太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

悪い事をしてしまった

2017-03-31 10:09:26 | 日記

運転していて信号待ちの列の後に徐行しながら近づいて行った時、反対側の歩道をゆっくりと、しかも可也アンバランスな歩き方の杖をついたお年寄りがやってきた。リハビリの為か、歩道に面してコンビニがあったので買い物に来たのかも知れない。視野のやや前方までお年寄りが来た時、突然杖を持った手もろとも両手で空中を掻くような仕草をしたかと思うと腰からやや後ろにストンとお尻から転んでしまった。ええっと思った瞬間信号が青に変わり車が流れ出してしまった。気になりながらバックミラーで眺めていると必死に起き上ろうとしているが上手く立てない。歩道に人通りは無い。車を止めて様子を見に駆け寄ろうかと思ったが、後続の車が接近しており、しかもかなり広い交差点の中である。

少し離れたところまで走ると車間も空いてきたので止まれないことは無い。しかし、路肩に停めて走って引き返しても5分くらいは掛るだろう。カーブに差し掛かっておりお年寄りの姿はバックミラーで確認はできない。もし大変なことになっていれば後続の誰かが駆け付けるだろうし、コンビニの店員が見つけて出て来たかも知れない。振り切って走ってしまった。暫くは救急車のサイレンの音に耳を澄ましていたがそれも聞こえない。勝手に大丈夫だろう、あそこは警察所も近いと思って自分を納得させてしまった。本当はハザードを点けて緊急停車し、駆け寄るべきだったのだろうが本当に悪い事をしてしまった。

イザと言うときどんな行動が取れるかはその人を知る上で重要である。随分昔のことだが部下の二人が一本道の農道を走っていた時、目の前に横転した車が道を塞いでいた。近づくとガソリンが漏れ出しており、中には運転主が閉じ込められていたとのこと。歳上の男がアブネエ直ぐ引っ張り出そうと運転主を掴むと、若い方が、爆発するかも知れないからこっちが危ない、と言って車から離れた。歳上の方は、爆発する前に助け出すんだと必死に引っ張って助け出したとのこと。幸い火災にならなかったようだが、結局若い方は遠くから心配そうに眺めていたとのこと。歳上のこの男は総務の所属であり、浅草生まれのちゃきちゃきの江戸っ子で、普段は口うるさいので煙たがられていた。私は生一本で悪気の無い愚直な性格は分かっていたし、何よりも自己という考えが一切無いのは総務にピッタリだと可愛がっていた。若い方は地方の大学出だが当時珍しい修士を出て居た。技術者としても結構優秀で将来はリーダーになるものと思われていた。どちらも部下ではあったが周りの評判は口うるさいのと、優秀なエンジニアと言う事で違っていた。

二人とも10年以上部下であったが、歳上の方は請われて子会社に移った。若い方は同じ職場に留まったが、こちらの方が転勤とかでバラバラになった。離れて10年くらい経った頃、総務の若い子の結婚式で偶然歳上の方と出会った。新郎の直接の上司であった彼は私を見つけて、来ていたんですかと感極まって今にも泣きそうになっていた。仕事では口うるさいがあまり私事は話さないどちらかと言うと普段は無口の男である。この時も元気でしたかと一言の後が続かなかったが、涙を流さんばかりの感動(感傷か)は十分伝わってきた。こちらから新しい職場の10年がどうだったとか切り出すと、私なんかが出来る事は知れてますよ。××さんの活躍は噂では聞いてました、とこちらを持ちあげる。式の後も明日仕事があると言って別れを惜しんでいることありありで帰って行った。多分昔のこととか話したかったのだろう。若い方の部下にも時々会う機会があったが、近寄っては来ない。また何か叱られるかも知れないというトラウマだったのだろうか。もう十分優しくなっているのに。残念ながら彼はリーダーとなって人望を集めるには至らなかった。不器用で痩せ我慢で愚直な江戸っ子気質は今でも好きである。愛すべき不器用さは私にとって人を見る時の重要な人徳である。

 



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