半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

小泉循環農場へ!

2012年01月28日 | 農的体験・生活
本日、ついに念願の小泉循環農場へ行って参りました

「みみず物語」という本で衝撃を受け(詳しくは→コチラ)、昨年、ご縁があった農家さんからご紹介いただいて電話をするも、原発事故後というタイミングだったので、会えずじまいでした。

そんな小泉さんから今年になって「時間ができたから」とお電話を頂き、本日、お邪魔させて頂きました


小泉さんは、成田闘争の時に小泉よねさんというおばあちゃんに養子入りした方。詳しくは割愛しますが、激動の時代を成田で過ごされてきた方です。

その後、ワンパックという無農薬野菜の配達グループを立ち上げるも、化学物質過敏症のお客様に出会うなどしたことから、「堆肥や肥料はその地域で取れた落ち葉や米糠などを使って、外からは何も持ち込まない循環農業」を目指し、独立されました。


本日は、週に1度のお休みということで、農作業は無く、色々なお話をお聞かせいただきました。

そのお話を聞いて思ったことを3つにまとめてみます。


1つは「化学物質が溢れている世の中」だということ。

小泉さんが動物性堆肥などを使わないに至った背景には、化学物質過敏症の方の影響が強かったと言います。詳しくは「みみず物語」に書いてあります。

農薬や化学肥料がだめというレベルではなく、有機農業で作られた野菜でも、動物性堆肥に入っているわずかな化学物質にも過敏に反応してしまう消費者がいるんです。

家畜が食べるエサは抗生物質や農薬、ポストハーベスト(収穫後の防かび剤など)などが含まれています。これをいくら堆肥化しても、それを使った野菜では「食べれない」という人が存在するのです。

こういった方は、新聞紙が野菜ボックスに入っているだけで、食べられない、という人です。新聞のインクが野菜と触れているだけで、もう受け付けられません。


実は、私の奥さんのママ友も、小泉さんのところの野菜をとっています。お子さんがアレルギーを持っており、野菜も小泉さんのところなら食べられる、卵も小泉さんのところのものだったら大丈夫だった、ということからです。

野菜でありませんが、以前、成田に住んでいたある方は、子供に普段食べさせていないマックをつきあいで食べさせたら、子供が吐いてしまったそうです。


今では「化学物質過敏症」という言葉がありますが、昔は、そういった人は「あなたがおかしい」と言われて「精神科に行きなさい」としかお医者さんに言われなかったそうです。


化学合成添加物、排気ガス、多くの環境ホルモン、色々なものが世の中には溢れています。アレルギーは「原因不明」なわけですが、それの多くは「化学物質が積み重なって」身体がSOSを発しているという話は、直感的に頷けます。


小泉さんは、5町歩(東京ドーム約1個分)の畑のうち1/3は緑肥などで作物は作りません。また堆肥となる落ち葉をかきあつめるために、同じく5町歩ほどの山を借りて、山の手入れのアルバイトも雇っています。トータルで地代だけでも年間100万は優に超すといいます。

「有機農業はただでさえ大変なのに、それに加えて落ち葉はき、堆肥作り、マルチを使わない分の草取りなどがさらに加わって余計大変。だからこんなことやる人は他にはいないんだ」と小泉さんは言います。

しかし、そんな小泉さんが作る野菜があるからこそ、救われる消費者が何百人もいるのですね。


2つめが、「支えあう関係」です。

成田闘争時代から、小泉さんの野菜をとってきたお客さんがいます。つまり、30年以上、親子で小泉さんの野菜を食べ続けているのです。

生協の立ち上げメンバーでもあり、屈強なパワフルなおばちゃん達がそういったお客さんだそうです。原発問題があろうと「うちは小泉さんのところのを買うから」といって買い続けています。

実際、原発後、数え切れないぐらいの応援のお手紙を頂いたそうです。


また、被災地に野菜が余るたびに小泉さんは野菜を送っているそうです。そんなことをお客様向けのレターに書いただけで「送料もかかるだろうから」といって、カンパをしてくれるお客さんがいるそうです。

野菜の放射能測定には費用がかかるので、それを書こうと思ったそうですが、もし書いたら必要以上の寄付が集まると思って、あえて書かなかったそうです。

本当の意味で支え会う関係ができている、そんな農家さんと消費者のモデルを見た気がしました。


3つめは、やはり「放射線汚染の影響」です。

原発によって多くのお客様が「西日本の野菜」へシフトしました。

特に無農薬の野菜を求める健康志向の高いお客様は、農薬や化学肥料より放射能の方が危険と判断するのは当然といえば当然です。

小泉さんのところも、2割弱のお客様が減りました。しかし、驚いたのは、そのスタンスです。

私の知っている範囲では、農家さんはどちらかというと東電への憤りを示しても、放射能の危険性についてはあまり語りません。


しかし、小泉さんは、オーガニックショップのGAIAさんから機械を借りて、野菜を検出限界値2ベクレル(Bq)で測っています。

実際、サツマイモをふかしてくださったのですが、「このサツマイモは4ベクレル(Bq)だけど、子供じゃなければ大丈夫なレベルだと思うよ」と言うのです。

落ち葉も測り、堆肥も測り、細かく調べています。


そして、お孫さんが土遊びをするのに、わざわざ山からきれいな土を持ってきて遊ばせるそうです。野菜の貯蔵用などに掘った穴を測定したら、中の方は0.03μSvぐらいだったので、「穴の中で遊びなさい」と言っているそうです。


例えば、30ベクレル(Bq)ぐらいは「高いね」と言います。


また、小泉さんのお米でも10ベクレル(Bq)/kgでたそうです。県がやっている検査は20ベクレル(Bq)が検出限界ですので、お米は20ベクレル(Bq)以上だった市川市だけ値が出ました。

しかし市川市以外はNDだったわけですが、あくまで20ベクレル(Bq)が検出限界の計測でNDであって、実際は小泉さんが作ったお米は10ベクレル(Bq)はあるということがわかっているので、今食べているお米は、一昨年のお米と混ぜて「薄めて」食べているそうです。


わかる範囲で細かく数値を出した上で、「子供には危険性がある」「今は大丈夫でもゆくゆくどんな影響がでるかわからない」というスタンスでいます。


その背景には、化学物質過敏症のお客様と何十年もつきあってきたからでしょう。

「広島の原爆でも、実際、原爆症になった人とならなかった人の決定的な差はわからなく、最後は個人差。化学物質過敏症も個人差が大きい。だから今回の線量もどうなのかは個人差で大きく変わると思う」


最後に堆肥場と畑を見せてもらいました。

堆肥は、落ち葉と糠で作ります。


2~3週間目の堆肥ですが、とってもあったかく、フルーティーな甘い香りがしました。


ネギは、ぶんけつネギで、甘くて柔らかくて美味しいと評判のネギだそうです。


ほうれん草は、「サラダホウレン草と同じように食べれるよ」といわれました。実際、ガジガジしておらずとっても甘かったです。



小泉さんは、今まで出会ったことが無いような農家さんでした。

「自分が作った野菜を食べてくれるお客さんがいる。それで生活ができていることは幸せなことだよ」

ある意味、私が理想とする生き方をされている小泉さん。

80歳までは現役で働く意思をお持ちで、毎日筋トレもしているそうです。


お昼ごはんもご馳走になったのですが、全く農作業のお手伝いはしなかったので、今度はきちんと働いていただいたお野菜やお昼のご恩はお返ししようと思います

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