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井上まさじ展(6月18日まで)

2006年06月15日 06時32分44秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌の井上まさじさんは、道内の現代絵画を語る際にははずすことのできない作家です。公募展やグループ展には加わらず、ギャラリーミヤシタで8カ月おきぐらいのペースで個展を開いているのがほとんど唯一の発表の場なので、知らない人もいるかもしれませんが、ぜひ見てほしいと思います。
 これまでに何度か書きましたが、井上さんの作品系列には2つあり、個展ではそれを交互に発表しています。
 ひとつは、絵の具を何百回もローラーで塗り、画面に凹凸をつけていくもの。
 もうひとつは、ペンやマーカーで、フリーハンドで小さい円や同心円を画面に埋め尽くしていくもの。
 写真ではわかりづらいですが、今回は、後者の系列の作品です。
 井上さんの作品は、いつも題はありません。
          
 さらに、今回の作品を仔細に見てみると、
1.あらかじめ絵の具の飛沫を散らし、その部分をあけて同心円をびっしり書いたもの
2.長さ数センチの縦線を繰り返しひいたもの
3.カラーマーカーで小さな円を書いた後、さらにその円の内側に黒の極細ペンで円を書いたもの
の3種があります。
 ちなみに、冒頭の写真は3、次の写真は1の作品を撮影したものです。
 いずれも、作家の意図を排した、半ば機械的な作業のたまものといえます。

 3の作品にしても、カラーマーカーとは思えないほど発色が美しいのですが、井上さんは、けっして全体的な色の配置を考えているのではなく、ひとつひとつの円をかくごとに、ランダムに色を選んでいるとのことです。
 したがって、井上さんの作品に、意図とか意味をさぐるのは、徒労ということになるでしょう。
「最近いろいろあったからね。全体に赤っぽいのが多いのも、そのときそのときの気持ちが反映しているのかも」
 夕焼け空のような鮮やかな色が多いですよね。
「でも人によっては朝焼けだという人もいるから。見る人によって違いますね」

 ギャラリーミヤシタのサイトにも作品写真がありますが、実物にふれないとわからない作家だと思います。
 
5月24日(水)-6月18日(日)12:00-19:00(最終日-17:00)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D
 


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