語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~

2019年03月14日 | ●佐藤優
 ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンの著書『信頼』(大庭健、正村俊之訳、勁草書房)によれば、多くの人から信頼を集めている人や団体に不信を招く言動があった場合、しばらくの間はその人や団体を信じようとします。信頼した対象からすぐ離れてしまうと、信用した自分がみじめに思えるからです。しかし不信を招く言動が重なり、ある閾値を超えると、とたんに人々の信頼を失い、信頼は回復することはない、といったことが書かれています。信じていた人に何度も裏切られたら、「いい加減、もう、あなたのことは信じられない」となるのが人間の心理というものでしょう。
 民主党から枝分かれした現在の野党各党は、民主党政権の失敗のため、すでに信頼に足る閾値を外れています。現在の野党の体たらくが、それを証明しています。つまり、42%という内閣支持率は、野党が国民から信頼されていないことの裏返しに過ぎないのです。実態としては、いつ政権が崩壊してもおかしくない状況です。しかし、何度も言いますが、安倍政権は崩壊の兆しすら見えません。
 国民は、この政権をどのように見ているでしょうか。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「信用した自分がみじめになる」を引用

 【参考】
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次



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