前回は縄文土器による鍋料理を提案した。
多分、今までにに無い美味しい味になるだろうと期待している。
水を入れて煮ると言う鍋料理を提案するだけでは片手落ちだと気づいた。
そう、「煮る」と来れば「焼く」が来なければ。
そこで「焼く」料理を見つけなければと思った。
そう今までにない美味しい味の、言わば、究極の焼き料理だ。
なんて思っていたら、たまたま見ていたテレビが、こんなのはどうかな?って言うように、その応えらしきものを見せてくれた。
それが、徳島の山奥の郷土料理「しらら焼き」だ。
昔は、特別な客が来た時に、前以て大きな石を二時間ほど熱しておく。
石の上に地元の合わせ味噌を敷き広げて、その上に村で獲れたいろいろな野菜を並べると言う料理だ。
やがて皆でその石を取り囲んで談笑しながら食べると言うものだった。
その焼き野菜やきのこ等の味は格別だったと言う。
いわゆる石焼き料理だ。
石焼き芋が美味しいのと同じ理由だ。
つまり、熱せられた石から出る遠赤外線によって野菜など食材を焼くと言う料理方法だ。
これは、前回の縄文土器と同じように、優しくゆっくり熱すると言う、スローフード的な方法である。
この方法は、前にも述べたように、食材の内部全体の温度が60~80度布巾をゆっくり通過するために、デンプンが甘味に変わったり他にも美味しくなる反応が起こっていると思う。
と言う訳で、旧い手法を生かした、今までにない新しい焼き料理を思いついた。
そう、ご想像の通り、石で石臼のように大きなフタ付きナベを造るのだ。
これは野外キャンプ場や大きな囲炉裏のある古民家なら可能だ。
しかし、これでは重い石鍋やその加熱方法が大変だから、少し小型に工夫する必要がある。
すると、一般の石鍋料理や石瓦石板料理と同じになってしまう。
ネットで調べてみると、既に韓国のビビンバ料理では直系30センチほどの石鍋を使用していると言う。
また秋田には石焼きおきナベと言う、400度に熱した石を投入する漁師料理があると言う。
やはり石鍋による料理の美味さが認められてその方法が受け継がれているのだろう。
話が変わるが、以前に達磨(だるま)型のストーブがよく見られた。
火力を落としたそのストーブの上に、出荷できないような細い薩摩芋を置いておくと、長い時間かかって焼き芋ができる。
その芋が美味しいと言ってわが芋畑から細い芋ばかり獲っていく知り合いの老人がいた。
彼は山奥でストーブと共に暮らしていた。
やはり残り火の熱で暖められた銑鉄から出る遠赤外線によって長時間暖められ料理された薩摩芋は、細くてクズ芋でも、市販の石焼き芋より美味かったのだろう。
と言う事で、ここで私が思いついた新しい石焼き料理装置は以下のようになる。
簡単に言えば、背の低い達磨ストーブの上にフタ付き石鍋を載せた構造である。
一番下が燃料を燃やす炉で、その上に石鍋が載っている。
石鍋は、分厚い石板の底が直接炎に当る。
また燃料を燃やした炎は、石鍋の側面の一部も暖めながら煙突に上昇する構造である。
もし商品化されれば、鉄製の炉と石板の鍋が一体となるだろうが、耐火レンガ等使用してロケットストーブのように試作や自作してもよい。
旧いストーブを改造して石板を組み込んで鍋にする方法もある。
いろいろ考えれば、まだ検討の余地あり。
(つづく)