飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

連載小説「幸福の木」 368話 嬉しき神の贈り物?

2023-10-30 14:50:39 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、昨日は更新できませんでごめんなさいでした。
今日は天気が良く、そのためか先生の原稿が届きましたので、早速、小説に参ります。はい、では、開幕開幕!

368 嬉しき神の贈り物?

「えっ、ハンドベル?何だ、ハンドベルって?」
太郎が思わず怒鳴った。
「英語よ。だーから、村長さんが、手鈴って言ってるでしょ?」
ハナが怒鳴り返した。
「えっテスズっって?」
「だーから、手で鳴らす鈴よ、鈴って事よ」
ハナがまた言い返した。
すると今度はハナナが、
「そうよ、これは鐘じゃなく鈴って言う事よ、太郎さんが言ってた鐘じゃなく、私達が言ってた鈴が当っていたと言う事よ」
「いや、お前達は風鈴って言ってたぞ」
「だーから、手で振って鳴らす風鈴って言ってたのよ、風を取れば鈴でしょ?」
太郎が、また言い返そうとすると、エアロビクスの姉さんが口喧嘩を止めた。
「はーい、これはハンドベルです。外国で始まった楽器ですから日本語は鈴でも鐘でもどちらでもいいと思います、が私達はハンドベルと呼びましょうね、はーい、では、このハンドベルの説明をいたします」
小さなハンドベルを手に持った、三女のような幼い子供達は、素直にカッコいい先生の話に耳を傾けていた。
が、大きなハンドベルを持たされた爺さん達や大人の男達はかなり不満顔だった。
「ワシは、ハンドベルでも、手鈴でも手鐘でも名なんかどうでもいいが、要はこの重い物を振って鳴らすって言う事じゃろう?ワシはこんな重い物を振る事はおろか、持っているだけでも大変じゃ、説明って何じゃ?」
と長老と修験者達は、機嫌が悪く、ぶつぶつと不満を言い合っていた。
そんな事などおかまいなく、エアロビクスのお姉さんが、元気な声で、
「はーい、皆さんが手にお持ちのローソク台、これは実はローソク台でなく最新のハンドベルでした。
この中の空洞を覗きますと振り子が付いていますので、ガムテープを剥がして振り子が自由に動けるようにしてください。
その後は、ローソクを立てていた棒を手で握って横に振ってください。ベルの音が鳴ります」
この話を聞いて、皆が空洞のガムテープを外し、それぞれ自分のハンドベルを鳴らし始めた。
すると、次第に大広間が鈴の音や鐘の音で満たされていき、最後は大音響が鳴り響いた。
やがて、エアロビクスのお姉さんが、トコトコと自分が乗る高いピンクの立ち台と指揮者の持つタクトのような棒切れを持ってきた。
それが青白く光っていたので、皆は何だろう?と注目して静かになった。
「はーい、それでは、これから皆さんで音を出す練習をいたしましょう」
と立ち代の上に立って、その青白いタクトを振り始めた。
「はーい、それではまず小さなお子さん達の高い音から順番に鳴らしてみましょう。このタクトの青白い光が当った人達はハンドベルを振って音を鳴らしてください、はーい、ではそこの小さな皆さん達、鳴らしてください!」
と最前列の左端の三女の周りの子供達にタクトを向けた。
タクトからは青白いピカピカした光が出て、驚いた子供達が慌ててハンドベルを振った。
「キンキンキンキンキン!」
「コンコンコンコンコン!」
タクトが次第に大きな子供達へ移動すると、鳴らされるハンドベルも大きくなって、音も低くなっていった。
「ゴーンゴーンゴーンゴーン!」
タクトが最後列の大人達にまで移動すると、鳴らされる音も、バスからコントラバスの超低温のベルの音になった。
「はーい、大変良くできました。もっと音が揃うと、もっと美しく聞こえますが、初めてにしては大変良かったと想いますよ」
子供達は既に、初めて自分達が鳴らす音に感動していた。
その上にさらに褒められたので嬉しさで皆が頬を赤らめていた。
ところが納得が行かないのは長老と修験者の爺さん達や大人達だった。
「こんな鳴らし方で曲を演奏するには、かなり練習をしなければならないぞ」
「今夜はいったいどう言う方法で皆で曲を演奏するんじゃろう?」
「まさか、徹夜って事は無いと思うが、あの若い元気な姉ちゃんだから有り得るかも?」
大人達も加わって、列の後ろでザワついていると、ピアニストのお姉ちゃんが、小さなアプライトピアノのような、オルガンのような楽器を皆の前に運んできた。
そして椅子に座って、鍵盤を弾き始めた。
曲は「皆が知っている「古里ふるさと」だった。

「うさぎ追いし、かの山、こぶな釣りし、かの川、夢は・・」

ところが、驚いた事に、ピアニストのお姉さんが弾いた楽器からは、ピアノやオルガンの音ではなかった。
「えーっ、ウッソー!」「おーっ、ホントかい?」
それは何と、ハンドベルの音だった。
初めて聞く、ハンドベルの「ふるさと」だった。
皆は驚きながらも本物のハンドベルを聞いているような気持ちになった。
そして味わうように耳を傾けていた。
「はーい、皆さん、今の音をよくお聞きになりましたか?私達も皆でうまく合わせて弾けるようになると、このような美しいハンドベルの「ふるさと」になりますよ、はい・・・」
そう言われても、皆はこんな風に弾くためにはいったい何日練習しなければならないだろう?とため息をついた。
そんな皆の顔を見て、エアロビクスのお姉さん先生が、また大笑いをした。
「ホホホホホ、まあまあ皆さん方、そんな心配顔をしなくても大丈夫ですよ、ご安心ください。
皆さん、私が初めに、今回は今までにない試みだと言った事を憶えていらっしゃいますか?ホホホホホ」
そう言って彼女は、今度は発明兄ちゃんをタクトを振りながら呼んだ。
「さあ、これからが、今までにない世界初の音楽会の始りです。
その発案者はこの発明兄ちゃんですので、彼に説明してもらいましょう」
と言って、指揮台を譲り、司会を発明兄ちゃんにまかせた。
発明兄ちゃんは、指揮台の上に乗って、全員に呼びかけた。
「皆さん、手持ちのハンドベルをよく見てください。
そして、手で持つ棒の上を右に回してください。
するとスイッチが入り、小さな赤い光が点きます。
これで、ピアニストの私の妹が弾く楽器の鍵盤と無線でつながります。
妹が曲を弾くと、その鍵盤から電波が出ます。
すると、鍵盤と同じ音の皆さん方のハンドベルが、明るい光を点滅させて小さな振動をします。これが合図です。
なので、皆さんは、この合図の光と振動を感じたら、すぐにハンドベルを揺らしてください。
そうすると、妹の弾く曲と同じ曲が弾ける事になります。
もちろん、皆さん方のハンドベルの方が音も良いし、数も多いので、妹の弾く演奏よりも素晴らしさも迫力も違います。
さあ、では、早速、さきほどの「ふるさと」の曲で一度練習をしてみましょう」
と言うと、ピアニストの妹が楽器の音を小さくして弾き始めた。
「さあ、では、電波のスイッチを入れます。皆さんは自分のハンドベルの点滅光と振動に集中してください」
全員がそれぞれ夢中になって点滅光と振動を感じると、慌ててハンドベルを振って鳴らした。
すると、大広間には壮大な大音響の「ふるさと」の曲が流れた。
三女達子供達も大人達も、ほぼ全員が自分達の演奏する「ふるさと」の迫力と調べに感動して、胸を振るわせていた。
演奏が終わっても、皆は感動でしばらく沈黙していた。
「皆さん本当に素晴らしい演奏でした。ここで私からの野暮なお願いですが、データを取るために、もう一度全く同じ「ふるさと」の演奏をお願いいたします。
これは皆さん方一人1人が光と振動でハンドベルを鳴らしますが、一人1人早い遅いの個人差があります。そのデータを取って、その個人差に応じて、光と振動をちょっと早くしたり遅くしたりして皆が同時に音が出せるように調整するためです。はい、では、また演奏をお願いいたします」
再びピアニストのお姉さんが鍵盤を弾きはじっめ、演奏が始まった。
始めは少しバラバラだった音も、次第にピッタシ揃うようになった。
その時、突然ピアニストのお姉さんの手が、左右に忙しく鍵盤を弾き始めた。
すると、全員のハンドベルの点滅光と振動も急に忙しくなり、皆もその動きに付いて行こうと必至に振り続けた。
その結果、単純だった「ふるさと」の曲には様々な伴奏が加わって、以前の壮大さを超えてフルオーケストラのような素晴らしい音楽が大広間を満たした。
曲が終わると、演奏していた皆も大感激の涙を流すくらいだった。
「パチパチパチパチ!」
エアロビクスのお姉ちゃんが感激して、頬を紅潮させて惜しみない拍手を送った。
すると皆もお礼を言うように、ハンドベルと片手手を叩いて拍手?した。
「本当に素晴らしい演奏でした。この今回の演奏のレベルは一流の楽団にも勝るとも劣らないと私は思います。
それで、私からの最後のお願いですが、これから同じ方法で演奏してほしい曲があるのです。
それを録音して多くの人達に聞いてほしいのです。きっと、皆さんも気に入る曲ですので、皆さんは弾きながらお楽しみください。はい、では、ピアニストのお姉さん、演奏を願います」
と言って、エアロビクスのお姉さんが指揮台の上に乗って、タクトを振り始めた。
皆はハンドベルを振りながら、思った。
「あれっ!この曲って、確かどこかで聞いた事があるわ、どこだったかしら?」

(つづく)

ああ、全くしらなかった! 踏切の点字パネル??

2023-10-26 21:51:39 | 発明アイディアの部屋

湧水が毎日歩いている散歩道にjr高山本線の踏切がある。
最近、湧水はその踏切が見えにくくなって、どこからが踏切なのか分からなくなった。
幸い、その踏切は山寺の参道の坂を登り切った所にあり、真っ直ぐに進むと階段を上がって寺の山門にぶつかる。
その山門前の岩階段には、中央に金の手すりがある。
散歩道の「行き」は参道の中央を歩けば踏切も中央を渡ることができるが、散歩道は階段の手前を鉄道に沿って直角に曲がるので問題だ。
「帰り」が踏切の位置が分からないのだ。
そこで、湧水は帰りには、まず、その金のピカピカ輝く手すりを探して、その延長線上と想える所を歩いて踏切のど真ん中を渡る事にした。
まるで、昔の一休さんの「このハシを渡るべからず!」のとん知話のようだ。
しかし、曇りはその手すりがピカピカ光らずに、見つけにくい事が多い。
先日、たまたま福祉の人が湧水の家に来た。
そこで、その時に、その話をしていたら、彼がjrに電話して点字ブロックを設置してもらえるように依頼したらどうかと言う話になった。
しばらくして福祉の人から電話があった。
実際に踏切を見に行ったら、その踏切には両端に黄色の点字パネルが設置してあると言う湧水は耳を疑った。
「ウソダー!まさか!そんな事は今まで誰からも聞いた事はない」
早速、翌日の散歩の時に確かめるために、踏切の端でしゃがんで素手で触ってみた。
すると、確かにザラザラした滑り止めのようなパネルが設置してあった。
指で触わると小さな円模様の突起が並んでいるパネルだった。
「ナーンダ?、これは点字ブロックでも点字パネルでもない、ただの滑り止めだ」
と湧水はガッカリした。
これが視覚障碍者のために設置したものとすれば、残念ながら全く役立っていない。
事実、毎日通っていた湧水は、今回福祉の人に知らせてもらうまで全く知らなかったのだ。
視覚障碍者は点字ブロックや点字パネルのデコボコを足の裏で感じながら歩くと、建物の玄関や入口に辿り着く。
そのように点字ブロックや点字パネルが設置されている。
なので、狭い踏切の場合は、踏切の手前からリードするように踏切中央に点字パネルが設置してあれば、視覚障碍者はそれを踏みながら歩けば横から落ちる事なく渡る事ができる。
今回の参道の踏切のように、両端に例え点字パネルを設置したとしても、視覚障碍者は端は落ちる危険があるから近寄らない。
そうなると、今回のように気づく事もないだろうと思う。
やはり、視覚障碍者本人達の意見や実地テストを行えば、より役立つ事になると思うが・・

(おしまい)

「霜降」の飛騨 寒き朝晩と暖かな昼間!

2023-10-24 16:01:13 | 俳句日記の部屋


声の良き 虫だけ残る 秋半ば  湧水

秋半ば 登り切って休む 参道坂  湧水

三往復 休みを入れる 秋散歩  湧水

脚伸ばし わが秋書斎や 岩階段  湧水

大鳥(おおとり)は 美声のカンタン 「霜降」前  湧水

久々の 至福の秋の 山カフェかな  湧水

初心(うぶ)寒き 北風赤ちゃん 中秋飛騨  湧水

秋散歩 焼き芋パーティーに 招待され  湧水

中秋に 木魚の鳴りし 隣り家  湧水

雨上がり 冬一番なる 北の風  湧水

ファンヒーター 慌てて引き出す 早朝拝  湧水

秋散歩 名よぶ爺さん 同級生  湧水

秋日浴び 昔の友も 丸くなり  湧水

秋日曜 子等に先越され 山門前  湧水

親族が 集まる参道 秋日曜  湧水

一族が 去って腰降ろす 山門前  湧水

エアコンを ファンヒーターにす 夕中秋  湧水

真冬ごと 重ね着姿で 秋朝拝  湧水

急激な 季節の変化に 途惑う秋  湧水

急激に 寒さ来たりし「霜降」飛騨  湧水

北風は 気ままな鈍行や アサギマダラ  湧水

鳩、虫消え 北風のみの 昼散歩  湧水

静かなる 北風のみの 昼散歩  湧水

岩階段 ひととき座って 秋陽浴び  湧水

誰に乞おう 菜花の種蒔き 昼散歩  湧水

山門垣 北風ふさぎ 陽だまりかな  湧水

秋畑の 草取代わりの 枯れ枝掃除  湧水

久々や ネズミ騒動の ヘルパーさん  湧水

(おしまい)

連載小説「幸福の木」 367話 皆で音楽隊

2023-10-23 22:19:41 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、飛騨は朝晩はもう冬みたいです。あっと言う間に、猛暑が冬になりました、原稿が届きましたが、推敲してないので脱字誤字があるかもしれませんが、このまま登校します、はい、では、開幕開幕!

367 皆で音楽隊

「はーい、それでは、これから私達の音楽隊づくりに取りかかりましょう」
ととエアロビクスのお姉さんに言われても、子供達を含め皆はきょとんとしていた。
「はい、では皆さんボールで倒したローソク台を持っていますか?どこかに置いている人は、持って来て手に持ってください」
それを言われて、三女が慌てて取りに行った。
三女はお姉さんのエアロビクスのダンスを見てから、憧れてしまったようだった。
「はーい、ではそのローソク台の中に小さな玉が入っています、その玉を包んでいるシールを外して取り出してください」
子供達はローソク台の下の空洞を覗き込んで、小さな玉を見つけると包んでいるシールを取り出した。
「はい、先生、取り出しました、赤色のシールです」
三女が元気よくインストラクターの先生に答えた。
「はーい、よくできましたね、実は、そのシールは同じ色の人が三人います。
同じ色の人が三人集まったら手を上げてください。スタッフから美味しいチョコボールのプレゼントがもらえます。そして立つ場所が告げられますので、そこへ移動してください」
同じ色のシールを持っている子供達は、集まると手を上げて大声を出した。
すると、ピアニストのお姉さんや発明お兄ちゃん達が素早く駆け寄り、籠からチョコレートを手渡し、三人が立つ場所を教えた。
こうして大騒ぎの中で、皆が立つ場所へ移動した。
すると皆は全体で三列となった。
最前列は最も小さなローソク台を持った子供達が、二列目はやや大きなローソク台を持った子供達が並んだ。
そして一番後ろの三列目には大きなローソク台を持った大人達が並んでいた。
「はーい、大変早く、しかも大変良くできました。皆さんは、ちゃんとローソク台の小さな順に上手に並んでいます」
インストラクターのお姉ちゃん先生が、満足そうににっこりしながら答えた。
最後列には、何故か太郎や長老や修験者や村長達も子供達の親達と一緒に並んでいた。
これもこれもエアロビクスの先生が皆に見せたダンス実技のお蔭である。
生のまま目の前で見せられて、爺さん達や太郎達までが圧倒されて、その後は言われるままに素直に従ってしまっていた。
エアロビクスの先生は、大広間の下座にひとり立っていた。
上座には、老若男女の大勢の楽団が立ち並んでいて、1人向かい合っている先生は、まるで指揮者のようだった。
「はーい、これで私達の音楽隊も、本物の楽団のようになりました・・・・」
ところが、エアロビクスの先生が話ているのみ、最前列の三女は、ジッとしておれず、手のローソク台の中をいじったり、揺らしたりしていた。
「はーい、このように楽団が揃ったところで、皆さんに質問いたします。
私達の音楽隊は、いったいどんな音楽隊でしょうか?
分かった人は手を上げてください」
「アーアーアーアーアー!」
突然、1人の若い母親が、ソプラノみたいに歌いながら手を上げた。
「私は高校生まで合唱部でした、皆で歌うんだと思います、アーアーアー!」
皆はその堂々とした声にド肝を抜かれた。
先生は笑って首を振りながら、
「いえ、残念ながら違います、合唱ではありません」
すると続いて若い父親が、笑いながらローソク台をラッパのように持ち上げて、
「こんな風に音を出すんじゃないかな?」
とラッパを吹く格好をしながら冗談混じりに言った。
先生はまた笑いながら首を横に振って、
「いえ、残念ながら違います、でも、先ほどのお母さんよりは正解に近いと思います。人の声でなくローソク台を使う点が当ってます」
」と先生が褒めると、男性達から冷やかしの完成が上がった。
「はーい、皆さん、答えにかなり近くなっています、後一歩で正解です、さて、どんな楽団かズバリ言える人はいませんか?もう、薄々分かった人もいるような感じですけど・・」
皆は、互いに顔を見合わせていた。
その時、ローソク台の中をいじる事に夢中になっていた三女が声を上げた。
「あっ、剥がれた!中の玉を貼り付けていたガムテープが剥がれた」
大きな声だったので、皆に聞こえた。
「シッ!静かにしてなさい、先生の話をちゃんと聞いてなさい」
姉妹のお姉ちゃん達が、後ろから肩や背中を叩いて注意した。
エアロビクスのお姉ちゃん先生も、話を中断して最前列の三女に目を向けた。
三女はローソク台の穴の中を夢中になって覗き込んでいた。
そして、ローソク台の中のガムテープが外れた玉が振り子のようになっているのに気づいた。
すると、その振り子を壁に当てようと、ローソク台を横に強く揺らした。
「チチチン、チチーン、チチーン、チチーン!」
小さな風鈴のような、また熊鈴のような音が出た。
「シッ!駄目駄目止めなさい、静かにしなさい」
姉達が慌てて三女の背中を叩いて止めようとした。
ところが、最後尾の長老と修験者は大喜びで様子を見ていた。
「おお、またまたやってくれるようじゃ」
「おお、いいぞ、いいぞさあどうなるかのう?」
爺達は、耳元で嬉しそうに囁き合っていた。
皆は、エアロビクスの若い先生がどうするのだろうとヒヤヒヤしながら見守っていた。
三女は最前列の左端にいた。
ハナとハナナは二列目にいたが、中央近くだったので三女からは離れていて注意できなかった。
「ああ、早く両親が止めればいいのに」
ハナが言うと、ハナナもうなづきながら、
「そうよ、姉妹の言う事を聞かないんだから、両親が止めるべきよ」
と言って、最後列にいる両親の姿をさがした。
すると、父親は何か困ったような顔をしていたが、母親は何故かにこにこしていて全く気にしている様子が無かった。
「えーっ、どうなっているの?」
ハナとハナナは信じられなかった。
「ああ、そうだ!ママさんと水族館のお姉さん達も世話していた家庭だから、あの二人なら止めるかも?」
とママさんとアユ姉ちゃんの姿を探した。
二人も最後列だったが、三女の真後ろだった。
二人なら三女を諌めるかもと、二人の顔を見上げると、二人ともにこにこしていて三女の迷惑行為を全く気にしている様子が無かった。
「えーっ、どうなっているの?この村の大人は、子供を注意しないの?」
と、ハナとハナナは理解できなかった。
そうこうしている内に、突然、
「あーーっ、ホッホッホー、ハッハッハッハー」
と、意外にもエアロビクスの先生が大笑いした。
「ホホホホ、一番小さなお嬢さんが、正解を当てたようですね、言葉には出していないけど、言葉よりも事実で答えてくれたようですね、何とも意外な結果でした、ホホホホホ!
正解と言う言葉を聞いた太郎とハナ達が、三女のように、自分達の持っているローソク台の空洞を覗き込んだ。
ハナ達は、やや大きなローソク台を持っていた。
太郎は巨大なローソク台を持っていたが、それは、元々木花咲姫の物で、あまりにも重いので姫に代わって、男の太郎が持っていた。
アエロビクスの先生が話を続けた。
「はーい、と言う訳で、この小さな女の子が正解を当てたようですが、まだ言葉には出していません。なので誰か言葉に出して、この楽器の名前を当ててくださーい」
ローソク台の空洞を覗き込んだ太郎やハナ達は、三女が言ってたように、中に振り子のような物が、壁にガムテープでくっ付けられているのに気づいた。
ガムテープを剥がすと、振り子が自由になって、ローソク台を振れば壁に当って音を出す事が分かった。
「はーい、誰か早く楽器の名前を当ててくださーい!」
エアロビクスの先生の声が聞こえると、太郎がいち早く声を出した。
「分かりました、これは鐘です。お寺の鐘です。それを小さく持ち運べるようにした物です。だから、答えは鐘です」
すると、ハナ達も声を上げた。
「これは鐘ではありません。これは風鈴です。風鈴を大きくした物で、風ではなく人の力で鳴るようにした楽器です。なので鈴です。鐘ではありません」
「ホホホホホ、素晴らしい解答が出てきました。ひとつは鐘ともうひとつは鈴です。どちらも当っていますが、半分しか当っていません。あと一息です。
どなたか、百%正解の答えを、出してください」
すると、低い声が聞こえた。
「それはハンドベルじゃ、ワシ等は手鈴と呼んでいるが」
村長の声だった。

(つづく)

菜食の薦め (その 5 ) 塩分と肉

2023-10-19 22:16:32 | エッセイの部屋

前回のブラジルのシュラスコ料理店で書き忘れた事があった。
それはカピバラの事だ、よく日本で冬になるとnhkテレビ等でカピバラが湯を浴びる映像が紹介される。
ところが、そのカピバラが、ブラジルのシュラスコ店で、始めに出て来る安価な肉の中に含まれている。
そう、何故か真っ先に、鶏の肝と一緒にカピバラの肉が出てくるのだ。
私はカピバラがネズミの一種と聞かされたので、全く食べる気がしなかったし、一度も食べた事も無かった。
が、一口ぐらいは試しておけば良かったかも?
そんな事よりも、実はもっと大切な事を書き忘れていた。
それは中国の高原地帯のチベット自治区のチベット民族が短命な事だ。
私はチベットは熱心な仏教国だから、菜食で長命だろうと思っていたら、事実は全くその反対で、著しく短命だった。
その一番の原因が塩分でバター茶に塩を入れるためだった。
それに高冷地のためヤクや羊や牛等の肉食が多くて野菜や果物はあまり食べないようで、私が思っていたイメージとはかけ離れていた。
一応主食は稲作ができないので、大麦や小麦の粥が主食。
バター茶を飲む習慣は、チベット周辺のブータンやネパールでも共通で、塩分の取り過ぎが短命の要因となる。
チベットでは、やはり塩分の取り過ぎで、高血圧や心筋梗塞や突然死で短命となっていた。
おまけに野菜や果物や魚も十分食べていない。
これは、前回紹介した中国の遊牧民族のカザフ族と同じだ
(前回の内容 短命 カザフ族(アルタイ地方)羊の遊牧生活 野菜果物は食べない 高塩のバター茶を多飲む 高血圧、脳溢血で短命)
世界的に見ても、塩分の取り過ぎ民族は短命で、塩分をあまり取らない民族は長命のようだ。
日本でも以前冬に漬物を大量に食べていた東北地方では脳そっちゅで短命の人達が多かったようだ。
塩分を打ち消す食べ物
野菜、果物、ナッツカリウムの多い物、バナナ、メロン、アボカド ホウレンソウ薩摩芋 大豆等々。
私もこの事を知ってから、今回、野菜だけでなく果物もヘルパーさんに皮をむいてもらってたくさん食べる事にした。
と同時に、ヨーグルトも中にキナコやゴマを混ぜて毎日食べる事にした。
これは本の中で紹介されていた長寿の「令和食」を参考にしようと思ったからだ。

令和食の特徴は、
1、野菜と果物をたくさん食べる。

2、塩分は少な目に。

3、脂肪も少な目に。

4、ご飯、魚、大豆などをバランスよく。

5、マゴハヤサシイヨを食べる。

これは、豆、胡麻、若芽、野菜、魚、椎茸、芋、ヨーグルトの頭文字を並べたものである。
詳しくは次回に、
ここでブラジルで感じた別の話題に触れる。
どうやら肉食が多いと、夜の夫婦生活も頻繁になるようだ。
私の接していた既婚者の人達もそうだったが、
日本人同市の若い夫婦が、週一回、老夫婦が月一回と言っているのに、ブラジル人夫婦は、若い夫婦はほぼ毎日とか、老夫婦でも最低週一、2回とか、告げていた。
肉食が性的欲望を高めるのだろうとおもった。
それは男性も女性も同じらしい。
ブラジルでは夫婦でも恋人同市でも、いつも一緒にいて、日本人のように離れて住む事はほとんどない。
それは女性を1人にすると、必ず他の男性が誘い、女性が気に入れば浮気されるからだ。
なので女性の浮気は、日本では女性側が避難されるが、ブラジルでは包っておいた主人や男性の方が悪いと避難される。
アメリカでもクリントン大統領の若い秘書との浮気がマスコミを賑わした。
やはり、肉食が多いと性的欲求が強くなり、菜食が多かった日本人に比べて、浮気的な行動が多くなると思った。
例えば、最近の日本人中年層に多い少女の盗撮問題についても、外国人には理解できないと言うようだ。
つまり、そんな程度では満足できないと言う訳だ。
最近は日本人も肉食が増えたので、性的犯罪もブラジルやアメリカ等と同じようになるかも?

ちゃっとgtbで質問すると、肉食と性的欲望は関係性は無いとの答えだったが、

はい、余分な、私が感じていた蛇足的な話で、失礼いたしました

(つづく)