五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2024・5・13

2024-05-14 12:56:20 | 日記
今日は朝から息子のAが来るので朝食の準備にかかる。と言っても冷凍の赤魚の甘辛煮に山芋をかけた一品とキムチと梅干しと海苔の三品合わせ技、キノコの味噌汁と云ったメニューだったので感嘆に用意することが出来た。食後しばらくして雨の中彼の運転する車で白金のスーパーまで買い出しに出かける。広い店内を廻っていると、これもほしい、あれもほしいと知らぬ間にカートに乗っけた籠が一杯になってしまった。会計は13815円。見事なり。帰宅後、仮眠。目を覚ました時にまだ片づけないでテーブルに置いてあった数日前の新聞でポールオースターの死を知る。初めて彼の存在を知ったのは今から20年以上前、六本木の本屋で何気なくタイトルだけで推理物だと思った「幽霊たち」を買った時だ。でも「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる」と云う冒頭の文章に騙されると同時に引き込まれてしまった。以後、オースターの著作(文庫本)は全て読んで、彼の虜になった。女友達で有名脚本家のTさんが来日中のオースターと雑誌で対談したと聞いて嫉妬に狂った。そんなオースターが死んだ。この世の人ではないと知って俺は少し安心する。死ぬのが怖いのは、多分、いや俺の場合、自分と何らかのつきあいのある人々と別れて、自分一人になってしまうことだろう。オースターだってそうだ。俺が死んだ後に俺が好みそうな作品を発表していたら死に切れないじゃないか。でもオースターはもう死んでいる。だから安心だとは思いつつ、俺自身はまだ生きていることを自覚する。まてよ。だったら生きている内に独りぼっちになってしまったらどうだろう?死ぬことが怖くなるのではないか?俺は今、徐々に「独りぼっち計画」を実現しつつある。話は変わるが、今日から俺の「夜伽」は「カフカ短編集」に収録されている「火夫」に変わった。今度はどんなテクニックで俺を悦ばせてくれることだろう。
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