みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

「デフレは金融政策では解決できない」「消費を伴わない物価上昇は危険」-黒田日銀は経済界にも見放された

2016-10-18 | いとすぎから見るこの社会-全般
4年連続で企業の内部留保が過去最高、400兆円もの巨額に迫り、
ただの焼き直しに過ぎないアベノミクスが完全に失敗に終わったことが証明された。

一時的に好況を演出しはしたが、円切り下げによる「売国政策」によって
自国を安売りしただけであり、成長率も実質賃金も惨憺たる有様だ。

黒田日銀は本来ならば大口を叩いて碌な成果が出ていない責任を取り、
総退陣すべきなのだが新しい枠組みなどと称して失敗を認められない始末だ。

かつて大本営が「敗北」と「転進」と偽ったのと全く同じで、
日本経済が焼け野原になるまで根本的に間違った認識を持ち続け、
「神州不滅」に似た愚かなドグマに固執し国益を既存し続けるのであろう。

日本企業を対象としたロイター調査では、日銀の新枠組みを評価する声は少数、
投資活動に影響がないという声が圧倒的に多い。まさに「馬脚」である。

アメリカでも黒田日銀の評価は散々で、完全に「失敗」の烙印を押されており、
「口約束だけで結果は散々」「黒田総裁は物価を上昇させる方法がわからない」
と厳しく批判されている。戦時下の米国金融政策の失敗に似ているとの指摘も出てきた。

▽ こちら参照のこと

『週刊エコノミスト』2016年10月25日号


▽ 成長率でも生産性でもスウェーデンに惨敗している安倍政権、存在価値すら疑わしい

『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』(日本経済新聞出版社)


当ウェブログが何度も警告した通りなので、ただ悲しくなる。

「日本社会の醜悪な歪みは、ここ20年で最大の域にまで達したと言える。
 東証一部上場企業の利益はリーマンショックの年を上回り、
 上場企業の株主還元が13兆円と過去最高を記録したと報道されている」

「企業収益と株主還元だけは「バブル」になっている。
 勤勉とイノベーションを生む苦闘によって儲かったのであれば良かろう。
 だが、この収益や株主還元は殆どが円安効果と市場操作によるものであり、
 日本企業の経営革新や体質強化によるものではない。
 (中小企業の収益と比較すれば明らかである)」

「前々から当ウェブログがはっきり書いているように、
 我が国では企業収益と国民所得はディカップリングしている。
 そしてその経済劣化を、自民党政権の次元の低さが更に深刻化させている」

「おまけに、株主還元の急増にはGPIFの日本株買い(=国民のカネで株主利益を増やす)と
 企業の自社株買い(=賃金を上げるのではなく株主を潤す)が大きく寄与している」
 
「異次元緩和に端を発する円安によって一般国民の賃金を切り下げて株価が上昇し
 大企業の収益が大幅改善した訳だから、株主は国民の富を盗んだのである」

「利益誘導が増える腐敗した経済では、格差が急速に拡大し
 OECDが言うように成長が阻害されるのである」

「日経新聞の調査では景気回復を実感している層はたった18%で、
 アベノミクス「自滅策」の次元の低さは明白である」

「リフレ派や財界の太鼓持ちどもは「あと数年待てば」などと大嘘をつくが、
 絶対に信用してはならない。我が国の成長率低迷が
 安倍政権になっても全く改善していないのは歴然たる事実である」

「金融市場も上海と同様のバブルに過ぎないから、
 安倍政権は体質のよく似た中共と仲良く没落するしか道はない」

「GPIFが株をいくら買っても消費が増える理由にはならない。
 投資家は消費性向が著しく低い上に数が少ないので、成長率を改善する力などない」

「実体経済と株式市場の乖離幅の異常な拡大は、
 あと数年で崩壊が起きることを示唆している」

「円安で水膨れした企業収益も操作された株価も「実力」などではない。
 追い風を「実力」と勘違いしていた2006年の再来でしかないのだ」

「役員報酬を増やしているのが円安恩恵の大きい電機や自動車であることから、
 彼らの報酬増が、実力よりも政策誘導(円安)によるものであることは明白だ。
 日本の経済成長率や国民所得の伸びとは、完全にディカップリングしている」

「家計金融資産を見ても、法人金融資産を見ても、
 カネを持っている個人や法人を政策で儲けさせることが
 日本経済全体に恩恵が及ばない愚策であるのは明白である」

「報道によれば日本企業の申告所得額は58兆円を超え、
 「記録のある1967年度以降で最高となった」と言う。
 しかし経済成長率は当時の数字に遠く及ばず、
 厚生労働省の調査では「生活が苦しい」は六割を超え過去最高となっている」

「アベノミクスは「国民から企業や投資家への所得移転」だと
 当ウェブログは前々から警告してきたが、予想通りの展開と言えよう」

「真に経済を成長させるためには、財界バラ撒きのアベノミクスではなく、
 給付付き税額控除と現役世代への現物給付で労働投入を増やすこと、
 企業にエネルギー効率を引き上げる投資を強要すること、
 投資庁を設立して対内投資を促進し、保守退嬰の劣等経営層を市場から淘汰することが重要である」

「しかし安倍政権はこうした確実に効果の出る方法を選ばず、
 予算バラ撒きによる官僚への懐柔策(=公的部門の非効率に直結)や
 法人減税やTPP、企業サイドが儲かる規制緩和でまた財界バラ撒きを図っている。
 財界の政治献金にたかるシロアリ政党の本性は、不治の病と見える」

「有権者がもっと早く、アベノミクスの腐った本性を見抜いていれば、
 日本経済もこれほど歪んだ状況に陥らなかったのだ」

「安倍政権以来、大企業は過去最高益続出で東証は一時ITバブルを超えたが、
 実体経済は当時に遠く及ばす2四半期連続でマイナス成長となる始末。
 実質賃金はいまだに民主党政権時の水準にすら届いていない」

「国内市場が伸びていないのだから、
 日本企業が国内に積極投資する筈がない。 
 大企業を儲けさせても日本経済が低迷するのは当たり前である」

「それも至極当然の話で、大企業は経営努力以外の要因で高水準の利益を得て
 株価を上げるための株主還元や、より成長の見込める海外展開に注力しているのだ。
 海外M&Aの資金が過去最高を記録しているのがその証左である」

「つまり、日本企業は日本国民を貧しくして得たカネで
 海外企業を過去最高の勢いで「爆買い」しているのだ」

「財界が、下野した自民党には献金を減らし、政権復帰したらカネを増やしていることから、
 政治献金の実態が「打算と取引の塊」であるのは明白である」

「例えば経団連は政治献金の増額と引き換えに法人税減税・効用規制改革・原発再稼働と、
 会員企業の経営努力がなくとも大いに儲かる政策を安倍政権に求めている」

「多くの経営者は株主利益の最大化に務めるのが最重要任務であり、
 そのためには公益を騙りつつ、その裏で業界益を図るのは不思議ではない。
 いかに美辞麗句で飾っても所詮、レントシーキングでしかないのだ」

「財界からたっぷり政治献金を受け取っている自民党が、
 更に政党交付金を貰うなどとんでもない話だ。
 政治献金を受け取るなら、その分の交付金は返上すべきである。
 それができないと言うのなら、「金権政党」であることを自ら証明したことになる」

「学術的には、法人税引き下げは「成長政策」などではない。
 政治献金とのバーター取引による「企業収益の成長政策」でしかない」

「政治献金で資源配分を歪める企業に減税など、とんでもない話だ。
 法人税率と経済成長率を比較すれば、両者に相関性がないのは明白である」

「傲慢不遜で増長している金権政党は、成長率でも労働生産性でも1人当たりGDPでも
 スウェーデンに「全敗」している低能ぶりにも関わらず、
 議員報酬だけはスウェーデンより明らかに高額である。
 このような政党をのさばらせていては、日本経済が沈滞しているのも当たり前である」

「更に悪いことに、甘利辞任に象徴される通り
 自民党は伝統的に経済界と薄汚いカネでつながっており、
 政策を歪めて献金する企業に利益誘導を行うという腐った政策を得意としてきた」

「国土強靭化も、異次元緩和も、雇用改革も皆そうである。
 おまけに官僚には予算をバラ撒いて公的部門の非効率性を助長している始末だ。
 政府も民間も利権と非効率を拡大させているのだから、経済が停滞するのは当たり前だ」

「北欧のように投資庁を設立して対日投資を促進すれば話は別だが、
 次元の低い安倍政権にそのような芸当ができる筈はない」

「大前氏が、法人減税が設備投資や賃上げに繋がらない理由を解説されている。
 「日本企業は法人税率が40%を超えていた時代でも、積極的に設備投資を行なっていた」
 「国内市場に成長機会があって将来に期待が持てたからである」
 という、明々白々な事実に基づいて法人税と設備投資の相関を否定し、
 企業にとっては税率よりも国内市場の成長が重要であること、
 人口減少(正確には生産年齢人口減少であろう)と超高齢化こそが元凶であるとの見解である」

「民主党政権時に比べて大企業への減税額が2倍以上に急増したのに
 民主党政権よりも実質賃金も平均成長率も低いのだから、まるで話にばらない。
 民主党政権よりもレヴェルの低い無能な政権であるのは明らかだ」

「政策リテラシーの低い政権支持派が賞揚する低失業率も、
 所詮は労働コスト切り下げによる誤摩化しの数値でしかなかった訳だ」

「2015年度のスウェーデンの成長率見通しは3.6%であり、
 同じくドイツの実質賃金は2.5%の増加だ。(いずれも日本を大幅に上回る)
 役立たずな安倍政権の能力の低さは明白で、日本経済のため退陣すべきであろう」

「この無惨な大失敗は、消費税引き上げのためなどでは全くではない。
 重税のドイツやスウェーデンに経済パフォーマンスで「惨敗」しているのが証左だ。
 それを理解できないことが無能さの理由である」

「その証拠に、IMFが日本の成長率見通しを引き下げている。
 2017年はアメリカどころかEU圏にすら及ばないゼロ成長の見通しである」

「消費停滞・実質賃金減少でも自社株買いだけは伸びている。
 アベノミクスが利益誘導の腐った政策で、
 実体経済を改善させていないのは明白である」

「安倍首相とあのポール・クルーグマン氏の対話が面白い。
 両者とも、日本経済を本格的に回復させる施策が何か分からず、
 消費税増税による消費落ち込みがなぜ日本だけ深刻なのかと頭を捻っている」

「これは、アベノミクスの「三本の矢」が根本的に間違っており、
 同時にアメリカかぶれの経済学者が無力であることも証明している。
 両者とも日本経済を復活させることはできない」

「2015年の経済成長率は、日本がゼロ成長、米国が2%台、スウェーデンが3%台である。
 スウェーデンと日本を比較すれば真実が分かる」

「日本は、育児支援や積極的労働市場政策が手薄だから停滞しているのである。
 働かない者を優遇し、必死に働く者を見殺しにしているから低迷しているのだ」

「今、家計金融資の現預金は過去最高額でおよそ900兆円もある。
 企業の抱える現預金も過去最高額で250兆円もある」

「業績悪化が否定できなくなったため、
 ファーストリテイリング社長も漸く実体経済の悪化を認めている。
 「給与が上がらないで物価が上がっている」訳だから、
 事実上アベノミクスの失敗を認めたわけである」

「また、そもそも企業経営者の「老化」という問題がある。
 国民も老化しているので投資意欲が低く、過剰貯蓄を抱えて同胞の苦境を見殺しにしている」

「真の問題は「デフレ・マインド」などではない。「マインドの老化」が元凶だ。
 だから老化してカネを死蔵する国民や企業に負のインセンティブを与えなければならないのだ」

「家計金融資産が1700兆円を超えて過去最高、
 企業の現預金も過去最高なのにゼロ成長。
 これが「落第生」である安倍政権3年間の惨めな結果だ」

「笑止千万な選挙ポスターの「経済で結果を出す」というのは
 「日本国民の大半を貧しくして無気力にさせる」ことだったのだ」

「一橋大学の小塩教授は、安倍政権の3年間で一部の富裕層だけが豊かになり、
 多くの中間層が没落して貧困化している事実を明らかにしている」

「そもそもアベノミクスが根本的に間違っていること、
 一部の富裕高齢層と企業経営層を豊かにしただけで
 相変わらず余剰資金は退蔵、消費は停滞したままであること」

「こうした事実が明らかになっているのに関わらず、
 厚顔無恥で自らの無能を認める能力すらない安倍政権は
 潔く退陣するどころか、見苦しく権力にしがみついて
 日本経済を停滞させ、日本国民の大多数を貧しくしている」

「安倍政権と民主党政権は経済面においては同じ低レヴェルだ。
 経済成長率と消費指標が明確に真実を証明している」

「失業率が低下した理由も円安による実質賃金の切り下げと
 団塊世代の大量リタイアによるものでしかない。
 (だから実質賃金低下・失業率低下になるのだ)
 米経済回復という「幸運」がなければそれすらできなかったであろう」

「税収を北欧のように育児支援と積極的労働市場政策に投入すれば、
 日本経済は少なくともドイツ並みの賃金上昇と経済成長を実現できたであろう。
 就労を強要する厳しいスウェーデン型の改革を行えば3%成長も可能である」

「しかし安倍政権は徹底的に経済政策のリテラシーが低く、
 働かない者と劣等企業を甘やかして今日の停滞を招いた。
 これだけでも退陣に値する重罪である」

「閣僚達は日本国民を貧しくしたのだから、歳費や年金を大幅カットすべきだ。
 日本経済に打撃を与えたのだから、舛添知事よりも遥かに責任重大と言える」

「「デフレマインド」などと馬鹿馬鹿しい嘘を宣伝する
 空虚な「アベノミクス・マインド」こそ諸悪の根源である。
 (だから実質成長率や消費支出で民主党ごときに敗北する訳である)」

「安倍首相は「アベノミクスの果実18兆円」 などと騙っているが、
 朝日新聞の調査では国民の半数近くが「経済的なゆとりも見通しも持てない」と回答している」

「国民の実質賃金を切り下げて大企業を儲けさせ、
 失業率低下を偽装した結果が「18兆円」であることは明白である。
 安部政権三年間の、民主党政権よりも低い成長率がその証拠だ。
 いくら口先で取り繕っても、実体経済の悪化は誤摩化せない」

「マイナス成長の癖に野党批判だけは威勢のいい安倍首相。
 3年間で碌な結果を出せない政治家が「ギアを上げ」ても結果は知れている。
 既に円高進行で化けの皮は剥がれているのが実態だ」

「日本国民が本気で経済政策で選んだら、とっくの昔に惨敗していただろう。
 草野球レベルの民進党が相手だから勝てているという情けない現実が分かっていない」

このような愚昧な政権に投票すれば、経済低迷は確実である。

▽ 安倍政権は巨額献金を払う大企業や富裕層への利益誘導に奔走した結果、見捨てられつつある

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


安倍政権こそ、日本経済停滞を招いた「癌細胞」である。

「安倍政権下において、日本企業の内部留保が増える一方だ。
 まだ目が覚めない蒙昧な自民党議員は、日本企業に責任転嫁している」

「実に馬鹿馬鹿しい限りで、愚昧な安倍政権が頭の悪い経済政策を行っているため、
 企業は通貨切り下げで儲けても消費が沈滞する国内に還流する筈がなく、
 貯め込んでアベノ不況に備えているだけなのである」

「先見性のある者にとっては予想通りで、何ら驚くべきことではないが、
 愚劣なアベノミクスはただの利益誘導政策に過ぎず、
 日本経済の沈滞の元凶そのものであることが実証されたと言える」

「経済リテラシーの全くない首相が「アベノミクスの果実13兆円を社会保障に」などと
 愚かしい世迷い言をまた口にしているが、まさに病膏肓に入る重症である。
 ゼロ成長かマイナス成長という結果に叩きのめされるだけだ。
 アマチュア民主党政権の失敗に助けられた僥倖なのがまだ分からないのか」

「当ウェブログは「国民から収奪したアベノミクスの果実18兆円」と
 厳しく批判したが、経済指標から見ればその他の結論になる訳がない。
 根本的にリテラシーが低くまともな経済政策を行っていないのだから、
 大失敗するのは目に見えている」

「経済政策リテラシーの低い安倍政権はいまだに理解できないでいるが、
 国民所得と大企業の収益はディカップリングしており乖離が広がっている。
 政策を利用して儲ける大企業がどれだけ稼いでも絶対に日本経済は甦らない」

「安倍政権が大企業・富裕層にカネをバラ撒いて怠惰を助長しているから、
 たっぷり政治献金を受け取って公共事業バラ撒きを行って
 日本の労働生産性を引き下げているから日本経済がいつまで経っても回復しないのだ」

「事実は明白である。
 安倍政権は通貨切り下げで日本人を貧しくし、大企業を儲けさせた。
 大企業は、日本経済の低成長が続くと確信しているから国内投資をしない。
 安倍政権のこれまでの政策が根本的に間違っていたのである」

B層を騙すことはできても、実体経済を欺くことはできない。

 ↓ 参考

3年間で企業の内部留保は100兆円も増加、安倍政権こそ経済低迷の元凶だ - 企業減税など愚の骨頂
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4014c15c202b02a1f8d28d16738cdf0a

ユニクロ柳井社長がアベノミクスの失敗を認めた、消費悪化は明白 -「給与が上がらず物価は上がっている」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b6b2da4b29b73506653973adfe6842bf2

2期連続マイナス成長の元凶は「日本企業」、海外M&Aだけが過去最高 - 設備投資も賃上げも後ろ向き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e58a3afc52209498a4f95c82ce24b13a‎

「景気よくなると思う」がたった25%、日本国民もアベノミクスに死刑宣告 -「生活が苦しい」は過去最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/30a941ef4c04bab879a27adbf39dc69e‎

▽ 長い経済低迷の中で富裕層は資産を増やしており、愚かな安倍政権の株高政策など失敗必至だった

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


リフレ派:日銀政策批判エコノミストも「金利」重視反発(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20161013/k00/00m/020/064000c.html
日銀が先月の金融政策決定会合で、金融政策の枠組みを、銀行などに流すお金の「量」を重視する政策から、「金利」を重視する政策に転換したことに対し、「量」拡大を主張してきた「リフレ派」エコノミストらから批判の声があがっている。批判の矛先は、リフレ派にもかかわらず政策転換に賛成した日銀の政策委員会メンバーにも向かっており、今後の政策運営にも影響を与えそうだ。
 「デフレ脱却のため、2%の物価上昇目標を目指すのがリフレ派だ。やり方はいろんな議論がある」。12日、長野県松本市での記者会見。日銀政策委員の中でリフレ派の代表格とされる原田泰審議委員はこう強調し、政策変更に理解を求めた。
 9月21日の決定会合で日銀は、短期金利をマイナス0.1%、10年物の長期国債利回りを0%程度に操作する「長短金利目標」を新たに導入した。一方、従来「年間80兆円ペースで国債を購入する」としてきた量的緩和の目標を「80兆円をめど」に後退させた。13年の黒田東彦総裁就任以来、大量の国債を購入してお金を世の中に流す量的緩和政策でデフレ脱却を目指してきた日銀だが、国債保有額が400兆円に膨らんでも物価上昇率がマイナス圏に低迷する中、政策転換を図った。いわば「『量』の目標を事実上捨てた」(日銀幹部)格好だが、リフレ派のはずの原田氏と岩田規久男副総裁は、賛成票を投じた。
 原田氏は、新たな枠組みで物価上昇率が安定的に2%に達するまで金融緩和を継続すると明言したことが「量に対する強い公約だ」と述べ、量的緩和は後退していないと強調した。だが、在野のリフレ派の批判は厳しい。元審議委員の中原伸之氏は、「原田、岩田両氏は敢然と反対すべきだった。日銀職員の説得と圧力に負けた」と厳しく批判。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二氏も、「自分が委員なら反対した。今後の行動を注視していかないといけない」と指摘した。
〔中略〕
 首相の経済ブレーンでリフレ派の本田悦朗・駐スイス大使は米通信社の取材に「日銀は次回会合で追加緩和を行う必要がある。国債購入額はまだ拡大できる」と強調しており、円相場や株価の展開次第でリフレ派の巻き返しが強まる可能性もある。【安藤大介】”

敗北を認めることのできないリフレ派は内ゲバを始めた。
敗戦直前に宮城でクーデターを起こし、同士討ちを始めた帝国陸軍と酷似している。
まさに「末路」と言うに相応しい状況になってきた。


量重視の「リフレ派」日銀・原田審議委員が敗北宣言? 「総合的判断」で金利重視に賛成(sankeibiz)
http://mainichi.jp/articles/20161013/k00/00m/020/064000c.html
”日銀の原田泰審議委員は12日、長野県松本市で記者会見し、日銀が9月に金融政策の枠組みを「量」から「金利」へ変更したことについて、「(国債購入などの)緩和の限界論を否定する強いコミットメント(約束)。総合的に判断した」と賛成した理由を説明した。
 日銀の9人の政策委員の中で、市場への資金供給量を重視する「リフレ派」の原田氏は本来、反対の立場のはずだが、賛成に回った。このため、市場からはリフレ派の“敗北宣言”との見方も出ている。
 「2%の物価上昇目標を目指すのがリフレ派だ」
 原田氏は、記者会見でこう釈明した。
 しかし、原田氏のこれまでの主張は、市中に出回るお金の量が増えれば物価上昇期待も高まり、デフレ脱却につながるというものだった。
 日銀は9月の政策変更時、「当面は現状の国債購入ペースの年80兆円をめどとする」と現行の買い入れ方針を維持した。さらに、将来的に量を拡大する可能性にも言及したため、原田氏らリフレ派も賛成しやすかった。
 実際、黒田東彦総裁は12日の国会で「年間80兆円の国債買い入れの方向は続く」と述べるなど、リフレ派への配慮をにじませた。
 しかし、「今後1~2年で日銀の国債購入は限界を迎える」(エコノミスト)と指摘される中、黒田総裁も国債の買い入れ量を減らす可能性を認める。
 原田氏はこの日の会見で、「日銀も政府に関係している人も皆リフレ派」、「先進国、多くの途上国も2%目標を掲げており、全世界もリフレ派だ」と次々と“新解釈”を披露した。
 原田氏がリフレ派の定義を自ら広げたことで、市場では「リフレ派の事実上の敗北」と受け取られる可能性が高まり、波紋が広がりそうだ。
〔中略〕
 原田氏らリフレ派の「懐柔」に成功したことで、黒田総裁はスムーズに政策運営できそうだ。”

「スムーズに政策運営」という阿諛追従が傑作で、
アメリカでの黒田日銀批判とはまるで厳しさが違う。
ガラパゴスの議論をいくら展開しても、日本経済の低迷は何一つ変わらないのだが。


金融緩和なぜ効かぬ 日米欧の中銀、袋小路に 成長力低下で刺激伝わりにくく(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO07898150R01C16A0NN1000/
いくら金融緩和を進めても、低インフレや低成長から抜け出せない――。日米欧の中央銀行がこんな袋小路に入り込んでいる。高齢化や技術革新の停滞などで経済の地力が落ち、緩和による刺激が経済全体に伝わりにくくなっているためだ。地力を上げるために必要な構造改革は遅れがちで、長期停滞を懸念する声も増えている。
 「中央銀行は万能ではない」。日銀の黒田東彦総裁は9月30日、日銀本店で開いた国際会議でこう話した。異…〔以下略〕”

黒田日銀は最初から失敗していたのである。
この日米欧の経験が見事に立証している。
黒田総裁も当初の威勢の良さはどこへやら、竜頭蛇尾の言説を弄して撤退の構えである。


ロイター企業調査:日銀新枠組み、投資や物価上昇に効果なしが8割超(reuters)
http://jp.reuters.com/article/reuters-poll-boj-idJPKBN12H2LZ
10月のロイター企業調査によると、日銀が9月に導入した金融政策の新しい枠組みについて、自社の投資活動や物価上昇には、ほとんど効果がないとの回答が8割以上を占めた。金融政策に実体経済を改善する力はないという手詰まり感が企業の間に広がっている。米大統領選挙については、トランプ氏が大統領になれば米国での事業環境の悪化や対米投資意欲の減退につながるとの見方が4月調査に比べ増えた。
 この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に9月28日─10月12日に実施した。回答社数は255社程度。 

 <物価2%目標、3年以内に達成できずが7割超>
 日銀は新たな枠組みの下で、金融政策の軸足をマネーの量から金利に移し、イールドカーブコントロールを導入、金融緩和を継続する姿勢を示した。
 この枠組みに経済的効果があるとみる企業は少数派だ。日本経済全体への効果について「かなり効果がある」は0%、「やや効果がある」が33%だったのに対し、「あまり効果はない」が60%、「全く効果はない」が7%となった。自社の投資活動にも「影響はない」が82%と大勢。さらに「投資を積極化する」企業が6%だったのに対し、「投資を慎重化する」企業が12%となった。
 物価上昇への効果は「ある」が15%、「ほとんどない」が85%と、効果を見込む声は少なく、2%の物価目標の達成についても「3年以内に達成可能」との見方は27%にとどまった。達成は「3年後以降」が47%、「達成は不可能」との見方も25%を占めた。
 企業からは「イールドカーブを立てないと将来にわたってデフレ解消が望めないので、良い施策だと思う」(金属・一般機械)と評価する声もある。他方、もともと「投資意欲の減退でカネが動いていない」(機械)といった状況にある中で、「金融政策には手詰まり感がある」(食品)との見方も多い。「自然利子率がある程度のプラスにならなければ、経済基盤そのものがデフレ体質を継続することになり、金融政策でいくら力を注入しても、むしろ副作用が大きくなる」(電機)と、弊害を懸念する声もある。
 物価目標を3年以内に達成できない、あるいは達成不可能との見方の根拠としては「デフレは人口減など構造的なもので、金融政策では解決できない」(運輸)との見方が多い。
 また、いずれ物価目標が達成されたとしても「景気回復を伴う物価上昇とは限らない」(小売)、「消費活動を伴わない金利・物価の上昇は非常に危険」(ゴム)など、不安を示す声も目立つ。「ハイパーインフレにならないだろうか」(卸売)といった懸念もうかがえる

 <「トランプ大統領」なら投資や事業環境悪化、4月より増加>
 新しい米大統領にトランプ氏が就任した場合、米国の事業環境が「悪化する」との見方は57%、対米投資意欲が「弱まる」との回答が63%、日本の安全保障が「弱まる」との回答が84%を占めた。
〔中略〕
 他方でクリントン氏が就任した場合は、いずれの項目も現状と「あまり変わらない」との回答が8─9割を占めた。「良くなる」との回答も、4月調査と比べ横ばいもしくは、やや減少しており、企業の期待は高まっていない。 (中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)”

黒田日銀は殆どの日本企業にも見放されている。
黒田総裁よりも日本企業の方が遥かに実体経済を理解していると言えよう。

このロイター調査は、トランプではなくクリントンが大統領になっても
日本経済には恩恵は期待できないことをも示唆しており興味深い。
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