飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

連載小説「幸福の木」 その61 話 鉱山のカラクリ

2010-12-28 23:09:16 | 小説

ユキユキユキユーキ、はい、雪いっぱいでーす。誰でしたかね、今年は暖冬だって言ってたのは?
そのウチの先生、原稿が遅くて、体調悪いとか、61回だから、紅白の日にするとか、訳の分からない事を言って、結局、今年一階分を免れようと言う魂胆みたいで、はい、あっし弟子の飛騨の小路 小湧水が代わりにお詫びいたします。はい、今年最後の回と言うことで、よろしく願います。はい、来年ももちろん続きます。
ところで、ウちの先生、パソコンを新しくしたみたい。テレビを見てますよ。それに、光回線になったもんだから、図書館の本を直接ダウンロードして聞いているようです。
pcもソフトも古くなったから、と言ってましたが、脳細胞や体はどうなんでしょうか?まあ、様子を見ることにしました。
はい、長々と余分なことに時間を取りました。では、早速、開幕といたします。はい、では、開幕、開幕!!

61 鉱山のカラクリ

「ああ、ただいま!遅くなってしまった。ついでに大きい方もしてきた。お陰ですっきりした。なんだか、頭もさえてきたみたいだ。あれっ!ハナは?」
部屋にもどるや、太郎が聞いた。
夫婦と息子は、一瞬品のない太郎の話しぶりにたじろいたが、すぐ笑顔にもどり、
「はい、もうもどると思いますよ。女性用の化粧室へ案内していますので」
と奥さんが答えた。
すると、まもなくハナ達がもどって来た。ところが、一緒にもどって来た若い奥さんが、
「あれっ!この部屋って、なんだかケモノの匂いがするわ。そう、犬とか猿とかいう・・・」
と言って、鼻をクンクンさせながらフスマの方へ近づいていこうとした。
「あっ、ああーっ!それは、」
太郎があわてて遮った。
「あらっ、どうしたんですか?」
主人夫婦と息子や番頭夫婦が太郎の反応に驚いて問い詰めた。
ケンやゴクウがフスマの向こう側に隠れている。ハナもあわてた。
「ああ、太郎兄ちゃん、臭いわよ。もう何日も風呂へ入っていないわ。それに、着ている物も洗濯していないわ。そうだ、洗濯をしなきゃ。あの、風呂や洗濯ができますか?」
ハナは大声で言うと、話題をそらそうと、太郎の着物の匂いをかいで顔をしかめた。
両夫婦と息子は、少し驚いた様子で、顔を見合わせていたが、やがて奥さんが、
「ああ、そうでしたか?私は気づきませんでした。もう何日も?それなら、ここには温泉もありますから、どうぞ、ゆっくりつかって体を心行くまできれいにしてください。代わりの着る物も用意しますから」
と言って、若い奥さんに案内するよう指示した。
今は昼だから、温泉は誰も使わない。一応、兄弟だから、と言うことで、太郎とハナは、一緒に洗濯もできる大きな浴場に案内されることになった。
そこは、部屋から廊下を歩いていって、一番奥の場所にあった。
廊下から戸を開けると、天井も壁も岩で囲まれた大きな浴場となっていた。天井に開いた穴からは、光が射しこんでいて浴場全体を明るく照らしていた。
「ここが、温泉です。昼間は誰も来ないから、ゆっくり洗濯もしてください、終わったら部屋におもどりください。私はこれで失礼します」
と言うと、若い奥さんは退いた。
「ああ、やばかったな。ゴクウやケンの匂いをかぎつけられたぞ」
風呂の湯につかると、ひと安心した太郎がハナに言った。
「ああ、私もあせったわ。ケンもゴクウもここへ来て風呂に入らないと、また匂いで見つかってしまうわ」
とハナが答えた。
「心配しなくてもゴクウのことだ。すぐ、ここへ来るさ」
と言って、太郎が、のんきそうに湯で顔を洗っていると、案の定、岩陰から、黒い影が現れ、ケンとゴクウが姿を見せた。
「あっ、ゴクウとケンだわ、よくここが分かったわね」
ハナが声をかけると、
「ええ、私達は家の廊下じゃなくて、外へ出て、温泉の匂いを探してここまで来ました。早速、ケモノの匂いを落とします」
と言って、ゴクウとケンも風呂へ飛び込んだ。
「わーっ、洞窟の岩風呂だ、なつかしいな。前にもよく入ったよ」
ゴクウとケンと太郎は大喜びでふさげ合って遊んでいた。
ハナも昔を思い出して、すっかりその頃の気分にもどっていた。

「さあ、洗濯も終わったし、あとは乾くのを待つだけだわ。代わりの着物を着て、家の外を案内してもらいましょう」
とハナは機嫌良さそうに皆に言った。代わりの衣服は、絹のきれいな浴衣のようで、ハナはすっかり気に入ってしまった。
「ハナさん、太郎さん、気をつけてください。いつも一緒にいて、決して離れ離れにならないようにしてください」
とゴクウが真面目な顔で言うと、
「ああ、ゴクウも疑い深いな。親切な人達ばかりだから、心配ないよ」
と太郎は笑って相手にしなかった。
「じゃあ、私達は行くわ。、いつでもゴクウさん達を皆に紹介してあげるから、その気になったら、姿を現してね」
とハナも安心しきっている様子で、ゴクウとケンを残して、太郎と一緒に廊下に出て、部屋にもどった。
「あらあら、お帰りなさい。まあ、なんてお似合いでしょう。とてもきれいだわ。ちょっと皆さん、ハナさんを見て」
と奥さんの言葉に、皆がハナを見つめた。
ハナは真赤になりながらも、息子の熱い視線を感じていた。
「では、早速、この家の外、まあ洞窟の中ですけれど、ご案内いたしましょう。ハナさんには息子が、太郎さんには番頭が説明します」
と主人が言うと、ハナと息子を先頭に、太郎と番頭が、そして若奥さん、主人夫婦との順で廊下に出て、家の玄関から外に出た。
外はとても大きな洞窟だった。上の方には所々穴が空いていて、光が射し込んでいた。暗い所には松明のような灯りがあって、歩くのに不自由しなかった。
「この先は二つに分かれています。右の洞窟には、花畑や動物園や魚園があります。左の洞窟には、鉱石から金や銀を取り出す仕事場があります。私は右側の花畑を担当していますので、是非ハナさんに見てもらいたい物もありますので、右の洞窟へまいりましょう」
と言うと息子は、ハナの手を取って、右側の洞窟へと案内した。
ハナは、後ろの太郎を振り返って、ついて来るよう目で合図すると、息子の手に引かれて進んで行った。
太郎もその後を付いて行こうとすると、番頭が手を引いて、
「太郎さん、この二つの洞窟はすぐまた一つになります。太郎さんは、花なんかより、金や銀に興味ありませんか?もし、ほしければいくらでも差し上げますよ。やはり男なら、金や銀の取り出し方の方が興味あると思いますが・・・」
と言って左の洞窟を勧めた
太郎は男ならと言われ、さらに金をくれると聞いて、迷うこと無しに、
「そっ、そりゃそうだ。花より金だ。さあさあ、俺達は左の洞窟へ行こう」
と、太郎が先頭に立って急いで行ってしまった。
残された若奥さんと主人夫婦は、満足そうに微笑んで目と目で見つめ合うと
「さあ、これでひとまず安心だわ。私達は次の準備をいたしましょう」
と言って、家の方へもどってしまった。
しばらくすると、ゴクウとケンが姿を現した。
「あれほど言ったのに、本当にしょうがない太郎さんだ。ケン、お前はハナさんの方を頼む。私は太郎さんの方を見に行くから」
と言うとゴクウとケンは左右に分かれて洞窟へ入って行った。
ハナの案内された右の洞窟には、天井から光が射し込み、水が小さな滝のよう
に注いでいた。さらに、温泉熱のためか洞窟全体が温かくまるで温室のようだった。そこに、無数の花や緑の葉が茂っていて、細長い洞窟全体が花の街道のようだった。
「わーっ、きれいなお花がいっぱい!」
ハナは、生まれて初めて見る花々に、もう夢中になって見とれていた。そこは、まぎれもなく花の天国だった。
「わーっ、きれい!これも、これも!」
ハナの歓声は止まらなかった。
「あの、よかったら、好きな花をこれに持って帰りましょう」
息子は優しい声で、籠を差し出した。
「ええーっ、ほんと?それじゃ、この花と、うーん、あの花も」
ハナは少し甘えたような声で、指さした。息子はそれ等の鼻を鎌のような刃物で切ってハナに渡した。
「わーっ、いい香り!」
ハナはうっとりして、目を閉じてその花の香りをかいでいた。
その様子を遠くから見ていたケンは、うなり声を出そうとしたが、がまんした。
一方、太郎はと言えば、
左の洞窟をどんどん自分から先頭に立って進んで行った。洞窟はそんなに大きくなかった。天井も手を上げれば届きそうな高さだった。。暗い洞窟内には一定間隔で松明が燈してあって、壁の所々が黄金色に光っていた。
「あれっ!番頭さん、これって金ですか?小さいけれど」
太郎が立ち止まって壁を覗き込んだ。
「はい、そうですよ。この洞窟はもう掘り終わったものです。掘っていた時は、もっと大きな金塊が出ましたよ。拳ぐらいの塊もありました。このずっと先に未だ掘っている場所があります」
と番頭が説明すると、太郎は俄然やる気が出て、
「ええーっ、このずっと先?本当ですか?それじゃ、急ぎましょう」
と、まるで駆け出していた。
洞窟は下り坂になっていたため、駆け足の太郎も疲れなかった。が、それだけ山の中の地下深くに進んでいたのだった。
かなり進んで、もう飽き飽きした頃、何か、水が大きな部屋を落ちるような音が響いて来た。
「あれっ!番頭さん、あれは何の音ですか?」
「ああ、あれこそが、ここの鉱山の最大の秘密場所です。金塊ばかりならいいんですが、石の中に含まれている金は取り出すのが大変です。昔は大勢の人が金槌でその石を砕いて、砂のようにして水で重い金を底に沈めてという方法で集めていましたが、私達の先祖がこの洞窟を発見してからは、そんな面倒なことをしなくても、大量の金を取り出すことに成功したのです。それ以来この鉱山には私達の親族だけでやってゆけるようになったのです」
と番頭がまるで暗誦しているように説明した。
太郎にはそれが、どう言うことなのか、さっぱり分からなかった。口をポカーンと開けたまま立っていると、番頭は苦笑しながら、
「いえ、これは、失礼しました。何はともかく、その洞窟をお見せいたしましょう」
と言って、洞窟の脇にある通路からその音のする方へ案内した。
通路を出ると、大きな空間の洞窟になっていた。しかも縦長である。上から光が射していた。
「わーっ!何だ、ここは、まるで立てた大きなドングリの中みたいだ。わっ、深い、こわい、底に落ちたら命はないぞ」
太郎が叫んで、底を覗いた。
「立てたドングリの中、とは、うまく言ったものです。本当にその通りです。ここは昔はあの天井の穴から水がすごい勢いで落ちて来ていたのです。底は滝壺なんです。今は少しの水が流れて底の穴から出ていってますが、・・」
と番頭は説明しながら、近くの穴に重ねてあった縄のような物を出して来た。
「何ですか、それは?」
と太郎が聞くと、
「はい、これは下へ下りる縄梯子です。私達はこれで底に降りて金を集めるのです」
と言って、それを放り投げると、梯子が底に達した。
「ええーっ!このドングリ底に金が有るの?でも、どうして?」
太郎はいまいち婦に落ちなかった。ひょっとしたら自分をこの底に置き去りにする罠ではないかと頭をよぎった。
「ええ、実は梅雨時になると、この上の穴から水が勢いよく落ちてきて、ここは地下の滝になるのです。私達はその頃、この滝壺に金の含まれた石を投げ込んでおくのです。すると、この滝壺に水が落ちてすごい勢いで石を拡販します。石同士が互いに砕き合って砂になり重い黄金がこの底や水の出口の底に貯まるのです。今年はもう作業も終わりました。今は誰もいませんが、確か、未だ底には取り残した砂金があるはずです」
と言うと、番頭は黙って立っている太郎の前の縄梯子をどんどん下りて底に着き、何かを探し始めた。
「あっ、やっぱり、あった!」
と言って、掌いっぱいの砂を太郎に向かって広げた。それは黄金色だった。
「ええーっ、それって金?」
驚いた太郎は、あわてて縄梯子を下り、滝壺の底をまさぐり始めた。底には薄く水が張っていた。その底の表面の砂をよけると、まさしく黄金色の砂が出て来た。
「わーっ、金だ、金だ!」
太郎は夢中になって、掌で砂金を集め始めた。
「ああ、けっこうたくさん残ってますめ。太郎さんもずいぶん集めましたね。そうだ、何か入れる袋を持って来ます。確か上に置いてあるはずですから」
と番頭が言うと、太郎は、
「袋?それはいい。はっ、早く取って来て」
と番頭を急かした。番頭は、、梯子を上り始めたが、太郎はわき目もふらず、夢中になって砂金を集めていた。
ところが、番頭は縄梯子を上り終わると、腰をかがめてゆっくりとその縄梯子を引き上げ始めた。太郎は全然気づかないで相変わらず砂金を集めていた。
その頃、主人夫婦は部屋をきれいに飾りながら、話し合っていた。
「あの男の子は、かわいそうだが、仕方がないな。本来なら、女の子だけが来る予定だったんだから、まあ、これも運命と思ってあきらめてもらうしかない。昔なら、鉱山労働者として生かしておく手もあったが、今では、人手もいらないからな。ここの秘密を知ったからには外でしゃべってもらっては困るからな」
その主人の話しに奥さんは黙っていた。
「それよりも、息子はうまくあの子の心を掴んだかしら?でないと、こうした今夜の宴会も無駄になるから」
と少し心配そうだった。

ハイハイハイハーイ、とうとう時間となりました。いや、太郎さん気をつけて、ハナさんもだまされないように、てな訳で、今年も以上でおしまいにいたしたいと思います。はい、多くのお運びをいただきまして、厚くお礼を申し上げます。
来年もより以上のお運びをお願いいたしまして、ごきげんよう。はい、よいお年を!!





鶴の真のインフルエンザ対策!

2010-12-27 12:10:34 | 農業

九州の鶴の越冬地で鳥インフルエンザが流行っていると言う。集団でいるから感染が心配されている。
でも、考え方によっては、鶏より幸せかもしれない。近くの鶏は一羽でも感染が見つかれば、集団全体が絶滅させられてしまう。あの口蹄疫対策の牛達のように。
が、鶴は保護対象の野鳥であるため、そういうことを免れる。
大自然の営みだ。なんとかうまくいくだろう。
例えば、害虫に食べられてしまうと言って、心配した農家は消毒するが、大自然の営みにまかせている自然農法の田畑では、益虫やカエル等が害虫を食べてくれて、稲や作物は、少し収穫が減るだけで、全滅することはない。
野鳥の絶滅の原因は、干潟埋め立てや越冬に適した昔ながらの田畑等の環境破壊だ。
むしろ、これを機会に鶴が分散して越冬できるように干潟や、自然伝を復活してほしい。コンクリート農ちや農薬使用を見直して)
話しは違うが、冬の野鳥を思うと、あんな寒風の中で、よく寒くないのかと感心する。
しかも、軽そうな上着だ。それはそうだ、シベリアから飛んで来るのだから、軽くなければ疲れて海に落ちてしまう。
おそらく極限の軽装兼保温構造だろう、
数千、いや数万年、いや、億年かもしれないが、そうした年月で進化した最適の構造のはずだ。
だから、ここには、未だ発見されていない大自然の知恵が隠されているかもしれない。肌から雨に濡れる表面まで、産毛等々、その羽の細かい構造を研究したら、軽装で保温ばつぐんの新しい防寒着が見つかるのではないだろうか?なんて考えてしまのは、実は、昨日、あまり寒かったので、安売り店でフリーツ生地の上下をまとめ買いしてきたからだろう。と言う前書きで、あるテーマを述べようと思ったが、時間がきたので、以上で留めた。


ホワイトクリスマス バロック音の朝コーヒー

2010-12-25 10:51:57 | 俳句

バロック音に カーテン開けば 白クリスマス  湧水

朝、目が醒めると窓が白く光っていた。
カーテンを開けると、見渡すかぎり純白の景色だった。
ホワイトクリスマスである。
ガウンをハオッテ、、あわてて玄関に降りて、の鍵をおろし外に出ると、一面白雪が敷きつめていた。
しゃがんで手に触れると、七、八センチの厚さだ。
真綿のようなホワホワの感覚で、まるで六角形の結晶が見えそうな隙間ばかりの雪だった。
立ち上がると、ほてる頬を清清しい冷風が撫でた。
冷えないうちにと、玄関にもどり、暖かい二階の自分の部屋へもどった。
再びカーテンを開けた。絹のレースの内カーテンである。
こんな日のために、と思い出してバロック音楽をかけた。
図書館から借りたcdで、おそらくバッハだろう。いや、ヘンデルかな?それともビバルヂィ?図書館のネエチャンが知っている、
何はともかく、この日を逃がす手はない。ヴァイオリンの音が部屋いっぱいに響いた。
もう、完全に我が家は中世のヨーロッパの洋館でのホワイトクリスマスになった。
その大きな城のような洋館にいるのは私ひとり。召使が作ってくれたピッザを暖めて、モカのコーヒーの香りと共に朝食をした。
幸い土曜の休日のため、周囲は誰もこの雪を掻き分けてまで、家を出ないし、車も通らない。
バロックは特にバイオリンの音色がいい。
若い頃はソプラノ歌手のような高温の単音?をのみ好んだが、近頃は低音の重恩?にも惹かれるようになった。熟女って感じだろうか、
何はともかく、日本の飛騨の山中から、一挙にヨーロッパの森へ飛び去って、ごった煮ナベのような日本政界を捨てて、ロスチャイルドやロックフェラーと言った立場になったつもりで、広く長期的な視野から世界経済を眺めようと思う。
そう言えば、私はショパンは近年よく聞いたが、モーツアルトは全然だ。モーツアルトを根底から知るために生まれ地ザルツブルグに滞在して曲を聴いたら、よく分かるのではないか。
なんて思っていたら、その風景がそっくりの場所が日本にあると言う。しかも、近くに、
そう、富山県の黒部のうなずき温泉らしい。ある喫茶店がモーツアルトづくしだとテレビで紹介していた。
そこへ行けるかどうか分からないが、この雪の陸の孤島状態を逆手に取って、さらにグローバル経済の本を読勧めることにしよう。
あっ、cdが終わってる。もう、昼、

白クリスマス バロック音破ぶる 雪かき爺  湧水

ちょっとツイッター調になってしまって失礼、ついでに、
私の元、片想いは、皆不倫?して結婚してしまって、孫までいるらしい!


珍説!飛騨に竜馬や子規が生まれない訳! 有名作家歌人俳人のいない理由

2010-12-23 22:45:12 | エッセイ

「湧ちゃん、これからホテルへ行きましょう!」
突然の誘いに、湧水は驚いて、あせった。
「えっ、まだ昼だよ」
思わず口に出た。すると、彼女は、
「私、今日は昼間がフリーなのよ。夕方からは駄目なのよ」
と、ハンドルを握ったまま、わき目もふらずアクセルを踏み込んだ。
湧水は今朝急いで清掃着を着たまま車に乗ったので、サイフもお金も持っていないことを思い出した。普段はジャケットをはおって来るので、いつも内ポケットにはサイフか何枚かの万札が入っているが、今日はそのジャケットを着ていないのだ。
朝サイフを持って来るのを忘れたことに気づいた時、こんな日にかぎってお金のいることが出てくるんではないかと嫌な予感がしていたが、果たして、その予感が当たってしまった。まずいな、文無しじゃ、話にもならない。そう思うと、湧水は、
「あの、今日は金を持って来ていないんだけど・・・」
と口をにごらせた。すると、反応早く、
「ええ、大丈夫よ、ワリカンでいきましょう」
と何のくったくも無い言葉が返って来た。
えっ、ホテる代をワリカン?そうか、若い時なら考えられないことだが、熟年と言うか、大人の付き合いなら、やはりそう言うことだろう、湧水はすぐ、納得がいったものの、そのワリカン分すら持ってきていない。しばらく返答に困っていると、
「彼女は返答がないのに、いぶかしんで湧水の顔に目を向けたので、
「実は今日はジャケットじゃ無いので、お金が何もないんだ」
とあわてて答えた。
彼女はすぐ、目を前方にもどし、しばらく運転していたが、やがて、
「何だったら、私が立て替えておくけど・・・」
と、少し低い声で言った。
その言葉を聴いて、湧水は内心動揺していた。
普通男がお金や車や場所を選ぶ、なのにこれではまるっきり反対である。まるで自分が小娘のようではないか。
そんなことを考えているので、返答が遅くなってしまった。すると、彼女が、
「ああ、お金を借りてまで、食べるのは嫌なの、それじゃ、また別の日にしましょう、私今日は孫の面倒見なくてもいいから、一人で昼食を食べるのよ」
と言って、ホテルへの道から大きくカーブした。
「???????昼食バイキング、飲み食べ放題○○円?」
「なーんだ、昼食の話か?」
湧水の額と首には夏でもないのに、しっかり汗をかいていた。
と言うことで、別に何でもない話しなのだが、ここに、南飛騨人の、私が強調したい最大の特徴がある。これはその特徴が為せる誤解なのである。
その特徴とは省略である。俳句の話しではない、俳句ならば省略は褒めるべきところであるが、一般会話での省略は忌むべきことである。外国へ行った人ならば分かると思うが、誰が?何処で?と言うことが抜けたら、話が通じない。いかなる時にも、必ずそれは表現しなければならないのであるが、南飛騨弁はそれが省略されてしまうのである。昔、学生の時の私もそうであった。東京などの標準語を聞くと、なんとまあ、長ったらしい会話なんだろうと、頭が悪いのじゃないかと少し軽蔑したくらいだった。
かくもそのように、誰が?どこへ?いつ?等を省略してしまうのである。
私などが、最近、知り合いのお年寄りのお婆さん等に会うと、
「どうだった?」
と言う声が飛んで来る。目の悪いわたしはアイコンタクトができないから、誰に言っているのか分からない。それで、黙っていると、
「ねえ、どうだった?」
と声を荒げる。そのうち私にもその気迫が迫って来て分かるのであるが、なぜ、
「湧水さん、こんにちは、私○○だけど、この前会った時、ホテるの昼食バイキングを紹介したけれど、確か翌週に行くと言ってたけれど、どう、行って来たの?それで、どうだった、感想は?」
と長々と言えないのか!
いくら感が良くても、ただ「どうだった?」だけを、いきなり大勢の人ごみの中で言われただけで、これだけの内容を察せよと言う方が無理だと思うが、
こうした会話が南飛騨には飛び交っている。特にお歳が増えるほど、その傾向はひどくなる。
ある時、バスに乗っていたら、
「あーら、どこへ行くの?」
とおばさんが声をかけて来た。すると、後の席の人が、
「ああ、ちょっと」
と答えて、二人の会話が始まった。
「ねえ、どこへ行くの?病院?あっ、この前、どうなった?」
「うーん、ちょっと大変だった」
「ええーっ、大変だった?どうなった?」
「ううーん、まあ、結局入院で・・・」
「ええーっ!入院?それは大変ね。それで、いつまで?」
「いやそれは分からない、ひょっとしたら・・・」
「ええーっ!、ひょっとしたらって、どう言うこと?」
「・・・だから、もう駄目かも、あと数日だって」
「ええーっ!!それは大変じゃない!毎日通ってるの?」
「うん、毎日じゃないけど、今日はたまたま・・・」
「ええーっ!じゃあ、誰が付いているの?お母さんって店で仕事でしょ?」
「ええーっ!誰のことを言ってるの?」
「だから、この前、熱を出した孫のことよ」
「何、私は隣のお爺さんの話をしているのよ」
と言う具合で、ようやく話しの食い違いが判明したが、もっと早く二人が別れていたら、お見舞いやお悔やみが届いたかもしれない。事実、よく?まちがって届くようだ。
どうして会話に、「誰が?」を省くのか。
話しが変わるが、岐阜や飛騨には坂本竜馬や正岡子規のような有名人がいない。美濃だった岐阜には、かろうじて織田信長や斉藤道三など歴史上の日本中に知れ渡っている人物が一時住んだことがあるが、飛騨にいたっては皆無である。
どうして飛騨だけに有名人がいないのか?隣の似たような地形の長野県には俳人も歌人も大勢いると言うのに?
司馬遼太郎の説によれば、江戸時代に飛騨のような天領だった地域には、藩主が藩校など作って学問等を奨励しなかったため、その風土が無いからと言うが、私は、以上に述べた省略のためだと思う。要はちゃんとした文章で話していないため、文学、歌俳句等、文章を書いたり作ったりするのが苦手になり、表現が下手なため有名になれないのだと思う。
唯一、有名な人と言えば、伝説の左甚五郎であるが、言葉や文章の代わりに彫刻で表現できたからである。
と思うが、いかがでしょうか?確かに、飛騨にもどった当初、あまりにも省略の会話を投げかけられると、以上のように腹の立つこともあったが、最近はむしろ喜んでいる。しめしめと言う具合に。
つまり、有名人がいないと言うことは、それだけ我々に有名人になるチャンスがあると言うことだ。と言う訳で、かく言う私も、飛騨の有名な俳人や作家を目指している。早い者勝ちじゃないけれど、大いにそうじゃないかと思っている次第で、



やや暖かな冬至 雨で厨でにわかシェフ

2010-12-22 18:26:29 | 俳句

冬至なので取っておいたカボチゃを煮た。
ついでに、サツマイモやタマネギも蒸した。そのタマネギは水を加えてミキサーにかけ、コンソメと少々の塩醤油で味を付け、スープにした。
白菜の切り漬けもして、大根の葉を湯がいて、細かく切ってフライパンで醤油味で炒めた。何故なら、貴重な自然農法の大根だから。昨日は発見した大豆で煮豆も作った。
こうして、書き連ねると、自分でもよくやると自分に感心する。
そう言えば、この前、友人に市販のキャベツが化学肥料臭いので食べずに捨てたと言ったら、気の毒に思ったのか自然農法のキャベツ一個をくれた。やはり、比べものにならないほど美味しかった。生のままでお菓子の代わりになるくらいだった。
、近頃、若い女性の乳癌や子供の癌が多いのは、自然の新鮮な野菜を無添加のままで食べないためだと思う。
サツマイモのふかし芋は明日、誕生祝いにお供えしようと思う。
既に薔薇を?千円分注文し、ガラスの粋な花器に生けてもらっている。

ヴィードロに 溢れ華やか 師走薔薇  湧水

かいがいしく くりやで料理や 師走雨  湧水

冬至雨 南瓜づくしの にわか主婦  湧水

今年また 薔薇と並んで ふかし芋  湧水