ハイハイハイハーイおまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいやウクライナが大変です、世界中から批難ゴーゴー亡くなる人泣く人が出ない事を祈ってます。
ロシア、中国、北鮮の旧い考えの国、早く目覚めてほしいです、はい、また文字オーバーしませんように、はい、開幕開幕でーす!
299 鳩コプターと鷹コプター?
「それでは早速出発しましょう」
最新のファッション服を着こなした木花咲姫の呼びかけに、皆はヘルスセンターの玄関を出た。
先頭はモデルのような木花咲姫と侍女である、続いてハナとグー太とハナナ、その後にはタタロと長老と修験者達が続いた。
そして最後には太郎とゴクウとケンがいた。
太郎は桃太郎のハッピ姿でゴクウがキビダンゴ袋を首にかけケンの背は雉の縫いぐるみに変わっていた。
何ともチグハグなメンバーの列だった。
これならば見る人達もコスプレと思い、怪しまれないだろうと言う事だった。
出発の前に、木花咲姫はこう言った。
「皆さん方は、まだこの文明の近代的な都会には慣れていないでしょうから、初めは田舎の方から視察しましょう。
しかし、その田舎へ行くのにも鉄道や車も慣れていないですから、まずここから地下鉄で港まで出ます。そこからは良い方法を思いつきました、この方法ならば皆さんにも分かり易くて、きっと満足されると思います」
と言う訳で、皆は前に通った近くの地下鉄駅へ行く事になった。
前もって皆には乗車券代わりのカードが配られた。
その時に注意もされた。
「皆さん方の体は、そのまま改札口の扉を通り抜ける事ができますが、それでは驚いた人達が騒ぎ出すといけませんから、ちゃんとカードをかざして通ってください」
と言う事で、侍女が改札口で皆を見守って世話をした。
そのため改札口もトラブル無くスムースに通っていた。
しかし、列の最後の太郎とゴクウとケンの姿は近くの人達の目を引いた。
「あっ、猿だ!それに犬も、あっ、キジが犬の背に乗っている」
近くの子供が寄ってきて大声を出した。
騒ぎを感じたのか、駅員が見に来た。
「あっ、あの時の一行だ」
駅員は皆が滑り台トンネルからホームに飛び出した時にいた駅員だった。
「あの、あの、あなた達はこれからどちらへ?」
要注意客だと思った駅員は、怪訝な顔で引率責任者の木花咲姫と侍女に聞いてきた。
「あっ、朝の駅員さん、今朝はお世話になりました。はい、わたくし達は、これから港まで参ります、そこから田舎(いなか)の方へ行く予定です」
「えっ、田舎?」
「はい、まだ皆さんは都会に慣れていませんので、粗相があってはいけませんので・・」
と木花咲姫が答えると、駅員は疑わしそうな顔で長老達や太郎達をジロジロ見ながら、
「ああ、そう言えば、確か、田舎の学校と言ってましたね、それは小学校ですか中学校ですか?」
と詰め寄ってきた。
「はい、学校と行っても、今流行りの魔術学校です、ほらっ、あの有名なハリーポッターって知ってますか?そんな感じの学校です」
「えっ、魔術?魔術学校?魔術って、魔法の事?」
「はい、その通りです、魔法が使えるようになる学校です・・」
と答えて木花咲姫が隣りの侍女と二人でニコニコ頬笑んだ。
駅員が唖然としていると、太郎達が何気ない顔で改札口の鉄枠を霧のように通り抜けていた。
「えっ?・・・???!」
しばらく声の出ない駅員に、電車の閉じようとしている入口から、木花咲姫と侍女が笑顔で手を振っていた。
「ゴーーゴーー!」
電車の中では、皆は初体験のためか珍しく無言だった。
神妙な顔で暗い窓の外や床や天上や客を見ていた。
それに電車の小さな音にも真剣に耳を傾けていた。
やがて、一行は地下鉄の港の駅で降車して地上へ向った。
「わーい、外だ外だ!久々の空だ」
明るい太陽の光に向って、太郎達は大喜びで競って階段を駆け上がった。
「わーっ、眩しい、あっ、広々している、海だ、海が見える、青い海が見えるぞ!」
周りを囲んでいた青い海は伊勢湾だった。
太郎達が到着した場所は伊勢湾に突き出した民間の飛行場だった。
しかし飛行機らしき姿はなく、軽そうなパラグライダーのような物がたくさん並んでいた。
「はーい、皆さーん、ここは自家用ミニ飛行機の駐機場です。ここから皆さんはミニ飛行機に乗って田舎の方へ飛んでいきます」
と木花咲姫が言うと皆はきょとんとした顔になった。
「ヒコーキって、そっ、空を飛ぶの?」
「空って、とっ鳥みたいに?」
ハナとハナナは驚いて焦った。
「ええ、そうですよ、あそこ、あれを御覧なさい、飛んでいるでしょ?皆はそれぞれ自分で運転と言うか、操縦をしているのですよ」
と遠く指さす方に、何機かのミニ飛行機が飛んでいた。
カラフルな色の大きな三角のシートを二羽ノ鳥のように風を膨らませて、そのすぐ下に二人が乗っていた。
二人乗りのイスの下には小さな三輪が見えた。
マタ、背もたれ部からは二本の軸が斜め上に突き出していて、その先端ニはプロペラが回っているようだった。
滑走路スレスレニ飛んでイルモノモアリ、空高く飛んでイルモノモアッタ。
「アッ、アソコデ子供ガ飛び立とうトシテイルゾ」
太郎ガ指さす方ニ、子供ガ操縦レバーヲ握ってイル姿ガ見えた。
隣りに座っている大人は、見守っているだけだった。
「ああ、多分子供が練習しているのですね、ここは練習場も兼ねていますから、親が教える場合も、教官が教える場合もあります」
皆が見ていると、斜め前上に突き出した二本のプロペラが勢い良く回転し始めた。
すると、二人乗りの機体が、前へ走り出した。
ほどなく、速度が増すと三角翼が膨らみ、フワフワと空へ浮かび出した。
「あーっ、浮かんだ浮かんだ、飛び始めた!」
ほんの数十mほどでミニ飛行機が空へ飛び始めたのだった。
その後は空高く左へ右へと自由に舞い始めた。
皆は目を奪われたまま声も出なかった。
「わーっ、まるで鳥みたい、気持ち良さそう!」
「わーっ、すごいわ、魔法使いみたい」
ようやくハナナやハナ達が歓声を出した。
すると今まで沈黙していた木花咲姫も話し始めた。
「はーい、皆さん、よくご覧になりましたか?飛び方が分かりましたか?簡単そうでしたね、子供でもできるんですから。
はーい、それではこれから、皆さん方も二人づつ組になって、実際に飛んでいただきます。そしてその飛行機でそのまま田舎へと向います」
この言葉には太郎や修験者達もひっくり返るほど驚いた。
「えーっ、俺達が?・・ですか?」
「おいおいワシ等も含まれているのか?ワシ等は棒きれしか握った事が無いんじゃ、無理じゃ」
皆は慌てて抵抗の態度を表した。
そんな悲鳴に木花咲姫は笑って答えた。
「はい、そうですね、誰でも初めは、そう言うそうですよ、でも飛び始めるとすぐに慣れるそうです、ほらっ、飛んでいる人達をよく見てください、児童や女の子も楽しんでいますよ、これは子供達用の遊びのオモチャのようなものですよ」
そう言われて、皆が周りをながめると、確かに、飛んでいたミニ飛行機には子供達の姿が多かった。
「初めて飛ぶ人達は、飛べるようになるとすぐに遠くへ飛んで行ってしまうそうです。なので、ここには練習中の子供達しか残っていないようです」
と木花咲姫に説明されると、皆は覚悟をせざるを得なかった。
やがて、しぶしぶながら並んでいたミニ飛行機に、二人づつ乗った。
まず、木花咲姫と侍女、次にハナとグー太、ハナナとタタロ、長老と修験者、最後は太郎とゴクウとケンだった。
最後の三人のミニ飛行機は少し大きかった。
二人乗りの三角羽には鳩の顔が、太郎達の三人乗りには鷹の顔が描いてあった。
整備員らしき人がヘルメットを持って来た。
その整備員は一機ごとに操縦方法を説明しヘルメットを渡した。
「これが始動スイッチ、この操縦レバーを引けば上昇、押せば下降します。左右に倒せば左右に曲がります。足元を踏めばスピードが上がり、離せば落ちます、また緊急時にはこのボタンを押す、以上です、はい、何か質問は?」
ハナ達が呆気に取られていると整備員は隣りの説明に移った。
「えっ、説明って、これだけ?」
ハナやハナナ達は驚き、互いに顔を見合わせた。
「はい、心配無用です、これは慣れる事が一番ですので、いろいろ操作して慣れてください、それでは良い空の旅を!」
と言い残すと、整備員は忙しそうに立ち去った。
早速、木花咲姫が大声で、
「はーい、それでは出発しますよ、いいですね、二人同時に操縦できますから、足りない分はお互いに補い合って、くれぐれも落ちないようにね」
と言うと、飛行機の始動スイッチを入れた。
「ビユーン、ブルブルブルー」
プロペラが急回転して音を鳴らし、滑走路を勢い良く走り出した。
それを見ていた長老達は、あきれ顔になった。
「おいおい、落ちないようにって、木の上や石の上じゃないんだから、落ちたら大変どころじゃない・・っつたく!こんないい加減な説明や案内で良いのじゃろうか?」
と憤懣やる方ない思いだった。
そんな長老達に声が飛んできた。
「わーっ、飛んだよー飛んだよー!簡単よ、皆も続いてよー」
飛び上がった飛行機から、木花咲姫と侍女が、嬉々として手を振りながら叫んだ。
(つづく)
ハイハイハイハーイ、鳩コプターって、何か実際に有りそうですね?はい、では、またのお運びを願い、バイバイバーイです!