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■第71回全道展 (2016年6月15~26日、札幌)

2016年06月20日 13時30分53秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 全道展の陳列パターンは毎年少しずつ変わる。

 一般出品者でもっともすぐれた作品として表彰される「全道美術協会賞」の受賞作が、いちばん広い1階の大部屋(展示案内の「2」)の、北東側の端に展示されるという慣例は同じで、会員の絵画が1階の「3」以降に、版画が2階に上がってすぐの部屋に(ここは道展では「日本画」のコーナーだ)、工芸が2階奥のロビーに、それぞれ展示されるのも、かなり以前から続いている。

 一方、ことしは屋外展示が皆無になった。また、以前は会員の絵画と彫刻を中心に並べていたこともある1階の大部屋は、ことしは一般入選者の作品がわりあい多かった。もっとも当然のことだが、一般入選は、まだ会員の作品には、見劣りするものも少なくない。
 また、この部屋の、入ってすぐの壁(協会賞の向かい側)には、通常は1階のいちばん奥の部屋に並ぶことの多い物故会員の作が掛けられていた。いずれも絵画の斎藤洪人と鎌田俳捺子である。
 (参考記事 鎌田俳捺子さんが亡くなっていたのか 斎藤洪人さん死去(画家)
 あらためて、この2人が、北海道の絵画にのこしてきたものの大きさをしのぶ。


 4室に入る。
 道内の団体公募展は、全国のそれの一部と異なり、会員の上にさらに段階をつくって少数幹部が会を切り盛りするような体制にはなっていない。筆者はこれをよしとしたいが、4室の北、東、南側の壁には、これまで長年にわたって全道展の壁面を支えてきたベテラン会員の作品が集中していて、あらためて見る側の居住まいを正させるような重厚感に満ちていた。

 野本醇、伏木田光夫、竹岡羊子、大地康雄、高橋三加子、神田一明…。

 これらの会員は、筆者が二十年前に全道展を見始めたときにはすでに会員であった(物故の2人もそうだ)。

 野本の「黒い太陽」は抽象だが、皆既月蝕のような円形から漏れる光と、卵のような形が、希望の回復を思わせるし、伏木田の「―生命のフリーズ3-ダンス」は、輪になって踊る裸の人々と、手前で笛を吹く人たちが、生命の賛美をうたいあげている。
 ベネツィアのカーニバルを主題とし続ける竹岡の紫色が、祝祭的でまぶしい。

 考えてみれば、全道展の絵画とは、形象と色彩の探求を通じて生命を描き続けてきたのかもしれないな、と思う



 全道展は全道美術協会と北海道新聞社が主催する団体公募展で、毎年6月に札幌市民ギャラリーで開かれている。
 絵画、版画、彫刻、工芸の4部門で会員が審査を行い、入選を決める。すぐれた作品は、協会賞、道新賞などの賞に選ばれる。
 受賞を重ねた作者から会友が毎年数人選ばれる。会友になると会友賞以外の対象にならない。会友ですぐれた人が会員に推挙され、審査や会の運営にたずさわるシステムになっている。


 いったん結論めいたものが出てしまったので、ここでひとまず終わって、次の項へ。


2016年6月15日(水)~26日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時30分)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)





zendouten.jp

第69回全道展・版画、彫刻、工芸 (2014) ■続き

第64回全道展 ■続き

第63回全道展 ■続き ■続き

第58回全道展
第57回
第56回

※参考 <団体公募展=モダン>と<現代アート=コンテンポラリー>について (追記アリ)



・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます

・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)


(この項続く) 


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