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■第34回美工展 (4月22日で終了)

2007年06月07日 21時45分57秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 道内で唯一、工芸だけの公募展(道展、全道展には工芸部門があるが)。
 北海道美術工芸協会が主催し、毎年この時期に札幌市民ギャラリーでひらいている。
 押花、織、ガラス、金工、組紐、刺繍、七宝、染色(染・織)、陶、籐、人形、塗、皮革、ボビンレース、木工、木彫など、おびただしいジャンルを網羅しているのが特徴だ。

 以前も書いたが、ことしは
「えー、どうやって作ったの?」
と、びっくりさせられるような大作がなかった。
 例年はかならずといっていいほど1点はあるのだが…。
 まあ、工芸であるから、人をおどろかすような作品を作らなくてはならないという法はない。むしろ、じっくりと伝統を踏まえた作品がそろっているほうが、工芸展にはふさわしいのかもしれない。

 長年事務局長を務めている高木晶子さんが体調不良で出品していないのも残念だ。快癒をお祈りします。
 高木さんは毎年、皮革工芸の大作を出していたから、よけい会場がさびしく感じられるのだろうか。

 また、ことしは協会賞の該当者がおらず、会員推挙もなかったのもさびしさを感じさせた一因だろう。
 新しい世代がもっと出てくればおもしろくなるだろうが、こればっかりは一筋縄ではいくまい。
 そんななかで、佳作賞の藤井映理さんは、昨年の新人賞に続く受賞で、会友推挙。染色「ネリーと毬」は、若手らしい清新さを感じた(北広島なので、たぶん道都大中島ゼミのメンバーだと思う)。

 分野別にみると、陶芸が16点で、昨年奪われた首座を奪還した。
 2位は、昨年はじめて最多だった押花で、12点。
 3位は、染色の11点。
 総計91点は、昨年より8点少なく、先細りなのが心配だ。

 染色はユニークな作品がわりと多かった。
 会友の篠木正幸さん(江別)も道都大中島ゼミの関係者だろう。
 「C2」は、首都高速道路のランプ(インターチェンジ)が題材で、レーンが紫、水色、緑、オレンジと、突拍子もない色に塗り分けられている。街燈がぐにゃりと曲がり、そのくせ自動車は1台も走っていない。妙に記憶にのこる1点。

 五十嵐圭子さん(札幌)は2点が入選し、会友に推挙された。
 「春霞」は大型のタペストリー。にじみが美しい。わらなどを織り込んでいるのもユニークだ。

 陶は、最大部門にもかかわらず、型破りの作品はあまりない。
 井上妙子さん(会員・札幌)「おもい(想)」の微妙な紫色、岸広美さん(会員・千歳)のうずくまるようなフォルムが目を引く。

 漆は、会員の山崎友典さん(石川県輪島)が孤軍奮闘。「気配」は、黒の塗りが美しく、伝統の気品が漂う。

 木工では、会員の土屋英樹さん(札幌)のあかり「RISE」、羽賀隆さんのシンプルないす「easeIII」が、さすがの完成度を見せている。

 和紙では、例年佳作を発表している会員宮森恵子さん(札幌)「春の調べ」が、桃色と水色の重なりの美しい作品。

 織では、丸山百代さん(同)が2点入選で、会友に推挙。「海開け」は清新な仕切りだ。

 ほかに、織の三浦千津子さん(会員・千歳)「春海」、組紐の安保悦子さん(佳作賞、会友推挙、札幌)「鶴雅」、人形の橋本紀比古さん(札幌)「わははの金太」などが印象に残った。


07年4月18日(水)-22日(日)10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)。

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