飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

連載小説「幸福の木」 334話 馬タクシー出発!

2022-12-24 22:31:48 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、小湧水でーす、やはり今年はホワイトクリスマスになりました、きれいでいいのですが寒さだけは予想外でした、はい、部屋が温まるまで振えながら、はい、小説に参ります、では、開幕開幕!

334 馬タクシー出発!

ここは、銭湯横のレストランの前、立ったまま待っち続けている村長がぼやいた。
「ほーら、やっぱりじゃ!皆が急がせるので、慌てて表へ出てきたが、やっぱりじゃ。ここは田舎の昭和村じゃ、何事もゆっくりじゃ、時間もゆっくり流れているのじゃ、・・とワシが言っても、理解できないのじゃろう、今の人達には分からんのじゃ、まあ仕方ないのう・・」
そんな小声のぼやきを、隣りで耳にしながら、ハナが村長に尋ねた。
「あの、村長さん、馬タクシーって言うけど、この近くには馬を飼っている牧場でもあるんですか?」
「おっ、馬の牧場?いや、ワシは聞いた事がないのう」
ハナには以外な応えだった。
村長は続けた。
「・・そうじゃ、馬と言えば、昔はここでは馬を飼っていた農家も多かった。ワシも子供の頃には、家で馬を飼っていたので、よく餌の草刈りを手つだわされた。特に稲わらを見せると馬は喜んで声を上げた、ああ、懐かしいのう」
「あの、その馬って、やっぱり馬車を引くために飼ってたのですか?」
ハナが念を押すように聞いた。
「いやいや、それだけじゃない。ここでは馬はいろいろな事に役立ったのじゃ、まずは春先に田を耕すためじゃ、他にも荷を運んだりしたが、そうそう、特に冬の雪が多い時期には、ずいぶん役立ったのじゃ。
そう、ここは基礎と並んで檜の産地じゃ、山で切り出した材木は、冬の雪のある時に引っぱって山から運び出すんじゃ。馬なら道がなくても雪の上を運び出す事ができるんじゃ」
それを聞いてハナナが思いついた。
「ああ、分かったわ!そう、クリスマスのサンタクロースさんのトナカイの馬車みたいにでしょ?」
すると、即、子供達が反論した。
「違う、違うよ、サンタクロースはトナカイだから馬車じゃないよ」
「そうだよ、サンタさんは車じゃなくてソリよ、雪の上を滑るそりよ」
ハナは突然の反論にびっくりした。
すると、村長が穏やかな声で話出した。
「ああ、そうじゃのう、車や道路のない昔は、きっと冬は馬に雪ソリを引かせて荷物を運んだんじゃろうな、しかし、冬は材木の切り出し以外は、あまり外へは出なかったのじゃ、雪の積もる前に必要な物は全部運んでおいて、雪籠りをしたんじゃ」
皆は村長の話を聞きながら、雪の多い冬の様子を想像していた。
突然一瞬にして、そんな想像が破られた。
「ニャーニャー、ブーブーブー!」
変な音を出しながら、黄色いネコの形が近づいてきた。
待っていた小型のネコタクシーだった。
それが、皆の待っていた玄関前に停車した。
「あっ、お迎えのネコタクシーだわ、私達、乗ってもいいのね」
ハナ達は、無人のタクシーに声をかけながら、少し開いたドアを開けて前席に乗った。
「おいらは馬タクシーに乗りたいから、乗らない」
グー太が乗らないと言うので、ハナ達は外国家族に声をかけた。
「あの、どうぞ、皆も乗れるから、家族全員で乗ったら?」
お姉ちゃんに声をかけ、全員が乗ると無人タクシーはちょうど満員になった。
運転席のパネルには、行先の音楽資料館のボタンがあり、また出発と言うボタンもあった。
「まだちょっとボタンを押すのは待ちましょうね、馬タクシーや人タクシーが到着して全員が揃ったらボタンを押しますから」
とハナが言うと、隣りのお姉ちゃんがokして英語に翻訳した。
お姉ちゃんが英語で通訳している、その時だった。
「はいはいはいはーい、おまたせー!」
大きな声を出しながら、変な腰高かのリヤカーみたいな車?が到着した。
「人が引っ張ってるよ」、「あっ、見た事がある」、「なーんだ人力車だわ」
子供や母親達の歓声に答えるようにして、人力車が、ネコタクシーの後ろに止まった。
「おまたせいたしましたー、大将村の人力車でーす、悪いけど今日は疲れているので、いつもは大人二人乗りですけど、今日は1人で願います」
汗をかきかき中年風の車夫が言った。
「ああ、それなら村長さんだ、いや、それとも木花咲姫様かな?」
長老達が言いながら迷っていた。
「いえ、わたくし達は何とでもなりますので、どうぞ高齢の村長さんが、お先に乗ってください」
木花咲姫が譲った。
「いやいや、ワシは年寄りと言えど、一応男じゃから、やはり女性の木花咲姫様からどうぞ!」
村長と姫は互いに譲り合った。
そんな譲り合いなど、全く関心が無いように、
「まだかな?遅いな、どうしたんだろう?」
子供達と母親、それに太郎や長老達はしびれを切らしたように馬タクシーの到着を待っていた。
そこから見える大正村へ続く路は真っ直ぐだった。
馬車は大きいから、遠くから小さく見えても分かるはずだ。
「まだかな?まだかな?」
皆は目を皿のようにして道路の先を見つめた。
すると馬らしき動物が先頭に立って向って来るのが見えた。
「あっ、あれかも?」
一瞬、皆が沸きだった。
が、すぐに違った!と失望した。
後ろに馬車のような大きな箱らしき物を引っ張っていなかった。
それに先頭には歩いている馬子らしき人影もあった。
やがて、その人影に導かれて、ゆっくりと近づいて来た馬は、よく見ると、後ろに荷車のような物があった。
二つの車輪だけの大八車と呼ぶ昔の荷車を引っ張っていた。
「ちっ、ったく!まぎらわしい!どうしてこんな時に荷車が来るんだ」
太郎が怒鳴った。
そのうちに、馬の手綱を引っぱりながら馬子のおっさんが、皆が見守る玄関前に、ゆっくりと馬と後ろの大八車を止めた。
そうして、皆の視線など物ともせず大声で怒鳴った。
「女将ー、女将ー!大正村から来た馬タクシーだー、お客さんはどちらかな?」
馬タクシーと言う言葉を聞いて、子供や母親達が言葉を失った。
(まさか、これが待ち続けていた馬タクシーだなんて、有り得ない!)
と心の中で叫んだだけで、言葉が出ずにフリーズして固まってしまった。
食堂から慌てて店長が出て来て、
「この方達よ、この方達よ」
と子供達と母親達を指さした。
「おーっ、ずいぶん大勢だな」
馬子のおっちゃんは、初め、少し驚いた様子で皆を見た。
「・・・・」
子供達も母親達も太郎達も一言もなく沈黙していた。
「・・まあ、いいか、それじゃ、さあ、荷台に乗ってもらおうか?」
と指図するように目配せしながら言ったが、皆がまだ唖然としていた。
「ああ、そうだ、車輪の近くは危険だから、そう、子供達は前か後ろに乗って車から離れてな」
と付け加えた。
子供達が、板を張っただけの荷車に目を向けると、所々に枯れ草が落ちていた。
「ああ、これはまずいな、さっきまで干し草を運んでいたからな、ちょっと埃っぽいかもしれん?そうだ、女将ー!ちょっと箒を貸してくれー!」
と言って箒を借りると、荷台の上をはいた。
「さあ、これで綺麗になった、さあ、どうぞ乗ってくんろ!ちょっと遅れてしまったから、早く出発するべー、さあ、乗った乗った!」
すると、おとなしくしていた年老いたような馬が、
「フンッ、フンッ、ヒヒヒーン、ヒヒヒーン!」
と大きな鼻息と声を出した。
そして、後ろ脚をパカパカと上下させて、歩き出そうとした。
「はっ、はっ、ドウドウ、ドウドウ!」
慌てた馬子、と言うか、馬方のおっちゃんが、声で老馬を落ち着かせた。
そんなおっちゃんと馬の勢いに釣られてか、やがて、何だかんだと皆が荷台に乗って、無事に?腰を降ろした。
「はっ、ドウドウ!」
鞭を打って本物の馬車の御者が出発するように、馬方のおっちゃんの声だけは堂々としていた。
と言う訳で、無事に?馬タクシーが出発した。
先頭の馬方のおっちゃんが手綱を持って一番前を歩き、その次には老馬が歩き、その後を大八車が続いた。
その第八車には、前後に子供達が、中ほどの車輪の近くには長老や修験者と母親達が座っていた。
太郎やタタロやゴクウとケンは、大八車の横を歩き、木花咲姫と侍女は最後尾を歩いていた。
その歩く速さは、あきれるほど遅かった。
ネコタクシーと人力車は、もうはるか前方に姿を消していた。

(つづく)

明後日は「冬至」 まもなく生誕歳とクリスマス!

2022-12-20 16:40:45 | 俳句日記の部屋

北の地も 温かく灯さん 聖夜かな  湧水

雪寒むの 朝に慣れにし 三日目かな  湧水

厚上着 重ね重ねて 雪参道  湧水

雪曇りの 影なき里に 散歩かな  湧水

影無くば 厚着手ぶくろ 雪舞う中  湧水

雪晴れて 真白き里に 黒筋路  湧水

脇雪が 白線代わり 冬参道  湧水

嫌がられが 初褒められし 雪マスク  湧水

子だくさん 米無き家に 届く寄付  湧水

歳末の ひもじき家に 寄付の米  湧水

句作らんと 思いだしたる 大掃除  湧水

川柳

句作りに いやいやはげむ 大掃除  これ、未来の事だが?果たして?


白湯(さゆ)厚着 アンカ毛布かけ エアコンかな  設定温度が下がればいいんだが?

褒められて 懸垂十回 雪ごもり  ウチの爺、五回が最近は十回 誰か止めてー!

ウチの爺 風呂入る前に 一言 「まるで何も付けていないみたい!」 テレビ見過ぎ?


連載小説「幸福の木」 333話 田舎の高級馬車?

2022-12-18 22:41:53 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいや、冷えて冷えてもう真冬になりました、そうほわいとクリスマスです、はい、まだまだ混乱の世ですが、もう世の光が近くまで来ているようで、はい、希望を持ちましょう、はい、では早速、小説に参ります、はい、では、開幕開幕!

333 田舎の高級馬車?

「へえーっ、それじゃ村全体がひとつのホテルって訳ね?」
若い母親達の話を聞いて、ハナとハナナが驚いた。
「そうよ、それで、ほらっ、例えばさ、温泉旅館やホテルの一番高級な客室はどんな所か知ってる?」
面と向って質問されたハナなが、少し考えて答えた。
「分かった!ビルの一番高い階の一番見晴らしのいい広い部屋」
若い母親達が首を横に振った。
「それなら、私は、一階のロビー近くの、そう、大きな庭園の池に突き出した客室」
今度はハナが答えた。
するとまた若い母親達は首を横に振って、
「いえそうじゃないのよ、一番高い、例えば皇室の方々が泊まるような部屋は、最上階でもなく庭横の料亭部屋でもなく、ホテルの庭の中の、離れた平屋の一軒家なのよ、・・そうよ、つまり私達が泊まっている部屋なのよ」
「へえーっ、そうなの?・・まさかホテルの一番高い部屋に泊まってるなんて?」
ハナ達は顔を見合わせた。
「ハッハッハー、なるほど、そう言う訳か、つまりあんた方は、下呂温泉の高級ホテルの一番高い客室に一番安く泊まっていると言う訳じゃな、なるほどなるほど、もっともじゃ。ワシも泊まりたくなったわい」
たまたま料理を運んでいた地元のおばさんが、その言葉に即、反論した。
「えっ、村長さんが泊まってどうすると言うんですか?近くの空き家へ泊まりに行くんですよ?分かってますか?自分の家の方が便利でしょ?」
「ああ、そうじゃった、そうじゃった、話を聞いていたら、つい泊まりたくなってしもうたわい、はっはっはー!ワシはやはり根っからの田舎者じゃのう、はっはっはー」
「それで、村長さんは今回、どんな面白い話を私達にしてくださるんですか?」
母親のひとりが村長に尋ねた。
「さーて大正明治村にはない話じゃな、昭和村にしかない話となると、さて何じゃろうか?」
村長が子供達の顔や皆の顔を見ながら考えていた。
その時、厨房から店長らしき女性が、大きなお盆を持って村長達のテーブルへやって来た。
「村長さん、教は大勢のお客様を連れてきてくださってありがとうございます、大正村からも来てくださったようで、お礼に手作りの芋ケーキをサービスさせていただきます」
と言って、小さなケーキの包みを皆の前に置いた。
「おお、これはこれは店長さんすまんのう、そうそう、ところで店長さんよ、この大正村から来た人達に昭和村の何の話をしたら面白いじょろうかな?」
と尋ねた。
女性の店長は小さな子供達と若い母親達をながめていたが、すぐに、
「あの、村のはずれの音楽資料館喫茶はいかがでしようか?あそこなら昔の小さなかわいいオルゴールもたくさん並んでいるし、昔の手回し式レコーダーからcdに変わるまでの様々な型のレコーダーと様々なレコードも並んでいて、それぞれ自由に聞く事もできるし、そうそうそれに旧い八ミリ映画の観賞もできるわ、他にもいろいろな音のでる楽器がたくさんあるから、きっと子供達も喜ぶんじゃないですか?」
とすらすらと答えた。
その店長の流暢な説明に、子供達も母親達も目を輝かせた。
「まあ、そんな所があったなんて知らなかったわ、それはどこにあるのですか?」
母親達が沸き上がった。
「はい、それは昭和村のはずれですよ、大正村との境近くですよ、きっとあなた方も通りがかったと思いますよ」
と店長が答えると母親の1人が叫んだ。
「ああ、あった、あった!あそこだわ。ここへ歩いて来る途中に、喫茶店のコーヒーの看板のある大きな古民家があったわ、駐車場もあって、きっとあそこよ」
すると村長も大賛成をした。
「おお、そうじゃ、あそこならいいかも知れん、ワシは音楽には縁もないので今まで行った事がなかったが、ワシも見てみたくなったわい」
その言葉に子供達もハナやハナナ達も興味をそそられた。
「それじゃ、また皆でその音楽資料館喫茶へ行く事にしようか?さあ、どうじゃろう?他の皆さん方の意見は?」
村長の呼びかけに皆はうなづいて賛成した。
「ねえお母さん、そこへどうやって行くの?わたしもう歩くのは嫌よ、疲れて足が痛くなったわ、もう歩けないわ」
子供の1人の女の子が母親に訴えた。
「えーっ、あそこまでもどるの?僕ももう歩きたくないや」
子供達がつられて言い出した。
よし、それならネコタクシーで行こう!店長、悪いけどネコタクシーを呼んでくれるかい?」
村長が大声で言うと、ハナナやハナ達が喜んだ。
「やったー!あたい、あの黄色いネコタクシーに一度乗ってみたかったの」
ハナナが言うと、ハナも、
「そう、わたしも、一度でいいから乗ってみたかったわ、ラッキー!」
と二人で拍手しながら喜んだ。
店長がスマホを片手に慌ててもどってきた。
「村長さん、困りました、ネコタクシーが大変込んでいてたった一台しか来れないそうです、どうしますか?」
ハナとハナナは焦った。
「えーっ、たった一台じゃ、四、五人しか乗れないわ、ここには二十人ほどいるのよ、往復しても四、五回もかかるわ無理よ」
ハナ達はがっかりした。
「僕は歩くのは嫌だよ、歩くくらいならやめるよ」
子供達がタクシーでなきゃ嫌だとぐずり出した。
「ああ困った、困ったのう、他に車はないのかのう?マイクロバスでも何でもいいんじゃがな・・」
村長が渋い顔で店長に言った。
すると店長はスマホを耳に当てて会話をしながら、
「はい、村長さん、残念ながら今はバスも全部使用中で、空いているのは無いようです、・・ただ・・」
「えっ、ただ・・何じゃ?あるのかい?」
村長が慌てて聞いた。
「はい、ただ大正村の馬タクシーと人タクシーなら今は空いてるそうです」
「えっ、馬タクシーって?」
子供達が沸き立って声を上げた。
「ねえ、お母さん、馬タクシーって、どんなタクシー?、馬って、あのお馬さんなの?」
子供達の興味がそそられた。
「そうね、ネコタクシーはネコの形をした普通車だけど、馬タクシーは、まさか馬の形をした大型車なんて事はないわ、たぶん馬が引っ張るんじゃないの?ほらっ馬車って言うでしょ?」
母親の言葉に子供達はを想像ができた。
「ああ、僕、アニメで見た事ある、アメリカの西部劇の駅馬車みたいな?」
「違うわ、ほらっ、シンデレラ姫を迎えに来た馬車よ、中に座る席があるの、あれってカボチャだったかな?」
そんな話をしていると、子供達は、
「お母さん、私達はネコタクシーはもう乗ったから、今度は馬タクシーに乗りたいわ」
と言い出した。
すると母親のひとりが、
「あのー、その馬タクシーは何人ぐらい乗れるんですか?」
と店長に聞いてきた。
「えっ?ああ、人数ですか?詰め込めればかなり乗れると思いますが・・」
それを聞いて母親達は、
「ああ、それなら私達親子は、その馬タクシーに乗ります、村長さん、馬タクシーとネコタクシーと人タクシーを呼んでもらえれば皆が乗れると思いますが?」
と村長に言った。
「ほう、皆が乗れるのかい?それならいいが、それにしてもワシが知らないだけでここの村にはいろいろなタクシーがあるもんじゃ、今更驚きじゃ」
村長が感動していると、店長は、さらに
「はい、もしご希望なら、離れた江戸村には籠タクシーがありますし、平安村には牛車もありますよ、電話で呼べば迎えに来てくれますよ。ただ離れているので少し時間がかかりますが・・」
それを聞いていた長老と修験者が、
「えーっ、平安時代の牛車なんて、人が歩くよりも遅いんじゃないか?」
「それに江戸時代の籠タクシーなんて、1人乗りだし、内の綱にしっかり掴まっていないと振り落とされるぞ」
とおどかしながら忠告した。
すると男の子が答えた。
「わーっ、それなら僕は籠なんて嫌だ、それよりも牛車がいい、牛車なら中でゲームもできそうだから、僕は牛車なら乗ってもいいよ」
すると店長が即答えた。
「あの、お薦めできませんが、牛車は呼んでも来るのに時間がかかりますし、牛と牛車の使用料や人件費などでかなり高額になりますよ」
その言葉に、子供達も母親達も黙ってしまった。
いらいらした顔で話を聞いていた太郎が大声を出した。
「さあ、早く馬とネコとヒトタクシーを呼んでもらって出かけようぜ!さあ、皆も早く芋ケーキを食べて、出発の準備だ!
と皆を急がせた。
さて、と言う訳で、皆は玄関前でタクシーの到着を待っていた。

(つづく

師走の飛騨 冬の雨

2022-12-13 16:12:21 | 俳句日記の部屋

冬の雨 えんま声消ゆ 寺参道  湧水

かんかんと 冬も変わらぬ 警報音  湧水

影消えて 白杖うれし 冬踏切  湧水

白杖の 手で耳ふさぐ 冬踏切  湧水

虫去りて 列車の音だけ 冬草野  湧水

ストーブが 日常なりし 師走飛騨  湧水

雪ま近か 何事もせぬ ひとり爺  湧水

200㍑の 灯油と電気や 冬の軍  湧水

上下に 一枚重ね 節エネかな  湧水

友の分 雪が阻むと オセチやめ  湧水

カップスープ 解凍チャーハン 師走昼  湧水

ぽたぽたと 冬雨知らせ しずく音  湧水

外霙(みぞれ) 内はストーブに 昼寝かな  湧水

時事

物騒な 攻撃政論 与党タカ派  攻撃は違憲だし、買うミサイルは旧式だ!

敵基地の 攻撃が呼ぶ 原発攻撃  だからタカ派議論よりも戦争回避のハト派議論を!


(続)連載小説「幸福の木」 332話 古民家客室がいっぱいの村全体ほてる?

2022-12-11 16:27:59 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、まもなくクリスマス、飛騨は今年はホワイトクリスマスになるかも?
今年はケーキが食べられそう!って、ウチの先生が言ってました、はい、文字制限でまた途中切れになりそうなので、早速小説に参ります、はい、では開幕、開幕!

332 古民家客室がいっぱいの村全体ほてる?

と村長は着ている高級そうな半袖シャツを触って見せた。
「えっ、麻の物ばかりって?」
ハナナとハナが改めて村長の着ている物を見た。
「おお、そうじゃ、これもすべて麻じゃ、今の流行のsvdsに合っている素材じゃ」
と村長は得意顔になった。
突然、外国の娘がカラカラと笑った。
「ハハハハ、svdsって?ハハハハ、それって、ひょっとして、SDGsの事じゃないですか?ハハハハ、英語のSustainable Development Goals、つまり持続可能な開発目標の略称の事ですよ、よく質問を受けたので日本語訳も憶えてしまったわ、その事でしょ?」
すると村長は慌てた。
「エッ、そうなのか?ワシとした事が、少々恥ずかしかったかな?ちょっとだけ言い間違えたかな、まあ、ワシ等は四文字熟語なら慣れているが、四文字略語は聞きとれん、・・だが、待てよ、確か、木花咲姫様もそう言ってたような気がするが」
と村長が木花咲姫の方を見た。
木花咲姫は慌てて、すぐに答えた。
「いえ、違います、わたくしは間違いは気づいていました、でもわたくしは村長さんの恥にならないようにと、同じ言い方を真似たのです、後で気づけばよい事ですので」
「・・・・」
微妙な雰囲気の空気が流れた。
しばらくすると、今度はゴクウが口を開いた。
「あのー、・・でも今は麻は大麻だから栽培は禁止じゃないですか?」
ゴクウの言葉にハナ達は驚いた。
村長も驚いて慌てて答えた。
そうじゃ、びっくりじゃ、よく知ってるのう?賢そうなお猿さんじゃ、その通りじゃ、なので特別な許可を申請して監理下の元で栽培をしているんじゃ」
と村長は、額の汗をぬぐいながら、南の方をながめた。
「しかし、それはこの昭和村でなく、向こうに見える大正、明治村内で行っているのじゃ」
「えっ、大正、明治村って?」
皆も南の方に目を向けて、聞き返した。
「そうじゃ、実は、この村の先へ進むと、奥には大正、明治村になっている。
その先は江戸村戦国村と、だんだん昔に遡る村が続いている。言わば、タイムスリップして昔の時代の村を体験できると言う訳じゃ」
「へーっ、本当?ここから奥へ行けば旧い昔の村が再現されているの?」
「そうじゃ、ワシは今は昭和村の村長じゃが、本当はずっと奥の弥生村の村長になりたかったのじゃ。何故か分かるかな?」
と村長はからかうようにハナ達に聞いた。
「そりゃ、昔の方が面白いからじゃないの?」
ハナナが言った。
村長はニコニコうなづきながら、
「そう、何故かと言うと、ワしは絵本で見た、あの大国主の命のような白いフカフカの衣服が大好きなのじゃ。なので、あの衣服を着て生活をしてみたいんじゃ。
そう、子供の頃に読んだ絵本の「稲葉の白ウサギ」に出てくる大国主の命と同じ姿をしたいんじゃ、あの衣服で夏中を過ごせば、あの大きなフワフワの服なら、風もよく通るし、蚊にも刺されないからな、もちろん麻性じゃ。
ハナやハナナ達は、ポカーンと口を空けて聞いていた。
「そうそう、それで最近、思いついたんじゃが、今マスクに使用している不織布があるじゃろう?あれで大国主の命の衣服を作ってみようと思っているんじゃ、来年の話じゃが・あれなら軽くて涼しくてきっと気持ち良い事じゃろう、あんた達はどう思う?」
と、目を反らさず、ジーと話を真剣に聞いているハナやハナナ達に村長は尋ねた。
「あんた達?えっ、どう思うって?」
二人は顔を見合わせた。
ハナは困った顔になったが、ハナナはケロットしていた。
「あたいはどっちでもいいけど面白そう、いいんじゃない?・・知らんけど」
「面白そう、知らんけど?ハッハッハー、まるで大阪のおばはんみたいじゃ、ハッハッハー」
村長は口を大きく開けて大笑いした。
その声と口に惹かれるように、知らない内に小さな女の子達が寄ってきた。
後ろには母親らしき若い女性達がいた。
「あらっ、きっと昭和村の村長さんだわ、こんにちわ!さあ、あんた達も村長さんにあいさつをしなさい」
「こんにちわ、村長さん」
三、四人の女の子供たちが、遠慮がちにあいさつをした。
「はて、どこの子供達じゃったろうか?あまり見覚えがないようじゃが・・」
村長は少し不思議そうな顔でながめていた。
母親らしき人が、近づいて、
「あらっ、ごめんなさい、はじめまして!でした。私達は今大正明治村に宿泊している家族仲間です、よろしくお願いします」
とひとりが挨拶をした。
「ほおほお、これはこれは丁寧なあいさつを・・」
と村長もうなづきながら返礼すると、
「あの、私達は、村ホテルのロビーで薦められてこの昭和村を散歩を兼ねて見学に来たものです」
と別の同じく若い母親が言った。
「ほうほう、なるほど薦められて?」
村長がうなづきながら聞き耳を立てていると、また別の母親が、
「はい、私達が、村中を歩き回ってしまったので、もう見る所も無くなったと話していたら、隣の昭和村には白髪の博学の村長さんがいて、面白い話を聞かせてくれますので、そちらへ見学に行ったらどうですか?村長さんは、毎日銭湯の隣のレストランで昼ごはんを食べますので、あなた方も散歩ついでに、そこで昼食して話を聞いてきたらいかがですかと薦められたのでやって来ました」
それを聞いた村長は、
「ハッハッハー、ハク髪のハク学の村長とは、うまく言ったもんじゃ、それれじゃ、今朝はくしょんハクションとやたらにクシャミが出たんじゃ」
と大笑いした。
「あの、村長さんはもう昼食を食べましたか?ここの銭湯のレストランは私達の泊まっている村ホテルのレストランに加盟しているので私達はサインでokなので、良かったらご一緒にどうですか?」
と母親達が勧めた。
「おお、そうじゃ、もう昼じゃ、昼ごはんの時間じゃ、それじゃ、皆で一緒に昼ごはんとするかな、のう、皆さーん?」
村長の呼びかけで皆は一緒に昼ごはんをする事になった。
村長と子供連れを先頭にして、皆が建物に入ると、左がレストラン右が銭湯となっていた。
レストランの入口にはガラスごしに料理の見本が陳列してあった。
ハナとハナナ達は、子供達と一緒に見本を選んでいた。
するとハナナが値段を見ながら、
「あの、さっき母親達が言ってた、サインするだけでいいって、どう言う事?」
とハナに聞いた。
「ああ、それはこのレストランの支払いの事よ、会計の時にお金やカードで払わなくても、サインだけすれば、後でホテル代を清算する時にまとめて支払いできるって言う事よ」
「えっ、ホテル代?ホテル代ってホテルの中の店を利用した場合でしょ?」
ハナナが聞き直した。
その会話を聞いていた母親達が、ハナ達のテーブルの前に座って説明し始めた。
「あのね、大正明治村は村全体が一体になった村ホテルなのよ、昔の庄屋さん宅にホテルの母体の玄関とロビーがあるの。そこには喫茶店や宴会や大会議やコンサート等ができる大会場もあるのよ」
そこでハナ達が聞いた。
「えっ、それで、お客さん達はどこに泊まるの?」
「それがこの村の面白さなのよ、村には人が住まなくなった空き家の古民家がいっぱいあるの。それが客室なのよ、古民家は間取りや大きさもいろいろあって、お客さん達が好きな古民家を選ぶ事ができるの。私達は大きな古民家に三家族が一緒になって泊まっているわ、でも部屋がたくさんあるから家族事に別の部屋で寝てるわ、男の人達は奥の部屋で徹夜麻雀をしてるわ」
「朝ご飯は近くに食事専用の古民家があるのでそこで食べるのよ、そこが村ホテルのレストランね、夕食もそこで食べるわ」
「へえーっ、で、その客室の古民家には誰もいないの?」
またハナ達が驚いた。
「そうよ、でも一日に何回か、時間になると村の人達が来て、掃除や布団敷きをしてくれるわ。その時にお湯やお菓子やコーヒー紅茶袋を置いていくので、私達は自由に飲めるわ、もちろん冷蔵庫にはビールやお酒類や飲み物が入っているわ」
「へえーっ、それじゃ、まるで自分の家みたいね」
「そうなの、うちの主人なんか自分達の山奥の別荘みたいに思っているわ。
それに、もし食事に出かけたくなければ、ホテルのルームサービスみたいに電話でデリバリーもできるわ」
「それに各古民家ごとに建物や庭等の特徴があるから、次回来た時にはあの古民家に泊まろう!なんて予約もしたくなるわ」
「釣りが好きな主人達は、河の畔の古民家を別荘みたいにして、毎週泊まってるみたいよ」
「それで、村人達にも古民家の掃除や料理や野菜作り等の職場ができるのよ。年寄りでも好きな時間に好きなだけ働く機会ができて、村人達にも喜ばれているし、私達も安い人件費や設備費のために宿泊代もずっと安いので大喜びだわ」

(つづく)