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■駒澤千波展 (8月4日まで)

2007年08月02日 23時29分33秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 抜群の描写力でめきめき頭角をあらわしている若手・駒澤さん。
 昨年暮れにつづき2度目の個展ですが、初個展は急遽決まったものだったため、当初の予定はこっちが初の個展になるはずだったらしい。昨年にくらべて壁面が意外に足りず、展示するつもりだった作品があまってしまったということです。
 札教大の大学院を修了したばかりとあって、あんまり新作がないけれど、まあ仕方ないか。

 冒頭の画像の作品は「ふたつめの言葉」(06年)。
 駒澤さんによると、女性のスカートは「あいのさと黄土」という絵の具で塗られているとのこと。
 聞きなれない画材ですが、駒澤さんが友人といっしょに、大学近くの茨戸川沿いの土を1メートルほど掘り返して採取した粘土が原料。水と攪拌して浮かんだ上澄みを濾し、つくったものです。
 すごいなあ。まあ、でも「岩絵の具」っていうぐらいだし。


            

 画像の左側の作品は「うつつ」。小品ですが「お気に入りなんです」。
 支持体は、絹本ではなく、寒冷紗(かんれいしゃ)というガーゼのような繊細な布をもちいています。

 そのとなりは「凍る月」。群青を生かしたロマンチックな、縦長構図の小品です。
 おなじサイズで「金の道」という2点組みもあります。
  

            

 しかし、この個展でいちばん目を引いたのは、アニメ「やわらかな種」でしょう。
 おなじ題の作品(02年)が、駒澤さんの作品の原点になっているという思いから、この絵のモティーフになっている動物を抽出して、約200枚の水彩画に描き、スキャナーでパソコンにとりこむ過程で1000枚の絵にして、1秒に6-8枚の絵をうごかしています。
「まあ、パラパラマンガみたいなもんです」
「大変だったでしょう」
「でも、スキャナーでとりこむのは、あんまり頭を使わなくていい作業だったんで」
見ていると、ウサギが金魚にメタモルフォーゼ(変身)していきます。これは、もちろん動画でなくてはなかなか表現しきれないものです。
「へえー。駒澤さんの絵に出てくる動物って、こうやってメタモルフォーゼしたものなのかな」
「はあ、そういう考え方もできるんですね。意識してなかったけど」

 絵画のほうは、これまであまり用いなかった群青を主調の色にしたり(「空の庭」)、ウサギに羽根をはやすのをやめたり、それほど大きいことではないのですが、すこしずつ新機軸にとりくんでいるようです。

 出品作はつぎのとおり。
「何処かへ」
「何処へ」
「その向こう側」(昨年の道展の会友賞作品)
「微睡む」
「ふたつめの言葉」
「空の庭」
「まどろむ」
「うつつ」
「空気の底」
「凍る月」
「金の色」
「木の子」
「Jupiter」
「祈り」(同題2点)
(タイトルなしの小品1点)


07年7月30日(月)-8月4日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A

■06年12月の個展


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