艾沢詳子(よもぎざわ・しょうこ)さんは、道内でも最も活躍している美術家のひとりといってもいいと思います。
東京でも何度か個展をひらいており、全国的な知名度も高いです。
今回の個展を見ていて、これまでと異なる2つの点に気がつきました。
ひとつは、これは彼女の作品を何度か見ている人は誰でも気づくと思いますが、インスタレーションを形成している、ろうを固めた「部品」の形状と色が変わりました。
これまでは、2004年に札幌芸術の森・有島武郎旧邸でおこなったインスタレーションなど、電話帳などを1ページずつ破ってくるっと巻いたかたちがほとんどで、色もすこし焦げたものが多かったです。遠目には人間のようにも見え、筆者は「なんだか空襲で焼け出された人みたいだなあ」と想像したこともありました。
ところが今回は、企業で出された、シュレッダー処理済みの紙を原材料にしているとのことで、色はこれまでよりもずっと白いです(「今回はティッシュをロウで固めているようです」などと書いている人もいますが)。形も、これまでが人間なら、今回は羽を広げた天使とか、しぶきが広がった瞬間にも見えます。
(ただ、去年の本郷新札幌彫刻美術館での「北の彫刻展」も、こっちのタイプだったような気もする)
それを集積したのが、今回のインスタレーションで、最も大きい「立体 №3」は高さ90センチにもおよんでいます。
じっと眺めていると、全体は、白く深い森のようにも、丸っこい舟のようにも見えてきます。
しかし、タイトルからして、これも「無辜の民」、すなわち人間(の集積)なのでしょう。本郷新の「無辜の民」は、ベトナムで多くの人が殺されていることへの告発でした。今も、イランやアフガニスタン、パレスチナなどで、暴力はやみません。あるいは、日本国内でも格差や貧困の拡大によって虐げられ、不安に暮らす民が増えていることが、この作品にも反映しているのかもしれません。
常設されている柳原義達作の彫刻「烏」の足下にもそれらは積み重なっています。
この会場で、「烏」を展示に活用したのは非常にめずらしいです。
しぶきのようなかたちを見てから、壁の版画に目を移すと、版画は、インスタレーションの陰画(白黒反転の図)のようにも見えてきます。
そこで、気がついたのですが、艾沢さんの展覧会で版画とインスタレーションを同時に展示したことって、意外と少ないんじゃないでしょうか。筆者は、記憶にありません。艾沢さんがインスタレーションに取り組み始めたのは1997年のリーセント美術館(現CAI)での個展が最初ですが、これ以降、版画やドローイングの発表のときは、立体は展示していないと思います。
茶廊法邑での版画展では、立体も少しだけ、入り口附近などにならんでいましたが。ただ、このときは、電話帳を丸めたタイプだったことは、おぼえています。
07年11月19日(月)-12月9日(日) 9:00-18:00(土・日曜-16:00、最終日-15:00)
STVエントランスアート(中央区北2西2、STV北2条ビル 地図A)
■艾沢詳子 闇のシナプス(07年5月)
■01年のドローイング展(画像なし)
■02年の版画、ドローイング展(画像なし)
■03年の「札幌の美術」
■06年の「北の彫刻展」 (画像なし)
東京でも何度か個展をひらいており、全国的な知名度も高いです。
今回の個展を見ていて、これまでと異なる2つの点に気がつきました。
ひとつは、これは彼女の作品を何度か見ている人は誰でも気づくと思いますが、インスタレーションを形成している、ろうを固めた「部品」の形状と色が変わりました。
これまでは、2004年に札幌芸術の森・有島武郎旧邸でおこなったインスタレーションなど、電話帳などを1ページずつ破ってくるっと巻いたかたちがほとんどで、色もすこし焦げたものが多かったです。遠目には人間のようにも見え、筆者は「なんだか空襲で焼け出された人みたいだなあ」と想像したこともありました。
ところが今回は、企業で出された、シュレッダー処理済みの紙を原材料にしているとのことで、色はこれまでよりもずっと白いです(「今回はティッシュをロウで固めているようです」などと書いている人もいますが)。形も、これまでが人間なら、今回は羽を広げた天使とか、しぶきが広がった瞬間にも見えます。
(ただ、去年の本郷新札幌彫刻美術館での「北の彫刻展」も、こっちのタイプだったような気もする)
それを集積したのが、今回のインスタレーションで、最も大きい「立体 №3」は高さ90センチにもおよんでいます。
じっと眺めていると、全体は、白く深い森のようにも、丸っこい舟のようにも見えてきます。
しかし、タイトルからして、これも「無辜の民」、すなわち人間(の集積)なのでしょう。本郷新の「無辜の民」は、ベトナムで多くの人が殺されていることへの告発でした。今も、イランやアフガニスタン、パレスチナなどで、暴力はやみません。あるいは、日本国内でも格差や貧困の拡大によって虐げられ、不安に暮らす民が増えていることが、この作品にも反映しているのかもしれません。
常設されている柳原義達作の彫刻「烏」の足下にもそれらは積み重なっています。
この会場で、「烏」を展示に活用したのは非常にめずらしいです。
しぶきのようなかたちを見てから、壁の版画に目を移すと、版画は、インスタレーションの陰画(白黒反転の図)のようにも見えてきます。
そこで、気がついたのですが、艾沢さんの展覧会で版画とインスタレーションを同時に展示したことって、意外と少ないんじゃないでしょうか。筆者は、記憶にありません。艾沢さんがインスタレーションに取り組み始めたのは1997年のリーセント美術館(現CAI)での個展が最初ですが、これ以降、版画やドローイングの発表のときは、立体は展示していないと思います。
茶廊法邑での版画展では、立体も少しだけ、入り口附近などにならんでいましたが。ただ、このときは、電話帳を丸めたタイプだったことは、おぼえています。
07年11月19日(月)-12月9日(日) 9:00-18:00(土・日曜-16:00、最終日-15:00)
STVエントランスアート(中央区北2西2、STV北2条ビル 地図A)
■艾沢詳子 闇のシナプス(07年5月)
■01年のドローイング展(画像なし)
■02年の版画、ドローイング展(画像なし)
■03年の「札幌の美術」
■06年の「北の彫刻展」 (画像なし)
は、市民ギャラリーや彫刻美術館での展示と同様、大きな作品の下に、カサを稼ぐ形で用いています。
市民ギャラリーではただのシュレッダー紙でしたが、
今回はロウで固めパーツ化しています。
シュレッダーは過去の展覧会のテキスト等で公表していますが、コンチネンタル貿易から提供して頂いているようです。今回も多分一緒。
ですから、印刷文字が点在していたり、白い紙以外もあります。
今回は完全に隠れるような以前の使い方ではなく、部分的に見え隠れする感じで使用しています。
「色はこれまでよりもずっと白い」と感じられたのは、そのシュレッダー束のベースの表面を覆っている「今回はティッシュをロウで固めているようです」というコメントの通りの「別のパーツ」によるものでしょう(もちろん、今回は『焦がしシシャモ』もいないですしね)。
これは、彼女のアトリエ周辺で採取した砂利石をアタマに、ティッシュで『てるてる坊主』状にしたものにひとつひとつペンで点描をほどこし、ロウでコーティングしたものです。
この形状のパーツは、同じ作り方で似た形のものを近代美術館や帯広でのワークショップで参加者と一緒に作っています。今回はそれをより浮遊感のある形状にした、というところでしょうか。
以上、札幌でのインスタレーション展示の9割をアシストした者より。
作業に励む姿、STVエントランスのサイトで見ましたよ。
今回のかたちのパーツは、ワークショップでは作っているんですね。
でも、筆者は初見でした。
「焦がしシシャモ」のないインスタレーションも初めてです。
いつも拝見している流れで見ると、またテキトーな事書きやがって!と言っている様に見えるのですが。
このまま…ですか?
栄通さんのところは最近はあんまりちゃんと読んでいないのでわかりませんが、すくなくてもこれは「北海道新聞」のことです。
「北海道新聞」の記事の内容も興味深いので、探して読んでみたいと思います。ありがとうございました。
ですので、ぜんぜん失礼ではありませんし、誤る必要もないですよ。
ただ、こんどから捨てハンはなるべくやめていただければ-と思います。