OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

バーニー・ケッセルの快楽のボッサ

2019-09-16 20:06:11 | Jazz
Guitarra / Barney Kessel (RCA Camden)

  A-1 B.J.'s Samba
  A-2 Meu Irmao
  A-3 Malibu
  A-4 On The Riviera
  B-1 Lison
  B-2 Freeway
  B-3 From My Heart
  B-4 Swing Samba
  B-5 Amelia

俗に「フレンチボサ」とか「イタリアンボサ」とかいう言葉がレコード業界(?)にあるぐらいですから実際、欧州産のボサノバ物は人気があるらしく、というよりもボサノバというブラジル産のモダンジャズの魅力は世界共通の快楽だとすれば、アメリカのジャズミュージシャンが欧州でボサノバ物のレコードを作ったとしても、何ら違和感は無いはずです。

また、言うまでもなく、ボサノバが世界に流布したのはスタン・ゲッツ(ts) がこのジャンルを大ヒットさせた事がきっかけとすれば、例えばバド・シャンク(as) とか、殊更ハリウッド周辺で活動していたスタジオセッションも普通にやれるジャズ系の白人ミュージシャンが、その高い音楽性やテクニックを見込まれて、ど~にも即席に作ってしまったようなBGM的ボサノバ風味のレコードも現在まで沢山知られているのですから、超一流のジャズギタリストであり、また西海岸のセッションプレイヤーとしてもトップクラスだったバーニー・ケッセルが渡欧していれば、そこでソレモンのアルバムを吹き込んでいたとしても、それは時代の要求だったと思うばかりです。

しかし問題(?)は、そ~ゆ~レコードが我が国では軽く扱われていたというリアルタイムの現実で、本日ご紹介のバーニー・ケッセルのLPが世に出た1970年に日本で発売され、売れていたのかは判然としません。

極言すれば、これはリアルジャズではないっ!

という一言で片づけられてしまうほど、中身は実に快楽的なんですねぇ~~ ♪

拙ブログで度々書かせていただいたように、そうしたレコードは日本じゃ~名盤扱いにはならない事は、殊更当時のジャズマスコミやジャズ喫茶等々のマニア性の高い現場では常識だった感があります。

それでも何かのハズミ(?)に、このアルバムの中の1曲でも耳にすれば、思わずグッと惹き込まれることは請け合い! 
 
と、サイケおやじは激オススメなんですよ。

とにかくA面ド頭「B.J.'s Samba」はバーニー・ケッセルのオリジナルとされていますが、軽快なラテンビートにノリまくって紡ぎだされるテーマメロディの既視感的聴覚の快楽は、つまりどっかで聞いたことがあるような美味しいメロディの良いとこ取りでしょうか、バックのハモンドオルガンも所謂ラウンジ感覚が満点という気持ち良さ♪♪~♪

そして主役のバーニー・ケッセルは初っ端から十八番のリックを大盤振る舞いで、歌心に満ちたアドリブを繰り広げるもんですから、約4分ほどでフェードアウトされてしまうのが本当に勿体ないかぎりで、しかしだからこそ、アルバムは絶対に間違いないっ!
 
思わずそんな確信を抱いてしまうのはサイケおやじの独断と偏見ではありますが、続く「 Meu Irmao」が、これまたアップテンの快演で、おぉ~、このテーマメロディは、あれかなぁ~~♪

なぁ~んてことを思わせてしまう演奏メンバーはバーニー・ケッセル(g) 以下、カルロ・ペス(g)、アントネロ・ヴァヌッツィ(org)、ジョバンニ・トマソ(b)、エンゾ・ルツェッラオ(ds,per) 、チロ・チッコ(per) とされていますが、サイケおやじはイタリア語をほとんど知らないので、日本語読みは全くの我流とお断りしたところで、しかし彼等はなかなかの実力者だと思います。

なによりも、こ~したラテン~ボサロック調のボサノバ風ジャズを快適に演じてしまうセンスには脱帽ですよ♪♪~♪

また、収録曲のクレジットを確認して驚かされたのが、なんとっ! 本場ブラジルのソングライターが書いた名曲が全く入っておらず、バーニー・ケッセルの4曲以外は参加メンバーやイタリアの音楽関係者からの提供だったらしい、その心意気や、良し!

ですから、バーニー・ケッセルが作曲し、アップテンポで演じられた「On The Riviera」がレイモン・ルフェーブルやミッシェル・ローランでお馴染みの「シバの女王」にクリソツというニンマリ感はたりませんし、特にB面収録の各曲が後にリー・リトナーがやったブラジリアン・フュージョンっぽい味わいに近くなっているのは、目から鱗でありました。

ということで、これは徹頭徹尾快楽的なアルバムでして、実は告白すればサイケおやじは1970年代末頃からの一時期、集中的にバーニー・ケッセルのレコードを漁っていた頃に何の気なしに出会った1枚だったんですが、そんな理由ですから、掲載の私有盤はカナダプレスであり、しかしオリジナルはイタリア盤という事実が確かにあります。

それと冒頭に述べたとおり、このアルバムは日本じゃ~決してチヤホヤされる事なんか微塵もなかった当時も今や夢とでも申しましょうか、我が国のリスナーの意識改革があったようで、近年は完全なる人気盤にっているそうですよ。

当然ながら、しっかりCD化もされているので、楽しくオシャレな演奏が欲しくなっている皆様には、ぜひとも聴いていただきたい個人的な愛聴盤なのでした。
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