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「ぽんち展」はリラックスした写真展(4月30日まで)

2006年04月29日 23時44分12秒 | 展覧会の紹介-写真
 油絵だと、どんなにプライヴェイトなタッチなものでも、いざ額縁をはめて壁に掛ければ、作品然とするものですが、写真は、そうとはかぎらないと思います。
 この国で撮られている写真の大半が、家族や友人、旅行などの記録であることを思えば、シャッターを切ってそれをプリントすることは、絵画をめぐる行為にくらべると、はるかにカジュアルな感じがします。
 毎年8月に小樽の旧手宮線跡で開かれている「鉄路写真展」の出品者仲間があつまって初めてひらかれた「ぽんち展」も、そういうカジュアルさがあふれた写真展でした。
 ほぼ全点がデジタルで、インクジェットなどによる出力であることも、日常的な雰囲気をかもし出しています。
 もちろん、それは、写真として取るに足らない、ということを言っているのではありません。
 ただ、いかにも肩肘張って「撮りました!」というのばかりが写真ではないのでは、ということです。
 大友俊治さんが、分娩室にカメラを持ち込んで亜希子さんの出産シーンを撮っているあたりは、写真家の根性を感じさせます(メンバーのひとり藤川弘毅さんによると、このためにデジタルカメラを買ったそうです)。
 赤ちゃんの顔の巨大なプリントもあります。親ばか無限大というか。でも、いいですね。愛情を感じます。
 赤ちゃんの後ろに、メイプルソープと森山大道の写真集があるの、分かりましたよ。
 亜希子さんは、金魚やくらげの近接撮影もしています。これはとてもなまめかしい。赤ちゃんとは別の意味で、生々しい生命を感じさせます。
 畑瀬邦彦さんは、ポーランドのクダニスク(自主管理労組「連帯」の発祥の地だ!)で撮った、演劇のワークショップのような一こま。
 福本昌史さんは、函館がテーマ。大三坂、朝市など、被写体になるものが多いマチですね。
 大友亜希子さんの藤女子大写真部の後輩に当たる岡島貴衣さんは、今回の写真展のテーマが「人」ということで、「人って何」などと書かれた紙片を持った人物などを撮っています。現役の学生らしいストレートさだと思いました。
 ほかに、大島行司、真鍋心、北側恵世(えつよ)、湯山美里、久保田洋の各氏も出品。藤女子大とその卒業生が半数を占めています。
 
4月26日(水)-30日(日)10:00-19:00(最終日-17:00)、
札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階 地図G)。


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5 コメント

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楽しかったです (shino)
2006-05-01 11:28:33
大きな赤ちゃんはまるでお饅頭のように福々しくて、

限りないパワーを感じました。

普段小さくかわいい赤ちゃんを巨大にするとこんなに印象がかわるんだと楽しかったです。

金魚は宇宙的な色合いで、不思議できれいでした。
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Unknown (森の居候)
2006-05-01 12:38:44
小生も拝見しました!

なにかとってもアットホームで人間臭ささ(良い意味で)の伝わる展覧会でしたね。柱にあった赤ちゃんとお父さんのお昼ね写真、好きです!全体的に癒されました。



別企画でピンホール撮影会にも参加した

のですがこれまた楽かった。ハマりました。

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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-05-01 16:42:47
 >shinoさん、森の居候さん

 どうもありがとうございます。

 スローな「身の回り写真」でも、見ていて楽しめるという好例だったと思います。



 ピンホール撮影会、行ったんですか?

 わたしは30日は仕事でした。いいなあ。
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Unknown (森の居候)
2006-05-01 18:54:30
ヤナイさんピンホール最高ですよ!新聞にも記事がありましたね。表現テクニックなどにこだわりなく、ファインダーすらないのですから…自然に回帰できるひとときでした。小さく単純な撮影行為ですが大きな感動をもらいました。また、ちょくちょくおじゃましま~す。
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それを聞いたら (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-05-01 19:02:20
アサノさんも喜ぶと思います。良かった~。

作品、見るのを楽しみにしています。
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