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書評「暴政」 ②   文科系

2017年10月19日 12時20分42秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 書評「暴政 20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン」の2回目である。著者はアメリカ・イエール大学のティモシー・スナイダー。「中東欧史、ホロコースト史、近代ナショナリズム研究」を専門とする歴史学者とあった。第1回目は目次を掲げたが、2回目以降は20のレッスンの各冒頭に著者自身が付した概要説明を3回に分けてご紹介したい。
 第1回目にも述べたことだが、2月に発行されたこの原著は、既に世界40か国語に翻訳されているという。

1 忖度による服従はするな
権威主義の持つ権力のほとんどは、労せずして与えられるものです。現在のような時世においては、個人は予め、より抑圧的になるだろう政府が何を望むようになるかを忖度し、頼まれもしないのに身を献げるものです。このようにして適応しようとする市民は、権力に対して、権力にどんなことが可能かを教えてしまうのです。

2 組織や制度を守れ
私たちが品位を保つ助けとなっているのは組織や制度なのです。また、組織や制度の方でも私たちの助けを必要としています。組織や制度のために活動することでその組織や制度をあなた方のものとするのではないかぎり、「自分の組織」とか「自分の制度」などとみだりに口にしてはいけません。組織や制度は自分の身を自分では守れません。あなた方と組織や制度とが最初から守り合うのでなければ、お互いは駄目になっていくのです。だから、気にかける組織や制度を一つ選んでください。法廷、新聞、法律、労働組合──何でもよいですからそれの味方になることです。

3 一党独裁国家に気をつけよ
国家を改造し、ライバルを抑圧した政党も、出発時点から強大な権力を有していたわけではありません。そうした政党は、敵対者たちの政治活動を不可能にするために、歴史的瞬間とやらを巧みに利用したのです。よって、複数政党制を支持し、民主的な選挙のルールを守ることです。投票ができているあいだは、地方選挙でも国政選挙でも投票することです。公職に立候補することも考えて欲しいですね。

4 シンボルに責任を持て
こんにちシンボルに過ぎないものが、明日には、現実をもたらしうるのです。スワスチカ(ハーケンクロイツとも鉤十字とも呼ばれますね)をはじめヘイトの徴(しるし)に気をつけましょう。視線をそらしてはいけないし、それらに慣れてもいけません。あなた自身でそれらを片づけ、他の者が見習うような手本となってください。

5 職業倫理を忘れるな
政治指導者が良くない例しか示さないときには、専門職が正しい業務を果たすことがより重要になってきます。法曹家ぬきでは法の支配に則った国家を転覆させることはそうそうできませんし、刑事抜きで見せしめの裁判を開廷するわけにはゆかないのですから。権威主義的支配者は従順な公務員を必要としますし、強制収容所長たちは安価な労働力に関心を持つ実業家を探し求めるものです。

6 準軍事組織には警戒せよ
これまでずっと体制には反対だと主張してきた銃を持った人間たちが、制服を着用し、松明(たいまつ)や指導者の写真を掲げて行進し始めると、終わりは近いのです。指導者を崇める準軍事組織と警察と軍隊がないまぜになると、すでに終わりがきています。

(続く)
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ハリルジャパン(119) 祝、浦和ACL決勝進出  文科系

2017年10月19日 00時42分30秒 | スポーツ
 昨夜、今年のアジアチャンピオン・クラブを決めるACL、アジアチャンピオンズリーグ戦の準決勝戦があった。浦和が中国の上海上港に1対0、第1ゲームと併せて2対1で決勝戦に進むことになった。相手は、サウジアラビアのアルヒラル。

 それにしても、第1ゲームよりもさらに見事なゲームだった。オスカル(移籍金78億円)、フッキ(同64億円)、エウケソンを擁し、監督までがあのアンドレ・ビラス・ボアスというこの強豪に勝ったというのもさりながら、何よりもゲーム内容、特に浦和の守備、中でも中盤の潰しが日本人離れしていたと賞讃したい。
 僕は本年ACLの初めから、この相手・上海を同じ中国の広州恒大以上の優勝候補筆頭にあげていたので、正直勝てないと予測してきた。アウェイの第1ゲームを1対1にして第2ゲームが浦和ホームとあってもなお、この敗北を予測していたほどだ。

 浦和の得点は前半11分、日本側から観て右コーナーキックをラファエルシルバがヘッドで入れたもの。が、ここまでにして既に、このゲームに懸けた浦和の魂がそこら中に現れていた。3分、阿部がエウケソンを吹っ飛ばせば、中国人選手のドリブルなどには浦和側はどんどん突っかけてボールを奪う。180㎝、85キロというサッカー選手には珍しい筋肉の塊・フッキには、槙野、遠藤、阿部、コオロギらがほとんど仕事をさせない。牧野のプレスを嫌ったフッキが下がってくると、時にコオロギまでが付いてくるのには、まー驚いたこと! こうして怖いのはただ、オスカルのみ。
 このオスカルがまた、敵DFライン近くまで後ろに引いておいて中盤からパスを捌いたり、ウイング様の位置でボールを受けて厳しいサイド攻めの起点になったり、得意のドリブルで自らシュートにまで持ち込んだりと、全方位に顔を出すまー凄まじい万能選手なのである。これに対する浦和はむしろ、オスカルからの受け手を、その周囲を抑えたというのが真実だったかも知れない。

 さて、勝因はこんなところだろう。
①何よりも、相手を飲んだとさえ言える、「魂入った潰し」。「フッキとエウケソンに上手く渡らないようにしさえすれば、あとの中国選手などは軽いもの」と申し合わせてあったと思うほどのそれだ。
②中国人選手は反則以外には何も出来ないという感じさえ観られた。結果として、ただオスカルだけが目立ち、不気味で、上手くボールを受けられないフッキは終始不機嫌、審判に怒りまくると、そんなゲームだったのである。
③シュート数は、8対10程、槙野のバー直撃ヘッドなど浦和の方が良いチャンスが多かった感じで、コーナーはほぼ互角。「ゲームの顔」に阿部が選ばれたというのも、このゲームの象徴という賞讃だろう。「主将にして守備組織の要」。インタビューの彼はまさにフヌケタ感じで、疲労困憊を現していた。
④ゲーム後敵将ビラス・ボアスの言葉も、勝因を明確に語っていた。
『私が聞いた話だと浦和ディフェンスの何人かは日本代表の選手でもあるということで本当に強いディフェンスラインだと今日改めて思いました』


 こんな「魂の潰し」があれば、11月18日、25日の決勝戦も勝つと予測できる。サウジは中国選手よりは遙かに良いが、オスカル、フッキのような怪物はいない。そしてなによりも、このACLにおける浦和の潰しは、日本人離れしている。

 このサウジ戦を勝てばいよいよ、世界チャンピオンクラブ決定のトーナメント戦。去年は確か開催国枠で出場した鹿島が2位になり、レアルと好勝負を演じているから、浦和の「魂の潰し」にもさらに魂が入ることだろう。いや、去年の鹿島健闘をよく研究してきたからこその、今日のこのゲームだったのかも知れない。
コメント (1)
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