半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

お盆です

2017年08月13日 | 自分の時間
お盆です。

うちの親父は岩手から出て来たので、墓は無く、家に仏壇も無かったため、あまりお盆っぽいことをしたことはありませんでした。
お墓も無いので、結婚した後に岩手に墓参りにいったぐらいで、我が家にとって、お盆やお墓や仏壇と言うのは生活の中にありませんでした。

しかし、親父が亡くなり、初めて自宅に小さな仏壇が来て、また母と一緒にお墓を買って、ようやく仏壇でチンチンしたり、お墓参りをするという生活が始まりました。

自分は別にどうと思っていなかったのですが、子ども達が亡き親父に対して語り掛けている風景を見ていると、お墓参りはいいもんだな、仏壇がきちんと家にあるのはいいもんだな、と思えるようになってきました。

高柳さんと出会い、また農村に暮らす農家さんを見ると、迎え火でお墓まで迎えにいって、家で灯をともし、親族が集まり、また送り火でお墓に送るというのが当たり前です。

我が家は玄関の前で火をつけて迎え火をするのはやっていただけなので、「あの人たちは提灯をもって何しているんだろう?」と思ったものです。
当初は、迎え火を持ってお墓に行く、なんていうことは全く知りませんでした。

そんなこんなで、農村の生活を垣間見、昔の日本人の生き方に思いを馳せ、このあと何年生きるかはわからないけど仏壇のお世話をする母を見て、「子どもや孫がきちんとお墓参りをし、仏壇にお供えをし、供養をしてくれている姿を見て育つと、子どもはもちろん無くなる親世代もある意味安心して暮らせるんじゃないか」と思いました。

先祖の事を思い、自分もいつかあちらに行く。
自分が供養をし、子供たちも孫たちも供養する。
その生活の中に自分がいるわけだから、いつかあちらに行っても、子ども達や孫達が引き続き供養をしてくれる。
そして、お盆にはかえってきてみんなで楽しく過ごせる。

こんな感覚が、ようやく私に芽生えてきました。

東京にいた頃には、まったくもってこんなことを考えることはありませんでした。

でも、先祖代々仏壇があり、お盆行事を繰り返してきた日本人にとっては、当たり前の感覚だったんだろうな~と。


高柳さんが良く言う言葉を思い出します。

「俺らは歴史の通過点にいるだけだ。遠いご先祖様がこの辺を開拓して田畑を作り、それを代々継いできた。それをたまたま今使わせてもらっているだけで、自分のものなんて思ったことは無い。次の世代に渡していくもので、せめて自分の代で汚さずせめて受け取った時と同じぐらい、ちょっとはきれいにして渡せていけたらな、と思う。家だって建てたら6世代ぐらいは住むものなんだよ。こんな感覚、今の人にはわからないよね?」

農家さんは、田畑がある分、歴史の中に自分がいるということが生活と一体となっていますよね。

高柳さんがこんなことを言うのも思い出します。
「戦後、日本は宗教も農業を教えなくなった。そして日本は工業の国である、資源がないから貿易で食っていかなくてはならない、という教育をした。世界を歩いてみれば、農業を大事にしない国はないし、自国の宗教を大事にしない国はない。政治についても話しあうことが大事であって、そのものを話すこと自体が政治的と思われる国なんて、日本だけだよ」

世界を旅したことがある方は、高柳さんの言っていることがわかると思います。

「お盆を大切にしなさい」と学校も会社も当たり前にしている、というのは戦前まであったと思います。
「正月とお盆ぐらいは」といって、丁稚の小僧さんも実家へ帰らせてくれていたわけです。
今はお盆でも仕事をしているのが当たり前になりました。

なんでこうなってしまったのか?
確かに、戦後にGHQのために、日本の伝統文化や生き方を教えなくなったというのはあると思います。

8月は戦争の特集が多いで、ちょっと話を戦後の教育のお話に脱線します。
今の時期「戦争は良くない」ということを悲惨さを伝える番組は多いですが、一方で「国は家族を守るために命を捨てた特攻隊」や「命を懸けた兵隊さん」の話は美談扱いされてなかなかメディアには出ません。

私も「特攻」などは極限の状態にならない限り、あり得ない、と思っていますが、でも、本当にそうなった時に、「国や家族のために命を捨てる」という覚悟が出来るとすれば、多分、それは日本人的な「ご先祖様と自分は繋がっている」という感覚が強く持てていたからなんだろうな、と思うのです。

アメリカを始め、連合国からみれば「どうして死ぬとわかっているのに命を捨てて戦えるのか?」と日本人の理解に苦しんだと言います。
「菊と刀」という、敵国の日本を理解するために、日本の文化や宗教や生活を分析していた調査員のアメリカ人が、戦後に書いた本を呼んだことがあります。

例えば、特攻というのは欧米人には理解が出来ません。負けるのがわかっていれば、投降して捕虜になるのが当たり前です。
しかし日本人は自分の命を惜しまない、なんでなんだ?と。
そこで、徹底的に調査をした。すると日本人は「先祖と自分の魂が繋がっている考えている」その行動様式として「お盆やお彼岸というのがある」ということが次々とわかってきます。

アメリカは200年も経っていない国でしたから、先祖代々のお墓があって、その地域に根差し、ご先祖様を祀るという事の意味がわからないわけです。
ましてや、魂がお盆の時に帰ってきて、そのために食べ物やお酒を供物としてささげ、見えない魂に語り掛ける、なんていうことは「クレージー」としか思えなかったわけです。

昔、日本人に帰化した小泉八雲が教え子の日本人とお盆や魂の話になって、こんなやりとりをしました。
「本当に魂がそこに帰ってきていると思っているの?」
「肉体は滅んでも魂は不滅だと思っているの?」
「君の魂と先祖の魂が繋がっていると思っているの?」
全てが理解不能であって、「本当に本気で思っているのかい?我々欧米人には理解ができないな」と。

そしてこう言ったのです。
「魂が繋がっているという感覚があるんだろうな、というのは頭ではわかる。でもそれは我々にとっては古代ローマ時代に先祖の魂を迎えて食事を用意する風習があった、という知識の話なんだ。たぶんそれは、親の親のそのまた親の代から、生活の中で仏壇に手を合わすといったことを繰り返して行って来て感情や感覚の継承が行われてきたんだと思う。我々にはその感覚や感情まではわからないんだ」

欧米人にとっては大体こんな感じだったのでしょう。
長い歴史に根付いた伝統文化が日本人の中にあって、それが「魂は永遠に不滅」という「霊魂不滅信仰」になっている、ということをアメリカ軍部は学んでいったわけです。

アメリカの元軍人の本などに良く書いていますが「日本人の兵隊は本当に優秀だった。敬意をもって戦った」というほど。

全員が全員人格者ではないでしょうし、本当に心も体も磨かれた優秀な人材は前半でかなり戦死してしまったそうですが、それにしても、「世界一優秀で、強く、おとなしく、熱狂しやすい民族」と分析された日本人の「根本的な強さの原因」は「歴史に根付いた伝統文化」、つまり日本人的な生き方だったと。

なので、例えば、単に投降を呼びかける時も、当初は「力による圧倒的な差」を見せつけ、命が惜しければ投降しなさい、というものだったのが、「国や家族を救うために、あなたの力が必要」という日本人的な生き方に沿った呼びかけに変わっていったと言います。

そして、戦後、「あの世界一恐ろしかった日本が二度とアメリカに戦争をしないように」ということで、みなさんご存知のWGIP(War Guilt Information Program)が出来て、洗脳をし、かつての日本の教育をリセットしたわけです。


そんなことで、お盆というのは日本人にとって当たり前のことである、という教育はされず、都市部では廃れていったんだと思います。


高柳さんが「農業を教えなくなった」という意味は、多分、普通の人にはピンと来ないと思います。

でも、フランスやアメリカやドイツの農業地帯、あるいはイタリアなどは「食べ物は大事」ということを、きちんと学校や大人が教えます。

日本は教えませんよね?
社会科の1つとして知識としてデータとして教えることぐらいです。
農業を「経済行為」として捉えることはあっても、日本人は山の神様が田の神様になって降りてきて、1年の五穀豊穣を祈って…というお話しや、お盆やお彼岸の意味は教えません。

農村地帯では当たり前すぎることなのですが、都会では教えないと伝わらないことになってきてしまっていると思います。


人にとって一番の不幸は孤独であることだと思います。

誰とも繋がっていない感覚、そして自分は何者でもないという感覚は人を不安に陥れると思います。
これが都会的近代的生き方。

一方で、自分はご先祖様とつながっていて、今、命をもらって現生を生きている、という感覚が小さい頃から生活で染みついていたら、自分の存在を根拠なく信じられると思います。
農家さん達の周りでは「そろそろ俺もあの世へ行く番だ」と笑い話で良く出ますが、死ぬことも自然の一部であり、単に自然へ還るだけのこと、という感覚が、私達以上にあります。

それは仏教的な教えでもいいし、神道的な魂のつながり感でも何でもいいと思います。
生活の中で先祖の事を考え、形だけでも行事を行う。
それだけでも、人の生き方は変わるんじゃないか、と思うお盆です。

久々に時間が出来たので、長文で失礼しました
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