アーバンライフの愉しみ

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遠藤展子著「藤沢周平:遺された手帳」

2018年02月14日 | 読書三昧
直木賞作家の周平氏が遺した黒表紙の手帳と3冊の大学ノート。
そこに記された苦闘の日々と作家としての矜持を愛娘の展子氏が解き明かす。
 
 
この評論を拝読して感心したことは、藤沢周平という作家の謙虚さである。
 
例えば、直木賞受賞前には、過去3度候補になりながら受賞に至らないもどかしさから、「別の作品に差し替えたい」との思いを編集者に伝えたに対し、「了見違い」と窘められ・・・、
 
「いつの間にか自分が傲慢な人間になっているのを思い知った。私は恥ずかしかった」
 
と反省する。
 
また、受賞後の作品に対し、「最近少し薄味と言われた。本人も認めるところだが、やはり注意すべきだろう」と述懐する。
 
加えて、「行きずまらないためには、飛躍がなければならない。恐らくそれをつかまえることが出来るかどうかが、私の作家生活の鍵になるだろう」と気合を入れる。
 
こうした謙虚な姿勢が、どの作品においても水準以上の質を保ってきた所以であろう。
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