飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

連載小説「幸福の木」 364話 三女の知恵

2023-09-28 20:16:14 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、いやいや突然飛騨は涼しくなりました。ウチの先生も夜中に毛布や電気アンカを取り出したくらいです。
また昼間は暑さが少しもどりましたが、朝夕は全く秋となりました。
今日何故か先生から原稿が届きましたので、早速、小説に参りたいと思います、はい、では開幕開幕!

364 三女の知恵

「ああ、それで倒れないように三本をまとめて並べる事にした、と言う訳なのじゃな?」
村長が言うと大家もこっくりとうなづいた。
「はい、仰る通りで」
「しかし、それじゃ、あの一生懸命ボールを投げている母親達がかわいそうにも想えるが・・」
村長が母親達を痛々そうな目で見ながら言った。
「ああ、その内あきらめて他のローソク台に的を変えると思いますよ、なにせ何回もボールを投げられますから・・」
と大家は以外にも悪びれず、さっぱりとした口調で答えた。
「ほう、そう言う事か?あの母親達が、それほどまでに夢中になって投げるのも、子供の時以来の楽しいゲームと言う訳かのう?」
「はい、村長さんの仰る通りで、恐れ入ります、村長さんは何もかもお見通しなので、いやはや参りました、ハハハ」
二人の背後で、太郎の耳だけがピクピク動いていた。
太郎は忍者のようにこっそり村長と大家の背後に近づいて、そ知らぬ顔で二人の会話を聞いていた。
(あれっ?この会話って、どこかで聞いたような?何かに似ているな・・・と思ったら、ああ、思い出した!よくテレビの時代劇に出てくる悪代官と悪商人の秘密の会話みたいだ)
等と太郎が思って、きっと次の言葉は
「お前も悪よのう」
でも出てくるのかと思いつつ聞き耳を立てていた。
すると、案の定、二人の会話はそんな雰囲気に変わっていった。
村長が自分の奇策に驚いていると思った大家は、さらに村長に他の内密の策を自慢顔で話し出した。
「村長さん、実は他にも人に言えない事があるんですよ。
まあ、これもわたくしが考えた策なんですが、今、それが八、九割方うまく運んでいるんで、今夜は一杯飲んで祝いたい気分なんですよ。
そこで、最高級ワインや酒を準備しているんですよ、村長さん、今夜はわたくしに突き合って二人だけで一杯飲みませんか?」
「ほお、最高級ワインと酒でのう・・まあ、ワシも付き合いの悪い方じゃないから、何の祝いか分からんが、大家さんが祝いたいなら付き合ってもいいが・・」
「ああ、それは有難い、嬉しい事は1人で飲むより、やはり二人で飲む方がだんぜん楽しいから、有難い」
と大家は大喜びだった。
この言葉を聞いていた太郎は、大家の祝いとは世話人達の今夜の内緒の宿泊会の事だと思った。
大家はさらに嬉しそうに話を続けた。
「それで村長さん、その最高級のワインや酒を、私が何処に置いていると思いますか?それが、ハハハハハ、あの巨大ケーキの上なんですよ、しかも景品としてですよ」
村長は、その言葉に驚いた。
「えっ、もし間違って倒されたりしたら大変じゃ?ごっそり持って行かれてしまうぞ」
大家は笑いながら答えた。
「いえいえ、大丈夫です、包装紙で見えなくしてありますから誰も最高級ワインや酒とは気づきません。安物の油や醤油や液体洗剤ぐらいにしか見えないので誰も狙ったりしません、ほらっ、あそこです」
と台の上を指さした。
そこにはクシャクシャの包装紙で隠されたビンらしき景品が立っていた。
その秘密の会話を聞いていた太郎は激怒した。
「何って事だ、チクショー大家の奴、俺達をだました事がうまくいったので、今夜祝杯を上げるつもりなんだ、おまけにだました村長を誘って、村長は二重にだまされる事になる、何て奴だ大家は!よーし、それならあの最高級のワインと酒をボールで倒して分捕ってやろう!)
と太郎は決意した。
多呂は、迷っていた狙うべき目標が見つかって、俄然やる気が出てきた。
おまけに、それが最高級のワインと酒と聞いてますますやる気が高まっていった。
その時また長老と修験者が期待を込めて楽しそうに、あの勝気の三女を見ていた。
「おいおい、見ろよ!あの三女が、また何かしでかしそうじゃな?」
「ほんとじゃ、きっとあの大きいお兄ちゃんが一杯食わされるぞ」
爺二人はわくわくしながら言い合っていた。
見れば、巨大なケーキ台の近くで、大きな男の子達が台の上に小さな人形や飾り物をいくつか並べていた。
ゲットした景品が女の子用だったので、それを再度景品にして同じようなゲームでこずかい稼ぎをしているようだった。
「さあさあ、いらっしゃい、いらっしゃい!ここのピンポン玉を投げて人形や飾り物を倒せばもらえるよ、三個でたったの百円だよ、当たれば儲けものだよー」
景品から一メートルほど離れた場所に、籠の中に凹んだり割れたりして捨てるピンポン玉がたくさん入っていた。
大きな女の子達が、景品が気に入ったのか、百円出してピンポン玉を投げていた。
が、何せ軽いので景品が倒れる事はなかった。
女の子達はくやしさで顔がだんだん青ざめていったが、反対にお金がたまる男の子達はホクホク顔になっていった。
あの三女もそこにいた。
そして景品の人形のひとつをジット見つめていた。
それが長老や修験者達には、三女が何かやらかす直前だと察した。
案の定、その時、三女が持っていたピンポン玉を姉に渡し、
「お姉ちゃん、これであのお人形さんに当てて、ぜったい倒れるから」
と小声で頼んだ。
姉はピンポン玉が何故か重く感じたが、三女に言われた通りにお目当ての人形に向って投げた。
するとピンポン玉は人形に当たり、今までと違って、何故かみごとに人形が倒れた。
「ワーッツ倒れた倒れた!、これは私の物よ」
待っていたように大喜びで飛び出した三女は、倒れた人形を手にして叫んだ。
姉達も喜び、男の子達は唖然とした。
女の子達は三女に駆け寄り、どうしたのか内緒で秘密を聞いた。
しばらくすると、他の女の子達もどんどん景品を倒すようになり、今までのくやしさを晴らすように景品を掲げて大喜びした。
ひとりの男の子が叫んだ。
「あーーっ、どうも変だと思っていたら、ピンポン玉の中に水が入っている、インチキだ!」
すると、女の子達は、
「水を入れたら駄目よって言われてないわよ!」
と大声で言い返した。
男の子達は反論できず黙ってしまった。
その様子を遠くから長老と修験者がづっと見ていた。
「おうおう、とうとうやったのう、やはり期待通りじゃった」
修験者が大喜びで隣の長老の肩を叩いた。
「ほんとじゃ、ほらっ、あの三女は、してやった!と言う顔をしているぞ、なかなかの知恵者じゃのう、これは末が楽しみじゃのう」
薄長老も満足顔で答えた。
それ等の様子は太郎も一部始終を見ていた。
太郎は心の中で叫んでいた。
(これだ、これだ!このやり方なら、あの大家の最高級ワインや酒も倒せるぞ)
太郎は早速、こっそり三女に詳しく聞こうと思った。
しかし、先を越した大人達がいた。
そう、既に母親達が、小さな三女を取り囲んでいた。
「ねえ、どうやって水をピンポン玉の中に入れたの?教えて」
「それは簡単よ、小さな穴を空けて口からストローで入れるのよ、最後にビニールテープを張るのよ」
「なるほどなるほど、ありがとうね」
母親達は、早速、協力して一個のボールに穴を空け、水をストローで入れてテープでフタをした。
その重いボールを近くの景品に向って投げると、三本まとめの醤油容器が倒れた。
「わーっ、倒れた倒れた!簡単に倒れた !」

母親達の歓声があがった。
それを村長と一緒に見ていた大家は、慌てふためいて真っ青になった。
そして口を震わせながら大広間の奥へ駆け出した。
しばらくすると、発明兄ちゃんのアナウンスが、突然大広間に鳴り響いた。
「突然ですが、皆さんにお知らせいたします。ボールを投げる時の大事な規則を言い忘れておりました。
まず、ボールに穴を空けたり、中に何かを詰めたりしてはいけません。ボールはそのままの姿で使用してください。
なので規則を守るように願います」
このアナウンスを聞いて、今度は母親達や太郎が慌てて、互いに顔を見合わせた。
太郎は早速、仲間と思う母親達に向って言った。
「これは大家の仕業だ!「チキショー、あのアナウンスは間違いなく俺達を見ていた大家の指図だ、絶対に間違いない、きたない手を使う陰険な奴だ、よーし、それなら俺達も負けずに・・」
と太郎は別の手段を母親達と一緒に考え始めた。
そしてボールを重い粘土や味噌のような物で包んでガムテープで巻くアイデアを考えた。
すると、村長の傍にもどっていた大家が、また急いで奥へ駆け出した。
そして、同じようなアナウンスが流れた。
「再度、皆さん方にお知らせいたします。先ほど、ボールに穴を空けたり中に詰めたりする事は禁じられている事をお知らせいたしましたが、同じように、ボールの外側も、物で覆ったり何かをくっ付けたりする事も禁じられています。
なので、ボールはそのままボールの姿で投げるように願います。以上です」
それを聞いて太郎は怒り狂った。
「チキショー、また大家の奴、俺達の話を盗み聞きして先手を打ったな、どこまでも陰険な奴だ、絶対にギャフンと言わせてやるぞ」
すぐに大家はまた村長の元にもどってきて、立ち話を始めた。
太郎もまた裏へ移動して二人の背後で聞き耳を立てた。
大家が汗を拭き拭き隣の村長に話し始めた。
「いやいや、危ないところでした。でもこれでもう大丈夫でしょうボールの中にも外にも細工ができないようになりましたから。
もう安心です、でも先ほどは本当に慌てました、あんな手で来るとは、全く油断のならぬ奴ですな、あきれました」
この言葉に太郎は

菜食の薦め (その 2 ) 豚や牛の飼い方!

2023-09-26 20:23:40 | エッセイの部屋


スーパーや肉専門店では様々な肉が売られている。
いつも買っている主婦や消費者達も、手にした牛肉や豚肉の飼い方については詳しくは知らない。
前回では鶏の卵の生産や肉生産について低コストで大量生産をするために反自然的な飼い方になっている事を述べた。
繰り返しになるが、卵を産む雌鶏はまるで卵を産む機会のように扱われ狭いゲージに1羽か2羽入れられ餌や産んだ卵は自動的に運ばれる。
ゲージは何段にも重ねられ、倉庫のような大きな建物の中に何万羽も飼育される。
それはまさに卵の生産口上と見なされ、本来の生き物としての扱いが皆無である。
また日本で人気のカラアゲ等の柔らかい鶏肉生産も、動き回らないように暗くした倉庫のような中に互いにくっ付くほどの集団で飼育される。
餌も自動的に運ばれ鶏達は動く事がほとんどない。
なのであの異常に柔らかい肉となるのである。
それに反して、少数派の自然的な飼い方では、飼う環境が全く違う。
太陽の陽が当る運動場や小屋内を自由に動き周る事ができる環境で飼育され、生き物として大切に扱われている。
またヨーロッパでは動物福祉の考えが浸透していて日本のようなゲージ飼いが少ない。

では豚肉生産や牛肉生産ではどうだろう?
豚や牛は鶏のゲージ檻は無いが、豚などは、やはり大量生産を目指しているので、かなりの過密な飼い方になっている。
過密な飼い方の豚や牛達はストレスがたまる。
そのため病気が蔓延しやすく薬剤漬けとなる。
大量の薬剤は肉を食べる人間にも影響する。
ミルクを生産する乳牛は、ストレスが貯まらないように自然的な飼い方をしているので、観光客など多くの人達が目にする。
また最高級の和牛も小規模で愛情深く育てられるので、多くの人達が見られる。
話は変わるが、牛には広大な土地に牧草の種を蒔き、その牧草の中で百%放置状態で育てる放牧と言う方法がある。
例えば、ブラジルの放牧地帯では、牧草だけでは1ヘクタールに一頭しか(それだけしか育てられない)入れてないので、牧場へ行っても牛達の群れを探すのが難しい。
日本の飼い方とは正反対である。
さて、話を元の日本の過密な飼い方にもどす。
日本の狭い場所に過密に飼育している状態は、見た印象が悪いため一般の人達が見る機会はほとんどない。(見せない)
さて、昔の話になるが、私が初めて牧場や養豚場で働くようになって驚いたのは雄牛や雄豚の扱いだ。
雄牛も雄豚もそのままで大人になると、雌をめぐって争いを起こしケンカで優劣を決めようとする。
そのため、飼育している雄はすべて子供の内に去勢する。
去勢された雄は、性格もおとなしくなり、肉も柔らかくなるからだ。
もちろん優秀な雄だけは去勢される事なく、種牛として長年子牛生産に関与する。
私が牧場の経営を始めた時、この去勢作業がある事にショックを受けた。
もうひとつ私がショックを受けたのは、やはり肉にする事だ。
つまり殺すと言う事だ。
しかも鶏や豚や牛がまだ若い時期に殺して肉にしてしまう事だ。(私はうまく逃げてその経験を免れた)
例外的に乳牛の母牛や子孫を残す種牛や、また雌豚や種雌鶏などは特別に老いるまで長生きできるが、それはほんの一部である。
ほとんど99%が大人になったばかりの若い時期に肉にされる。
何故なら、その方が経営上で一番儲かるからだ。
鶏は産卵ができる大人の体になってから、一年以内だと「若鳥」と見なされ高値で販売できる。
それを過ぎると、おそらく超安値となる。
鶏も豚も牛も、毎日餌代がかかり、日ごとにコストが増える。
なので、一番肉が高値の若い時に売った方が、一番儲かる事になる。
卵を産む雌鶏も大人になってから一年間だけ卵を産ませて、その直後に肉にすれば「若鳥」として出荷できる。
私の始めた日本の養鶏場では、高級肉の「名古屋コーチン」を飼育していたので、一年間卵を産ませ、その後すぐに肉として出荷していた。(卵を産ませるふつうの鶏も、産卵が低下すると経営上すぐに更新されるので、そんなに長生きはできない)
前述の、まるで放ったらかしのようなブラジルの放牧の牛達も、この人間の経営思想から免れる事はできない。
生まれてから三年前後で大人の体になるが、一年ほどで広い牧場からすべて集められ、雄牛はすべて去勢され牧場の刻印を押される。
しかし、雌牛は大人の体になると、そのまま種牛の元で毎年子牛を産む事になり、長生きができる。
しかし、雄牛は、三歳を越えると、すべて肉となる。(しかし痩せている場合や市場価格が安い時などは、飼育が続く事もある)
いづれにしても、牛も豚も鶏も肉生産目的の人間の経営する飼育では、大人になった途端に肉にされ、長生きができない。
何とかペットや昔の農家や動物園の動物達のように寿命まで生きられる有り方がないのだろうか?
等々と、私が日本の岐阜県の東濃で一千羽ほどの養鶏を始めた時に、悩んだ事を思い出した。
当時、人里から離れた土地で、網で囲んだ休耕田や草原に放し飼いして、小屋の中で寝ると言う飼い方をしていた。
「鶏達よ、一年半しか生きられないが、ここは日本中のどの養鶏場よりも自然に近い環境で育てているので、それで勘弁してくれ!」
と詫びて、心の中で割り切った事を思い出した。
鶏は生まれたばかりの雛を買ってきて、小さな雛から育てたので、私に鶏に対する愛情が湧いていたのだろう。
ある時、アメリカの自然の養鶏場を見学した時に、私だけに鶏達が寄って来るのを見て、農場主が、鶏達はよく分かっている!と驚いていた。
ブラジルの農場に住んでいた時、同僚が一匹の雛をペット代わりに飼っていた。
同僚達の間で誰に懐くかを競っていた。
私は鶏が白米が大好物だと知っていたので、時々指で床を叩いて少しの白米を与えていた。
ある時、子供達が農場へやってきて、その放し飼いの雛を自分の手元に寄って来させようと、トウモロコシなど餌を見せて呼んでいた。
そこで、私が少しの白米を手に持って、指で床を叩くと、雛は一目散に私の元へやってきた。
それを驚きの目で見ていた子供達は、今までの態度と変わって日本人の私を尊敬の眼で見直すようになった。
またブラジルの牧場で、こんな事があった。
昼休みに私は庭に植わっているオレンジ(の一首)をもぎ取って、外側の厚い皮をナイフでむいていた。
近くに放し飼いの牛達が、のんびりと草を食べていた。
私が時間をかけて厚皮をナイフでむき終えようとしていた。
さあようやくこれから、中の果汁を穴を開けてすすり飲むぞ、日本の食べ方とはえらく違うものだ!と思いつつ準備していた。
その時、いつの間にか、二頭ほどの牛が、私の傍まで来ており、
皮をむいたオレンジをくれ!と言わんばかりに、巨大な鼻と口を私の顔に近づけてきた。
仕方ないので、そのオレンジを差し出すとあっと言う間に口の中に入れ、ムシャムシャ食べて早々に去った。
また私が別のオレンジの皮をむき始めた。
ところが、あと少しで皮むきが終わろうとすると、また別の牛がそのオレンジをくれ!とばかりに鼻と口と顔を近づけてきた。
結局、私自身が果汁を飲むまでに、三個のオレンジを牛に取られる事になってしまった。
牛達は外側の皮がにがい事を知っているので、オレンジを見ても直接食べる事はしないようだった。
どうやら牛から見ると、私は無害な人間に見えたようだった、ちなみに丑年生まれだ。
ある時、同僚が放牧の牛にem散布をしようとした時、近づくと牛達は逃げて散布ができなかった。
私は牛や動物達は人間の心を読むと聞いていたので、心の中で(あー牛だ、恐い恐い!)と小さい子供のように本気で思いながら近づくと、牛達は逃げないどころか、ある牛は私に近寄ってきて頭をヨダレだらけの舌でなめ出したので、見ていた同僚達に笑われた。
最近、日本でペットとしてネコやイヌが多く飼われていて、家族の一員として育てられている。
ネコやイヌも人間と同じで、一匹一頭づつ個性があり、性格も異なる。
群れで生きる鶏も牛も豚もよくよく見ると、個々がそれぞれ個性を持っていて、その点、ペットのネコやイヌと変わらない。
そうなると、現在の低コストと高生産を目的とした日本や中国の非生物的な「大量生産方式」で鶏や豚等飼育する事自体が、そもそも根底から間違っているのではないか?
ヨーロッパのように動物福祉の考えを学ぶ必要があると思う。
ここで、蛇足になるがこんな話も加えたくなった、
明治時代に、イザベラバードと言う英国の女性旅行家が日本を訪れた。
東北地方を日本人のお供達に簡易ベッドを担がせて旅行していた。
彼女は昼間に農家のある日、庭にいる一羽の鶏を見つけた。
これは寝ずらしい、久々の鶏肉の夕食を!と喜び、お供に高値で買って来させた。
期待しながら夕食を待っていると、鶏肉は出ず芋や野菜ばかりだった。
聞けば、帰宅した子供達や家族が、かわいそう、淋しいと泣き出し、父親が買いもどしに来たとの事だった。
明治の日本は、まだ長年の仏教の影響で菜食が主で肉食はわずかだった。
明治時代以前の人達が、今の日本人の肉食を見たらいったい何と言うだろうか?

(つづく)

彼岸過ぎて 急に冷えし飛騨!

2023-09-25 14:16:55 | 俳句日記の部屋

夕湯窓 ぴしゃりと締める 秋来たり  湧水

湯上りに 長袖さがす 秋来たり  湧水

毛布出し アンカ取り出す 彼岸夜  湧水

住職の 草刈り音や 彼岸朝  湧水

草刈りには ほどよい朝の 寒さかな  湧水

散歩には 少し寒過ぎ 彼岸朝  湧水

穏やかな 心で迎える 秋分の朝  湧水

洗顔も ためらう寒さ 彼岸朝  湧水

秋草取り ベストにラジオと ジュースかな  湧水

首筋を 冷やす秋風 朝散歩  湧水

彼岸後 汗かかなくなる 朝散歩  湧水

この寒さ まもなく童の 登校かな  湧水

昼近き 秋草ひきが 日課となり  湧水

畝の背を またげば秋の 弱陽と風  湧水

何ひとつ 考える事なく 秋草ひき  湧水

休憩に 気づくレコーダーの 紛失かな  湧水

大慌てで レコーダーさがす 枯れ葉中  湧水

電話せば 姪が童共に 駆けつけし  湧水

気をつけむ ベストポケットの ボタンかな  湧水

(以上)

連載小説「幸福の木」 363話 ローソク代わりの景品?

2023-09-22 15:40:56 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいや、やはり彼岸が近づいたら南飛騨もめっきり涼しくなりました。
ウチの先生も昼前に畑で尻もちついてのんびりと草取を楽しんでいます。
何でも、土を踏んで地球の大地のガイアの気を吸うんだ!とか?
はい、いづれにしても猛暑が終わってやれやれです。原稿が届いたので早速、小説に参ります、はい、では開幕開幕!

363 ローソク代わりの景品?

大広間は混乱状態だった。
子供達が、巨大ケーキ形の上のローソク台を目がけてアチコチから小さなボールを投げた
司会の発明兄ちゃんが、「一メートル程離れて!と言う事を言い忘れたので、子供達はすぐ近くからボールを投げた。
多くの子供達は、手で触れるほど近づいてボールを投げたので、狙ったローソク台を倒す事ができた。
そして大喜びで、中のプレゼントとローソク台を手にしていた。
倒せなかった幼い子供達は、また列の最後尾に並んで、再びボールを投げた。
それでも倒せなかった時には、お姉ちゃんやお兄ちゃん達がインチキして投げ直してくれ必ず倒してくれた。
三個ほどのボールが同時に、アチコチから投げられたので、どんどんと小さなローソク台が倒されて巨大ケーキの上から消えていった。
長老や修験者達は、その子供達のボールを投げる様子を面白そうに眺めていた。
「そうそう、そうじゃ、あの勝気な三女は、どんな様子じゃろうか?うまくローソク台を倒しているじゃろうか」
修験者が思い出して口にすると、長老が、
「おーっ、あそこじゃ、あそこにいる子じゃ、ちょうどボールを投げているところじゃ」
と告げた。
長老と修験者が遠くからこっそりと見ていると、ちょうど三女がボールを投げるところだった。
ところが三女は、すぐ近くからボールを投げるふりをしたが、ボールを手に持ったままそのボールをローソク台に押し当てて倒していた。
そして倒れた、倒れた!と周囲に大声で叫んでいた。
「おうおう、やっぱりやってるやってるぞ、ワシ等の期待通りの事を」
修験者が大笑いしながら嬉しそうに告げると、長老も、
「おお、期待通りふつうの子がしでかさない事をやってくれるのう、ヘタな芝居よりも面白い事になりそうじゃ」
と大喜びだった。
三女の行動は、それだけに留まらなかった。
中身のプレゼントが気に入らなかったのか、プレゼントを中に押し込んでローソク台を元の位置にもどして、またボールを投げようとしていた。
姉達は黙って見ていたが、隣の大きな男の子が注意し、黙って見ていた姉達も叱った。
三女は嫌々そのプレゼントとローソク台を持たされ、不満いっぱいの顔だった。
「おお、これからじゃ、これからが面白い事になるのじゃ、間違いない!あの三女はおとなしく黙っていないじゃろうさあどんな展開になるか、楽しみじゃのう、さてさてどうするじゃろうか?」
爺さん達が楽しみにしていた答がすぐに出た。
三女はしばらくは友達とプレゼントの見せ合いっこをしていたが、その内、何人かに声をかけた。
すると、その子達が一か所に集まった。
そして、皆のプレゼントを床に並べた。
そしてそれぞれが自分の好きなプレゼントを手に取り始めた。
「おお、何って事じゃ!驚いた、思いついたようにプレゼントの交換会を始めたぞ、驚くべき才能じゃ」
長老と修験者は、予想外の光景を見せられて、しばらく黙ったまま見入っていた。
子供達の大騒ぎの続く中、巨大ケーキの上から半分以上のローソク台が消えた。
そして、残ったのは倒れにくそうな中型サイズや大型サイズのローソク台だけだった。
それ等は巨大ケーキ台の裏側にあった。

やがて発明兄ちゃんがゆっくり歩いてきて、今まで子供達を見守っていた両親やハナやハナナ達世話係の人達の前に立った。
「あのー子供さん達は済んだようですから、これから、どうぞ、皆さん方もボールを投げてください。皆さん方の分もプレゼントが準備されていますので、さあ、どうぞ、遠慮なくボールを投げてプレゼントをゲットしてください」
「えーっ、ウッソ?えっ、ほんとに?」
発明兄ちゃんの言葉を聞いて一番喜んだのは、まだ若いハナナとハナと太郎やゴクウ達だった。
特にハナ達は、子供達がかわいらしいプレゼントをゲットして大喜びしてい姿を目の前で見てて、うらやましかった。
もしかして私達の分も有るかも?と少しは期待していた。
その小さな期待が叶ったので、喜びもひとしおだった。
「やった!と大声を上げたのは太郎だった。
ボールを投げて、狙っている景品を倒すなんて、いかにも太郎が喜びそうなゲームだった。
「えーっ、ゴホッ、ゴホッ!」
何かわざとらしい咳払いがした。
大家さんが拳を口に当ててまだ咳払いをしていた。
それを見た発明兄ちゃんが、顔色を変えて、話を付け加えた。
「あっ、大事な事を言い忘れておりました。先ほどの皆さん方へのプレゼントは、ここの大家さんの突然の配慮で、私達の予定には無かったものです」
それを聴くと大家さんの咳払いが消えて、周囲は元の雰囲気にもどった。
太郎は、早速、残っているローソク台の中から、どれを狙うかを眼を皿のようにしてじっくりと選び始めた。
そう、問題は、中に何が入っているかだった。
ハナ達も途惑っていた。
どのローソク台を狙えばいいのか、まるっきり分からなかった。
ちょうど、その時、ピアニストの彼女が通りがかる姿が見えた。
咄嗟にハナナが駆け寄り小さく声をかけた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
ハナも駆け寄り二人で小声で相談した。
「お姉ちゃん、プレゼントって、何が入っているの?教えて、あたい達、どのローソク台を狙えばいいのか、さっぱり分からないわ」
ピアニストの彼女は、一瞬、驚いた顔をしたが、すぐに小声で短く答えた。
「それを詳しく教えると大家さんに叱られるわ。ローソク台の中には衣類も入っているわ、赤い布が見えたら、それを狙えばいいわ、きっと女性ものだから」
そう言って彼女は早々に去った。
ハナ達は、中型サイズのローソク台を探して下の隙間から赤っぽい中身が見えるものを探した。
「エーイ!」
ハナナが勢いよくボールをぶつけて、そのローソク台を倒した。
すると、中から赤いスカーフやハンカチの入ったビニール袋が出てきた。
ハナも思いっ切りボールをぶつけて何とか倒した。
中から女性用の座布団カバーやテーブルに置くクロスが出てきた。
どれもデザインがすてきで、二人とも喜んだ。
一方、太郎が品定めに手間取って巨大ケーキの周りを犬のようにウロウロと何度も回っていた。
子供達がボールを投げた反対側には中型サイズや大型サイズのローソク台がたくさん残っていた。
そこには何故か母親達が殺到していた。
よくよく見れば、そこはローソク台と言うよりもまるで商店街の年末の福引コーナーのような光景だった。
家庭用の必需品が丸見えの包装で並んでいた。
「何じゃ、これは?どうした事じゃ?まるで福引コーナーじゃ!」
村長や車夫や長老や修験者達が、少しあきれていた。
母親達が大喜びで狙っていたのは、その家庭用の食品だった。
醤油ビンの三本セットやソース三本セットや油三本セット等々、三本の容器が軽く包まれただけでローソクの台となっていた。
しかし、それ等は重いので、軽いボールが当ったくらいでは倒れる事は無かった。
倒すためには、よほど強くボールを投げなければならなかった。
母親達が懸命に投げても倒れないのを見ていて、太郎は心の中で思った。
「いよいよ、俺の出番かな?」
等と思いながらも、早まるなきっと母親達が呼びに来る!とばかりに余裕の顔で見ていた。
その時、遠くから見守っていた大家が寄ってきて、立って見ている村長の隣りに並んだ。
すると、早速、村長が大家に話しかけた。
「おお、大家さんじゃ、ちょうど良いところへ来た、何じゃ?このコーナーは、なにか場違いのような、不釣り合いな感じがするが?」
すると大家さんは顔に汗をかきながら弁解した。
「いやいや、村長さんよ、これにはいろいろと訳があって、苦労もしたんですよ。
私が、参加者全員に喜んでもらおうと思っていろいろ考えた結果なんですよ。
で、こんな格好になったんですが、少しやり過ぎでしょうか?」
すると村長は苦笑いしながら、
「しかしのう、あの景品は母親達がボールを投げたくらいじゃ倒れんじゃろうが?」
と三本セットの醤油や天ぷら油を指さして、大家を責めるように言った。
「すると大家はますます汗をかいて慌てて弁解した。
「いや、あれは始めはそんなつもりじゃ無かったのですが、いろいろ事情があってああなったのです、はい」
大家は顔の汗をハンカチでぬぐいながら、さらに弁解を続けた。
「いやいや、始めはスタッフが間違えて、スーパーから届いた台所用の商品を、ケーキ台の上に並べてしまったんです。
はい、たまたま配達が今日だったので今回の景品だと思って酒とかワインとか醤油とか菜種油なんかを一本づつ並べたんです。
すると他のスタッフも「この方がボールの的として倒しやすいし、見た目にも華やかで楽しそうだから、このまま飾り物として置いておこう!」と言い出したんですよ。
ところが台所のおばさん達が、皆がプレゼントとして持ち帰ると困る!と騒ぎ出したんで
すよ、それはもっともな事ですけど。
しかしスタッフが、ローソク無しにすれば大丈夫!と言ってゆずらず意見が対立してしまったんですよ。
そこで、急遽、両方の意見を立てて、飾ったまま、倒れない工夫をする事になったんですよ、はい大変でした」
「ああ、それで倒れないように三本をまとめて並べる事にした、と言う訳なのじゃな?」
村長が

白露が過ぎ、もう彼岸! 秋雨の飛騨

2023-09-21 13:46:11 | 俳句日記の部屋

小降り朝 パラソルさして 散歩かな  湧水

亡き爺と 同じ物音 通り道  湧水

跡継ぎて 息子が今の 音の主  湧水

神の声と 想いて行おう 菜食を  湧水

熱き日々 冷汁無きが 通じ無き?  湧水

朝シャワー 髭剃りゆったり 散歩あと  湧水

雨上がり ちょっとからかいの 草取りかな  湧水

ちょっとづつが 重なりかなりの 草を取り  湧水

草の蚊に 顔晴れ上がり 熱シャワー  湧水

四十分ほど 終えてシャワせば 秋の雨  湧水

タイミング良き 秋雨の間の わが草取り  湧水

シャワー後の 乾く間の 作句かな  湧水

一時間 遅れし朝の 祈願かな  湧水

草取を 決意しふんばれば 再通じ  湧水

9月13日

稲刈りを 終えれば村中 秋舞台  湧水

亡き友が 妻を誘いし 音楽会  湧水

参道の 踏み切りに止められ 行き帰り  湧水

通じきて 朝食パンも 美味くなり  湧水

ひまわりの いつの間に実の 垂れさがり  湧水

愛してる!って、大切に思っているって言う事  湧水

登校児と 草刈り爺や 遅れ散歩  湧水

遅れ散歩 踏切ごしに 若者声  湧水

稲と草 刈れば静かな 秋の村  湧水

今日からは 新た五畝田の 草仕上げ  湧水

真夜中に 起きて汗腰に シャワーかな  湧水

整理して 新たな一日に 朝散歩  湧水

草刈りの 後の仕上げの 秋草取り  湧水

秋日なり 日差しに弱さ 感じられ  湧水

田草取り しゃがめば隣田に 重騒音  湧水

重き音 排ガスともに 我を包む  湧水

ハーベスターと 聞いて腑に落つ 重騒音  湧水

時の流れ 感じる隣田に ハーベスター  湧水

小説の 続き思いつつ 朝散歩  湧水

尻もちて 秋草を引く 敬老の日  湧水

9月20日

天国の コーラス聴きし 昨夜かな  湧水

雨あがり 足音だけの 霧の中  湧水

朝参道 ほととぎすと鳩に 見送られ  湧水

秋の陽と 風は至福や 彼岸畑  湧水

秋草に 尻もちて友に 電話かな  湧水

配り卵 半分あげるから 取りに来い  湧水

カッパ着て 雨の真昼の 散歩かな  湧水