飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

(続) 連載小説「幸福の木」 277話 天空への木の階段!

2021-08-29 20:45:55 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、ようやく夜が初秋らしく涼しくなりました。
またテレビではパラリンピックが始り、またコロナも相変わらず増えていて、さらに政局も加わって、騒がしい秋になりそうです。
そうそう、コロナなのですから選挙も郵便投票をサッサト準備すべき!とウチの先生が言ってますが、果たして・・・?です。
はいはい、ギリギリですが、何はともかく原稿が届きましたので、小説とまいりまーす、はい、では、開幕、開幕ー!

277 天空への木の階段!

「急げ、急げ、とんだ時間つぶしをしてしまった!こんな事になるのなら、初めから遊びやからかいの恋の方がよかった」
太郎は恋した事を悔やんでいた。
それに、今さら皆に会わせる顔も無かった。
たぶん、いや、間違いなく、長老達が、
「おお、太郎、帰ってきたな、どうした?ふられたのか?やっぱり!」
なんて大笑いして喜ぶ顔が想像できた。
「くそっ、彼女は第一印象が控え目なつつましそうな感じだったので、うまくゆくかなと思ったけど、やはり駄目だった・・」
太郎は無念さを吹き払うかのように全力疾走した。
かなり走り続けて息が切れ、疲れてきたので歩き始めた。
気づくと全身が汗びっしょりだった。
「さーて、皆は、どの辺にいるかな?」
と額に片手をかざして、路の先の森を見渡した。
しかし、どこにも、それらしき影は見当たらなかった。
「さてさて、どこへ行ったんだろう?」
続いていた森はすぐに木々が無くなって姿を失い、その先は元の富士のような山の裾野の草原だった。
「えーっ?森はもうおしまいみたいだ」
驚いた太郎が、目を皿のようにして周囲を探すと、草の路の脇に小高い緑の台地が見つかった。
近寄ると緑の台地は四角く盛り上がっていて、周りが花園で囲まれていた。
「えーっ、何だ、こんな所に花園なんて?それにしても、皆はいったい何処へ消えたんだ?どうなっているんだ?」
太郎が花園に目を向けたまま途方に暮れ、しばしボーッとしていた。
すると背後遠くから聞き慣れた女性の声がした。
「太郎さまー、ああ、よかった!ようやく追い着きました・・・・太郎様、初めにもお話いたしましたが、わたくしが案内役を任せられているのです」
と彼女が安心したような顔で駆け寄ってきた。
太郎は彼女の事はさっぱり忘れようと思って振り切って来たつもりだった。
が、今はそんな事も言ってられなかった。
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど、俺の仲間と言うか、皆はどこへ行ったのか、あんた、知ってるかい?」
と太郎は過去のわだかまりを捨て、素直に聞いた。
「はい、存知ております、お仲間の方は、ご神殿の方へ参りました、はい、上の方です」
と空を見上げた。
「えっ、上って?」
太郎も空を見上げたが、青空の他に雲ひとつ見えなかった。
「あの、実はご神殿と言うのは天空に浮かんでいるのでございます。でも、それ等は、あなた方のようなふつうの人々には見えないのです」
「えっ、見えないって?俺達に?ふつうの人に?」
「はい、そうです。なぜなら波動と言うか、振動数が高い物質でできているからです。今のわたくしにも見えません、 わたくしが見えるようになるためには、振動数を上げて元の高い波動にもどさなければなりません」
「えっ、元の波動にもどすって?それじゃ、あんた達は元々は波動が高いのかい?」
「はい、そうです、でもあなた方を案内するためにあなた方と同じ波動に合わせていたのです」
「それじゃ、俺達に合わせるためにわざわざ波動を落としていたと言うのかい?」
「はい、そうです。前にもわたし達は人や動物の心が読めると言う事をお話しいたしましたが、高いままだと、多分、あなた方には驚く事ばかりで、ふつうの会話ができなくなると思ったからです」
「えーっ、それじゃ、あんた達は見かけは俺達と同じように見えるけど、実際は何者なんだ?妖怪やあやかしかい?」
「ええ、残念ながら、遠い未来の世では「魔女」と呼ばれる苦難の時代が来ると木花咲姫様から聞いています」
「えっ、やっぱり。でも、前の話では、もっと昔には俺達もその能力を持っていたと言ってたんじゃなかったかな?確か、そう言ってたよ」
「はい、そうです、今のわたくし達は頭の脳のほとんどを働かせておりますが、あなた達は多くの部分を眠らせています、そこを働かせるようになれば元の能力を発揮できるようになります」
「えっ、本当かい?今からでも元へもどれるのかい?それは嬉しい話だ、夢みたいな話だ」
と太郎は、昔の子供の頃に聞いた御伽噺のような仙人達の話を思い出した。
それは、眼を瞑った仙人が、念力で大きい岩を投げ飛ばしたり、岩に乗って空中を飛ぶ話だった。
「はい、それでは今から波動を高める作業をいたしましょう。作業と言っても肉体でなく、心の作業ですから例えば、瞑想や祈りや独称のような方法でも良いのですが、今回は、わたくしの方法でさせていただきます」
と言って彼女は、太郎の顔の真正面に顔を向けて近づいてきた。
「いいですか?これからはわたくしの目を見続けて、決して目を離さないでください、少しぐらいは瞬きをしてもいいですけど、しばらく目を見続けてください」
言われたように太郎は彼女の顔に顔を近づけた。
「そして、わたくしの瞼の中に、神様の光と神様の愛があるはずですので、それを心の目で見ようと想い続けてください、そう、念じ続けてください、必ず見えるはずです」
太郎が見続けていると、なぜか自分の心や体が別の世界の中に入り込んだような気がしてきた。
そこはすべてが神の光と神の愛に包まれた世界で、まるで赤ん坊の自分が父母の愛に抱きしめられたような幸せな気分だった。
「あなたが今感じているこの上もない幸せな想いと心からの感謝の想い、これ等の想いが全身に満ちている時には、あなたの波動や振動数が格段に高まっています。どうぞ、この想いを続けてください、他の事を考えないでください」
太郎はすべての面で気持ちがいいので、女性の言葉に素直に従っていた。
「ありがとうございました、お蔭さまで、あなたの波動も振動数も十分に高まったようでございます。
今のあなたは神様の光と愛がいっぱい満ちた大変軽い霊と身になりました。今のあなたは、以前とは見える世界も違うはずです。
どうぞ、わたくしの目から視線を外して、あなたの周囲の様子を詳しく観察してくださいませ」
太郎が周りに目を向けると、今までにはなかった何やら薄い霧のような、霞のようなものが立ち込めていた。
「えっ、何だろう、霧か、それとも霞かい?」
そのモノクロの墨絵のような景色をよくよく見ると、空高く空中階段のような物が、天に向ってどこまでも伸びているのが見えた。
「えっ、何だ、あれは?階段だ、しかも木の枝でできた空中階段だ」
太郎は、天への縄はしごの話なら、幼い頃に聞いたが、まさか、木の枝やツルでできた階段なんて、今まで聞いた事がなかった。
「えーっ、いったい誰が作ったんだ?ひょっとしてどこかの山の民とか?」
「はい、これは木花咲姫様がそのお力で作られたものです、この階段を使って、あなたのお仲間方を天空のご神殿に案内されたのです」
「えっ、そうなのか?それじゃ、皆は、この階段を登って、もう神殿の方へ行ってるのかい?」
「はい、おそらく・・」
「えっ、それは大変だ、追い着かなきゃ!すぐにも出かけよう、モタモタしていると、皆が神殿を見終わってしまうからな、さて、どこから登ればいいのかな?」
と登り口を探すと、それは、かなり離れた場所だった。
「あっ、あそこだ、仕方ない、あそこまで駆けよう!」
太郎が走り出そうとすると、彼女が、
「あの、ちょっとお待ちください、それよりもっと良い方法があります」
と引き留めた。
そして、太郎の横に並ぶと、
「どうぞ、片手でわたくしの肩に手をかけてください」
と言った。
太郎は変な事を言うなと思いながらも素直に彼女の言葉に従った。
すると、不思議不思議、彼女の足が地面をわずかに浮くと、少し遅れて太郎の足も宙に浮いた。
二人はそのままの姿勢で、ゆっくりと宙に浮き、どんどん上昇して行った。
そして、数十メートルの高さの空中に浮かんでいる木の階段の上に、スーット降りた。
「いやいや、これは驚いた、たまげた!すごい術だ、いやすごい業だ、長老や修験者が見たら肝をつぶす業だ」
と太郎は彼女の業に、改めて感動した。
「あのさ、俺、思ったんだけど、さっきの術を使えば、こんな階段なんて必要ないんじゃないかな?このまま直接俺を皆のいる場所まで飛んで連れていってくれ たらいいんじゃないかな?その方が早いんじゃないかな?」
と少々遠慮がちに言った。
「あの、はい、それは仰る通りです、でも、わたくしはまだ力不足の身なので、ここまでで精いっぱいなのです。なので、これ以上は無理です。
今は、もう精神力も疲れ切っていて、あなたを軽いまま存続させる事もままならないくらいなのです」
と言い終わるや否や、彼女は急に疲れ切った顔に変わった。
と同時に、太郎の足元の枝木が大きく沈み、たわみ始めた。
「えっ、えっ?まずい!俺って重くなっていくみたいだ」
太郎の顔が、急に青ざめた。
彼女も慌てたが、疲れ切っていて小声で話すのがせいいっぱいだった。
「あの、太郎様、どうか神様の光や愛の事を強く心に思ってください、他の事、例えば自分だけの欲望的な事は考えないようにしてください。そして、他の人達の幸せや喜ぶ事や動物とか植物達の喜ぶ事を考えてください、そうすれば波動や振動数が上がり、身も魂も軽くなるのです」
彼女は、せいいっぱい言い続けた。
「えっ、今更、そんな事を急に言われたって無理だよ、知らない内に、好きな事ばかり浮かんできてしまう。
そう、魚をたくさん釣って焼いて食べるとか、久々に猪の肉を焼いて食べるとか、長老達の醸した酒を飲んで宴会を開くとか、そうそう、ハナ達を先に寝かせて、俺だけであんた達みたいな大人の女性を呼んでいちゃつくとか・・そんな事しか思い浮かばないよ」
と太郎は泣きそうな顔で答えた。
「ああ、それは困った事になりました。それ等は、欲望や自己愛ばかりです。
なので波動がどんどん低くなり、同時に身も霊も重くなるのです。もっと波動の上がる事、先ほどの神の光や愛や他の人々や生き物の幸せや喜ぶ事を考えてください、そう、どうしたら皆が喜ぶようになるかとか、?どうしたら皆がこれから幸せになるか?と言う事を考えよう!と想うだけでも波動は上がり、体も軽くなります、どうぞ、皆の幸せを考えてください。
またわたくしの無力さもお赦しください」
と彼女も泣き出しそうな顔になった。
「あの、ちょっと思ったんだけど、俺の仲間の皆は、もう天の方へ上がったんだろ?俺がこんなに苦労して大変なのに、皆はどうやって上がれたんだろう?まさか、俺だけが特別に波動が低く体が重いって訳じゃないだろうに?俺達は皆同じようなレベルだと思うんんだけど?」
と太郎は少し不安そうに聞いた。
「はい、それは太郎様が皆よりずっと波動が低くて、身や霊が重いと言う訳ではありません。わたくしが力不足だからなのです。あちらの皆さん方は、木花咲姫様や侍女の方々とご一緒ですので、お仲間の皆さん方の波動や振動数も知らない内に影響を受けて上がっているのです。わたくしも木花咲姫様のように神の光や愛が強ければ、同様に太郎様も知らない内に波動や振動数も上がっていたでしょう、くれぐれも力不足で真に申し訳ありません」
と彼女はとうとうサメザメト泣き出した。
その彼女の悲しそうな姿に、太郎も悲しくなってきた。
「この俺のせいで、彼女は泣いている、俺って何て駄目な奴なんだ!
と太郎は心底から反省し、詫びた。
そして、自分から努力しようとしなかった事を思い出し、心から悔い改めた。
「俺としても、本当に申し訳なかった、全くごめんなさいだ、たった今から改めます、勘弁してください!」
太郎の言葉は天地に響いた。
いや、そのように感じた。
すると、不思議にも、足元が自分の重さで沈んでいくのが止まった気がした。
と言うよりも、今まで足底で感じていた自分の体の重さが、感じられなくなった。
「えっ?」
太郎の驚きの声に、彼女が太郎の顔を見た。
「あれっ、重さが無くなった、不思議だ、俺の体が空気みたいになった」
と言うと、太郎は妖精のように軽々と木の枝の階段をトントンと上がって行った。
それを見て彼女は、今度は嬉し涙が溢れた。
「ああ、本当に良かったです、本当にありがとうございます、これで、わたくしの務めも果たせそうです」
とかってない笑顔になった。
「いやーっ、軽い軽い、これならどんどん上がれそうだ、ああ、楽しい楽しい」
太郎は、まるで幼い児童のように心の底から喜んで階段を上がって行った。
そこには、大人の欲望も自我の存在も無かった。
そこには、「無我」の心の、幼い頃の太郎がいた。

(つづく)

ハイハイハイハーイ、いやいや、パラリンピックもたくさん競技があって、なかなか見るのが大変です、アメリカの選手が多くないようですが?それほど注目されてないのでしょうか?はい、よく知りませんが、とにかく世界中の障碍者達が堂々と表に出られると言う良い時代となりました。
はい、またのお運びを願い、バイバイバーイでーす!


ストレスフリー爺さん いつもどこでも笑顔?

2021-08-25 15:33:33 | エッセイの部屋

むかしむかし飛騨の山里に、
1人暮らしの爺さんが、朝早く散歩をしていました。
両手で白い杖をついてノルヂックスキーのように歩いていました。
それは当時流行したばかりの高齢者用の登山ストックだったのです。
目の悪い爺さんにとっては、一本の白杖よりもだんぜん安全で歩きやすかったのです。
もう八月の終わりだと言うのに、梅雨のような長雨が続いていました。
気分転換の散歩ができなかった爺さんは久々の散歩に大喜びでした。
周りの山のせみ達も、待っていたかのように大喜びで、思いっ切り鳴いていました。
ところが、しばらくすると、天からポツポツと雨粒がこぼれてきたのです。
「はて、どうしたことじゃろう?朝日も射してせみ達も元気に鳴いていると言うのに?」
と爺さんはちょっと不思議に思いましたが、気にせず好きな散歩を続けました。
ところがしばらくすると、本格的に大粒の雨が降りだしたのです。
「うわーっ、こりゃ大変!」
あわてた爺さんは、すぐに引き返しましたが、大粒の大量の雨に、あっと言う間にずぶ濡れになってしまいました。
下着や靴までびしょびしょになりながら、爺さんは思いました。
「そうじゃ、今着ている物は長雨のためしばらく洗濯してなかったのじゃ。ずっと気になっていた。ちょうどいい機会じゃから、着ている物を全部洗濯しよう。これはきっとご先祖様や神様がそうしろとしむけたんじゃ」
とひとり素っ裸になって、着ている物すべてを洗濯しました。
すると一糸まとわぬ?身も心もすっきりさっぱりして晴れ晴れとした顔になりました。
さて、翌日の事です。
朝早く起きると、いい天気だったので、爺さんは、また喜んで散歩に出かけました。
爺さんの散歩路は、家の近くの山寺の参道を上がり切ったところでした。
参道を上がり切ると鉄道が横切っています。
その踏切を渡って鉄道沿いの真っ直ぐな路を何回も往復すると言うものでした。
以前はもっと先の山の路を登った水路脇の路を散歩していたのです。
しかし、最近はその辺りには熊が出ると言うので、安全のため山に登るのを中止しました。
そして、その代わりに、手前の熊が近寄らない鉄道沿いの短い道を、三、四回ほど往復していたのです。
その日は前日と同じように、朝日がさしせみ達が大喜びで鳴いていました。
「そう、そうじゃった、昨日はせみ達が鳴いていたので雨は降らないだろうと安心していたらずぶ濡れになってしまった」
等々想い出しながら、踏切を渡って鉄道沿いの道を歩いていました。
すると、まだ一往復もしない内に、またポツポツと雨粒がこぼれてきたのです。
「えっ、雨?もう降りだしたのかい?また昨日と同じじゃ。今度はもうせみ達にはだまされないぞ」
と爺さんは残念に想いながらも、大慌てで引き返す事にしました。
その時、フと、
「ああ、そうじゃった、忘れていた。今日は午前中に出かける予定じゃった、散歩などしていたら朝食する時間が無くなるところじゃった、良かった、良かった、きっと、これもご先祖様か神様がそうさせてくれたんじゃ、有難い事じゃ」
と先ほどまでの残念がっていた想いも吹き飛んで、心底から感謝しました。
案の定、家に着くや否や、バケツを引っくり返したようなドシャ降りになりました。
その日は日曜日でした。
朝食の珈琲とピザもゆっくり食べ、九時半頃になると約束通り爺さんの知り合いの女性の迎えの車が到着しました。
ところが、間が悪い事に、その直前からまた雨が激しく降り始めたのです。
しかも激しい雨で車のドアも見にくいため、乗る時にかなり濡れてしまいました。
車が動き出し雨の中、心も落ち着いた頃、運転していた知り合いの女性が、
「もう最近は雨ばかりで嫌になってしまうわ、今朝も出がけに息子が、こんな雨降りにどこへ出かけるんだ?と文句を言われて・・」
と愚痴を言い出しました。
これは、きっとせっかくの日曜日がドシャ降りなので、息子さんも機嫌が悪いんだろう。
それに、おそらく最近の長雨を家の中で親子で毎日愚痴っているんだろう。
そう感じた爺さんは、これは彼女親子の癖と言うか、愚痴の習慣を変えてやらねば!と思いました。
いや、正直、もう愚痴を聞きたくなかったのです。
もっと楽しい話をしたかったのでした。
そこで爺さんは先手を打って、
「そうそう、それそれ、その言葉、まただ!とか、毎日ひどい雨だ!とか、そう言う愚痴ばかり口にしていると良くないんじゃ、そう言う愚痴はどちらかと言えば地獄的な言葉じゃ。もっと天国的な楽しい言葉を口にしなきゃ」
すると女性がすぐに反発した。
「そんな事を言ったって、本当の事だから仕方ないわよ」
その反論は、既に爺さんが予想していた。
「いや、そんな事はない、もし今の雨が無かったら、今頃は昼間は40度近い真夏日になって、家の中にいても熱中症になるし、それに、夜もエアコン無しでは眠れなくなる。
それに比べたら雨の方がマシじゃ!雨と40度とでは、いったいどっちがいいと想う?」
と爺さんが聞いた。
女性は、考えながら、小さな声で、
「それは、やっぱり雨の方がいいわ・・」
と本音を言った。
「ほらっ、じゃったら雨は有難いじゃ、雨よありがとう!じゃ、愚痴なんか言ってる場合じゃないぞ」
「・・・・」
「じゃから、人間は口を開けば有難いって言うことじゃ、そう言う言葉を出していると、周りが天国的になるんじゃ、楽しい事を引き寄せるんじゃ。
反対に愚痴ばかり言ってると、愚痴を言いたい事ばかりを引き寄せるんじゃ、だから、愚痴が出たら、引っ繰り返して感謝の言葉にするんじゃ。良い事も悪い事も表裏一体じゃからな、愚痴はひっくりかえせば感謝になるんじゃ、見る方向が違えば反対になるんじゃ、この豪雨もそうなんじゃ」
しかし、彼女は少しは理解できても、まだ百%は納得できないようでした。
「ええ、それはそうでも、いつも、そんなに有難い!ばかりなんて言えないわ、例えば息子の事でも・・」
しかし、爺さんは女性から詳しい事情など聞こうとしませんでした。
「そう、息子さんだって、そうじゃ、今、元気じゃろう?
だったら、もう有難いじゃ、入院していたら大変じゃ、もし癌じゃったらもっと大変じゃ。
毎日食べられるじゃろう?食べられなかったら大変じゃ、心配じゃ。
朝起きられるじゃろう?朝、起きられなかったら大変じゃ、
だったら、起きられて有難いじゃろ?食べられて有難いじゃ?嫁さんも孫も同じじゃ、皆が起きられて、食べられて、トイレで出せて、
もし出なかったら大変じゃ、そうじゃ、みな有難い事ばかりじゃ、じゃから、毎日感謝の言葉が口に出せるのじゃ。
そう言う陽の当たる明るい有難い面を見ずに、裏の影の暗い所ばかり見て愚痴ばかり言ってる。それは癖じゃ、両面あるのに、影の暗い面ばかりを見て口にする癖じゃ、その癖が家族中にコロナのように感染して皆が愚痴るんじゃ、
1人でも、こんな楽しい良い事があるわよ!と言い出せば愚痴家族が感謝家族に変わるんじゃ、じゃからじゃ、有難い、有難い、このひどい豪雨もありがたいじゃ」
ちょうどその時、車はニュースで報じられた豪雨で増水した川で削られた国道41号線の近くを通った。
「これもきっと有難いじゃ、そうじゃ、仕事の無い地元の土建屋さんにとっては有難い事じゃろう」
と爺さんはカラカラ笑った。
車内に愚痴が消え、感謝の雰囲気になった。
車は目的地に着いた。
すると、幸いにもその時に雨はほとんど止んでいた。
「ほらっ、やっぱり!有難いって口にしたので、有難い事を引き寄せたのじゃ、早く、建物の中に入ろう」
と爺さんは白杖を手に車を出た。
そして、もう一方の手で女性の肩に触れ、慌てて玄関内に入っていった。
建物内には高齢の女性がいた。
「ああ、久しぶり・・ったく雨ばかりで!ほんとに・・・」
女性どうしの暗い顔の挨拶だった。
出迎えた高齢の女性は、爺さんがいつも愚痴を注意している婆さんだった。
「そう言う事を言ってはいけないんだって」
「えっ、こんな事もなの?」
小声の二人のささやきが耳に入った。
「ここは天国じゃ、なのでここでは天国的な言葉だけを言うんじゃ」
爺さんはストレスを貯めないように一言だけ言った。

(おしまい)

雨つづく処暑の飛騨 さあ、パラリンピック!

2021-08-23 17:29:13 | 俳句日記の部屋

長雨に コロナごとく 蝉籠る  湧水

炎天と せみ声消えし 雨季列島  湧水

みんみんと 雨間慌てし 処暑のせみ  湧水

わが気がかり 察して庭に 法師蝉  湧水

法師蝉 ひと鳴き聞かせ 去りにけり  湧水

せみ声に 雨上がり前の 山散歩  湧水

せみ声を 信じずぶ濡れ 山散歩  湧水

汗かかねど すべて着換える ずぶ濡れかな  湧水

せみ声など 信ぜず雨間の 山散歩  湧水

豪雨去り 久々朝の 通学車  湧水

シャワー室 こおろぎ鳴きて 閉められず  湧水

朝ごとに 騒がしくなる 初秋の野  湧水

秋の陽に 賑やかなりゆく 虫の野かな  湧水

長雨に 気づけば穏やかな 秋陽かな  湧水

晩夏の夕 村爺ごとく 鳩の声  湧水

夕日さす 晩夏の里に 山鳩の声  湧水

豪雨去り 夕日けだるき 晩夏かな  湧水

的外れの 山鳩の声 晩夏村  湧水

川柳

家中を わが家のごとく こおろぎかな どこから入るのか?網戸で蚊も入れないのに?

シャワー湯に 驚く一匹 消えし全匹  一匹が避難指示を発した?のか家中で消えた

梅雨は北海道へ 本州には雨季が 温暖化  もう日本列島は亜熱帯だよー!

(おしまい)

ブレイクスルー! 水素ガスの液化に日本の新技術

2021-08-20 16:33:58 | 発明アイディアの部屋


遅ればせながらの日本のカーボンニュートラル宣言の後、世界的にも政権交代したバイデン米新大統領によって、いよいよ地球的に脱炭素時代へ向けて大きく動き出した。
しかし今の現状の技術レベルではカーボンニュートラルは実現できない。
そこで、かつての戦時下の国々のように国や企業の力を総動員して様々な画期的な新技術開発が不可欠となってきた。
そんな中、嬉しい内容の番組を見た。
現在の日本に、将来の水素社会実現を前進させる素晴らしい新技術が開発されつつある事だ。
それが「磁気冷凍機」と呼ばれる発明だ。
一言で言えば、磁石で水素ガスを冷やして液化する機械の発明である。

以前、当ブログで以下の事を述べた。
まず、オーストラリアや中東の砂漠において大規模なソーラーパネルで水を電気分解して水素ガスを生産する。
その水素ガスを現地で液化して大型タンカーで日本へ運ぶと言う話だ。
しかし、この構想には難点がある。
それは、水素ガスの液化に現状の技術では大きなエネルギーコストがかかると言う問題だ。
その事を詳しく説明する。
水素ガスは液体にすると体積が1/800に小さくなる。
しかし液体にするためには温度を-253度まで冷やさなければならない。
しかし、今のところは一気に冷やす技術が無いので、現在は二段階で冷やしている。
まず第一段階で液体窒素によって-196度まで冷やす。
そしてその後は圧縮や膨張を繰り返して-253度まで冷やすのである。
実はこの圧縮と膨張に大量の電力が必要となる。
この超低温の冷凍工程に、今、日本のブレイクスルー的な新技術が開発された。
それが、今までになかった、磁石を使って冷やすと言う技術である。
その原理は、以下の通り。
磁石にくっ付く磁性体がある。
その磁性体の中の電子はスピンと言う回転運動をしていて、その方向はバラバラである。
ところが、超強力な磁石をその磁性体に近づけると、スピンの方向が揃い、その時に熱が放出される。
また逆に遠ざけると、スピンの方向が元のバラバラにもどり、その時に周囲の熱を吸収する。
なのでこの現象を利用して、磁石を近づけたり離したり繰り返せば、磁性体をどんどん冷やす事ができ、同時に周囲の物を冷やす事もできる。(もちろん放出された熱は交換流体で除去する)
この原理を利用して超電導磁石(5テスラを超える磁力)と周りを熱を逃がすヘリウムで囲まれた磁性体とで新しい磁気冷凍機が開発された。
この方法だと、従来の方法に比べエネルギーコストが半減すると言われる。
さらに使用する磁性体の能力によっても冷凍コストが大きく作用される。
この磁性体開発に大きなブレイクスルーがあったようだ。
磁性体は様々な材料を混ぜ合わせて造る。
どんな材料をどの程度混ぜ合わせれば磁性体の冷凍につながる能力が高まるかについて、aiを利用した。
そこで現状のデータを元にしてデぃープラーニングで学ばせ、より高い能力の出る組み合わせや混ぜ合わせを推測させた。
そして、最良の組み合わせを実際に試作して能力を測定したところ、予想以上の2・5倍の結果が出たと言う。
この出来事に開発者達が喜んだようだ(nhkテレビのサイエンスゼロより)
こうした技術が実用化されると、現状の1立法m当たり100円の水素が30円となり、今後の水素社会実現に大きく貢献する事になる。
本当に嬉しい話で、早く実用化される事を期待している。

以上のような水素ガスの液化と違って、他にも面白い方法がある。

水素吸蔵合金
これは水素ガスを液化しなくても1000倍の体積の水素を貯められると言う。
そして水素の出し入れは温度変化でできるので、小規模なソーラーシステムには適している。(詳しい事は次回に)

ここで、ちょっと面白いと思った事がある。
それは磁石についての話である。
私が子供の頃は模型用小型モーターでヘリコプターを作ってプロペラを回しても、宙に飛び上がらなかった。
それは、小型モーターの力が弱くて、自身の重さすら持ち上げられなかったからである。
それから?年後には、充電式の小型のヘリコプターが発売された。
即、購入して電池で充電してプロペラを回すと室内をカッコ良く浮き上がった。
進歩によってモーターが軽く強力になって、自身の重さなど軽々と宙に浮かす事ができるようになったからだ。
これは、磁石が小さくて強力になったからだ。
磁石が強力になったお蔭で近年発明されたものがいっぱいある。
例えばリニアモーターカーはその代表だが、他にも新幹線のような高速列車や高速エレベーター。
また掃除機洗濯機などの家電、そして入れ歯やmriなどの医療機器もある。
さらに素粒子実験用の巨大な加速機等もある。
磁石の強さは、磁力の強さの単位のガウスやてすらで表す。
地磁気が0・3~0・6ガウス、mriが1~3テスラ(1テスラはガウスの1万倍)
最近、大阪大の研究所ではレーザーを使ってメガテスラ級の磁場を作る事に成功したと言うニュースがあった。
このような超強力な磁場の研究とその応用は、今後フリーエネルギーのような今までにない新しい画期的な発明につながるような気がする。

(以上)

お盆と土用の豪雨列島!  コロナも豪雨みたい?

2021-08-17 15:11:10 | 俳句日記の部屋

また豪雨 何おか悟る 盆列島  湧水

 長豪雨 ようやく気づく 温暖化  湧水

列島を 隈なく浄め 激雨かな  湧水

全国に 有名にする 雨災害  湧水

コロナ渦や 気づかぬ内に 桁が増え  湧水

豪雨やみ 山に水音 せみの声  湧水

雨音が 去れば水音 せみの音  湧水

一斉に せみらの声や 雨あがり  湧水

夏草の句

野放しの 夏草いのちの 恐ろしさ  湧水

お互いの 命かけたる 夏草ひき  湧水

命かけ 互いに綱引き 夏草田  湧水

母なる地 もの産む力や 草いきれ  湧水

草股に 臭う命や 草いきれ  湧水

火まといや 衆惹きつけて 筒花火  湧水

火まといの ごと高々と 手筒火かな  湧水

そう、テレビ「プレバト!」の梅沢富美男氏の次の句、

火まといの 遠州男児や 筒花火

が没シュレッターで、「ひまみれ」だったらokとの事だったが、蛇足になるが「火まとい」として試してみた・・・?

川柳クイズ!

ムラムラーモコモコーハラハラー!
さて、これは何でしょう?

当たり!そう、お盆に来た禅宗のお坊さんのお経の一部です。
「おのまとぺ」的には、存在するのでしょうか?
そこで調べてみると、(オノマトペ 日本語NETより)
ムチムチ / むっちり ・ ムラムラ ・メラメラ ・ メロメロ ・ もじゃもじゃ ・ もくもく ・ もぐもぐ ・ もじもじ ・ もこもこ ・ モタモタ ・ モチモチ ...
あっ、有った!
でもそうではないんです。
はい、「般若心経」のギャーテイギャーテイのようにインドのサンスクリット語原文だと想うので、はい、くれぐれも誤解のないように(合掌)・・・でした!

蛇足ついでに短歌、

野放しの畑へ入れば巨大草 お手やわらかにと一本づつ引く  湧水

(おしまい)