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昭和十~十八年満州・承徳の民芸品展

2014-10-11 | カルチャー
とても珍しく、かわいい中国の民芸品展が武蔵野美術大学
で開催中。11/29まで。美大の雰囲気が好き。


老虎帽(子供用の防寒帽)

満州国時代に、承徳にのこる遺跡の修復・保存のために建
築家伊東忠太の次男・伊東祐信(1909~1994)が、1935
(昭和10)年赴任したそうだ。

満州国占領下では承徳を始め数カ所で遺跡の修復活動を行
っていたことが意外、満州鉄道が整備されていくとその観
光を本土にPRしていたことも初めて知る。

伊東祐信が取り組んだのは清朝の離宮「避暑山荘」および、
その周囲に存在する「外八廟」というチベット仏教寺院。
赴任5年後には千恵子さんと結婚して二人で現地の民芸品を
収集していった。


耳あて

その数1000点!しかも戦争下に数度日本に送って(もちろん
船便で)無傷で残ったのが奇跡。

満州を中心とした中国民芸品を集めることは当時ブームにも
なったそうで、多数を買い集めたコレクターもいたそうだけ
ど、ほとんどが失われているそうだ。

中国にも残っていないそうで、二人のこのコレクションがど
んだけ貴重なものなのか想像を超える。


布老虎、ご近所の「王さん」作

日本人のブームに便乗して、日本人受けするような民芸品を
作る中国人も多くなったそうで(さすがの商魂!)、そうい
ったものではなく、承徳にあるローカルな民藝を集め、時に
は、彼らの子どものために作ってもらった素朴で味のあるも
のばかり。

保存状態もとてもよく、戦後玉川大学の出版部に職を得て、
百科事典の編纂に関わった祐信さんの整理法や、千恵子さん
はすべてスケッチして寸法も記入していったそうなので、
学術的な視線や保存法が取り入れられたんだと推測する。

満州で幼少期を過ごした、息子の伊東祐満さんがムサビの
出身だったこと、学長と長い付き合いだったことから、大
学に寄贈され、数年間の研究が終わったので公開されたそ
うだ。


泥人形(蛇、蛸、トカゲ)

祐満さんと学長によるトークショーが開かれる。二人は特
段、承徳の民藝品に詳しいわけではないので、ご両親の思
い出やお二人の交流のお話がメインでちょっと物足りない。

それを学芸員が補ってくれたんだけど、承徳時代、母親の
千恵子さんに遊んでもらった人(当時は小学生)や東京で
交流があった人達が紹介されたり、自ら立って自己紹介さ
れたのが新鮮だった。

入場料は無料だし、20pのカタログも無料と太っ腹。武蔵
野美術大学は民藝品のコレクションが充実していると、教
わったので、また機会があったら。

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