語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【保健】【旅】長時間フライトでの快眠法 ~世界を飛び回るCAが伝授~

2017年06月27日 | □旅
 (1)華やかに見えるキャビンアテンダント(CA)だが、深夜勤務や海外との時差などが日常的で、実はハードな職業だ。そんなハードワークをCAはどうやって乗り切っているのか。
 フライトによって異なるが、長時間飛行の場合、CAも休みをとって機内で仮眠をとる。
 〈例〉成田~ニューヨーク便の勤務スケジュール。
 ■出発前日
  21:00 早めに就寝
 ■出発当日
  16:20 搭乗開始
  16:50 成田空港出発
        お客さまサービス開始(約3時間)
  19:50 機内販売、化粧室清掃など(約1時間)
  20:50 交代で食事(約1時間)
  21:50 2班に分かれて交代で休憩(各人約2時間)
        お客さまへの軽食サービス
  02:50 到着前の最後のお客さまサービス(約2.5時間)
  05:35(米国東部時間16:35) 到着
 ■到着後
  23:00 夜になってから就寝
 ■到着翌日
  08:00 起床&朝日を浴びる
  終日   街歩き&CA仲間と食事

 (2)離陸後の約4時間は、乗客への食事サービスや機内販売、化粧室の清掃などを行う。次の約6時間は、乗客が眠る時間帯に入るので、CAも交代で食事や休憩をとる。最後の約2.5時間は、再び乗客にサービスを提供する。
 休憩は2交代制で約2時間。実は、機内にはクルーレストと呼ばれる秘密の部屋がある(保安上の理由で非公開)。一人ずつのスペースに区切られ、フルフラットの状態で仮眠をとることができる。
 ぐっすり眠れるが、すぐに寝付けないこともある。そんなときも「眠れないことを気にしないことが大事」だ。
 ただ、限られた時間でぐっすり眠るための工夫は欠かさない。機内は冷えるので、海外で購入したベビー用の湯たんぽをおなかに乗せ、体を温めるとよく眠れる。ほかにも、好きなアロマをかけたマスクを着けたり、カフェインレスの温かい飲み物を飲んだりしてリラックスする。仕事と休憩のメリハリをつけることで、長時間勤務でも集中力を維持するのだ。
 現地時間の夕方に到着後は、疲れていても夜まで眠らないよう気を付ける。現地では、向こうの時間に合わせて生活し、街に出たり、同僚と食事したり、アクティブに活動してメリハリをつけるのが時差ボケ解消の秘訣だ。

 (3)CAが見る「できるビジネスパーソン」の時差ボケ解消法は、
 「慣れたお客さまは、乗った瞬間から到着地の時間で動き、そのときに現地が夜なら、耳栓とアイマスクを着けてすぐ眠っていますね」

□コラム「世界を飛び回るCAが伝授 長時間フライトでの快眠法」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月1日号)
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 ★ファシーというブランドの湯たんぽはベビー用品なので機内に持ち込むにもサイズがちょうどよい。
 
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【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器

2017年06月27日 | ●佐藤優
 ①伊藤誠二『痛覚の不思議 脳で感知する痛みのメカニズム』(講談社ブルーバックス 920円)
 ②イアン・カーショー『地獄の淵から ヨーロッパ史1914-1949年』(白水社 6,200円)
 ③滝鼻卓雄『記者と権力』(早川書房 1,500円)

 (1)①によって、「痛み」という現象の意味がよく分かる。
 <ヒトの場合はどうなのでしょう。痛みはどのような行動が自分に利益をもたらすのか、避けるべきなのかを判断する信号となります。痛みに関する学習とその罰は行動の意思決定に重要な影響を及ぼします。避けられない多くの痛みを伴う出来事のため、適応できない体験やストレスが慢性痛の引き金となり、維持されるのに重要な要因となります>
 痛みがあってもギリギリまで我慢するのは、避けるべき行動についての脳からのシグナルを無視することになる。痛みを余り我慢しないほうがいい。

 (2)②は、現代史研究の第一人者、カーショーの手になるヨーロッパ200年史の第3巻だ。第2次世界大戦で総力戦が確立し、「前線」と「銃後」の区別がなくなった、という指摘が重要だ。
 <第二次世界大戦における前線と銃後の隔たりは、それに先立つどの戦争の場合より小さかった。多くの場合、隔たりはまったくなかった。両戦線は多かれ少なかれ融合していたのである。東欧各地では、ヒトラーとスターリンの軍が暴れ狂いながら前進と後退を繰り返し、そしてパルチザン活動が広がって、前線と銃後の個別の意味をほぼすべて消し去ってしまった。他のヨーロッパ各地では、違いはもっとはっきりしていた。すべての交戦国の国民は、多くは占領ドイツ軍の長靴の下で、さまざまな形で生き地獄に耐えたのである>
 21世紀の対テロ戦争も、その本質において第2次世界大戦と同じ総力戦なのである。

 (3)③は、元読売新聞東京本社社長による自伝的なメディア論だ。東京大学紛争の際のエピソードで、次の話が面白い。
 <もちろん身分と名前を名乗り、深夜(記者の常識ではそれほど深夜ではないが)の訪問を詫びた。用件についても、あいまいなことは言わず、はっきりと紛争のことで来たと伝えた。「先生の専門分野について聞きたい」などと、訪問の本当の目的をぼやかすような、一種の“詐術”は、一切行使しなかった。この入り口づくりは、私の流儀だった。たまには回り道をとって取材の真の目的に迫ることもあったが、結局のところ、回り道でいくと、ソースとの信頼関係は次第に薄れてしまう>
 面倒な取材をするときに記者は、「詐術」を用いることがあるが、それでは情報源との信頼関係を構築することができない。その結果、重要な情報を取り逃がしてしまうのだ。情報を扱う仕事においては、正直が最大の武器だ。

□佐藤優「情報を扱う仕事の最大の武器 ~知を磨く読書 第204回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月1日号)
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 【参考】



【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
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【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
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【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
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【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
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【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
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【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
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【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~

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【食】タール色素使用の漬け物を食べるのはやめよう

2017年06月26日 | 医療・保健・福祉・介護
  《甲》東海漬物「キューちゃん 特級福神漬」・・・・タール色素の赤色106号、黄色4号、黄色5号が添加されている。さらに、合成甘味料のアセスルファムK(動物実験で肝臓に対するダメージや免疫力低下が示唆されている)とスクラロース(有機塩素化合物の一種で動物実験で免疫力低下が示唆されている)も添加されている。
  《乙》イオン「トップバリュ 福神漬」・・・・タール色素の赤色102号、赤色106号が添加されている。
  《丙》伊藤漬物工業「千切しょうが」・・・・タール色素の赤色102号が添加されている。さらに合成保存料のソルビン酸K(動物の細胞の染色体を切断したり細菌の遺伝子の修復を妨げる作用があり、これらの作用を変異原性といい、変異原性と発癌性とは密接な関係がある)が添加されている。
  《丁》・・・・タール色素の黄色4号が添加されている。さらに合成保存料のソルビン酸Kが添加されている。

 (1)市販の福神漬け、紅生姜、たくあんなどの漬物には、以前から大きな問題があった。それは、鮮やかな赤や黄色などに着色するため、多くの製品に合成着色料のタール色素が添加されていることだ。
 タール色素は、19世紀中頃にドイツで開発された。コールタール由来の原料から作られていたため、この名前が付けられた。しかし、その後コールタールに発癌性のあることがわかったため、現在は石油製品から作られている。

 (2)タール色素は、自然界にまったく存在しない化学合成物質だ。現在、食品添加物として認められているのは、12品目だ(赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、緑色3号)。しかし、いずれもその化学構造や動物実験の結果から発癌性の疑いが持たれている。
 とくに赤色2号については、米国でラットを使った実験により「発癌性の疑いが強い」という結果が出たため、同国では使用が禁止されている。しかし、日本では今でも使用が認められているのだ。
 なお、赤色40号、赤色102号、黄色5号の化学構造は赤色2号によく似ているので、これらも発癌性の可能性が高いといえる。
 さらに、タール色素は、アレルギーの一種のジンマシンを起こすことが知られている。とくに赤色102号、黄色4号、黄色5号は漬物のほか、シロップ、明太子・たらこ、キャンディなど多くの食品に使われているため、それだけ摂取する機会が多く、皮膚科医の間では「ジンマシンを起こす添加物」として警戒されている。

 (3)塩辛・練りウニを頻繁に食べている人は、胃癌のリスクが高まるというデータは、国立がん研究センター「がん予防・検診研究センター」(現・社会と健康研究センター)の津金昌一郎・センター長らが、40~59歳の男性約2万人について、約10年間追跡した疫学調査でわかったものだ。この調査では漬物と胃癌との関係についても調べている。
 漬物を①「ほとんど食べない」、②「週1~2日」、③「週3~4日」、④「ほとんど毎日」に分類して、胃癌の発生率を比較した。その結果、①の胃癌発生率を1とすると、②が1.54倍、③が2.71倍、④が2.35倍という結果だった。
 ここで注目したいのは、④が2.35倍で、③の2.71倍よりも少ない点だ。
 塩辛・練りウニの場合は、①の胃癌発生率を1とすると、②が1.47倍、③が1.75倍、④が3.12倍と、たくさん食べている人ほど胃癌発生率が高くなるという比例関係になっていた。したがって、塩辛・練りウニが胃癌の発生率を高めていることは間違いない。
 しかし、漬物の場合、比例関係になっていないことから、漬物が胃癌の発生率を高めているとは結論付けられない。なぜか?

 (4)まず考えられるのは、漬物にはいろいろ種類があることだ。今回取り上げたような(a)タール色素入りの漬物、(b)タール色素を使っていない漬物、(c)さらに家庭内で作られた手作りの漬物がある。
 (a)は、それの影響によって練りウニと同様に胃癌の発生率を高めると考えられるが、(b)、(c)は胃癌の発生とはそれほど関係がないと考えられる。とくに(c)の場合、ほとんど無関係だろう。(c)も塩分を多く含んでいるため、胃粘膜は荒れるが、そこに発癌性物質が作用しなければ、粘膜は正常に再生され、癌は派生しないと考えられるからだ。
 したがって、(c)を「ほとんど毎日」食べていても、胃癌の発生率が高くなることはない。「ほとんど毎日」食べている人は、漬物がとくに好きな人だろうから、手作りのものや、自然な色のもの、つまりタール色素を含まない漬物を食べていた可能性がある。このことが、「週3~4日」の人よりも胃癌の発生率が低くなった理由と考えられる。

 (5)今や日本では、3人に1人が癌で死亡し、2人に1人が癌を発病している状況だ。昔のように癌=死という図式はなくなりつつあるが、それでも癌を発病すれば、検査や入院、手術・抗癌剤・放射線などによる治療で大きな負担を負わねばならない。だから、癌を予防することは、私たちが生きていく上でとても重要な課題だ。 

□渡辺雄二「漬け物好きな人は要注意/タール色素使用の漬け物はやめよう ~新買ってはいけない 228~」(「週刊金曜日」2017年1月20日号)
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 【参考】
【保健】コラーゲンと無関係なゼリー ~ゼラチン不使用のゼリー~
【保健】「みんなにやさしい除草剤」は本当にみんなにやさしいか?
【保健】合成甘味料入りで水分補給に不適 ~機能性ウォーター~
【食】「水素水」ブーム便乗商品に気をつけろ ~効果は疑問~
【食】炭酸水の飲み方には気をつけたい ~糖類や食品添加物~
【保健】「新世代エコ洗剤」は本当にエコか ~AESの悪影響~
【食】明太子やたらこも癌リスクを高める ~亜硝酸Na、タール系色素~
【食】「加工肉」の危険性に改めて目を向ける ~発癌性~
【食】一部の「有機ワイン」に入っている添加物 ~亜硫酸塩~
【食】「トクホのノンアルコールビール」 ~その危険性~
【食】新しい「コカ・コーラ」は体にやさしいか ~買ってはいけない~
【食】買ってもいいインスタント食品
【食】「高級インスタントラーメン」に含まれる食品添加物
【食】お手軽「流水麺」の落とし穴


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【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~

2017年06月26日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<長谷川櫂選>
 ①今年竹虚空に風の生まれけり (加古川市)森木史子
 ②竹の皮六十九枚脱ぎ真竹 (浜田市)田中静龍
 ③蝸牛(かたつむり)乗り出して殻脱げさうな (東かがわ市)桑島正樹
 ④鮎釣りの少し流されまた釣りぬ (摂津市)内山豊子
 【評】一席。「虚空に風の生まれけり」は常套(じょうとう)。しかし今年竹とは無上の上五。二席。六十九は自身の年かもしれない。この年になってやっと人となった。三席。重そうな殻を曳(ひ)いて急ぐ蝸牛を活写。その一心の姿に脱帽。

<大串章選>
 ①古戦場跡に飛び交ふ蛍かな (加古川市)森木史子
 ②母を追ふ軽鳧(かる)の子何も疑はず (東京都)山内健治
 ③白日傘映画のごとく走り出す (塩尻市)古厩林生
 ⑥麦秋を見渡してゐる義民の碑 (横浜市)志摩光風
 ⑦これほどに揃はぬ音色牛蛙 (東村山市)高橋喜和
 【評】第一句。かつて矢尻や弾丸が飛び交った古戦場。今は静かに蛍が飛んでいる。第二句。ひたすら母鳥を追う軽鳬の子。「何も疑はず」が端的でいい。第三句。まさに映画の一場面。果(はた)して白日傘の先には何が待っているか。

<稲畑汀子選>
 ②蟻地獄(ありじごく)修羅場に静寂戻りけり (東かがわ市)桑島正樹
 ③夕焼けの今日の一日を惜しみけり (尼崎市)田中節夫
 ⑤誰か踏む十薬匂ふ夜の底 (熊本市)内藤悦子
 ⑥屋久島の緑は雨が似合ひけり (鹿児島市)青野迦葉
 ⑧噴水や水の命の競ひ合ふ (神戸市)岩水ひとみ
 【評】(前略)二句目。蟻地獄に落ちた獲物の修羅場を見終わった作者の動悸(どうき)。三句目。夕焼けに、快晴だった一日を惜しむ。

<金子兜太選>
 ②政権も徒党に堕すや走り梅雨 (福岡県鞍手町)松野賢珠
 ⑤沖縄の蜥蜴(とかげ)の尻尾なる地獄(福島県伊達市)佐藤茂
 ⑥亡き妻は美しく生き夏帽子 (高松市)島田章平
 【評】(前略)松野氏。議会政治ではなく、徒党政治に堕した国会の浅ましさ。(後略)

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年6月26日)
朝日俳壇
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 【参考】
【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~
【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~
【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~
【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~
【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~
【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~
【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~



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【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~

2017年06月26日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<金子兜太選>
 ①夏に入る生きて過ごせと青虫に (行田市)荻原義久
 ②戦争は嫌だ嫌だと行々子(ぎょうぎょうし) (東大阪市)渡辺美智子
 ⑥掌(て)の中を蛍の宿にして渡す (綾部市)阪根瞳水
 ⑩更衣四谷の駅は白い波 (東京都)尾張英治
 【評】荻原氏。モンシロチョウなどの幼虫が「青虫」。猛暑に耐えて生きよと呼びかける作者。渡辺さん。行々子(葭切〈よしきり〉)の騒がしい鳴き声がそう聞こえるのだ。(中略)十句目尾張氏。四ツ谷駅が上手(うま)い。

<長谷川櫂選>
 ①追憶の六月三日山動く (島原市)高比良映子
 ②茶農家の深蒸す心新茶汲む (青森市)天童光宏
 ③生活に色つけやうと金魚買ふ (川崎市)池田功
 ⑦愛すべき言葉飛び交ふ溝浚(みぞさら)へ (山形県河北町)小山田恒吉
 【評】一席。一九九一年六月三日、雲仙・普賢岳の大火砕流。山動くとは。二席。深蒸し茶という名称がある。そこから生まれた「深蒸す心」。いいセンスである。三席。鮮やかな金魚の赤。金魚を描いたマチスの絵を思い出した。

<大串章選>
 ①万緑や乗員替はる国境線 (ドイツ)ハルツォーク洋子
 ③同級会日傘に入れて貰ひけり (京都市)水船つねあき
 ④名園の水に育ちてあめんぼう (熊本市)加藤うゐ
 ⑤城山に城無く朴の咲きにけり (平塚市)日下光代
 ⑩軍刀は祖父の形見よ著莪(しゃが)の花 (福岡市)松尾康乃
 【評】第一句。国境を越えて乗務員が替わると、言語も替わるのだろうか。万緑はどこまでも続く。(中略)第三句。日傘に入れてくれたのは、嘗(かつ)てのマドンナであろう。

<稲畑汀子選>
 ①きりのなきやうである庭草を引く (尼崎市)ほりもとちか
 ②闇を来て闇に戻らぬ火取虫(ひとりむし) (岡山市)伴明子
 ④妻はヨガ吾は吟行風薫る (長岡市)桑原たかよし
 ⑥句読点無き子規の文黴(かび)寄せず (藤沢市)小田島美紀子
 ⑦これ以上深くはなれず茄子の紺 (高槻市)会田仁子
 【評】一句目。庭の雑草を引くのは大変である。次々生えてくるとはいえ、いつかは抜き終える喜び。二句目。火取虫を外の闇に追い出そうとしても出来ない作者のいらだち。(後略)

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年6月19日)
朝日俳壇
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 【参考】
【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~
【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~
【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~
【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~
【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~
【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~


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【食】限りなく不透明に近い「透明ドリンク」

2017年06月25日 | 医療・保健・福祉・介護
  《甲》サントリーフーズ「プレミアムモーニングティー」・・・・カフェインが添加されている。子どもや妊婦は要注意。
  《乙》アサヒ飲料「MITSUYA 新搾りもも」・・・・1本(500ml)に糖類が約55g含まれる。エネルギーは220kcal。毎日飲んでいると、肥満、高血糖になるおそれがある。
  《丙》キリンビバレッジ「キリンメッツプラス レモンスカッシュ」・・・・合成甘味料の①アセスルファムKと②スクラロースを使用している。①は動物実験によれば、肝臓に対するダメージや免疫力低下を招く心配がある。②は有機塩素化合物の一種で、動物実験の結果から免疫力低下を招く心配がある。

 (1)真夏が近づいてくる。水を飲むような感覚で飲める「透明ドリンク」の人気が高まっている。スーパーにはそんな飲み物がずらりと並んでいる。
 しかし、今回取り上げた3製品のように、要注意的ドリンクがある。

 (2)「健康によさそう」「カロリーが低そう」などというイメージから飲む人が増えている透明ドリンク。もも味、ぶどう味、ヨーグルト味、紅茶味などさまざまな種類がある。
 いずれも水や炭酸水に糖類、果汁、紅茶、さらに添加物の香料、酸味料、甘味料を溶かしたもので、水と同様に透明なのが特徴だ。
 その一つの《甲》は、その名のとおりレモンティーの味がする飲料で、むろん透明だ。つまり、水を飲む感覚でレモンティーを味わえるというわけだ。原材料は、糖類、紅茶、有機レモン果汁etc.。それらを水(ナチュラルミネラルウォーター)に溶かし、さらに香料、酸味料、カフイェン、ビタミンCなどの添加物を加えている。
 添加物の仲で香料と酸味料は一括名であり、具体的に何が使われているのかは表示されない。さらに、苦味料として添加されているカフェインについては、注意が必要だ。

 (3)カフェインは天然添加物の一種だ。コーヒー豆、あるいは茶葉から水または二酸化炭素で抽出し、分離・精製して得られたものだ。カフェインは、コーヒーや紅茶、緑茶にも含まれる成分だ。
 カフェインはアルカロイドの一種で、中枢神経を興奮させる作用を持ち、主に大脳皮質に働いて、感覚や精神機能を活発にし、眠気を覚ます。
 ちなみに、アルカロイドとは、植物に含まれる強い生理作用を持つ成分で、コカイン、ニコチン、モルヒネなどもアルカロイドの一種だ。
 「コーヒーは子どもに飲ませないほうがいい」とよく言われるが、これはカフェインが子どもの神経を興奮させて、不眠などの問題を起こすからだ。
 また、妊婦がカフェインを多量に摂取した場合、胎児の発育に影響を及ぼすことがある、とされている。
 こうしたことから、ヨーロッパの国々やカナダでは、カフェインの一日摂取量を制限している。英国では、食品安全庁が、妊婦について悪影響のないカフェインの最大摂取量を1日あたり200mgとしている。
 サントリーのホームページによれば、《甲》100mlには、約10mgのカフェインが含まれるので、1本(550ml)には約55mgのカフェインが含まれることになる。
 よって、これを水を飲むような感覚で1日に2本くらい飲み、さらに緑茶やコーヒーなどを飲んだ場合、200mlを超えてしまう懸念がある。だから、妊婦は《甲》を飲用する際には、カフェインが含まれることを十分に認識した上で飲むようにしなければなるまい。

 (4)《乙》は、収穫後24時間以内に搾った果汁を使用している、という点が売りで、それを強調したテレビCMも流れている。砂糖類やもも果汁を水に溶かして、さらに香料と酸味料を添加し、炭酸(二酸化炭素)を吹き込んで炭酸飲料にしたものだ。
 この製品で注意が必要なのは、糖類が多いためカロリーが高い、という点だ。1本(500ml)あたり約55gの糖類を含んでいる。エネルギーは220kcalある。よって、毎日水感覚で飲んでいると、カロリーの摂り過ぎとなり、肥満や高血糖になるおそれがある。

 (5)《丙》は、「脂肪の吸収を抑える」という機能性表示食品であることに加えて、「ゼロカロリー」が売りだ。糖類を含まず、代わりに合成甘味料の①アセスルファムKと②スクラロースを使用している。
 ①と②については、米国ボストン大学が2017年4月、合成甘味料を含むダイエット飲料を飲む習慣のある人は、飲まない人に比べて脳卒中や認知症になるリスクが高まる、と発表した。
 同大学の研究グループでは、マサチューセッツ州のある町で住民の健康について継続的に調べている。脳卒中は、45歳以上の男女2,888人、認知症は60歳以上の男女1,484人を対象に、10年以内に脳卒中になった97人と認知症になった81人について、食生活などとの関連を分析した。
 その結果、合成甘味料入りのダイエット飲料を1日1回以上飲んでいた人は、まったく飲まない人より脳卒中や認知症になる確率が約3倍も高かった。

 (6)合成甘味料のスクラロースについては、動物実験でそれが脳にまで入り込むことが分かっている。そのことが今回の調査と何らかの関係があるのかもしれない。
 色のついたジュースやコーラよりも健康イメージの高い透明ドリンクだが、以上のような問題点を持つものもあるので、原材料や成分をよく見て選んだほうがよい。

□渡辺雄二「 ~新買ってはいけない 2~」(「週刊金曜日」2017年月日号)
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 【参考】
【保健】コラーゲンと無関係なゼリー ~ゼラチン不使用のゼリー~
【保健】「みんなにやさしい除草剤」は本当にみんなにやさしいか?
【保健】合成甘味料入りで水分補給に不適 ~機能性ウォーター~
【食】「水素水」ブーム便乗商品に気をつけろ ~効果は疑問~
【食】炭酸水の飲み方には気をつけたい ~糖類や食品添加物~
【保健】「新世代エコ洗剤」は本当にエコか ~AESの悪影響~
【食】明太子やたらこも癌リスクを高める ~亜硝酸Na、タール系色素~
【食】「加工肉」の危険性に改めて目を向ける ~発癌性~
【食】一部の「有機ワイン」に入っている添加物 ~亜硫酸塩~
【食】「トクホのノンアルコールビール」 ~その危険性~
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【企業】海外進出で巨額損失を計上する理由 ~富士フイルムほか~

2017年06月24日 | 社会
 (1)いち早く本行に見切りをつけ、構造改革を断行。富士フイルムHD古森会長の経営手腕は賞讃を集める。しかし、その儲けが海外子会社の「食い物」にされた。なぜ日本企業は外国でなめられるのか。

 (2)「もう一丁(1兆)やるぞ!!」
 これが富士フイルムホールディングス(HD)の子会社、富士ゼロックスのスローガンだった。売上高1兆円への回帰を誓う「売上至上主義」。これが結果として同社の不正会計と、その隠蔽工作につながった。
 事の発端は、ニュージーランドの販売子会社の外国人社長ら幹部の悪行だった。彼等は、目標の売上げを達成すると多額のボーナスを受け取ることのできるインセンティブ契約を結んでいた。
 リース契約を悪用して見せかけの売上高を増加させ続け、2010年4月から48ヵ月連続で業務目標を達成。数千万円単位のインセンティブ報酬を受け取っていた。この社長らは、ニュージーランドからオーストラリアに移ってからも同じ手口で不正を続け、その間には会社のクレジットカードで豪遊していた。家族ぐるみのプライベート旅行では約350万円、幹部らとの私的な飲食費は月に約36万円支出し、その総額は400万円にも及ぶ。【経済誌記者】

 (3)外国人幹部の行状が富士ゼロックス内部で問題になったのは、2015年7月のこと。匿名の内部通報メールが富士ゼロックスの吉田晴彦・副社長(当時)に届いたのだ。吉田副社長は、柳川勝彦・専務(当時)に対応を指示し、同社は調査した。
 調査の結果、海外子会社で不正会計が行われていることが明らかになった。
 しかし、富士ゼロックスは、この問題を親会社である富士フイルムHDに報告しないで握りつぶした。不正会計であろうとも監査を通っている以上、バレる可能性は低いと高を括った。
 それどころか、不正を働いた外国人社長を退職させることで、この問題を秘密裏に決着させようともした。退職にあたって支払われた金額は約8,800万円。盗人に追い銭である。 
 むろん、これで問題が解決するわけではない。

 (4)2016年9月、ニュージーランド経済紙「ナショナル・ビジネス・レビュー」が富士ゼロックスのニュージーランド法人で不正に売上げが計上されていることを報じた。
 これでようやく富士フイルムHDが、子会社の海外販売会社で何らかの不正が行われている可能性を察知することになった。富士フイルムHDは富士ゼロックスに対して詳しいことの報告を求めたが、吉田副社長は、
 「説明するのはいいけれど、結論を言って、不正はありませんと答えればOK」
 「富士ゼロックスは独立した会社だ」
などと社内で話し、質問に回答しなくてもいい、と部下に指示。その後ものらりくらりと質問をかわそうとし続けた。

 (5)こうした富士ゼロックスの姿勢に対して、2017年3月、古森重隆・富士フイルムHD会長が不信感を抱いたのは当然のことだった。2017年3月期決算開示に先立ち、社内調査委員会及び第三者委員会を設置し、徹底的に調査することを命じた。
 その結果、明らかになったのが、外国人幹部の放漫経営と、それを隠蔽しようとした富士ゼロックス幹部の姿だった。
 6月12日、富士フイルムHDは記者会見を開き、不正会計による損失は累計375億円にも上ると発表した。
 富士フイルムHDは、古森会長が強烈なリーダーシップで率いる企業群として有名だ。それが、一子会社の、しかもそのまた子会社である海外販売会社の外国人によって「食い物」にされていた。古森会長と富士フイルムHDにとっては、「屈辱」以外の何ものでもなかったはずだ。

 (6)古森会長は、持ち株会社のトップとして、子会社のガバナンスに責任ある立場にいたことは事実だ。
 ところが、いつもは率先してメディアの前に登場する古森会長は、記者会見に姿を現さなかった。
 富士ゼロックスによる粉飾決算は、富士フイルムHDの経理に直結する一大事だ。責任の所在は、本来、古森会長にある。ところが、厳しい処分は富士ゼロックスの幹部だけに集中した。内部の人間によれば、古森会長に傷をつけないことが至上命令としてあったよし。事実、第三者委員会の調査報告書は、富士ゼロックスの売上至上主義を非難する内容で、古森会長の責任を指摘する記述は皆無。古森会長が優れた財界人に与えられる旭日大綬章を受章するため手心を加えた、とも言われている。【前出・経済誌記者】 

 (7)富士ゼロックスや東芝に限らず、日本企業が海外進出で巨額の損失を計上する事例は枚挙にいとまがない。2017年4月には、日本郵政が買収したオーストラリアの物流会社トール社をめぐって、約4,000億円の減損を計上したばかり。
 なぜ日本企業の海外買収は失敗するのか。
 日本企業による海外M&Aは、88%が失敗だ。10%は変化なし。買収前より業績が拡大した成功例は2%だけ。要因は、(a)高値づかみ、(b)トップが自ら統合作業をやらないから。欧米はCEOが統合作業をやる。そうでないと買収先がコントロールできない。単純に会社の規模を大きくしたいとか、多角化で違う分野に進出したい、といった動機は不純で、それでは相乗効果は生まれない。【数々のM&Aを成功させて一代で世界的なモーター会社を作り上げた永守重信・日本電産会長兼社長】
 ①買収しようとする会社に対する評価が甘い。買収先の企業価値を冷静に判断せず、何としてでも買収したいという焦りのため、「高値づかみ」をしてしまう。②買収相手との間に企業理念のギャップがある。企業理念や企業文化が大きく乖離していると、人間関係がギクシャクして業績にも悪影響を与える。③海外での経営を外国人に任せてしまう。好き勝手をやられて、気づいたら大きな損失が発生していた、というケースがよくある。【ジョンソン・エンド・ジョンソンなどで社長職を歴任した新将命(あたらし・まさみ)・国際ビジネスブレイン社長】
 その他、土地勘がないところに進出して失敗するケースも散見される。その代表はキリンホールディングス(HD)。キリンHDは6年前、ブラジルの大手ビール会社を約3,000億円で買収したが、今年2017年2月に770億円でハイネケン子会社に売却し、ブラジルから撤退した。よく知らない地域での巨額買収は失敗する、という典型例だ。【保田隆明・神戸大学大学院経営学研究科准教授】

□記事「海外子会社にコケにされた富士フイルムの「屈辱」 現地マネージャーが年俸アップのために平気で不正会計」(週刊現代 2017年7月1日号)
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【加計学園疑惑】あの大物政治家に「医学部口利き」疑惑

2017年06月24日 | 社会
 (1)国会が閉幕し、政権幹部たちは「これで公の場で追求されることも無くなる」と一息ついているところ。
 だが、加計学園問題の次の「爆弾」の導火線がくすぶっている。
 今年4月、千葉県成田市に新設された国際医療福祉大学医学部の認可をめぐる件だ。国家戦略特区を使って「岩盤規制」を突破したため、加計学園のときのような官邸への忖度や、実際にカネが動いた、という噂がある。15,000平米の土地を成田市から無償貸与されたり、既存の医学部入学定員が最大120名のところを140名の定員が許可されたり、厚遇ぶりが目立つ。【大手紙論説委員】

 (2)国際医療福祉大学の高木邦格・理事長は、1995年に故・渡辺美智雄のお膝元である栃木に国際医療福祉大学を設立し、その後も東京都港区の山王病院、国立熱海病院などを買収、売上げ1,000億円以上のグループに成長させた。多くの政治家と交わり、補助金を取りつけることがうまい「医療界の政商」として名高い。医学部新設には表向きは反対の日本医師会とも水面下で通じ合っている。
 菅義偉・官房長官、和泉洋人・首相補佐官、塩崎恭久・厚労相など家計問題が国際医療福祉大学に飛び火することを恐れている実力者は多い。とりわけ戦略特区の事業選定当時に文科相を務めていた下村博文は矢面に立たされるのではないかと戦々恐々らしい。加計問題は「忖度」の問題にすり替えられたが、もし実際にカネが動いていたという話になれば政界に激震が走るのは必至だ。【永田町関係者】

 (3)下村が国際医療福祉大学の問題を恐れる理由の一つが、都議選への影響だ。現在、下村は都連会長として小池百合子率いる都民ファーストと真っ向から対決している。家計問題だけでも自民党の支持率が下がっているのに、これ以上新たなスキャンダルが出てくれば逆風に耐え切れないだろう。
 森友学園に始まった学校新設をめぐる問題は、まだまだ収まりそうもない。

□記事「加計学園の次はこれ あの大物政治家に「医学部口利き」疑惑」(「週刊現代」2017年7月1日号)
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 【参考】
【森功】【加計学園疑惑】もう一人のお友達の「暗躍」 ~下村元文科大臣~
【佐藤優】【加計学園疑惑】官邸最高レベル指示を「闇文書」にした理由
【加計学園疑惑】獣医学部新設では日本会議人脈、系列中学校では右派系教科書使用
【加計学園疑惑】安倍官邸に巣くう加計学園人脈 ~忖度や謀略の裏で“お友達”優遇~
【加計学園疑惑】安倍首相答弁にウソ ~獣医師会が反論~
【加計学園疑惑】プロセスの再考と公正を迫る前川前次官証言
【加計学園疑惑】前川前次官の告発が見事にあぶり出した「メディアの真贋」
【加計学園疑惑】説明責任は首相にある ~朝日紙社説・抄~
【加計学園疑惑】獣医学部新設に日本獣医師会が「反対」する理由
【加計学園疑惑】愛媛県・今治市も「共犯」か ~地元の発言・文書も示す加計学園「総理のご意向」~
【神保太郎】首相の妻(安倍昭恵)、日本の公教育を否定
【後藤謙次】【加計学園疑惑】沈黙していた政官双方から異論 ~加計学園問題が招く想定外反応~
【加計学園疑惑】と官邸 ~「総理の意向」隠蔽か~
【加計学園疑惑】「忖度」ではなく首相の直接指示か ~首相主導の“官製談合”~
【後藤謙次】共謀罪に加計学園問題まで炎上 ~予想以上に高い「6月の壁」~


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【南雲つぐみ】ウニの色と栄養

2017年06月23日 | 医療・保健・福祉・介護
 ウニを漢字で書くと、一般的に調理していない殻付きのものを「海胆」、殻から抜き取り加工したものが「雲丹」となる。我々が食べているのは、生殖巣(卵巣や精巣)で、一つのウニには五つの生殖巣が入っている。産卵期になるとオスは濃い黄色、メスは赤に近いオレンジ色になるそうだ。
 昔から滋養強壮によいとされる珍味だが、赤褐色はエキノネンというビタミンAと同じ働きをする色素成分だ。ビタミンB1やB2、グルタミン酸、亜鉛なども含まれる。消化もよいので少し値は張るが疲労時のスタミナ食になる。
 三陸産のウニの旬は6月中旬から8月初旬まで。4月後半から徐々に水揚げされるが、実入りや味がよくなってくるのは6月以降といわれているそうだ。
 今年4月、三陸近海でキタムラサキウニが異常繁殖しているというニュースがあった。震災の津波の影響ではないかといわれ、エサになる海藻が少ないためにウニ自体の実が小さく、売り物にならないのではと懸念されている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ウニの色と栄養 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月10日)を引用
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【森功】【加計学園疑惑】もう一人のお友達の「暗躍」 ~下村元文科大臣~

2017年06月23日 | 社会
 (1)加計学園問題で飛び出した「総理のご意向」文書の再調査が注目される。政府は、形の上で文書の存在を改めて認めたが、本来、文書の存否など問題の入口にすぎない。2017年5月に文書が発覚して1ヵ月経過してなお、いっこうに議論は深まらず、追求が進まないのは「ご意向」「忖度」という表現が邪魔をしているからではないか。
 総理への忖度が問題だ、と野党やマスコミは政府を責め立てる。しかし、「忖度する」の主語は内閣府や文科省などの官僚である。つまり、忖度は首相が安全地帯に逃げ込める便利な言いまわしだ。一見、追求しているかのような評論家やジャーナリストも、追求の矛先を首相には向けない。その結果、問題そのものが文書の存否や昨年の内閣府と文科省のさや当てに矮小化され、疑惑の核心が遠く貸すんでしまっている。

 (2)事の本質は、忖度などではない。一強どころではなく独裁と見える安倍政権と、そこに極めて近い友人。その間で何が起きていたのか。
 この疑念を解き明かすキーパーソンの一人が元文科大臣の下村博文であり、ターニングポイントが2015年であった。
 加計学園による今治市の獣医学部開設は、第一次安倍政権時代に持ちあがり、構造改革特区の申請を15回も門前払いされてきた。加計学園が、その絶望的な状況の中で光明を見出したのが、2012年12月にスタートした第二次安倍政権の布陣だ。そこで首相の側近である下村が、大学認可の生殺与奪権を握る文部科学大臣に就任した。
 もともと加計と下村は知らない仲ではない。それどころか、本人だけでなく、夫人の今日子は、加計孝太郎・加計学園理事長や安倍昭恵といっしょに渡米するほどの間柄だ。おまけに今日子は、広島加計学園の教育審議委員にもなった。それはあたかも下村とのパイプ役を果たしているかのように映る。

 (3)一方、下村本人は、赤坂の料亭で加計の陳情を受け付け、獣医学部新設に前のめりになってきた。加計にとって大きな転換が2015年春から初夏にかけてのことだろう。
 この年の4月2日、それまで構造改革特区の申請をしてきた加計学園を擁する今治市の担当職員が上京し、首相官邸を訪ねた。首相動静によれば、下村文科大臣も、その日官邸に居合わせている。
 それから2ヵ月後の6月2日、今治市が構造改革特区から国家戦略特区に申請をやり直した。提案名は「国際水準の獣医学教育特区」。これを受けた政府は、6月30日、「日本再興戦略改訂2015」を閣議決定した。
 このとき、獣医学部新設をクリアするため、例の「4条件」が発表された。巷間、獣医学部新設反対派の石破茂・地方創生担当大臣が考案した「石破4条件」などと呼ばれる。しかし、その実、4条件は構造改革特区時代から存在し、下村文科大臣が了承した上での話だ。 

 (4)2015年12月15日、首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議で、構造特区の特例措置として、特区に指定されることになった。つまり、この時点で加計学園の獣医学部開設の大枠が決まった、と見てよい。
 下村は、この間、大臣就任の前年を含め、パーティ券名目で加計学園から計240万円の献金を受けているはずだが、その質問にはいまだに答えていない。

□森功「「忖度報道」ばかりで霞む加計学園もう一人のお友達下村元文科大臣の「暗躍」 ~ジャーナリストの目 第345回~」(週刊現代 2017年7月1日号)
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 【参考】
【JAL】社員の賃上げの前に余ったカネを社会に還元するのが筋 ~大幅賃上げを進める日本航空~
【空港】民営化元年の今年 ~地方空港は赤字経営だらけ~
【社会】「工藤会」脱税容疑逮捕で暴力団の資金が枯渇するか
【米国】が狙い撃ちする日本の自動車部品メーカー ~カルテル摘発続出~
【社会保障】報酬の大幅減額で浮き彫りになった介護保険制度の「矛盾」
【電力】会社が再生エネ買い取りに消極的な本当の理由
【政治】パソナと安倍政権が目論む労働市場「改悪」
【原発】朝日叩きに走る各紙が過去に飛ばした「大誤報」

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【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~

2017年06月22日 | ●佐藤優
★アルフレッド・T・マン(北村謙一・訳)『マハン海上権力史論』(復刊=原書房、2008)
 
 (1)米国の海軍軍人アルフレッド・T・マン(1840~1914年)は、歴史家、軍事理論家としても名高い。本書は、海軍大学校における講義を整理したもので、『歴史に及ぼした海上権力の影響1660~1783』というタイトルで1890年に刊行された。
 マッキンダーが陸の地政学の祖であるのに対して、マハンは海の地政学の祖だ。

 (2)当時の覇権国であった英国に対する分析が、この著作の中心的位置を占める。特に英国・プロイセン対仏国・オーストリア・ロシア・スペイン・スウェーデンで戦った7年戦争(1756~63年)で英国・プロイセンが勝利したことに注目して英国の地政学的戦略にについて工作する。
 <イギリスは今日もそうであるが、ほかの諸国に比べて小さな陸軍をもって、まずうまく自国の海岸を守り、次いでその兵力をあらゆる方向に派遣して遠隔の地にその支配と影響力を拡大した。そして彼らをイギリスに従属させたばかりでなく、イギリスの富、その力及びその名声に貢献させた>
 マハンは、英国が海軍を機動的に用いていることを高く評価する。
 さらに重要なのは、このような海洋政策を英国の政治エリートと国民が支持していることだ。
 <イギリスの努力は、その国民の生まれながらの才能とピットの火のように輝く天才によって指導された。その指導は戦争後も続いて行われ、その後のイギリスの政策に大きな影響を及ぼした。イギリスは今や北アメリカの女王となり、また東インド会社を通じてインドを支配するに至った。イギリスはそのほかにも地球上に遠くかつ広く散在する他の豊かな領土を持っていた。一方スペイン帝国は巨大ではあるが、ばらばらで弱かったがゆえに、イギリスはさんざんこれをこらしめることができたという有益な教訓をイギリスは眼の前に学んだ>

 (3)イギリスは、海上権力(シーレーン)を押さえることで、世界的規模におけるネットワーク上の活動が可能になった。
 マハンは、国民の海に対する認識が国家の政策に与える影響を無視することができないと考える。
 <国民の海上経歴に対してその国の政府が及ぼす影響という一般的問題について考えてみよう。その影響力は二つの別個ではあるが互いに密接に関連しあった仕方で作用しうることがわかる。
 第一に平時において、政府はその政策によって、国民の産業の自然的な発展及び海により冒険と利益を求めようとする国民の傾向を助長することができる。もしこのような産業や海洋進出の気風が本来ないときは、政府はそれらの開発に努めることができる。一方これに反して政府は誤った措置をとることにより、国民に自由にやらせておけば達成するであろうような進歩を阻止妨害することもあろう。これらの方法のうちのいずれをとるかによって政府は、平和的通商問題に影響を与えてその国のシーパワーを興し又はそこなうのである。しかも通商こそ真に強力な海軍の基礎であることは、何度強調してもし過ぎることはない>

 (4)平時に通商を強化することによって海上におけるネットワークを拡大する。そうすることで英国の帝国主義国としての地位が強化されるのだ。
 平時に構築されたネットワークが、戦時になると軍事力に転化する。
 <第二に戦争のために。海軍の発達の程度及び海軍に関連した権益の重要性に相応した規模の海軍を維持するに当たって、政府は最も合法的な方法でそれに影響を及ぼすであろう。海軍の規模より以上に重要なことは海軍の制度の問題である。すなわち、健全な精神や活動を助長する制度。適当な予備員と予備艦艇により、またさきに国民の性格や職業について考察した際指摘しておいた一般的な予備戦力を召集することにより、戦時に海軍力を急速に増強することができるような制度。そのような制度こそより重要である>
 平時の客船は、輸送船や病院船に転換することができる。また、貨物船に大砲を取りつければ、軍艦に転換することもできる。平時の商船隊の力は、戦時になれば直ちに戦力に切り替わる。もっとも、海軍が機動的に展開するためには、海外で基地を維持するための植民地が必要になる。

 (5)<この戦争準備の第二の問題の中には当然、平和的な通商に従事する商船を守るために軍艦がついていかなければならない世界の遠隔の地に、適当な海軍基地を維持することも含まれなければならない。これらの基地の防護は、ジブラルタルやマルタのように直接軍事力に依存するか、又はその基地の周辺の友好的な住民に依存しなければならない。(中略)イギリスの海軍基地はすでに世界のあらゆる部分にある。そしてイギリスの艦隊は同時にそれらの基地を保護し、基地間の交通線を確保し、また避難所としてそれらの基地に依存して今日に至っている>
 この目的を達成するためには、植民地の住民が英国に対する敵愾心を持たないようにしなくてはならない。
 <母国に所属する植民地は、国家のシーパワーを海外において支援する最も確実な手段を提供する。平時には政府は、あらゆる手段を講じて温かい結びつきと利害の一致を促進するよう影響力を行使すべきである。それがあってこそ一部の福祉は全部の福祉であり、一部の紛争は全部の紛争であると感じさせることができる>
 英国の海上権力は植民地に依存していた。だから、第二次世界大戦後、植民地を失うと英国は帝国の地位を失うのだ。

□佐藤優「イギリスの興亡の歴史を通して海上権力を維持するために必要な要素を考える ~名著、再び ビジネスパーソンの教養講座 第42回~」(「週刊現代」2017年7月1日号)
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 【参考】
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
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【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
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【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
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【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
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【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
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【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
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【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【加賀乙彦】『永遠の都』をめぐる対話

2017年06月21日 | 小説・戯曲
 精神科医、作家、日本藝術院会員、日本ペンクラブ顧問の加賀乙彦と著書150冊の作家、岳真也が『永遠の都』の読みどころを拾い出し、背景を語り、読みを深める。
〈例1〉加賀の受洗は57歳のときだが、『永遠の都』を書き始めて1年ぐらい経ってから。受洗によって書きやすくなった。
〈例2〉『永遠の都』は『雲の都』を経て最近作『殉教者』によって完成する。
〈例3〉『資本論』を一生懸命読んだ。資本主義社会では恐慌、パニックは必ず起こる、と加賀も考える。

●加賀乙彦の受賞歴
 1968年『フランドルの冬』/芸術選奨文部大臣新人賞
 1973年『帰らざる夏』/第9回谷崎潤一郎賞
 1979年『宣告』/日本文学大賞
 1986年『湿原』/第13回大佛次郎賞
 1998年『永遠の都』/第48回芸術選奨文部大臣賞
 1999年『高山右近』/日本芸術院賞
 2000年 日本芸術院会員
 2011年 文化功労者
 2012年『雲の都』/第66回毎日出版文化賞企画特別賞
 2016年 第5回歴史時代作家クラブ賞・特別功労賞

□加賀乙彦×岳真也『永遠の都は何処に?』(牧野出版、2017)
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【南雲つぐみ】夏至 ~6月21日~

2017年06月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 夏至は1年で昼間が最も長くなる日。今年は6月21日で、三重県伊勢の二見浦では、夫婦岩の二つの岩の間から上る、一年でもっともエネルギーの強いとされる太陽を拝みながら、みそぎを行う「夏至祭」が行われる。
 太陽から放出されるエネルギー量は季節ごとに変わるわけではないのに、なぜ地球が受ける太陽エネルギーの量は季節ごとに変化するのか。中学校の理科で習ったように、地球が太陽の周りを楕円を描いて公転しているのと、地軸に傾きがあるせいだ。
 夏至のころには、太陽の南中高度が最も高くなり、まさに頭の真上から照りつけているようになる。太陽(焦点)との距離は夏至のすぐ後の7月上旬が最も遠くなり(遠日点)、1月初旬がもっとも近くなる(近日点)。
 また、夏至の時期は、本州では梅雨の真っただ中なので、日照時間は冬至の頃より短い地域もあるようだ。ちなみに夫婦岩に近い鳥羽の6月の平均日照時間は140.5時間(1987~2010年平均・気象庁)で、12月は166.4時間となっている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「夏至 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月21日)を引用
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【食】ウィークポイントは添加物 ~「調理梅干し」~

2017年06月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 重複につき、こちらに統一。
【食】ウィークポイントは添加物 ~「調理梅干し」~

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【南雲つぐみ】北見のハッカ油 ~毎月20日は「ペパーミントの日」~

2017年06月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 毎月20日は「ペパーミントの日」。ペパーミントはシソ科ハッカ属のハーブで、目の覚めるような爽やかな香りが特徴だ。ペパーミントのアロマオイルは、鎮痛、冷却作用があるとされるメントールを含み、頭痛や胃のむかつきを和らげる。抗真菌、抗菌作用なども認められているそうだ。花粉症で鼻がむずがゆかったり、鼻づまりがひどかったりするときは、マスクに一滴落として布地にもみ込んでおくと、スーッと鼻が通る。
 しかし、商品によっては、香りが人工的に感じられることがある。先日私は北海道北見市の特産品である「ハッカ油」を入手した。国産の天然素材を使用しており、香りも素朴で爽快だ。
 北見のハッカは明治31年に初めて栽培されたという。昭和13~14には世界のハッカ生産量の70%を占めていたそうだ。
 雨の多いこの時期の気分転換として、冷たい水にハッカ油を数滴落としておしぼりを作る。汗が引いて気分もよい。食品添加物としてのハッカ油は、飲み物にまぜて使うと気分がすっきりするので愛用している。

□南雲つぐみ(医学ライター)「北見のハッカ油 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月20日)を引用
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