飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

遅ればせながら日本! カーボンニュートラル

2020-10-29 15:50:26 | 発明アイディアの部屋

最近、ちょっと嬉しいニュースがあった。
菅総理が、2050年までに日本のco2排出量をゼロにすると宣言した事だ。
ようやくにして日本の旧い体質の政界が、世界の潮流に乗ったと思った。
既に英国、ドイツ、フランスヨーロッパ先進国は2050年のco2ゼロ宣言をしており、世界中の77国もその宣言をしている。
またco2大国の中国も、つい先月に2060年ゼロ宣言をして、ついにわが日本も中国に追い抜かれ、ますます世界の先頭集団の末端から遅れてしまった。
どうした日本、かつての誇りはどこへ行ったのか?
アメリカはトランプ選手になって大会放棄しているが、今度の選挙で選手交代すれば、あっと言う間に先頭集団にもどる。
そんな昨今の世界状況の中で、幸い、今回の新政権の2050カーボンニュートラル宣言は、遅ればせながらも嬉しいニュースだった。
私も以前に温暖化対策の緊急性をブログで述べたが、それは、これで政界が変わらなければ、もう日本の政治には期待できない!と言う最後通告のつもりだった。(文末に前回の提案を再掲載します、参照資料(1))
それが、今回のカーボンニュートラル宣言となって実現したので、ホッとしている。
今回の日本の宣言に続いて、早速韓国も宣言した。(まだ、アメリカやインドやロシア等が残っているが、いづれそうなると思う)
これで、世界の温暖化防止のためのエネルギー政策の本格的なパラダイムシフトが加速されると思う。
具体案はこれからであるが、未知の新技術開発など新しい産業も生まれてくると言う、未来への希望も湧いて来る。
これこそが、前政権の「第三の矢」だと思う。
これからの具体案では、間違っても原発再稼働などと言う旧政策に後退しないように見守りたいと思う。
ついでに、福島原発のトリチウム汚染水対策については、私が以前に提案した、貯水池案を是非とも参考にしてほしいと思う。

現在、私が一番良いと思う最終案は、
近くに120万トンほどの池を造り、さらにトリチウム半減期の12年貯蔵する。
そして、12年後に海水で世界各国の排水基準値以下に薄めて海へ放出すると言う案である。
この案ならば、近辺海外諸国の理解が得られると思う。
以前に提案した案も、ついでに再掲載します。参照資料(2))
(以上)

参照資料(1)

脱炭素と水素社会へ! 変われ日本! 

先日、日本の経産省が非効率な石炭発電所100基を停止すると発表した。
「いよいよ日本も、ようやくエネルギー政策を転換して脱炭素社会に舵を切ったか?
そして、世界からの不名誉な「化石賞」の汚名を返上する事になったか!」
と喜んだのも束の間、大きな勘ちがいだった。
詳しく見ると、石炭発電に頼る従来からの政府の方針はほとんど変わっていなかった。
100基廃止!と言う誇大宣伝文句に期待しただけに、非常に残念だった。
今、世界や日本の状況を観察すると、前にも紹介した、
「コロナウイルスからの人類への手紙」
の指摘が当たっているとしみじみ感じる。
今や中国やインド等々が加わった世界中の国々の、かつてないco2の大量排出に伴う地球の温暖化によって引き起こされる気候変動が加速している。
そのため日本でも、今回の線状降水帯のような今までにない豪雨災害を始め、超巨大台風、高潮など海面上昇被害が続いて起こり、それ等が年々加速している。
さらに見渡せば、その影響は地球全域に広がり、南極や北極の氷山、ヒマラヤの氷河、シベリア凍土の溶解も、今年から著しく加速し始めたようだ。
また、今回のコロナ渦が起こる前は、オーストラリア、アメリカ、ブラジルでかつて無い地球規模の大規模な森林火災が起こり、その国々では消化などできなかった。
文字通り、地球が悲鳴をあげている!
またプラスチックゴミによる海洋汚染では、クジラ、亀などの多くの海の生き物が今も死んでいる。
今、誰が、こんな地球環境や生態系を無視した文明を止められるのか?
豊かさの名のもとに、金や欲望を煽り、経済優先、便利さ優先の人間中心の、このタガが外れ行き過ぎた文明を、いったい誰が止められるのか?
だから、とうとう天が大自然が、これを止めようと知らせようと改めさせようと、今回のコロナを広げさせたのではないか?
その起源が数千年前に遡る人類の現在の文明は、1700年代半ばに興った産業革命以後、石炭を初め石油等化石燃料を大量に燃やし始めた。
それ等は、地球の大自然が数億年と言う長い時をかけて空気中の炭酸ガスを地中に埋め固めたものである。
それをこの文明は、わずか300年足らずの間に、大量に掘り出し燃やし続けた。
そして、さらに今もその量が増え続けている。
現在の地球の温暖化と気候変動は、そのために起こるのは明らかである。
このまま現状のまま続くはずはない。
いつか止まらざるを得ない事態が起こるのも、明らかである。
人類は、もし存続しようと願うならば、化石燃料使用は停止して、降り注ぐ太陽光のエネルギーの利用の文明に切り換えなければならない。
それは、石炭や石油や天然ガス使用を止めて、太陽光やそれに起因する風力や雨水力森林などの再生可能エネルギーに切り換えなければならなくなると言う事だ。
私達の子孫や人類の将来を考慮すれば、誰かがその事に着手しなければならない。
その意味に於いては、今回の日本の経産省の発表は、情けないくらい画期性がない。
日本には現在140基ほどの石炭発電所があり、その内117基が旧式で効率が悪いと言われる。
今回、政府はその効率の悪い小さな発電所を100基ほど廃止すると言うもので、その代わりに新たな大型石炭発電所を新設し、相変わらず国内需要の3割りほどを発電する体制は変えないのである。
石炭発電所を全廃すると言うヨーロッパ諸国に比べ、一周遅れの感があり、化石賞をまた三度も贈られそうで、日本人として恥ずかしいかぎりである。
この歴史的な人類的な課題に対して、現在の日本では、期待すべき政治家は、ほとんどが「寄らば大樹の陰」で黙っているか、むしろその逆の経済重視の加害者にこそなれ、全く便りにならない。

為せば成る!
原発事故や災害に学んだ我々、地震国日本は、危険な原発や炭酸ガス大量排出の石炭発電を止めて、今後は自然エネルギーを主にすべきである。
そこで為すべき事は、新しい技術の開発を急ぐ事である。
化石燃料に代わって、自然エネルギーを効率良く利用できる新しい技術である。
以前から私は太陽光発電で水を電気分解して、生産した水素ガスと酸素ガスを液化して電機や燃料として利用すれば良いと唱えてている。
液体水素と液体酸素は将来のロケットの燃料にもなる。
また現在のジェット機に代わる未来の飛行機の燃料に利用すれば、成層圏も飛行できるエコな飛行機となる。
水素ガスは、周知のように、燃料電池の燃料として発電でき車や家庭用電源にもなる。
またプロパンガスのように家庭用燃料にも使用できる。
現在は、日本では電力が余った時、太陽光や風力によって発電された電力が捨てられている。(このため民間の太陽光発電や風力発電会社が潰れた)
それは国が規定で、原発や火力発電所の電力を優先して送電線に流す事ができる仕組みになっているからである。(今回の経産省の発表では、この事を見直すと言及していたが、果たして?)
このように捨てられている余剰電力は、水素ガス生産を始めれば捨てる事なく百%利用できる。
日本の水素ガス生産が盛んになれば、それは輸入している石油や天然ガスの代わりに火力発電所でも燃料として利用できる。
これは、太陽光や風力の発電が少ない時の補助的な発電所ともなり得る。
また水素生産は、海外と協力して大量生産が可能で、天然ガスや原油のように運ぶ事ができる。
例えば、中東やオーストラリアの広大な砂漠に共同投資して、太陽光発電で生産した水素ガスを液化して船で日本へ運送する事もできる。
また現在の高圧で液化する方法でなく、新しい低圧の液化方法も見つかるかも知れない。
そうすれば現在のタンカーやタンク車やポリタンクも使用できる。
日本は、今後こうした未来の水素社会実現のための新しい基礎技術開発を、世界に先駆けて国全体で力強く進めるべきであると思う。
そして、世界の脱炭素化の取り組みに於いて一周遅れと言われる不名誉な日本を、トップランナーの地位にまで押し上げるべきである。
日本には、そのための十分な技術力と資金力もある。
無いのは、そうした先見性を持った政治家やリーダーである。
つい最近、神戸大学の光化学の立川研究チームが安価な酸化鉄を使用して画期的な光触媒を発明したとのニュースがあった。
それは、酸化鉄の赤さびの結晶を使って、水を水素と酸素に分解する世界最高性能の光触媒を作る事に成功したとの事だった。
従来のものに比べ10倍の性能があり、将来太陽光を当てれば、低コストで水素が生産できると言う素晴らしい発明だ。
また、旭化成は、既に電力を利用して、アルカリ水の電気分解で水素ガスを製造に着手しており、euのドイツでも共同開発を進めていると言う。
今年の3月に、日本の福島県で水素ガス製造施設を立ち上げた。
それは、再生可能エネルギーを使用した世界最大級の水素製造施設だと言う。
そして、隣接する太陽光発電(20MW)と系統からの電力を使用して、10MWの水電解システムによって、年間最大900トンほどの水素を製造し、貯蔵や供給もすることができると言う。
まだ田舎の私が知らないだけで、他にも素晴らしい技術が有りそうだ。
このように日本にはまだ多くの未来の水素社会を目指した様々な新技術開発の潜在能力が眠っている。
なので、それ等を発掘し、国中のあらゆる企業が「水素社会実現」と言う壮大な夢の元に協力し合えるような統合体制を国の主導で図って、一日でも早く日本から水素社会と脱炭素を実現してほしいと思う。

以上、「コロナ渦に思うこと」より
(おわり)

参照資料(2)

原発汚染水対策(その 4 ) トリチウムの半減期は12年! 逆ピラミッド貯蔵池

前回大切な事を書き忘れていた。
それは、問題になっているトリチウムの半減期は12年だと言う事だ。
この半減期は、原発から出る放射性物質の中では比較的短いものだ。
例えば、セシウム137は約30年、ストロンチウム90は約29年なので、それに比べれば短い方である。
(ちなみにプルトニウム239は2万4千年、ウラン235は7億年、ウラン238は45億年と言われる)
トリチウムの半減期が12年と言う事は、12年経てば放射能は1/にに半減し、24年経てば1/4に減り、36年経てば1/8に減少すると言う事だ。
先日たまたまnhkテレビの「サイエンスゼロ」を見ていたら、福島原発の汚染水問題を取り上げていた。
その中で、現場では処理後の汚染水のトリチウムの放射能を測定していた。
その値は1リットル当たり95万ベクレルで、海に流してもよいと言う国の基準値の16倍だと言う。
これが、6万ベクレル以下ならば海に流せるそうだ。
ああ、これだ!と思った。
もし、現在16倍の放射能の汚染水を12年貯めておけば半減して8倍に減り、24年蓄えればさらに半減して4倍になり、36年後には2倍の量に減る。
2倍の汚染水ならば同量の水で薄めて海に流す事ができる訳だ。
つまり、36年貯蔵しておいてから海に流す、と言う事である。
ここまで努力すれば国内外からも理解が得られ地元で心配されている風評被害も起こらないと思う。
この解決方法が今のところベストだと思う。
この実現のために、それほどコストのかからない前回に提案した逆ピラミッド貯蔵池を検討してみたらいいと思うが、いかが?

(つづく)

原発汚染水対策(その 3 ) 逆ピラミッド貯蔵池?

福島第一原発の汚染水が、現在、海に捨てる方向に進んでいるようだ。
地元の漁業者や住民の強い反対は少数なので押し切られても、前回にも述べたように韓国や世界の環境団体の反対が起こると思う。
「他に方法が無いから仕方ない、皆そうしている!」と言う事だろうが、量が多く日本としても恥ずかしい事だと思う。
このまま何もせず薄めて捨てるより、さらに貯蔵を続けて、その間に日本中の知恵を集めて真の解決策を模索したらどうだろう?
この努力は、今後の世界の原発の廃炉や突発事故の処理のノウハウとして役立つと思う。
さて、そのための方法として、
まず、最も緊急課題の毎日増え続ける汚染水タンクについて述べる。
1、もう敷地は貯蔵タンクでいっぱいなので、近くに巨大な池を造ってそこへ移したらどうだろう?
その案として、縦と横100mほどの地面を掘って、ピラミッドを逆さにしたような貯水池を造る。
これはブルドーザーやダンプカーやショベルの重機があればできる。(もちろん、出た土は周囲に盛り上げるので池の深さが増える)
経費は燃料とまんなわーだけだから、日にちさえかけて急がなければタンク設置ほどのコストがかからないと思う。
掘り終わったら、丈夫なシーとを広く張り合わせて水が漏れないように底部全面に敷く。(掘る時に粘土が出れば、池の底部広くに敷き詰めれば理想的である)

2、この貯水池にタンクの汚水水をポンプでどんどん移動させる。
貯水池の深さは、土質にもよるが50mほどあれば30万トンは蓄えられる。
池が満杯になったら、表面全面を丈夫なシートで覆う。
近年の豪雨はシートの上に貯めて、後日にポンプで排水する。
この方法ならば、豪雨も入る事なく、台風の風や地震にも耐えられる。
この逆ピラミッド貯水池を順番に4池ほど造っていけば、120万トンの汚染水を貯蔵できる事になる。
120万トンと言えば、現在敷地内の1000基ほどのタンクに溜っている汚染水の総量に相当する。

3、この新しい逆ピラミッド貯蔵池に汚染水を貯め続けている間に、真の解決策を見い出す。
これは、今までにない新しい発想が必要だと思う。

4、放射性物質の有効利用
この先は、まだ思案中なので、中途の案である。

(つづく)


紅葉と霜が近き 「霜降」の飛騨

2020-10-27 14:53:16 | 俳句日記の部屋

秋飛騨や 熊はどんぐり 人紅葉(もみじ)  湧水

言の葉に 会わねば来ない わが紅葉(もみじ)  湧水

裏返す 四季や炬燵の 布団出し  湧水

飛騨の四季 裏入る炬燵 布団かな  湧水

長き冬 せまりし飛騨に 新酒かな  湧水

杉玉の 緑のごとく 新酒かな  湧水

食卓に 布団かぶせて 冬支度  湧水

人々に 会えず聞こえぬ 紅葉かな  湧水

尋(たづ)ねれど まだ来ぬ飛騨の 紅葉(もみじ)かな  湧水

来る人に 紅葉の様を 尋ねけり  湧水

熊出でて 秋山入れぬ 散歩かな  湧水

出没の 熊に山路の 人気(ひとけ)なし  湧水

熊出でて 人来ぬ飛騨の 紅葉かな  湧水

朝寒や 父のとっくり 出番待つ  湧水

朝寒の 飛騨や新酒 待ちし父  湧水

いそいそと とっくり出す父 秋の暮れ  湧水

柿むきし 婆座の今年の 秋陽かな  湧水

川柳

踏切の 通過直後の 現金さ  来る前のうるささはどこへ!

早忘れ 通過直後の 踏切かな  列車が過ぎるとあっと言う間に元へもどる。

聞かさるる 蘊蓄、ウンチ ク(食)うごとし  きたない!良い子はウンチクは使わない

若嫁も いつの間にか 祖母と呼ばれ  我が家だけが時間が遅いのかも?

(おしまい)

(続)連載小説 「幸福の木」 その256話 ドングリと「時の洞窟」?

2020-10-25 16:09:31 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす。
いやいや、ウチの先生宅にも大変化です、えっ、便器?いえいえ、そんなシモの話じゃないんです、そう、pc用のプリンターが設置されたんです。
「この小説やいろいろな文を印刷して、母親や子供達に配りたい!」と福祉のパソコンの先生に相談したら、「ウチに使わないプリンターがあるよ!」と無料で設置してくれたんです。いやはや感激!
で、早速、一話づつ印刷して配り始めました。
「後は、もっともっと続きを読みたい!と言う反響を待つだけだ、いよいよ大ブームの始りだ!」なんて「捕らぬ狸の皮算用」してご機嫌です。
はい、てなノドカナ近況で、はい、原稿が届きましたので、早速、小説に参ります。
はい、では、開幕開幕!

256 ドングリと「時の洞窟」?

けっ、バカバカしい、何をもったいぶって大袈裟に言ってるんだ、馬鹿みたいな話だ」
太郎がゴクウくさした。
「太郎兄ちゃん、やめて!ちょっと黙っててよ、皆は真剣に聞いているんだから」
ハナが怒った。
「それだよ、だから真剣に聞く話じゃないって言ってるんだ、ゴクウの奴、皆が聞き耳を立てているからってもったいぶりやがって、要は、洞穴のどこかに天井穴が空いていて、そこにドングリが貯まっていたって話だろ?そんな事、誰でも思いつくわ、もったいぶるなって言ってるんだ、さっさと話せ!俺は忙しいんだ」
太郎が苦々しい顔で立ち上がった。
「・・・・」
馬鹿にされてくさされても、ゴクウは何も言わなかった。
「そっ、そんな事、話は最後まで聞かないと分からないでしょ?」
ハナが言い返したが、自信のない声だった。
「これっ、ゴクウ、太郎の言う事なんか気にしない事じゃ、続きを話してくれ、ワシ達は早く、その先を知りたいのじゃ」
長老が忙しそうに言うと、隣の兄の修験者もうなづいていた。
「ふん、バカバカしい、すぐに俺の言った事が分かるわい」
太郎はそう言って怒ったように立ち去った。
「ほっときましょ、他にする事が無いんだから、すぐにもどってくるわ」
ハナは隣のハナナに小声で言って、互いに笑い合った。
ゴクウは淡々と話を続けた。
「あの、・・それで、ウリ坊の先祖が熊穴の奥の洞窟を隈なく見て回ったんですが、別にこれと言って変わった様子もなく、ごく普通の洞窟だったようで、最後は別の出口があったそうです」
ハナは、離れた太郎の様子をチラチラ見ながらハナナに小声で言った。
「ほらっ太郎兄ちゃんが、知らんふりをして、こちらのゴクウさんの話を聞いているわ、ちょっとからかってやりましょう」
「ああーっ、そうなの、やはり洞窟にドングリがたくさん・・」
と大声で言って小声になった。
すると、案の定、太郎がどんぐりと言う声に反応し動きが止まった。
そして、ニヤニヤしながら近づいてきた。
「ほらほら、やっぱりどんぐりがあったって話だろ?」
どや顔の太郎に、ハナとハナナは毅然と、
「誰がどんぐりがあったって言ったの?どんぐりは無かったって言う話よ」
ハナ達は心の中の笑いを押し殺した。
当てが外れた太郎はえっ?と言う顔をしたまま呆然と立っていた。
ゴクウが話を続けた。
「結局、ウリ坊の先祖は熊がどこで食べ物を食べてくるのかが分からなかったので、次の不作の年には熊の後を付けて行ったのです。すると、熊は洞窟を通り抜けて外へ出て、いつもの山の中へ入ったそうです。すると、そこにはドングリがいっぱい落ちていたそうです」
するとハナナがすかさず突っ込んだ。
「えっ、それって、おかしいでしょう!ドングリが山に無かったから洞窟へ入ったのでしょ?それなのに、洞窟を出たら、山にドングリがいっぱいあった!なんて、おかしいでしょ?」
するとハナもすかさず反論した。
「でもあったのよ、なので腹いっぱい食べて太って来たのよ」
「それって、やっぱりおかしいでしょう?」
「でも有ったのよ、食べてきたのよ」
今度はハナナとハナの言い合いとなった。
タタロが話題を変えて止めようとした。
「あれっ、その話って、どこかで聞いたような話だな、ああ、そうだ、思い出した!長老さんのお兄さんの昔の話だ」
そう言われ長老が説明した。
「おお、そうじゃ、そうじゃ、兄が巨根の中の洞窟を通り抜けて、元の場所にもどって来たら、弟のワシが消えていたと言う話じゃ・・」
すると、今度は修験者が言い出した。
「ああ、ほんとうじゃ、何かそっくりな話じゃな」洞窟を通り抜けると、元の世界にもどるのじゃが、何かがちょっとだけ違う、って言う話じゃ、そっくりじゃ」
少し沈黙となると、ゴクウが話を続けた。
「その後、ウリ坊の先祖は毎回ドングリが不作の年になると、熊の後を付けて行ったそうです。するとこんな事もあったようです。
ドングリが不作だったので、洞窟を通り抜けていつもの山へ行ったのですが、そこも不作だったのです」
「そうよ、それでいいのよ、それが当たり前よ」
ハナナが叫んだ。
「あの、実は、特にこの後に注目してほしいのですが、奇妙なんです。ドングリが無かったので熊さんは洞窟へもどって、別の出口を探したそうです。
洞窟内には探せばアチコチに小さな別の出口がいくつもあるようです。
その別の出口から外へ出て、いつもの山へ入ると、そこにはドングリがいっぱいあったそうです。それで腹いっぱいになって帰って来たそうです」
これにはハナナが悲鳴を上げた。
「やめてー!えーっ、別の出口?話がもっとややこしくなりそう、もう付いて行けないわ、頭の中がパンクしそう!」
「はい、仕方ありません、聞いた話ですので、まあ、そう言うことで、熊さんはドングリが無い時は、見つかるまで別の出口を探して出て行くそうです。そうして、必ずお腹を満腹にして帰って来るそうです」
ゴクウの話に、立ったまま聞いていた太郎が黙っていなかった。
「えーっ、出口ってひとつじゃないのかい?そんなにたくさん出口があるのかい?それに、出口によってドングリが有ったり無かったりするのかい?嘘だ、そんなややこしい洞窟がああるもんか」
ハナが大真面目な顔になった。
「これって、やっぱり別の世界よ。洞窟を通り抜けた後の世界は、前の世界とは別の世界なのよ、つまり、世界が二つに分かれたのよ。しかも、出口が違うと、また別の世界になるのよ」
「それじゃ、娘さん、改めて聞くけど、出口の数だけ別の世界があるって言う事じゃろうか、そう言う事かい?」
修験者もつい質問してきた。
「ええ、そうなの、そう言う事になるのよ」
ハナは気づかないうちに、あの大婆さんの気分になっていた。
ゴクウが、また話を続けた。
「あの、それで、ちょっと聞き捨てならない事を聞いたのですが、ある不作の年に洞穴を出た山にもドングリが少なかったので、洞窟へ引き返して、ちょっと冒険して、奥の奥の今まで出た事のない出口を探したそうです。
そして、そこから外へ出たそうです。
すると、いつもの山にびっくりする程たくさんのドングリが落ち重なっていて、大喜びで食べ始めたそうです。
ところが、太った大きな熊の親子が現れて、ここは私達の縄張りだ、立ち去れ!とばかりに威嚇して来たそうです。
こちらはガリガリの痩せた体で、相手は太った大きな体なので、勝負にならないと思って、すごすごと逃げたそうです。
そして、その親子が食べ終わるのを遠くから待っていたら、ゴロゴロと雷鳴が鳴って夕立ちが近づいてきたので、その親子が早々に立ち去ったようです。
しめた!とばかりに慌ててドングリを食べ始めたら、突然雷が近くの立ち木に落ちて、木や枯れ葉が燃え始めたようです。
その火がどんどん広がってくるので、熊さんは食べるのを止めて、一時的に洞窟へ避難したのです。
夕立ちの雨で火が消えてから、また食べ始めようと思っていたのですが、火はどんどん大きくなって、山中が燃え盛る大山火事になって、熊さんも洞窟から一歩も出られなくなったようです。
それで、その出口をあきらめて、もっと奥の出口を探し、そこから外へたのです。
そこの山はやはりドングリが折り重なるようにたくさん落ちていて、おまけに他の熊も現れないので、よし、ここで太るまで食べよう!と昼も夜も食べ続けたそうです。
夜も目覚めれば、ひたすら食べ続けた。
ある時、フと夜の星空の異常に気づいたそうです。
それは、一つの明るい星が日に日にどんどん大きくなって、とうとう月より大きく明るくなったそうです。
あの星は大地にぶつかるんじゃないか?
と言う不吉な予感を感じて、慌てて洞窟へ避難したのです。
すると、その夜に「ドカーン!」と言う大音響の大地震が起こって洞窟もガタガタ震えたようです。
出口の外が真っ赤になって、高温の風が吹き込み、出る事はもちろん、覗き見る事さえできなかったようで、その後も音や揺れに恐ろしくなったそうです」
とゴクウは青ざめた顔で話た。
「えーっ、まさか、それって、この世の終わり?」
「そうかも?、熱さも音も山火事よりすごいなら、火山の大噴火かも?」
ハナとハナナは慌てて叫んだ。
「おいおい、それって、俺達が今住んでいる世界がそうなるのかい?」
太郎も焦ってきた。
「あのな、ハナ!洞窟の出口によってドングリの豊作の年や不作の年へ行けるんだ。と言う事は、良い年悪い年、即ち年と言う時間が違う世界へ行ける事だ、それは、つまり、時を移動できる時の洞窟()タイムトンネルだ」そのどこかの時に、地球に大天体が衝突するんだ、いつの事か分からないが、いつか衝突する事は間違いないんだ、そう言う事だろ、ハナ?」
太郎が気が狂ったように叫んだ」
「あの、その辺の事は分からないわ。洞窟の出口のそれぞれの世界は、時間や年が違うだけなのか、それとも、時間だけでなく場所までが全く違う別の世界なのかはまだ分からないわ、ああ、頭が壊れそう」
ハナは頭を抱えた。

(つづく)

ハイハイハイハーイ、いやいや、タコアシ山?の洞窟が、そんな不思議な洞窟だったとは?何とも不思議な山ですね。まるでドラエモンのポケットみたい。
そう、ウチの先生にとっては、行き詰った時の助け船と言うか、「ネタの山」です。うまく登場させました(内緒の話)。
はい、世の中、ゴーツー何とか!やらで、日本も少し元気になったようで、何よりです。ちなみにウチの先生は、政治家は気前よく金を配っているが、全部政治家の金でなく刻人の税金だと言う事を忘れているようだ!と怒っています。
はい、またのお運びを願いまして、バイバイババーイ!です。

三方一両損のトイレ? 邪推を越えて新解決!

2020-10-23 15:58:11 | エッセイの部屋

むかしむかし、ある村にお菓子屋さんが二軒隣りどうしに並んでいた。
左側の店には、いつもニコニコ顔のお婆さんがいて、右側の店にはいじわるそうなお婆さんがいた。
毎日、子供達が両方の店へ買いに来た。
すると、にこにこお婆さんは、いつも見比べて一番大きいまんじゅうを取ってくれた。
そのため、子供達はいつも一番大きいまんじゅうが買えて大喜びだった。
しかし、いじわる婆さんは、大きいまんじゅうなら残っても売れると考えて、一番小さいまんじゅうから先に売ろうとした。
それで、いつも子供達には、眺めて一番小さいまんじゅうを取ってくれた。
そのため、皆はにこにこお婆さんの店ばかりで買い、いじわるお婆さんの店は、とうとうつぶれてしまった。

フとこんな昔話を思い出した。
と言うのも、まんじゅうではないが、今回、一番悪い人気が無くて売れ残った製品じゃないかと思ったからだ。
そう、今回新品にしたトイレの便器の話だ。
便器と言えば、昔から大きな壺の形で、便座に座ればどこからでも用を足せる。
ところが、今回わが家に来た新しい便器は、そうではない事に気づいた。
全体に底部が浅く平らで、穴の部分が小さい。
以前はトイレ中に鼻をかんだ神も尻の横から捨てれば、底に落ちた。
しかし、今は底が浅いので穴に落ちない。
おまけに穴も以前に比べてかなり小さいので、便座に性格?に座らないと穴に落ちない。
今まで以前のような大きな壺型と思い込んでいたので、つい最近まで、その事に気づかなかった。
最近、たまたま来た姉に、便器がよごれていると言われた。
それで詳しく手で触ってみて構造が著しく違っている事に初めて気づいた。
いろいろ自分なりに調べてみると、タンクの水も以前のような落ちる勢いが無く、量も少ない事にも気づいた。
「これは、いったいどうした事か?工事屋さんが勝手にこんな不良品を取り付けてしまって」
とふつふつと不信感が沸いてきた。
それで、冒頭のいじわるお婆さんの昔話を思い出した訳である。
(もしかしたら、この新品の便器は、店でも売れ残りの一番人気のない製品じゃないか?)
等々、悪く考え始めると暗い気持ちになった。
しばらくして、そんなはずはない!と思い直した。
これはおそらく私の邪推だ、悪い癖だ!
あの店の責任者も取り付けた若い工事屋さんも、真面目で誠実な人柄だ。
そんな事をするはずがない。
しかし、現実に、これからトイレの汚れは以前よりひどくなる事は必定だ。
どうしたらいいのだろうか?
後戻りするべきだろうか?
でも、以前のような旧式の壺型に取り換えるとなると、費用がまた十万円ほどかかる。
さて、どうしたものか?
きっと、何か良い道が見つかるはずだ。
とにかく、恥ずかしいから、ヘルパーさんが来る前に便器を綺麗にしておこう!
と、素手に手袋をはめ便器の汚れを落としていたら、そうだ!と、ある事に気づいた。
それは、何年か前まで、私自身が行っていた集会所のトイレ掃除の事だ。
公衆便所を使った時に、人知れずていねいに素手で掃除を行うと、仕事運や金運に恵まれる!
と言う有名な小林正観氏の言葉に、多くの実業家や芸能人達が実践して好結果を上げた。(今も続けている人達が多くいると思う)
これを聞いて、私も数年前まで集会所の男子トイレを手袋で掃除していた。
その事を思い出した。
「そうだ!あの時のように、これから私も自宅の二箇所のトイレを素手で掃除すればいいんだ」
そうすれば、新品のトイレも工事屋さんもヘルパーさんも喜ぶ。
そう、これでいいんだ、そう、これで一件落着だ!
と、心も気分もスッキリした。
これなら、誰も傷つかない。
そう、あの「三方一両損」の大岡越前守のお裁きみたいだ。
今日来たヘルパーさんに聞いてみると、最近は掃除が楽で水もエコな底が浅いタイプの便器が増えているとの事だった。
やはり、工事屋さんは最新のものを選んでくれたようだった、早とちりしなくてよかった・・

(おしまい)

まもなく霜降 紅葉の足音?

2020-10-20 21:51:11 | 俳句日記の部屋

熊報に 里山入らぬ 秋散歩  湧水

鈴よりも 熊追い払わむ わが手鼓  湧水

手鼓の 音突き抜けし 落ち葉道  湧水

手鼓の 落ち葉舞台や シテ行かむ  湧水

飛騨風の 冬まだ遠き 冷たさかな  湧水

落ち数が 減りて深まる 栗の秋  湧水

影電柱 道に横たわる 晩秋かな  湧水

黒電柱 ひねもす塞ぐ 晩秋路  湧水

暑さもどり 鳴きの最後や みんみん蝉  湧水

鎌上げし 子、中、大人の いぼむしり  湧水()かまきりの事

冷凍の 餅思い出す 晩秋かな  湧水

汁鍋が 恋しくなりし 夕寒かな  湧水