飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

(続)連載小説「幸福の木」 299話  鳩コプターと鷹コプター?

2022-02-27 15:11:09 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイおまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいやウクライナが大変です、世界中から批難ゴーゴー亡くなる人泣く人が出ない事を祈ってます。
ロシア、中国、北鮮の旧い考えの国、早く目覚めてほしいです、はい、また文字オーバーしませんように、はい、開幕開幕でーす!

299  鳩コプターと鷹コプター?

「それでは早速出発しましょう」
最新のファッション服を着こなした木花咲姫の呼びかけに、皆はヘルスセンターの玄関を出た。
先頭はモデルのような木花咲姫と侍女である、続いてハナとグー太とハナナ、その後にはタタロと長老と修験者達が続いた。
そして最後には太郎とゴクウとケンがいた。
太郎は桃太郎のハッピ姿でゴクウがキビダンゴ袋を首にかけケンの背は雉の縫いぐるみに変わっていた。
何ともチグハグなメンバーの列だった。
これならば見る人達もコスプレと思い、怪しまれないだろうと言う事だった。
出発の前に、木花咲姫はこう言った。
「皆さん方は、まだこの文明の近代的な都会には慣れていないでしょうから、初めは田舎の方から視察しましょう。
しかし、その田舎へ行くのにも鉄道や車も慣れていないですから、まずここから地下鉄で港まで出ます。そこからは良い方法を思いつきました、この方法ならば皆さんにも分かり易くて、きっと満足されると思います」
と言う訳で、皆は前に通った近くの地下鉄駅へ行く事になった。
前もって皆には乗車券代わりのカードが配られた。
その時に注意もされた。
「皆さん方の体は、そのまま改札口の扉を通り抜ける事ができますが、それでは驚いた人達が騒ぎ出すといけませんから、ちゃんとカードをかざして通ってください」
と言う事で、侍女が改札口で皆を見守って世話をした。
そのため改札口もトラブル無くスムースに通っていた。
しかし、列の最後の太郎とゴクウとケンの姿は近くの人達の目を引いた。
「あっ、猿だ!それに犬も、あっ、キジが犬の背に乗っている」
近くの子供が寄ってきて大声を出した。
騒ぎを感じたのか、駅員が見に来た。
「あっ、あの時の一行だ」
駅員は皆が滑り台トンネルからホームに飛び出した時にいた駅員だった。
「あの、あの、あなた達はこれからどちらへ?」
要注意客だと思った駅員は、怪訝な顔で引率責任者の木花咲姫と侍女に聞いてきた。
「あっ、朝の駅員さん、今朝はお世話になりました。はい、わたくし達は、これから港まで参ります、そこから田舎(いなか)の方へ行く予定です」
「えっ、田舎?」
「はい、まだ皆さんは都会に慣れていませんので、粗相があってはいけませんので・・」
と木花咲姫が答えると、駅員は疑わしそうな顔で長老達や太郎達をジロジロ見ながら、
「ああ、そう言えば、確か、田舎の学校と言ってましたね、それは小学校ですか中学校ですか?」
と詰め寄ってきた。
「はい、学校と行っても、今流行りの魔術学校です、ほらっ、あの有名なハリーポッターって知ってますか?そんな感じの学校です」
「えっ、魔術?魔術学校?魔術って、魔法の事?」
「はい、その通りです、魔法が使えるようになる学校です・・」
と答えて木花咲姫が隣りの侍女と二人でニコニコ頬笑んだ。
駅員が唖然としていると、太郎達が何気ない顔で改札口の鉄枠を霧のように通り抜けていた。
「えっ?・・・???!」
しばらく声の出ない駅員に、電車の閉じようとしている入口から、木花咲姫と侍女が笑顔で手を振っていた。
「ゴーーゴーー!」
電車の中では、皆は初体験のためか珍しく無言だった。
神妙な顔で暗い窓の外や床や天上や客を見ていた。
それに電車の小さな音にも真剣に耳を傾けていた。
やがて、一行は地下鉄の港の駅で降車して地上へ向った。
「わーい、外だ外だ!久々の空だ」
明るい太陽の光に向って、太郎達は大喜びで競って階段を駆け上がった。
「わーっ、眩しい、あっ、広々している、海だ、海が見える、青い海が見えるぞ!」
周りを囲んでいた青い海は伊勢湾だった。
太郎達が到着した場所は伊勢湾に突き出した民間の飛行場だった。
しかし飛行機らしき姿はなく、軽そうなパラグライダーのような物がたくさん並んでいた。
「はーい、皆さーん、ここは自家用ミニ飛行機の駐機場です。ここから皆さんはミニ飛行機に乗って田舎の方へ飛んでいきます」
と木花咲姫が言うと皆はきょとんとした顔になった。
「ヒコーキって、そっ、空を飛ぶの?」
「空って、とっ鳥みたいに?」
ハナとハナナは驚いて焦った。
「ええ、そうですよ、あそこ、あれを御覧なさい、飛んでいるでしょ?皆はそれぞれ自分で運転と言うか、操縦をしているのですよ」
と遠く指さす方に、何機かのミニ飛行機が飛んでいた。
カラフルな色の大きな三角のシートを二羽ノ鳥のように風を膨らませて、そのすぐ下に二人が乗っていた。
二人乗りのイスの下には小さな三輪が見えた。
マタ、背もたれ部からは二本の軸が斜め上に突き出していて、その先端ニはプロペラが回っているようだった。
滑走路スレスレニ飛んでイルモノモアリ、空高く飛んでイルモノモアッタ。
「アッ、アソコデ子供ガ飛び立とうトシテイルゾ」
太郎ガ指さす方ニ、子供ガ操縦レバーヲ握ってイル姿ガ見えた。
隣りに座っている大人は、見守っているだけだった。
「ああ、多分子供が練習しているのですね、ここは練習場も兼ねていますから、親が教える場合も、教官が教える場合もあります」
皆が見ていると、斜め前上に突き出した二本のプロペラが勢い良く回転し始めた。
すると、二人乗りの機体が、前へ走り出した。
ほどなく、速度が増すと三角翼が膨らみ、フワフワと空へ浮かび出した。
「あーっ、浮かんだ浮かんだ、飛び始めた!」
ほんの数十mほどでミニ飛行機が空へ飛び始めたのだった。
その後は空高く左へ右へと自由に舞い始めた。
皆は目を奪われたまま声も出なかった。
「わーっ、まるで鳥みたい、気持ち良さそう!」
「わーっ、すごいわ、魔法使いみたい」
ようやくハナナやハナ達が歓声を出した。
すると今まで沈黙していた木花咲姫も話し始めた。
「はーい、皆さん、よくご覧になりましたか?飛び方が分かりましたか?簡単そうでしたね、子供でもできるんですから。
はーい、それではこれから、皆さん方も二人づつ組になって、実際に飛んでいただきます。そしてその飛行機でそのまま田舎へと向います」
この言葉には太郎や修験者達もひっくり返るほど驚いた。
「えーっ、俺達が?・・ですか?」
「おいおいワシ等も含まれているのか?ワシ等は棒きれしか握った事が無いんじゃ、無理じゃ」
皆は慌てて抵抗の態度を表した。
そんな悲鳴に木花咲姫は笑って答えた。
「はい、そうですね、誰でも初めは、そう言うそうですよ、でも飛び始めるとすぐに慣れるそうです、ほらっ、飛んでいる人達をよく見てください、児童や女の子も楽しんでいますよ、これは子供達用の遊びのオモチャのようなものですよ」
そう言われて、皆が周りをながめると、確かに、飛んでいたミニ飛行機には子供達の姿が多かった。
「初めて飛ぶ人達は、飛べるようになるとすぐに遠くへ飛んで行ってしまうそうです。なので、ここには練習中の子供達しか残っていないようです」
と木花咲姫に説明されると、皆は覚悟をせざるを得なかった。
やがて、しぶしぶながら並んでいたミニ飛行機に、二人づつ乗った。
まず、木花咲姫と侍女、次にハナとグー太、ハナナとタタロ、長老と修験者、最後は太郎とゴクウとケンだった。
最後の三人のミニ飛行機は少し大きかった。
二人乗りの三角羽には鳩の顔が、太郎達の三人乗りには鷹の顔が描いてあった。
整備員らしき人がヘルメットを持って来た。
その整備員は一機ごとに操縦方法を説明しヘルメットを渡した。
「これが始動スイッチ、この操縦レバーを引けば上昇、押せば下降します。左右に倒せば左右に曲がります。足元を踏めばスピードが上がり、離せば落ちます、また緊急時にはこのボタンを押す、以上です、はい、何か質問は?」
ハナ達が呆気に取られていると整備員は隣りの説明に移った。
「えっ、説明って、これだけ?」
ハナやハナナ達は驚き、互いに顔を見合わせた。
「はい、心配無用です、これは慣れる事が一番ですので、いろいろ操作して慣れてください、それでは良い空の旅を!」
と言い残すと、整備員は忙しそうに立ち去った。
早速、木花咲姫が大声で、
「はーい、それでは出発しますよ、いいですね、二人同時に操縦できますから、足りない分はお互いに補い合って、くれぐれも落ちないようにね」
と言うと、飛行機の始動スイッチを入れた。
「ビユーン、ブルブルブルー」
プロペラが急回転して音を鳴らし、滑走路を勢い良く走り出した。
それを見ていた長老達は、あきれ顔になった。
「おいおい、落ちないようにって、木の上や石の上じゃないんだから、落ちたら大変どころじゃない・・っつたく!こんないい加減な説明や案内で良いのじゃろうか?」
と憤懣やる方ない思いだった。
そんな長老達に声が飛んできた。
「わーっ、飛んだよー飛んだよー!簡単よ、皆も続いてよー」
飛び上がった飛行機から、木花咲姫と侍女が、嬉々として手を振りながら叫んだ。

(つづく)

ハイハイハイハーイ、鳩コプターって、何か実際に有りそうですね?はい、では、またのお運びを願い、バイバイバーイです!



節分に思う(その 3 ) 言霊と想念の時代

2022-02-24 14:13:10 | エッセイの部屋

本題の前に、ちょっと脇道へ、
先日面白い事があった。
朝起きてお茶を入れようと想ったら、いつもの湯沸し器から湯が出なかった。
スイッチの小さな光がついているので、いろいろボタンを押してみたり、差し込み電源部を入れ直してみたりしたが、冷たい水が出るだけでいっこうに湯が出なかった。
三日ほどいろいろ試してみたが、お湯は出ず無駄な努力だった。
やはりヒーターが働かないようなので、寿命とあきらめて新しい湯沸し器を買う事にした。
チエッ、とんだ出費になる!今はいくらぐらいかな?と舌打ちをした。
そして湯沸し器に不平を言ってたが、この状況は自分でもまずいと感じた。
これは、いつも心がけている天国人の態度じゃないな!とすぐに反省した。
そして、今まで長い間ありがとう!と言葉をかけ犬や猫のように頭を撫でた。
するとしばらくして、不思議にジューッ!と音がした。
あれっ、もしかしたら!と少し期待して二階へ上がった。
一時間程して、ボタンを押してみると、何と驚いた事に、以前のような熱い湯が出始めた。
えっ?・・・?いや、もしかして一時的な事かも?
とすぐには期待も信用もしなかった。
ところがその後も調子が良く、半月以上経った今も、お湯を沸かし続けている。
明らかに完全に回復したようだ。
その夜、たまたまユーチュブで「みなみaアシュタール」を見ていた。
空の調味料を買わなきゃ!と思っていたら、知らない間にいっぱいになっていた、と言う話をしていた。
よく聞かされる、「思考や意識が現実化する」と言う内容だった。
ひょっとして私にも、その事が起こったのかもと想った。
他にも似たような事が続いた。
最近、私はコーヒーを飲み過ぎるので、体に悪いかも?と気にしていた。
それで、いつか紅茶を買って来なきゃ!といつも思っていた。
そうしていたら、たまたまフとコーヒーメーカーの近くに封切っていない箱を見つけた。
もしかしたら?と開けて見たら、何と紅茶だった。
いつ置いたのか等は全く憶えていない。
こう言う不思議な事が、時々起こる。
今までは、私が目が悪いのでご先祖様方が手助けしてくれるのかと思っていた。
が、今は意識や思考が現実化する!と考える方が、現代的いや新時代的かなと想った。
なぜなら、世の中が今は新しい時代や次元に入ったと想うからだ。
そうなると、今までの三次元物質や体で表現する形式よりも、目に見えない霊的や精神的な心の働きが強く影響するようになる。
それを一言で言えば、「言霊と想念の時代」だ。
「言霊」とは、口に出した言葉が現実に実現する力を持っていると言うものだ。
また「想念」とは想うと念ずるで、心で想い一心に念ずる事である。
上記の思考も意識も想う事であり、念ずるとは神仏に祈ったりゆだねたりする事である。
面白い事に、想うと言う漢字は相手の心と書き、また念じるは今の心と書く。
それは、つまり、ひたすら相手を想い、過去は忘れ、未来の心配などせずに今の心だけに集中しろ!と言う奥深い意味を含んでいると想う。
と言う事で、前述の私が湯沸し器に感謝の言葉をかけたのも、また、ひょっとして?と天国的なポジチブな思考をした事も、言霊や想念の力を発揮させる事に結びついたと想えてならない。

さて脇道はこのくらいにして、話を本題にもどそう。
前回では、「私達の心は、ビートルズやbtsのような多数の霊的存在の集まり」と述べた。
なので、人の脳には様々な思いや想像や妄想も出てくる。
あっ、ついでに、ちょっと脇道へ、
たまたまnhkの「チコちゃんに叱られる」を見ていたら、面白い事を言ってた。
人は反射から理性が働くまでには0・2秒かかると言ってた。
つまり、人は初対面や急に質問された時、最初の0,2秒内には心の本音が顔に出るようだ。
しかし、その後は理性が働いて、周囲の空気を読んでその場に適切な反応や行動をすると言う事だった。
ああ、そうか!なので初対面の時などは、直感が大切なんだと納得した。
しかし、これから心の面が発達する時代になれば、話さなくても相手の気持ちや心がもっと感じられるようになると想う。
さて、話を本題にもどして、以上のように人の心の内面は複雑である。
人の心の中心には、それぞれ個性的な自我がある。
この自我の周りには、守護霊や守護神や指導霊が補佐しているようだ。
さて、ここからが本題であるが、今回は脇道が多過ぎて、また文字オーバーするといけないので次回に

(つづく)

失礼しました、また文字オーバーでした! 残り文を掲載しまーす!

2022-02-22 22:22:33 | 小説の部屋
もしかしたら今って、2022年2月22日22時22分22秒かな?

前回の中断箇所からのつづき

そうです、イエスキリストと言う偉い人の誕生から数える西暦デは、2050年頃の世界デス。
場所はもちろん、あなた方の村と同じ日本と言う国で、ここはそのほぼ中央の都市の中です。
そうそう、まず初めに言っておかなければならない注意事があります。
それは、皆さん方と、この世界の人達とは波動と言いますか、振動数が違いますので、決
して握手したり触ったりしてはいけません」
これを聞くと、皆が動揺して声を上げた。
「えーっ、なんで?どうして?」
「はい、波動と言うか、振動数が違いますので、互いに通り抜けるからです。そうです、握手しても互いの手と手は触れ合いません、通り抜けるのです。
わたくし達は、レムリアの神殿にいた時に五次元に波動を高めました。しかし、ここの世界は、今は波動を高めつつありますが、まだまだ三次元波動が残っているのです。
なので、皆さん方は、ここの世界の人達から見れば、妖精のような存在なのです。
姿ははっきり見えますが、触ろうとすると触れられない存在なのです」
これを聞いて太郎が思わず声を上げた。
「ああ、分かった、だからなんだ、駅員が俺に向ってへんな事を言っていたのは、俺はたぶん普通ならぶつかる所を通り抜けたんだ」
「そうです、その通りです、住んでいる人達だけでなく、物についてもそうです。三次元波動の物は触れないので、十分気を付けてください」

それを聞いて、また反論が出た。
「いや触れる事ができたよ、ドアも掴めたし、風呂も入れたし、食べ物も食べられたよ」
「はい、それはですね、あなた方が掴もうと想うと、その想念の力や意識の力で、その物の波動を高める事ができるのです、なので掴めたり食べたりできたのです。
あなた方が掴もうと想わなければ、通り抜けてしまうのです」
「えーっ、何だか、面倒臭そうー!」
ハナ達は口を尖らせた。

(つづく)

ハイハイハイハーイ、いやいやコスプレなら怪しまれませんね、それにしても2050年の日本はどうなっているでしょうか?はい、それでは、またのお運びを願い、バイバイバーイでーす!


(続)連載小説「幸福の木」 298話 2050年の都市?

2022-02-20 16:07:45 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいやようやく五輪もめでたく終わりそうです、しかし、ウクライナは大変そうですが、早く世界も温かい春になってほしいですね、はい、原稿が届きましたので、文字オーバーを心配しながら小説に参ります、はい、では開幕開幕!

298 2050年の都市?

太郎は、まだ真っ暗の滑り台トンネルの中にいた。
「おーい、待ってくれー、」
皆にすぐに追い着けると思っていたのは浅はかだったと太郎は後悔した。
当然、滑り台は滑っている人の力ではどうにもできない、ただ荷物のように皆が同じような速さで滑るだけだった。
「ちきしょう、走ろうにも走れないし、漕ごうにも漕げない、これじゃ追い着けない、ああああ、じれったい」
と太郎は、怒鳴りながら前方遠くの光に向って滑って行く小さな皆の影を追っていた。
やがてその小さな影が消えて、光も消えてしまった。
「えっ、あれっ?光が消えたぞ!どうなってるんだ?真っ暗になってしまったじゃないか?」

さて、話は変わって、ここは地下のホーム内である。
駅員が、慌てて数人のヘルメットをかぶった作業員らしき人達を連れてやって来た。
「ここです、この辺です・・あれっ、おかしいな、確か、この辺だったんだけど・・?」
と足を止めて驚いたように横壁を見た。
横壁には何も異常は無かった。
「おい君、何処なんだ?壁に穴が空いて人が出てきたと言うのは?」
ヘルメットの人達は怪しそうに壁を見ながら駅員に詰め寄った。
「確か、この辺だったんだけど・・おかしいな?」
駅員は焦って、汗をかきながら壁を触っていた。
「おかしいのはお前の頭じゃないか?なーんだ、だから私は初めから変だと思っていたんだ、壁に穴が空いたなんて、夢でも見たんじゃないか?はっはっはー、いやいや、とんだ人騒がせだ、後でわび状と始末書を出してもらわなきゃ」
と彼等は駅員を見下すと、忙しそうにホームを立ち去った。
しばらく駅員は、くやしそうに壁を見つめながら立っていた。
その時、壁と床の角に何かを見つけた。
「あっ、石ころだ、この石には土が付いている、やっぱりこれは、あの時に落ちた石だ」
と拾い上げて見ていた。
その時だった。
目の前の壁が霧のように白くなって、大きな暗い穴が空いた。
わわーっ!駅員は心の中で叫んだ。
突然、黒い獣が現れたのかと、腰を抜かし尻もちをついた。
「わーっ、まぶしい!何だ、何だ?急に明るくなって、もしかしたら滑り台の終点かい?」
現れたのは、太郎だった。
槍を持った原始人のような黒っぽい姿だった。
「おっ、おっ、お前は誰だ?」
驚いた駅員は声は出せたが、腰は立たなかった。
「そっ、そう言うお前は誰だ?」
太郎も突然の声に驚いたが、すぐに質問した。
「あのさ、みんな、皆は何処へ行ったか知らないか?」
駅員はすぐに、その状況を理解できた。
動揺が収まると立ち上がって、威厳を取りもどした。
「ああ、お前は先ほどの仲間だな、皆はホームを出て地下街へ行ったぞ、何でも仮装大会へ急ぐんだとか」
「えっ、仮装大会って何だ?何処へ行ったのか教えてくれ追い駆けるんだ、出口はこっちか?」
太郎は早く皆に追い着かなきゃと焦っていた。
「そうだ、こっちの改札口から出て行った、ちょっと待て、切符も無いんだろ?」
と駅員は制したが、太郎はもう駆け出していた。
改札口が見えたが、太郎には飛び越えられる高さだった。
「おーい、待て、改札口は上は透明ガラスだから飛び越えたらぶつかるぞ!」
駅員は太郎の様子を察して注意した。
太郎はまだ生まれてから透明のガラスなど見た事もなかった。
当然、何も無いものと思っていた。
改札口の低い鉄枠を見ると、槍で棒高跳びのように飛び越えようとした。
「止めろ止めろ!ガラスにぶつかるぞ」
酔っ払いがぶつかるのを何度も見た事のある駅員は叫んだ。
「あーーあのバカ、とうとう・・」
と太郎が血だらけになって落ちるのを覚悟した。
ところが、不思議な事に、太郎は何事もなく飛び越えてしまった。
「えっ?」
駅員は、また腰を抜かして床に尻もちをついた。
そこへたまたままたヘルメット姿の作業員の1人が、寄ってきて尋ねた。
「あっ、あの少年が、あの少年が・・」
駅員が指さす方に目を向けた。
「えっ、槍を持った変な格好の少年の後ろ姿が見えるけど、それが何か?」
と駅員に聞き返した。
「・・・」
駅員は先刻叱られたばかりである、また変な事を言うのか!と叱られそうなので黙っていた。
太郎も何も気づかず、皆に追い着く事だけを考えて急いで歩いていた。
地下街は地上に負けず広々していた。
昼食時の正午に近いのか、人通りはまばらだった。
よく見ると、通りの中央には低い生垣のような仕切りがあり、手すりで囲まれていた。
その仕切りの両側だけが、コルクのような広幅の床だった。
太郎は、その隣りの店舗側のふつうの床の通りを歩いていた。
もしかしたら皆が店舗に入っているかも知れないとキョロキョロ見ていたので、歩く速さも遅くなった。
すると、コルクの路をお婆さんを車イスに乗せた娘さんが、太郎の横を通り過ぎた。
彼女達は太郎をジロジロ見ていた。
太郎も思わず、彼女達を見た。
「えっ?」
太郎は驚いた。
車イスは、娘さんが歩いて押していないのに前方へ進んでいるのだ。
驚いて、よくよく観察すると分かった。
コルクの床が「動く歩道」のように前に動いていたのだ。
「えーっ、床が動いているのか?これは面白い、乗ってみよう、ああ、これはラクチンだ」
太郎は車いすの隣りで喜んでいた。
「地下街は初めてですか?」
車いすを押していた娘さんが聞いてきた。
「えっ?」
太郎は驚いて返答できなかった。
そう、しばらく知らない人と話した事が無かったからだ。
「その衣装はコスプレですか?何の衣装ですか?」
今度は車イスに乗っているお婆さんがニコニコしながら聞いてきた。
「えっ、・・いや、まっ、まあ、そんなもので・・」
太郎ははっきり言わずごまかした。
「やだー、お婆ちゃん、そんなの決まってるじゃないの、あの太郎とはなの太郎のコスプレよ、聞くまでもなく決まっているじゃないの?」
「だって、お前、本人に聞かなきゃ」
「聞かなくても、決まっているわ、そうよ、少し恥ずかしいわ、でも話しかけるきっかけね、それならいいけど」
二人は太郎をしばらくジロジョロ見ていたが、娘さんが、
「あの、あなたが太郎さんですよね?あのアニメの」
と面と向って聞いてきた。
「えーっ、俺の名前を知ってるの?アニメの太郎って?アニメって?」
太郎は大声を出した。
その時、ちょうど動く歩道が終わって、ふつうの路になった。
また中央の仕切りも無くなったので、向こう側へも歩けた。
前方を見ると、また別の動く歩道と仕切りが始まっていた。
どうやら動く歩道は50mほどの間隔で区切られ、向こう側へ行けるようになっていた。
娘さんは車いすを押し始めた。
「ウチのお婆ちゃんが若い頃にアニメの「幸福の木」を見ていたんです、太郎とハナの大ファンだったんです」
と娘さんが太郎に言うと、車いすのお婆ちゃんがうなづきながらニコニコ顔で太郎をみつめていた。
「今日はコスプレの大会でもあるのですか?これからどちらへ行かれるのですか?」
また娘さんが聞いてきた。
「えっ?・・それよりも、俺は今は皆を探しているんだ、俺だけはぐれてしまったんだ・・」
と太郎は返事もせずキョロキョロ周りを見渡していた。
「ああ、そうでしたか、それは大変ですね、それではまた」
娘さんとお婆さんは話ができないのを残念そうだった。
「それでは、私達は先を急ぎますので」
と娘さんは、次の「動く歩道」に車いすを乗せて進み出した。
太郎は路に立ったまま相変わらず路に面した店舗の窓やドアから中を覗いて探していた。
やがて車イスの娘さんとお婆さんは、たまたまヘルスセンターの前を通りがかった。
その時、入口付近に、珍しくお猿さんとワンちゃんを見た。
「あっ、あれは?あれはもしかしたらアニメノゴクウとケンだわ!」
お婆ちゃんト娘サンハ目ヲ丸くシタ。
ソノ通りダッタ、たまたまゴクウトケンが着る物を試着シテイタ。
ソレト分かるト、お婆さんが再び思いっ切りの笑顔になった。
「あら、マチガイナイワ。そレナラスグニ太郎サンノ事ヲ知らせてあげましょウ」
と娘さんはゴクウとケンに向って手を振っテ大声を上げた。
「ゴクウさーん、ケンさーん、太郎さんが、あっちで皆サンを探していルわよー」
スルト、ゴクウとケンが気づいた。
「ワンワンワンワン!」
ケンがシッポを振って喜び、ゴクウが頭を下げテお礼を言うと、オ婆チャン達二人はさらに嬉しそうに手を振った。
その時に、タマタマハナが玄関へ出てきた。
「あらっ、ハナちゃんまで、皆が揃っているわ!コスプレって言うより、まるで本物ね」
と喜んだ車いすの二人は、動く歩道に流されながらいつまでも手を振っていた。
やがて、桃太郎人形ヲ背ニ付けた斑点ノケント羽織袴姿ノゴクウが太郎を迎えに行って、ヘルスセンターまで連れてきた。
皆が揃ったので、木花咲姫が話を始めた。
「はい、よかったですね、ようやく皆サン全員が揃って、遅れてきた太郎さんも見つかって何よりでした。
では改めて、私達が来た、コノ世界ニツイテ説明いたしましょう。
コノ世界ハ、アナタ方が住んでイル時代ノ約五万年先ノ未来ノ世界デす。
そうです、イエスキリストと言う偉い人の誕生から数える西暦デは、2050年頃の世界デス。
場所はもちろん、あなた方の村と同じ日本と

最期の寒さ? 「雨水」の雪飛騨

2022-02-18 10:43:51 | 俳句日記の部屋

来る春の 価値高めんと 雪の飛騨  湧水

雪おろし 無くて幸い 南飛騨  湧水

両ストックの 散歩の顔に 二月雪  湧水

ゆっくりと 雪吹く参道 父と娘  湧水

おさな児に 答える父と 春舞雪  湧水

後宮の 読書ざんまい 雪籠り  湧水

本の世を 出で舞雪の 村散歩  湧水

後宮に入る 痛快娘や 雪の飛騨  湧水

雀の子 どこにどこにと さがす爺  湧水

待ちわびし 春と春告ぐ 小鳥かな  湧水

川柳

コロナ、五輪 ウクライナ、北鮮と 落ち着かず  なのでブログも遅れマス、言い訳

何?と尋ねば 婆さん叱る 包み箱  ほらっ、早くしまえ、えっ??あっチョコかい

村の子を 愛せば楽しき ひとり居かな  良寛さんの心境?

周りの子 愛せねば淋しき 独居爺  と言っても声などかけないよ