NHK教育TVの「ETV特集」を、昨年から毎週録画して、たまったものを時間があるときに見ます。
昨年も、ブログにアップしたことがあります。→コチラ
主に震災関係、放射能関係のために見ていますが、ここ数日で見た2つは、「見てよかった」という内容でした。
1つめが、3月11日に放映された「ネットワークでつくる放射能汚染地図5」埋もれた初期被ばくを追え」です。
「初期被ばく」、つまり、原発事故後に拡散した放射性物質のうち、物理学的半減期が8日間しかない「ヨウ素」による初期被ばくが計測されていない、その結果、どれだけ人体に影響を及ぼしたのか、これから及ぼすのかがブラックボックスである。ところが、その初期被ばくの推測ができる数値が見つかった、というような切り口の内容です。
これによると、大人の最大で等価線量で100msv近くの被ばくがあり、4歳児で400mSv、1歳児では計算上の推定で800msvの被ばくが最大ありうる、というものが出ています。
つまり、苦しい話ですが、子供達には必ず影響が出るであろう被ばくがされている可能性があると最大値では計算できる、ということです。
私たちが主に関心を示す放射性物質は「セシウム」です。
物理学的半減期が8日間のヨウ素は、すぐに消えてしまうというイメージがあるので、あまり関心を持たないのではないでしょうか?
でも、実際は、「物理学的半減期が8日間しかない=それだけエネルギー放出が大きい」という特徴があります。
しかも「生物学的半減期」は8日間より長いです。
つまり、物理的に放射性物質を放出し続けている間は、体の中にあって排出されない、と考えて良いんですね。
セシウムは一般的に言われている「物理学的半減期が30年」でもあっても「生物学的半減期=体から排出される半減期は90日とか120日」なので、体から排出されるんです。
だから、ヨウ素は人体に大きな影響を与える放射性物質なのです。
チェルノブイリ事故でベルラーシの子供達に大きな被害を与えたのも母乳や飲料水などに含まれていた「ヨウ素」の方と言われています。
浪江町の住民は、原発から最も遠い町の西側の津島地区に避難したのですが、実は、その時、放射性物質は西側、つまり津島地区の方に大量に流れ込んでいたことがわかったのです。
その被ばく量がわからない、、、そこからスタートしている内容です。
4月1日(日)22時から、つまり、明日、アンコール放送があります。
関心がある方は、是非みてみてください。
もう1つが3月18日に放映された「生き残った日本人へ-村薫 復興を問う-」です。
村さんの鋭い思索、また民俗学者とのダイアローグ(会話)では、直接津波や地震の被害がなかった私ですが、それでも「今の日本を生きる私達の未来」をしっかりと見つめること、を考えさせられました。
震災から1ヶ月後の昨年の4月時点では、村さんはこんなことを言っていました。
『津波や震災で大きな問題が起こったという捉え方ではなく、津波や震災以前にあった問題が顕在化したと捉えている。もともと、震災が起こる前から、雇用の問題、農漁業の後継者不足、過疎化、少子化、高齢化、産業の疲弊、赤字国債、そういったもともとあったわけですよね。その問題が浮き彫りになった。津波や震災で、何かが突然変わった、というわけではない。だから、「元の生活ができる状態に戻す」ということは大切かもしれないけど、もともとあった問題が無くなるわけではない。「元に戻す」ことが復興かというとそうではないと思う。実際、お金もないしすべてを戻すことはできない。私が被災した阪神・淡路大震災の時と今回の東日本大震災は「時代」が違う。国にお金がない。今回の震災は、これから日本という国をどういった国にしていくべきかどういう日本人であるべきか、本当に日本にとって必要な復興を考えなければいけない』
20年も前から原発の危険性に警鐘を鳴らし、自身が阪神・淡路大震災で死にそうになった経験から、今回の震災に対する復興に対して、昨年の4月の時点から、復興の在り方にについて、こういった思いを持っています。
津波で家の周りが海に沈み、離れ小島にポツンと天井近くまで浸水した家を持つ漁師さんの言葉も印象的でした。
「この家を片づけることにお金を使ってもしょうがない。財産を残すこととかなんて二の次でいいんです。それより未来のために子供たちへの教育をやってほしい。子供にお金を使えば、将来人に尽くしてくれる。この家にお金をつかっても、何にも先に繋がらない」
原発事故に対しては「人生で一番怒っている。どうして東京の人は怒らないのか不思議でならない」という村薫さん。
重く、強く、固い意志を感じるお話でした。
しかし、7月には「思っていた以上に絶望が深い。感情ではなく理性で『すべきことをせねばならない』。しかし、従来のように原発を動かすといっている日本人、また今の政治家に期待はできない。キリギリスはアリになれない。キリギリスはキリギリスでしかない」といった話に変わっていました。
そして、最後に今年になってから、東北の人たちと会話を重ねてきた民俗学者の方との会話では、こんな話が出ました。
「少子高齢化、過疎化が進んで行くのは避けられない。海も川も山も汚染されて人が住めなくなった。そういった状態で、元に戻すのではなく、自然に帰す、あるいは再生可能エネルギーの場所に変えるといったことが必要なのではないか。東北の人が元に戻すことを願っていると、我々が思いこんでいるけど、実はそうではない」
「消えて行く町、消えて行く集落、消えて行く仕事、消えて行く人。こういったものがあるのは無常というか、そうならざるを得なく、それを見据えた上で未来を考えて行く必要がある」という村さん。
これから間違いなく、人口8000万台の日本になり、少子高齢化になり、財政は厳しくなり、縮んで行く日本。
そんな日本で「東北の人が」ではなく、「日本人が何を目指すのか?」というメッセージは、強く響きました。
「地震があったから、津波があったから、原発があったから、それ以前にあった問題が浮き彫りになった。だからこそこれからの日本を、日本人を考えなければいけない」
私のような一般人がとても言えない言葉ですが、東北の事を考え、あるいは地元の人と会話を重ねてきた出演者が話す言葉には、重みと説得力がありました。
所詮、現地で苦しさではちきれそうになっている人間ではなく、TVを見ているだけの私ですが、しかし、被災地の話、ではなく「これからの日本」「これからの日本人として」ということを、ズンと考えることになった番組でした。
大きなメッセージが私の中に刻まれました。
昨年も、ブログにアップしたことがあります。→コチラ
主に震災関係、放射能関係のために見ていますが、ここ数日で見た2つは、「見てよかった」という内容でした。
1つめが、3月11日に放映された「ネットワークでつくる放射能汚染地図5」埋もれた初期被ばくを追え」です。
「初期被ばく」、つまり、原発事故後に拡散した放射性物質のうち、物理学的半減期が8日間しかない「ヨウ素」による初期被ばくが計測されていない、その結果、どれだけ人体に影響を及ぼしたのか、これから及ぼすのかがブラックボックスである。ところが、その初期被ばくの推測ができる数値が見つかった、というような切り口の内容です。
これによると、大人の最大で等価線量で100msv近くの被ばくがあり、4歳児で400mSv、1歳児では計算上の推定で800msvの被ばくが最大ありうる、というものが出ています。
つまり、苦しい話ですが、子供達には必ず影響が出るであろう被ばくがされている可能性があると最大値では計算できる、ということです。
私たちが主に関心を示す放射性物質は「セシウム」です。
物理学的半減期が8日間のヨウ素は、すぐに消えてしまうというイメージがあるので、あまり関心を持たないのではないでしょうか?
でも、実際は、「物理学的半減期が8日間しかない=それだけエネルギー放出が大きい」という特徴があります。
しかも「生物学的半減期」は8日間より長いです。
つまり、物理的に放射性物質を放出し続けている間は、体の中にあって排出されない、と考えて良いんですね。
セシウムは一般的に言われている「物理学的半減期が30年」でもあっても「生物学的半減期=体から排出される半減期は90日とか120日」なので、体から排出されるんです。
だから、ヨウ素は人体に大きな影響を与える放射性物質なのです。
チェルノブイリ事故でベルラーシの子供達に大きな被害を与えたのも母乳や飲料水などに含まれていた「ヨウ素」の方と言われています。
浪江町の住民は、原発から最も遠い町の西側の津島地区に避難したのですが、実は、その時、放射性物質は西側、つまり津島地区の方に大量に流れ込んでいたことがわかったのです。
その被ばく量がわからない、、、そこからスタートしている内容です。
4月1日(日)22時から、つまり、明日、アンコール放送があります。
関心がある方は、是非みてみてください。
もう1つが3月18日に放映された「生き残った日本人へ-村薫 復興を問う-」です。
村さんの鋭い思索、また民俗学者とのダイアローグ(会話)では、直接津波や地震の被害がなかった私ですが、それでも「今の日本を生きる私達の未来」をしっかりと見つめること、を考えさせられました。
震災から1ヶ月後の昨年の4月時点では、村さんはこんなことを言っていました。
『津波や震災で大きな問題が起こったという捉え方ではなく、津波や震災以前にあった問題が顕在化したと捉えている。もともと、震災が起こる前から、雇用の問題、農漁業の後継者不足、過疎化、少子化、高齢化、産業の疲弊、赤字国債、そういったもともとあったわけですよね。その問題が浮き彫りになった。津波や震災で、何かが突然変わった、というわけではない。だから、「元の生活ができる状態に戻す」ということは大切かもしれないけど、もともとあった問題が無くなるわけではない。「元に戻す」ことが復興かというとそうではないと思う。実際、お金もないしすべてを戻すことはできない。私が被災した阪神・淡路大震災の時と今回の東日本大震災は「時代」が違う。国にお金がない。今回の震災は、これから日本という国をどういった国にしていくべきかどういう日本人であるべきか、本当に日本にとって必要な復興を考えなければいけない』
20年も前から原発の危険性に警鐘を鳴らし、自身が阪神・淡路大震災で死にそうになった経験から、今回の震災に対する復興に対して、昨年の4月の時点から、復興の在り方にについて、こういった思いを持っています。
津波で家の周りが海に沈み、離れ小島にポツンと天井近くまで浸水した家を持つ漁師さんの言葉も印象的でした。
「この家を片づけることにお金を使ってもしょうがない。財産を残すこととかなんて二の次でいいんです。それより未来のために子供たちへの教育をやってほしい。子供にお金を使えば、将来人に尽くしてくれる。この家にお金をつかっても、何にも先に繋がらない」
原発事故に対しては「人生で一番怒っている。どうして東京の人は怒らないのか不思議でならない」という村薫さん。
重く、強く、固い意志を感じるお話でした。
しかし、7月には「思っていた以上に絶望が深い。感情ではなく理性で『すべきことをせねばならない』。しかし、従来のように原発を動かすといっている日本人、また今の政治家に期待はできない。キリギリスはアリになれない。キリギリスはキリギリスでしかない」といった話に変わっていました。
そして、最後に今年になってから、東北の人たちと会話を重ねてきた民俗学者の方との会話では、こんな話が出ました。
「少子高齢化、過疎化が進んで行くのは避けられない。海も川も山も汚染されて人が住めなくなった。そういった状態で、元に戻すのではなく、自然に帰す、あるいは再生可能エネルギーの場所に変えるといったことが必要なのではないか。東北の人が元に戻すことを願っていると、我々が思いこんでいるけど、実はそうではない」
「消えて行く町、消えて行く集落、消えて行く仕事、消えて行く人。こういったものがあるのは無常というか、そうならざるを得なく、それを見据えた上で未来を考えて行く必要がある」という村さん。
これから間違いなく、人口8000万台の日本になり、少子高齢化になり、財政は厳しくなり、縮んで行く日本。
そんな日本で「東北の人が」ではなく、「日本人が何を目指すのか?」というメッセージは、強く響きました。
「地震があったから、津波があったから、原発があったから、それ以前にあった問題が浮き彫りになった。だからこそこれからの日本を、日本人を考えなければいけない」
私のような一般人がとても言えない言葉ですが、東北の事を考え、あるいは地元の人と会話を重ねてきた出演者が話す言葉には、重みと説得力がありました。
所詮、現地で苦しさではちきれそうになっている人間ではなく、TVを見ているだけの私ですが、しかし、被災地の話、ではなく「これからの日本」「これからの日本人として」ということを、ズンと考えることになった番組でした。
大きなメッセージが私の中に刻まれました。