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ホリエモンの知らないリニア計画の惨状、赤字垂れ流しのアクアラインと酷似-デタラメ需要予測+保守政権

2014-10-14 | いとすぎから見るこの社会-全般
あの堀江氏がリニア計画をベンチャー事業に喩えて擁護しており、
余りにも論理が推進派の主張に似ているので情けなくなった。
どうせつまらぬ「ご進講」でも受けて真に受けたのだろう。

孫正義氏のように事業を拡大させられなかった事実を直視し、
より広い視野と的確な洞察力を身につけられなかったことが
今回の発言でも示唆されてしまった。

数多くのインフラプロジェクトに関わった橋山禮次郎氏は
巨大プロジェクトの失敗例としてアクアラインを挙げているが、
これがまたリニア計画と寒気がするほど酷似しているのである。

保守政権、口だけの民間活用、いい加減で出鱈目な需要予測。
偶然とは言えないほど共通点がある。
そして今もアクアラインは赤字を垂れ流している。

堀江氏も利権勢力の見え透いた「ご進講」を鵜呑みにせず、
下掲書をじっくり読まれてから発言した方が良かったであろう。
(自らの軽躁な言動を激しく後悔することは間違いないが)

リニア新幹線計画がくるくると建設理由の変わるオポチュニズムに支配され、
国民に詳細な情報を公開せず或る種のレントとして推進されている現状が分かる。

何しろ計画段階でも費用推計が恐ろしい速度で膨れ上がり、
杜撰さと費用対効果の低さが今の段階でもすぐ分かるような幼稚な計画なのだ。
最初は3兆円と言っていたのが、その三倍の9兆円にまで膨れ上がっている。
だからこそドイツとアメリカがリニアはペイしないとかなり前の段階で判断したのである。

▽ リニア計画への国民の「無知」と橋山氏がはっきり書いている

『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』(橋山禮治郎,集英社)


リニアは民間企業のプロジェクトに見せかけて、実は実質的な公共事業である。
愚かで採算性に大きく劣る投機的プジェクトで、ツケは国民に回ることになる。

「我が国の人口は政治家の無策のため減少を続けており、
 このまま族議員をのさばらせれば砂防ダムだけ残して無人地帯が延々と続くようになろう。」

「災害対策としても、経済対策としても効果の低い公共事業はやめるべきであるが、
 「国土強靭化」と称して利害関係者と癒着している自民党は盲目同然である」

「広島の災害で保守メディアの産経も読売も「国土強靭化」を叫ばないのは、
 砂防ダムを全ての必要箇所に建設することはできず、無駄が多いと分かっているからである」

「更に言えば、311の際に事態を深刻化させた福島第一も自民党政権時に建設されたものであり、
 巨大津波に対し殆ど無力に近かった防波堤も自民党政権時に巨費を投じて作られた。
 自民党の責任の大きさを否定するのは相当な厚顔無恥と言われても仕方がない」

と当ウェブログは指摘したが、採算性が重要なのは、官でも民でも同じだ。
巨大プロジェクトだと取り返しがつかないので尚更である。
兆円規模のリニアと比較にならないほど小規模のベンチャーと一緒にする方がおかしい。

 ↓ 参考

国土強靭化で災害は防げない、広島の土砂災害が証明した -「1基で数億円の砂防ダムが数万ヵ所に必要」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6745eb8a827b461edb1aded1d05b971a‎

2015年に日本経済は「一人負け」に、GDP下方修正は理の当然 - 公共事業に依存する古臭い自民党
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/27ec46111813d59f1281a2e233e1fb84‎

▽ 我が国での公共事業の乗数効果は大幅低下している

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


▽ 日本より賢いスウェーデンは、公共事業を削減して過酷な不況から急回復した





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


ホリエモン「リニアの何が問題なんだろう?」(週刊朝日)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141010-00000016-sasahi-soci
”堀江貴文氏は、見当違いな批判でリニア中央新幹線建設を邪魔しないで欲しいとこういう。
 *  *  *
■リニア中央新幹線の問題について
 そもそもリニア中央新幹線計画が問題になること自体の意味がわからない。政府が株式を保有していない一民間企業が、自己資金でインフラをつくることのどこに問題があるのか。
 事業主体となるJR東海は旧国鉄の優良資産を引き継いだ会社だ。政府は上場後、株式を全部売却していて、その売却益で国民に利益は還元されていると考えるべきで、公共的色彩が強い企業とはいえ、民間企業であることは間違いない。
 まず環境問題についてだが、きちんと環境アセスメントもやっているし、確かに世界初の大深度地下長距離トンネルという技術的チャレンジがあるものの、それはチャレンジしてみないとわからないことだ。それに文句を付けるのは筋違いと言えよう。
 もっと筋違いな批判は採算が取れないのではないかという指摘だ。一民間企業の事業が赤字になるかもしれないと、外野が文句を付ける権利はどこにもないだろう。そんなことをしたらベンチャー企業の大半は事業をスタートさせることすら難しくなる。
 そもそもリニア中央新幹線は、JR東海のドル箱である東海道新幹線の高い収益力があるからこそ実現できるものだ。そしてそのドル箱である東海道新幹線は致命的な欠陥を抱えている。それは東海地震や富士山の潜在的な噴火リスクに対応できていないということだ。もしそのような事態になればバックアップは航空路しかない、もし富士山が噴火すればそれすら怪しくなる。そんな事態になっても、リニア中央新幹線があればバックアップが可能である。
 首都圏と中京圏が40分台で結ばれるのはもうひとつ意義がある。それはこの二つの都市圏が実質的に合体することだ。これは世界的に見ても初めてのことであり、その社会的実験にはチャレンジしてみる価値はあるだろう。もしかしたら1+1が2になる以上の価値が生まれるかもしれない。
 個人的にはそれ以上に地面を500キロ以上のスピードで走る近未来の交通手段を見たいという思いもある。それに水を差そうとしている人たちは新しい技術には何でも反対してしまうような人たちなのだろう。
 一説によればイノベーションを必要とする人、積極的に関わろうとする人は全体の2割程度らしい。それ以外は現状維持を望むのだそうだ。しかし社会は継続的なイノベーションによって成り立っている。現状維持ほど難しいものはなく、誰かが新しいチャレンジをしているからこそ成り立っている。
〔中略〕
 これまでは公的セクターがこのような巨大インフラのイノベーションを担う必要があったが、民間の資金調達インフラが整うことによって、公的セクターである必要はなくなって、このような水を差す人たちは筋違いの指摘をするようになってしまった。なぜこんなことに気づけないのだろう。〔以下略〕”

大変申し訳ないが、これは完全に間違った見解で、利権勢力を利する愚行である。
毎日赤字を垂れ流しているアクアラインも「民間活用」であったが、
余りにも杜撰なプロジェクトだったので会社が責任を放り投げたのである。
(愚劣な「新しいチャレンジ」は今、国民の税金で尻拭いされている)

また、上掲書で橋山氏は国鉄分割時の誤った区分で
JR北海道・四国・九州が企業度努力ではどうしようもない不利な経営を強いられ、
JR東海の異常な営業利益率が可能になったのだと指摘している。
つまり「東海道新幹線の高い収益力」はレント(政治利権)に過ぎないのである。

更に、リニア新幹線はネットワーク性に欠けるのでバックアップ機能は著しく低い。
(特に、貨物輸送の能力は極めて低い)
北陸新幹線を延伸して米原に繋げた方が遥かに非常時に便利である。
なぜこの程度のことにすら気づかないのだろう。


リニア中央新幹線:アセスに環境相「相当な環境負荷」指摘(新聞)
http://mainichi.jp/feature/news/20140606k0000m040106000c.html
”JR東海が2027年開業を目指すリニア中央新幹線(東京-名古屋間)について、石原伸晃環境相は5日、同社が提出した環境影響評価(アセスメント)書に対する意見を太田昭宏国土交通相に提出した。「環境影響を最大限低減しても相当な環境負荷が生じる」と指摘。トンネル掘削に伴い生じる膨大な残土の発生量を減らし、置き場ごとに管理計画を作ることや、地下水への影響を解析し直すことなどを求めた。ただし、着工に影響するような抜本的な見直しは求めておらず、同社は早ければ今秋の着工を目指す方針。
 リニア新幹線は全長286キロの計画区間の86%を地下や山岳トンネルが占める。建設残土は沿線7都県で計約5680万立方メートル。汚泥なども含めると東京ドーム50杯分の約6380万立方メートルに及ぶが、静岡、山梨県など一部を除き大半の処分先が未定。石原環境相は、車両基地などの施設規模を見直すなどして残土発生量を極力抑え、置き場を選ぶ際は自然度の高い区域を避けるよう要求。
〔中略〕
 トンネル工事では地下水脈が切断され、周辺の河川流量が減ることが懸念されている。石原環境相は「生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い」と指摘。JR東海が評価書で用いた流量解析モデルの精度を問題視し、とりわけ工事で大幅な流量低下が予想されている静岡県の大井川を含む南アルプス地域で、掘削工事前に別の方法で解析し直すよう求めた。
 開業に伴い最大27万キロワットの電力の使用が予想されることについては「地球温暖化対策に取り組む中、エネルギー需要増加は看過できない」と指摘、再生可能エネルギーや省エネ導入目標を定めるよう求めた。
〔中略〕
 環境相意見を踏まえ、太田国交相は、7月下旬までに評価書への意見をまとめJR東海に伝える。同社は評価書を補正した上で工事実施計画を申請、認可を受けたい考えで、「4月下旬以降、環境省と丁寧なやり取りを続けてきた。これからも環境重視の立場から、適切に対応していく」とのコメントを発表した。【阿部周一】

◇リニア中央新幹線環境影響評価書に対する環境相意見の骨子
 ・事業規模の大きさから、環境に相当な負荷が生じることは否めない
 ・建設残土の発生量を抑制すること。残土置き場は自然度の高い区域を避け、自治体と協議して管理計画を策定すること
 ・河川流量が変わる可能性がある場合、応急対策と恒久対策を取ること
 ・クマタカなど希少猛きん類への影響を回避、低減すること
 ・関係自治体の意見を十分勘案し、住民関与にも万全を期すこと”

堀江氏の言う「きちんと環境アセスメントもやっている」の実態はこのざまだ。
環境省は深刻な悪影響が生じるのをほぼ分かっているが、
「我が省は悪影響の可能性を指摘した」と言い訳が出来るように保身を図ったのだ。
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