飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

(続)連載小説 「幸福の木」 その241話 平行(パラレル)宇宙?

2020-04-27 12:41:15 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいや、日本はとんだ大型連休になりそうでーす。
何か、他県へ行くと、車のナンバーを見て嫌がられるとか、来て来て!と言ってた地方が今やころな、ころなで、いえ、来るな、くるな!で三平じゃないけど(旧いね?)いやいや大変でーす。
山登りや海の潮干狩りや春の花見ならいいと思ったんですが、トイレへ行ったりコンビニェへ寄ったり店へ寄るとかで、「ステイホーム!」と注意されるとか、いやいや、想ってもみなかった事態になりました。
ウチの先生は、元々引き籠り人種で、「温暖化や憲法改正や強権には防止になっていい薬だ」とか言ってますが、長引くようで、世の中が大きく変わりそうですとか。
そうそう、飛騨では車のミニスーパーが遠隔地へ時々行ってお年寄りに喜ばれていましたが、今や市内でも大人気だとか、昔の豆腐売りのようにラッパを吹いて通りや家の前で最新行商をしたら、店も客にもいいんでは?なーんて。
そうステイホーム!だから、キーワードは配達とかオンラインでーす、まあ、皆でいろいろアイデアを出し合いましょう!
はい、余談はこのくらいにして、早速、遅れ遅れの小説に参りまーす
では、開幕開幕!

241 平行(パラレル)宇宙?

「あの、大婆さん、どうして私とハナナちゃんが枝分かれした別々の世界にいるのですか?」
ハナが大笑いしている大婆に聞いた。
「どうして二人が別々の世界にいるかだって?ホホホホ、逆じゃ、お前達が二人になったから別々の世界ができたんじゃ」
「えっ、別々の世界ができたって?世界って、そんなに簡単にできるんですか?」
「そうじゃ、元々ひとつの世界じゃったんじゃが、それが二つに分かれたんじゃ」
「世界が二つに分かれた?えっ?どう言うこと?」
ハナは何が何だか分からなくなった。
「ああ、お前の頭では、説明するワシの方が大変じゃ、そう、直接自分の目で見る方が手っ取り早い、もう一度見に行ってこい、ワシはもう説明するのが嫌じゃ」
「嫌って?・・・・」
「さあ、どうぞ、ご自由に!行って来たら?覗き込むだけじゃろ?ワシはちょっと他にやる事がいっぱいあるから」
と大婆はコーヒー休憩でもするような嬉しい顔をした。
(えーっ?いったい何が起こったのかしら?見るのがちょっと怖いけど、それを知るには枝分かれする直前の世界へ行って、その様子をこの目で見ればいいんだわ、まあ、そう言う事ね)
とハナは納得し気を取り直して点滅している小さな氷玉を覗き込んだ。
大婆が、この小さな氷玉は4個で一年分と言ってた、それは一個一個には三か月分が含まれていると言う事になる。
「それなら、直前の氷玉に入って三か月分の様子を観察すれば分かるはずだわ」
ハナは、再び枝分かれ直前の氷玉を覗き込んで、その世界へ入って行った。
そこは、前に覗き込んだ時と同じ、ハナ達が旅に出たばかりの昔の懐かしい世界だった。
ハナと太郎とケンが長老やお婆さんやお爺さんに見送られて村を出て半年ほど経った頃だった。
持って出た食べ物も尽きかけて、行く先も決まらず途方に暮れていた時期だ。
「ああ、そうそう、思い出したわ、この時は、お婆さんが握ってくれた最後のおにぎりを食べていた時だわ、穀物と木の実の長持ちする美味しいおにぎりだったわ」
ハナは、空の少し高い位置から、大きな木陰で横になっている若い太郎とハナ自身の姿とケンを見下ろしながら、その時の気持ちを思い出していた。
やがて夜が来て、二人はぐっすり眠り、明け方になった。
その時に、木の枝にリスが現れた。
「あっ、そう、リリーだわ、そうそう、この時に大切に少しづつ食べていたオニギリをあげたんだったわ」
ハナは、その時の事をはっきりと思い出した。
枝の上のリスは、ハナや太郎の寝ている上から、チョコチョコ覗いていた。
寝ていたハナはその気配に気づいて目を醒ました。
「あっ、リスさんおはよう、何を覗いているの?あっ、分かった!この私の穀物や木の実のオニギリね、でも、これはお婆さんが私のために心を込めてにぎってくれた大切な、しかも最後の宝物よ」
と言って、ハナはリスに謝り、再び眠そうな眼を閉じた。
「あれっ、私って、こうだったかしら?確か、リスさんにオニギリをあげたはずだけど」
空から覗いていたハナが、思わず口に出した。
覗いているハナには、二人の心の想いが手に取るように分かった。
リスに謝って再び寝ようとしていたハナは、心の中で迷っていた。
(リスさんもお腹を空かしているわ、やはり私のオニギリをあげた方がいいのかも、私はもうたくさん食べたんだから)
(いえいえ、これは最後のオニギリよ、しかもお婆ちゃんが私のためににぎってくれた物よ、それを動物にあげるなんて駄目よ)
枝の下のハナは、眼を閉じたままかなり心の中で迷っていた。
「ああ、そうそう思い出した、この時、私は生まれて初めて真剣に決断を迫られたんだわ、あげようかあげないかをまるでこの世の終わりのように悩んだんだわ」
空から見ていたハナが懐かしく思い出した。
その時、奇妙な事が起こった。
枝の下で寝ていたハナが、どう言う訳か、重なり合った二人に見えてきた。
「あれっ、変だわ!妖精や幽霊でもないのに?」
とハナが訝しんで見ていると、重なり合ったハナの二人の内の1人が、起き上がった。
もう一方の1人は、そのまま寝ていた。
起き上がったハナの1人が、胸から最後のオニギリを取り出して、頭上の枝の上に置いた。
そして、また重なるように寝ているもう1人の体にもどった。
喜んだリスは仲間を呼んで皆でオニギリを食べ尽した。
仲間が立ち去った後、リスは枝の上を行ったり来たりしてハナを呼んでいた。
すると、オニギリをあげたハナの1人が、また立ち上がってリスと向かい合った。
するとリスが、枝を伝わって招くように森の方へ駆け出した。
ハナの1人も、慌てて荷物を持って、そのリスの後を追いかけた。
ケンも、ハナに先立ってリスを追いかけた。
出かける時に、太郎に声をかけたので、太郎が目を醒ました。
しかし、太郎はあまりにも眠かったので、すぐ起きられなかった。
そして、ハナの場合と同じように心の中で二人の太郎が格闘した。
(おい大変だ、ハナとケンが森へ駆け出した、早く追わなきゃ!)
(何だ何だ、まだ眠い、そんなに慌てる事はない、すぐもどって来るさ)
すると、不思議な事に、太郎の体も次第に二重に見えてきた。
その内の1人が、ゆっくり立ち上がって、荷物をまとめてハナ達の後を追いかけた。
もう一方の1人は、そのまま寝続けていた。
結局、二人に別れたハナと太郎の一方がケンと一緒にリスを追いかけた。
そして、残りのハナと太郎が、そのまま眠り続けていた。
「あっ、分かった!きっとここだわ!ここで私達とハナナちゃんタタロさんが別れたのよ」
ハナはそう理解し納得した。
リスを追いかけたハナとケンと太郎は、その後に老フクロウに会って北へ行くよう教えられた事を思い出した。
「私達の事は思い出せばいいんだからどうでもいいわ、問題はハナナちゃんとタタロさんの事よ」
空から覗いていたハナは、このままハナナとタタロがどうするかを観察する事にした。
やがて朝日が射しこんで、木の下のハナナとタタロが目を醒ました。
ハナナは起き上がるとすぐに、胸に納めていた食べかけのオニギリを一口食べて隣の太郎に言った。
「明け方に変な夢を見たわ、リスがこのオニギリを欲しがって枝から覗き込んでいたの、危うく取られるところだったわ、気をつけなきゃ」
そう言うと、タタロも言い出した。
「俺も明け方変な夢を見た。お前とケンが急に森へ駆け出したので、追い駆けようと思ったが、あまりにも眠いので、もっと後にしようとやめたんだ、本当に変な夢だった」
そう言って二人は顔を見合わせた。
「あれっ、ケンがいないわ、どこへ行ったのかしら?まさか、夢のように・・」
と言って二人はケンを呼び続けていた。
しかし、ケンはいつまで経っても帰って来なかった。
「もしかしたら、神隠しかも、それとも穴に落ちたとか、まあ、片足が不自由だから仕方ないさ」
タタロがそう言うと、ハナナもあきらめがついた。
空から見ていたハナは、どうなるかハラハラしていた。
「ああ、そうだったの、そ言う訳で、ハナナちゃんとタタロさん達にはケンがいないのね、なるほど」
とハナは納得した。
しかし、何かが心にひかかり、気持ちが落ち着かなかった。
「でもでも、変だわ、考えて見れば、ハナナちゃんって元は昔の私なんだわ・・・昔の私が二人に分かれて別人のように出会うなんて、どう言う事になるのかしら?これって、やっぱり分身って言う事でしょ?」
その時、天からまた聞き慣れた大婆の大声がした。
「娘よ、それは違う!お前達は他に大きな間違いを起こしたからだ。本来、お前達は分かれた時点で別々の世界に住み始めるから、出会う事は有り得んのじゃ、だから、別の世界に分かれた事など知る由もないんじゃ」
大婆の声が言い終わらない内に、ハナはあっと言う間に、元の大婆の傍にもどっていた。
瞬間的に無意識のうちに小さな氷玉の世界から抜け出していた。
「おお、娘よ、ずいぶん速くなったもんじゃ、やはり若い者はワープに慣れるのも速い、そうそう、よく見て、分かるかの?お前がいたのは、その目の前の枝分かれした左の氷玉じゃ」
ハナの目の前の巨大な氷玉の壁には、枝分かれした小さな氷玉が点滅していた。
ハナの背後には漆黒の壮大な宇宙の光景が広がっている。
ハナは、この壮大な宇宙の中の、ごく小さな氷玉の宇宙の不可思議さを改めて感じていた。
「分かるかの?娘よ、ケンとか言う犬がいるのは右の氷玉の世界じゃ」
「・・と言う事は、右の氷玉には私達がいて、左の氷玉にはハナナちゃんとタタロさんがいて、・・」
「そうじゃ、あの大きな木の下が別れ目じゃった。その後は時間が過ぎて、二つの世界に枝分かれして、それぞれ別々の世界に住んでいるから互いに知る由もないのじゃ」
その説明を聞いている時、ハナはフと思った。
「枝分かれした世界に生きている私達が出会ったと言う事は、もしかしたら?枝分かれしたビーズのような氷玉の列が再び結合したのでは?他に私達が出会う方法がないはず」
とハナは、二つの氷玉の列の先を目で追った。
「ホホホホ、やはりお前もそう考えたか、なかなか賢いのう、ワシもそう思って、先を見ようとした、しかし、他の氷玉がぎっしり詰まっていて、どの氷玉が繋がっているのかが、さっぱり分からなかった、もしかしたら、枝分かれした氷玉どうしが、どこかでくっつき合っているのかも知れん」
と大婆は少し残念そうな顔になった。
ハナが、氷玉の壁に寄って、点滅している氷玉の列を見ようとしたが、ぎっしり込み合った小さな氷玉がからに合っていてどうなっているのか分からなかった。
その時、ハナは疑問に思った。
「でも、大婆さん、なんで、氷玉って、こんなに沢山あるんですか?こんなに沢山宇宙があったら、宇宙って訳が分からなくなるわ?」
「・・・」

(つづく)

ハイハイハイハーイ、いやいや、だんだん分けが分からなくなってきました、はい、物語じゃなくて宇宙の構造です、パラレルワールドって、本当にあるんですかね?神隠しとか、本当でしょうか?はい、ステイホーム中では小説やお笑いを楽しみましょう!そうそう、宣伝広告なしの日本版ユウチューブを立ち上げて、大学の講義や授業もオンラインで公開してもらえませんでしょうか?
とウチの先公が言ってます、はい、では、またのお運びを願いまして、バイバイバーイでーす!