飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

鹿威し(ししおどし)を今風に!

2019-08-21 14:08:58 | 発明アイディアの部屋

がったん!がったん!

山水を庭に引いて、鳴らし続ける鹿威し(ししおどし)、静かな日本庭園の風流の極みだろう。
と言うつもりで小さな庭に鹿威しを作った。
竹を削って、元大工さんが試行錯誤してようやくでき上がった。
山の水などは引けないので、井戸水を使用していた。
井戸水と言ってもポンプを使用し電気代がかかるので、お客さんが来た時だけ一時的に音を鳴らす鹿威しだった。
エアコンの部屋の中にいる人にも聞こえるようにと、元大工さんが張り切って大きな音が出るように工夫した。
こっとん!こっとん!と言う庭に相応しい静かな音でなく、ガッタン!ガッタン!と言う耳が痛くなるような工事場の叩く音だった。
そのため、皆がうるさい音だと言い出し始めた。
元大工さんは大きな音が出る事に大満足だったので、そんな皆のクレームなどには気づきもしなかった。
そんな状況を目にしながら、私は心の中で、こ
れは何とかしなきゃと考えた。
誰も傷つかないような、この状況の円満な解決方法はないだろうか?
そこで、まず思いついた事は、竹が叩く箇所に何か柔らかい物を置けばよいと言う事だった。
しかし、単にそれだけでは子供でも気づきそうなありきたりの解決で面白くもない。
どうせなら、この際もっと面白い事を考えよう!
と、そこですぐに思いついた。
竹が叩く箇所にハンドベルの鐘を置いたらどうだろう?
それがなければ、皆が好む良い音の出る物ならば何でもいい。
そうだ!風鈴の音なら涼し気だ。
それなら、竹の動く部分に紐を結んで、その紐で風鈴を鳴らしてもよい。
そうすれば、少なくても、うるさい!と言われる事はないだろう。
そんな事を考えながら、状況の展開を想像していると、知らず笑みがこぼれた。
その内に、この新しい鹿威しは、庭だけでなく他の事にも利用できると思った。
例えば、本来の目的である山畑での鹿や猪などの獣対策だ。
山畑ならば山の水が利用できる。
少しの高低差があればホースなど使用して鹿威しは簡単にできる。
鹿威しの構造とは、竹でシーソーのように軸を中心に左右が揺れるようにする。
竹の一方の端は、水が溜るように上側が斜めに切り取られている。
ふだんは切り取られた方が軽いので、上に上がっている。
そこに水が溜り始めると、その重さで竹が軸を中心に傾く。
同時に竹の反対側は持ち上がる。
傾いたため溜った水が流れ去ると、軽くなって竹が元の位置へもどる。
その時に反対側の竹が地面を叩いて音を出すのである。
地面を叩く箇所に鐘のような物を置けば金属音がでる。
また、竹の上下運動を利用する方法もある。
紐を繋いで、前述のように、もっと遠くで鈴を鳴らすようにしてもよい。
鈴でなくても安価な金属片を鳴らすようにしてもよい。
いづれにしても、夜中も定期的に鳴り続ければ、獣達は人間がいると驚いて逃げ出すだろう。
少なくても人間の縄張りだと思って遠慮するはずだ。
今はスマホを使用して、箱の中に餌を入れ猪を捕獲する罠があるようだ。
スマホカメラが認識して猪だと分かると入口を閉じる。
そして、持ち主のスマホに連絡してくれる。
それで持ち主が猟師と猪を捕らえに行くと言う物だ。
しかし、この昔ながらの鹿威しの方が、簡単で充電の必要もない。
ただし、猪を捕らえて獅子鍋を食べる事ができないのは残念だが・・・
さて、そう言えば、以前、どなたの句だったか忘れたが、

鹿よりも 淋しさゆえの ししおどし

と言う印象深い俳句があった。
このように淋しさを紛らしてくれる鹿威しの進化系があってもいいかも?
例えば、こっとん!の代わりに赤ちゃんの鳴き声なんかどうでしょう?

(おしまい)