中国軍とインド軍が6月15日にカシミールのガルワン渓谷で衝突したと伝えられている。
使われたのは棍棒だけのようだが、インド兵20名以上が死亡、中国兵は40名以上が死傷したとされている。
両国は互いに相手が挑発してきたと批判、その詳細は明確でない。
中国、インド、パキスタンは領土を巡って対立を続けてきたわけで、
インドは新型コロナウイルスの感染もあって国内が厳しい状況に陥っているとも言われているが、原因をそこだけに求めることは間違っているだろう。
元を正せば、イギリスによる植民地支配まで遡る必要があり、そのイギリスが引いた国境線に問題があるが、
ここにきて対立が激しくなっているのは衰退しつつあるアメリカと勃興しつつある中国の対立が深刻化しているからだ。
中国は陸と海でユーラシア大陸の東と西を結ぼうとしている。
一帯一路、あるいはBRI(帯路構想)と呼ばれているプロジェクトだ。
ロシアは2015年にこの構想とユーラシア経済連合(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア)を連結すると宣言した。
ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるというアングロ・サクソンの長期戦略への挑戦とも言える。
それに対し、アメリカはマラッカ海峡から東シナ海にかけての海域の支配力を強め、中央アジアでの工作も進めて中国のプロジェクトを妨害している。
アメリカの中国に対する締め付けに日本も協力してきた。
そこで中国はマラッカ海峡を通過しないルートの開発に力を入れてきた。
そのひとつがミャンマーを通過するものであり、もうひとつがパキスタンを通過するCPECだ。
ガルワン渓谷での衝突はこのCPEC(the China-Pakistan Economic Corridor)プロジェクトと無縁ではないだろう。
中国は歴史的にパキスタンと関係が深いが、
そのパキスタンでアメリカのCIAはインド、イスラエル、アフガニスタンなどの情報機関と手を組み、ジハード傭兵を使った破壊工作を進めている。
パキスタンの中でも特に狙われている地域がバロチスタンだ。
2016年にパキスタンで逮捕されたクルブシャン・ヤダブは自分がインドの情報機関員であり、バロチスタンの分離独立派と接触していたことを認めた。
そうした工作の目的はCPECに打撃を与えることにある。
安倍晋三政権は2016年11月にインドのナレンドラ・モディ首相と一帯一路に対抗する目的でAAGC(アジア・アフリカ成長回廊)を設立、
両国は日本からインドへ核燃料のほか原子力発電に関する施設や技術を提供することでも合意した。
モディはイスラエルと緊密な関係にあることでも知られている。
そのインドが2017年にパキスタンと一緒にSCO(上海協力機構、上海合作組織)のメンバーになった。
この組織の中心はロシアと中国で、メンバー国にはカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンも含まれている。
この当時、インドはアメリカ離れしたのか、トロイの木馬なのかと議論されたが、
結果を見ると後者だったようだ。
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