今年の8月に東京都の遊園地「としまえん」のプールで小学3年の女子、森本優佳さんが溺死したと言うニュースがあった。
死亡した場所は、水面に浮かべた大型遊具である遊ぶ子供向けエリア「ふわふわウォーターランド」の下だったと言う。
実は、私も中学生の頃、同じような場所で危うく溺死するところだった。
何故、同じような場所と言えるのか?、その理由は、次のような事情だからである。
私の場合は、飛騨川の護岸のコンクリートブロックの下だった。
大きなコンクリートブロックの下が空洞になっていて深さ2メートル以上の水で満ちていた。
畳三枚ぐらいのこんくりーとブロックは幅3、40センチぐらいの隙間で並んでいた。
コンクリートブロック同士は太い鉄棒で固定されていて下が空洞の水なのに動く事はなかった。
友人と川遊びに来ていたある日、その隙間から下を覗くと大きな鯉が見えた。
私はあわてて銛でその鯉を突こうと思った。
それで、危険だとは思いながらも狭い隙間からドブーンとコンクリートブロックの下に足から潜った。
鯉は逃げ、私も息が苦しくなったので水面に出ようとした。
上を見上げたら、何かが変だったので、瞬間、いつものように勢い良く頭を水面に出す事を止めた。
そしてよくよく眺めた。
頭を出そうと思っていた白い場所は、手で触れると、そこはコンクリートブロックの底だった。
よかった!そんな所に頭を上げたら、ガーンとぶつけて気絶しただろう。
危ない危ない!それじゃ、私が入ったコンクリートブロックの間の隙間はどこだろう?と見上げても、すぐにそれらしき場所が見つからなかった。
息も苦しくなって焦ってきた。
その時、少し冷静になって考えた。
隙間なら、白いコンクリートブロックの底と底の間にあるはずだ!と思った。
よくよく見ると、その場所はとても水面とは思われない黒い石や木材の底のような場所だった。
そんなはずはない、ここしかない!
そう思って、恐る恐る手を入れると、その場所は石や木の底ではなく何もない水面だった。
助かった!もう息も限界だ!と、その黒い場所に頭を突っ込んだ。
すると、顔がコンクリートぶろっくとブロックの間の水面に出て、ようやく空気が吸えた。
ああ、助かった!危うく死ぬところだった!
と、あわてて全身をコンクリートブロックの上に上げた。
友人が少し離れた所にいて私の姿を見ていたが、私の死にそうになった出来事に気づく様子もなかった。
以上のような体験だった。
そこで、私は思った。
浮かんでいる遊具の底の下で亡くなった森本優佳さんも、ひょっとしたら、水の中に潜っていて、水面に頭を出そうとした時に、水面が黒く、遊具の底が明るく見えたので、遊具の底を水面と思って頭を突っ込んだのではないだろうか?
私の場合も、もし、パニックになっていたら、本能的に明るい方に何度も頭を突っ込み、決して暗い所へ(こっちが水面なのであるが)頭を突っ込む事はなかったと今は感じる。
今回の事故の前にもプールに浮かべた大きなボードの下で溺死した事故もあったと聞いた。
これ等も、本能的に暗い水面よりも明るいボードの方に頭を突っ込んで息をしようと思ったのではないか?と思う。
これ等が真の原因とすれば、救命具をしていた事などは何の解決にも繋がらない。
なので、今後関係者は、プールの外や机の上や会議場で多人数で議論しているよりも、水中カメラを持って、実際にプールの水の中に潜って、亡くなった森本優佳さんの視線で事故の真相を探り、解明すべきだと思う。
水面は暗い!
と言う事を知っているだけでも命が助かる事があると思う。
実際にプールの水の中から見上げる経験も必要だと思う。
(以上)