goo blog サービス終了のお知らせ 

書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

井上浩一/栗生沢猛夫 『世界の歴史』 11 「ビザンツとスラヴ」 から

2009年09月22日 | 抜き書き
 ロシア人がモンゴル人により支配されていた時代に、モンゴルから多くの面で大きな影響をうけたことは否定しがたい。軍制や軍事技術、税制、駅逓制、外交技術などの面で、ロシアは多くをモンゴルから学んだのである。また通婚や日常的交流などにより、モンゴル的な特質を獲得していったことも疑いない。しかし重要なのは、これらの影響がロシア人のアイデンティティそのものにどれほど関わったのかということである。/このような観点からみるとき、モンゴルの支配は、ロシア人の根本に関わる点では決定的な影響は与えなかったといえる。影響はより技術的な面に強かったのである。 (粟生沢猛夫「第2部 スラブ――その多様性の源泉」「13 ロシアの発展」 本書426頁。太字は引用者)

 ロシア人はモンゴル人から「くにのかたち」を教えてもらったということか。

(中央公論社 1998年2月)