新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

桜が満開!(完結編)

2012-04-14 20:21:13 | 美術館・博物館・アート

自宅の近所のは、昨夜からので完全に散ってしまいました。
結局、が見頃の週末は先週末だけだったということで、改めて、


120414_1_01   花の命は短くて苦しきことのみ多かりき


なんてことをしみじみ思います。
ちなみに右の写真は、3年前のゴールデンウィークに尾道で撮った林芙美子さんの銅像です(尾道旅行記はこちら)。
この銅像には、上に載せた有名なフレーズではなく、


海が見えた 海が見える 五年振りに見る尾道の海は懐かしい


という「放浪記」からの一節を刻んだ碑が添えられていました。


それはともかく、首都圏では桜のシーズンが終わってしまった以上、いつまでもこの「桜が満開!」シリーズを続けるわけにもまいりませんので、この記事を完結編にしてしまいます。


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先週の日曜日、私は凄まじい人が繰り出していた上野にでかけ、上野公園の桜と東京国立博物館総合文化展「春の庭園公開」を楽しんできました。


120408_1_03 今年の「博物館でお花見を」のフライヤーは、歌川広重の「枝垂桜に小禽」と勝川春潮の「飛鳥山花見」のコラージュで、本館2階の10室「浮世絵と衣装―江戸(浮世絵)」で展示されていた後者の現物をしげしけと見ますと、


120414_1_02 そこに描かれているのは、先月初めに見てきた「飛鳥山碑」(記事はこちら)ではありませんか


おぉ、土地鑑あるぞ


と、意味もなく小さくはしゃいだ私でありました。


完全に桜づくし浮世絵コーナーからもう一点紹介しましょう。
初めて観ても、一目で作者が判るこちらの作品


120414_1_03 鈴木春信「三十六歌仙・在原業平朝臣」という作品なんですが、タイトルと絵が一致しませんな
実は作品の上部に、


世の中に  絶えて桜の  なかりせば
春の心は  のどけからまし


という有名な在原業平の歌が書かれています。
歌の意とは裏腹に、満開の桜の下をお出かけする遊女と禿(だと思う)は、のどかに見えるんだけどなぁ…


   


タイトルと作品が一致しづらいといえば、「根付 高円宮コレクション」に展示されていた「阿吽」が飛んでいました


阿吽」と聞くと、獅子と狛犬とか仁王さまとかお相撲さんを連想するのですが、「阿吽」と題する作品は、、、


120414_1_04 イクラの軍艦巻き


よくよく見ると、紐でつながる先にいるのは、サケ


イクラ(卵)が孵化して[阿]、成長してサケになり、サケは産卵&受精して一生を終え[吽]、イクラ(卵)が孵化して[阿]、成長してサケになり、、、。


単純に「[阿]が始まりで[吽]が終わり」ではなく、「[吽]は始まりの始まり」でもあること、「[阿]のまま(クマに食べられたりして)終わる」場合もあることを暗示しているのでしょうか?


そうそう、「阿吽」の作者は高木喜峰さん、素材は「琥珀、象牙、銀」だそうです。


「根付 高円宮コレクション」の展示は、ケース1台のこぢんまりしたものですが、私くらいの頻度で出かけると、いつも違った作品、それも楽しい作品ばかりを観られます。高円宮コレクションの規模と東博の展示替えの頻繁さが偲ばれますなぁ。


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つづいては、づくしっぽい展示の中で季節外れの異彩を放っていた硯箱


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「撫子蒔絵硯箱 春正作(江戸時代・18世紀)」だそうで、説明板によれば、


蓋裏に「春正(花押)」の蒔絵銘があり、京都で活躍した蒔絵師・山本春正(しゅんしょう)の4代目、春正春継(1703~1770)の作と考えられている。


とのこと。
ちょっと建ぺい率(?)が高くて、小うるさい気がしないでもありませんが、かわいらしいナデシコの花と優美な茎がステキです。


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今回の東博訪問記は、屏風2点で締めることにしましょう。


まずは、俵屋宗達(伝)の「桜山吹図屏風」


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子どもがいたずらしちゃったんで、紙を貼って補修したんです」なんてことはなくて、説明板によりますと、


桜と山吹が咲き誇る山中の屏風画面の上に、金銀泥で装飾した色紙が貼り付けられ、寛永三筆の一人、本阿弥光悦が和歌を書きしるしている。


ということで、日本美術史上屈指のコンビ(?)、宗達&光悦コラボ作品です。

緑のなだらかな山といい、ところどころに群れている花たちといい、様々な色合いの色紙といい、大きな余白をとった散らされ具合といい、なんとも素晴らしいデザイン感覚です。


もう一点の屏風絵の作者は、私が初めて目にする松林桂月という方。

「桜山吹図屏風」と同じく六曲一双「溪山春色」と題するこの作品(1935年作)、右隻が、


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で、左隻がこちら


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近づいて観ると


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この筆致、私は大友克洋を連想してしまいましたがいかがでしょうか?


   


この日の帰り際、その1で書きましたように「博物館でお花見を」スタンプラリー完走記念の缶バッジをいただいて、さらに、「140周年」のリーフレットをいただいてきました。


120414_1_12 帰りの電車の中で、このリーフレットをパラパラとめくっていますと、後ろの方に「スタンプラリー」のページを発見


120414_1_13 「参加方法」として、


140周年期間中、本館・平成館のインフォメーションに記念スタンプを設置します(スタンプの絵柄は毎月変わります。)
期間中に6種類のスタンプを集め、本館インフォメーションカウンターまでお持ちください。その場でオリジナルグッズを差し上げます。(先着3000名様まで


と書かれています。


ぎゃぁ~、ぬかったゾ~


しかも、改めて東博のHPを見ると、ちゃんと「東京国立博物館140周年スタンプラリー」のことが書かれていて、


さらに、期間中全15種類のスタンプを集めた方には、もれなく特別展チケット(ペア)をプレゼントいたします。


だとさ


このページはこれまで何度か見ていたはずなのに、まったく気づきませんでした…

当然、4月のスタンプをもらいそこねていますし…


昨年・一昨年と、東博には年7~8回出かけていますから、来年3月末までにもう6回出かけるのは難しいことではないとは思いますけれど、「先着3000名様まで」がなぁ…


あ、そうだ

こちらで書いたカプセルフィギュア「考古学ミニチュアモデルコレクション」、いわゆるガチャガチャをやってきました

今回、私がgetしたのは、


120414_1_14 2年前の記事で、


写真のうしろにちょい見えしているの埴輪も、ほげぇと半ば開いた口がユーモラスでステキです。


と書いた埴輪犬でした


なかなかよろしいんじゃありませんか?


「博物館でお花見を」は、明日(4月14日)まで

もう上野公園のソメイヨシノは散っていると思いますが、東博のシンボルのひとつ、本館正面の吉野枝垂が見頃を迎えている気がします。

先週の段階でこんな具合でしたから。


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コメント
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