書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

佐口透 『新疆ムスリム研究』

2009年12月19日 | 東洋史
 現在は刀郎人と漢字で表記されるドーラーン人は、厳密にはウイグル族ではないらしい(「V タリムの水辺ムスリム 1 ドーラーン人の歴史と民族誌」)。彼らは半遊牧のイスラム教徒で、オアシス都市に定住するイスラム教徒(サルト)が現在ウイグル人と呼ばれる人びとだから、当然違うであろう。また彼らは、以前(たとえば清朝時代)は、風習や言語の違いによって一般のサルトからは差別される存在であった。この点、エイヌと同じ。
 また清代のロプノール湖沿岸には漁労を主たる生業とするロプ人がいた(V タリムの水辺ムスリム 2 ロプ人の歴史と民族誌」)。現在の彼らについては言及がないからわからない。

(吉川弘文館 1995年2月)