伸びた感じの室内。今年初めての掃除は、いつもより奥まで、奥の塵まできれいにしたい気持ち。心のすみまで清々しい。(高橋正子)

★寒晴や木々の枝先色付ける/桑本栄太郎
はるかまで冴え冴えと澄み渡る厳寒中の晴天。木々の枝先は、寒さに却って色付き、萌えだす気配が感じられる。
(高橋正子)

[1月12日](2名)

★くっきりと長き裾野や冬赤城/小口泰與
赤城山の裾野は、富士山に次いで長いと言われている。冬の赤城山がくっきりと裾野を引いて、その姿を明らかにしている。誇らしき雄姿である。(高橋正子)

★餅花や美容院の鏡に揺れ/佃 康水
美容院の鏡に餅花が映っているのだろう。髪をきれいにしてもらっている間、目には華やいだ餅花が揺れている。新年の華やぎが実生活のなかにもある。(高橋正子)

[1月11日](2名)

★小豆煮る匂い立ち込む鏡開/廣田洋一
「小豆」と「餅」は、日本人の昔からの食べ物で、私の好きなものだ。健康にいいとも思っている。(高橋信之)

★車窓より土手に早くも寒紅梅/桑本栄太郎
嬉しい風景だ。下五の「寒紅梅」がいい。句のおさまりがいいのだ。(高橋信之)
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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (桑本栄太郎)
2017-01-12 19:11:34
高橋信之先生、正子先生
1月11日の今日の秀句に「車窓より土手に早くも寒紅梅」の句をお選び頂き、過分なるご句評も頂戴しまして、大変有難うございます。阪急電車の中から、土手上の民家に一瞬寒紅梅が咲いている光景を確認しました。
御礼 (廣田洋一)
2017-01-12 19:20:23
高橋信之先生
   正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難うございます。
1月11日の「鏡開」の句を秀句にお選び頂き、その上信之先生には温かい句評を賜り誠に有難うございます。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
御礼 (桑本栄太郎)
2017-01-14 19:08:09
高橋信之先生、正子先生
1月13日の今日の秀句に「寒晴や木々の枝先色づける」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴、しまして大変有難う御座います。
このところ日々に寒さが厳しくなる中、寒晴れの青天に恵まれていました。そのような状況の中でも、木々の枝先は色づき、芽ぐみのその時季を健気に待っています。
御礼 (小口泰與)
2017-01-15 11:44:47
高橋信之先生、正子先生
1月12日の投句「冬の朝」の句を秀句にお選び頂き、素晴らしい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難う御座いました。
御礼 (佃 康水)
2017-01-15 13:13:40
高橋信之先生 高橋正子先生
「餅花や美容院の鏡に揺れ」と添削(私の思いに一段と近い句になりました。)の上1月12日の今日の秀句にお選び頂き温かいお言葉を賜り誠に有難うございます。美容室には何時も四季折々のものをさりげなく装飾されていますが、お花の中から少し高くから枝垂れさせて人が動く度に揺れる餅花が鏡に映り一層華やいだお正月気分にさせてもらいました。
御礼 (小口泰與)
2017-01-15 14:54:47
高橋信之先生、正子先生
1月14日の投句「福寿草」の句を今日の秀句にお選び頂き、高橋信之先生には素晴らしい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
有難う御座いました。
御礼 (桑本栄太郎)
2017-01-15 19:37:28
高橋信之先生、正子先生
1月14日の今日の秀句に「寒の窓開いてジャズの音もれきたり」の句をお選び頂き、過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
団地の向かい側の棟より、ベランダの干し物を取り込む時のようですが、少しの間ジャズの音が漏れ聞こえていました。
ジャズ演奏を長い間行っていた事もあり、新鮮な驚きの午後でした。
お礼 (多田有花)
2017-01-16 08:34:58
信之先生、正子先生
「一月の沖に希望の光あり」を1月14日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
小正月のころになると、日差しが明るくなったことを実感します。
播磨灘は姫路の南にあり、その向こうは四国です。
春の兆しが沖からやってくるように感じられます。
御礼 (廣田洋一)
2017-01-16 16:13:57
高橋信之先生
   正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難うございます。
1月15日の「蝋梅や一輪咲きて陽を透かす」の句を秀句にお選び頂き、その上正子先生には簡潔な句評を賜り誠に有難うございます。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
投句 (上島祥子)
2017-01-16 22:55:45
信之先生 正子先生
「初雪」の句を15日の秀句にお選びいただき、丁寧な句評を賜り有り難うございました。

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