明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



相撲界もここのところモンゴル出身力士のことで随分騒がしいが、高見山から始まる外国人力士への門戸を開けたのは高砂の前田山英五郎である。その猛烈な張り手は相撲の技ではない、と論議を呼んだ程だったが、粗暴な性格、素行ゆえに条件付きで横綱になっている。腕の病気を治してくれた前田博士の名前をいただいたのはいいとして、ついでに大前田英五郎つまりヤクザの大親分の名前までいただくという人物であった。休場中に、来日したフランシスコシールズ対巨人戦を観に行き、監督のオドールと握手している写真が新聞に載り、引退することになる。高砂部屋の朝青龍が引退に巻き込まれた騒動の時は勿論これを思い出した。 今話題の富岡八幡宮で白鳳を見た時、胴体から発するオーラのような物に圧倒されたものだが、最近は相撲は土俵下に落とし合うゲームだと思い込んでいる節がある。立ち合い不成立を主張したり、万歳三唱で愛想が尽きた。結界である勝負俵を踏まないようすべきところ、白鳳はまるで青竹踏み代りである。深川江戸資料館の江戸の下町を再現した建物でさえ、敷居を踏んでいた子供がお年寄りに叱られていた。 それはともかく。貴乃花が闘っているのはモンゴル力士云々ではなく、金銭の授受さえなければ星の貸し借りは八百長ではない、という協会内の体質であろう。人数が多い分タチが悪いのがモンゴル互助会であり、いうことを聞かない貴乃花の弟子にヤキを入れたということであろう。 私が最も好きだった力士が“休場は負けと一緒”と大関陥落覚悟で土俵に上がり続けた魁傑だが、11代理事長放駒として相撲界のクリーン化が期待されたが亡くなるのが早かった。その放駒が育てた“ガチンコ”横綱の大乃国の芝田山に期待である。甘い物食ってる場合ではない。

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載6回「夏目漱石の鼻」

HP

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