OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

流石はアレサの底力!

2011-08-23 16:30:45 | Soul

明日に架ける橋 c/w A Brand New Me / Aretha Franklin (Atlantic / ワーナー)

オリジナルヒットとカバーバージョンの関係は、それこそ大衆音楽では避けて通れないものですが、特に情報が少なかった頃の我国洋楽事情においては、そこで図らずも元ネタが暴露されるという根源的な面白さもありましたですねぇ。

例えば本日ご紹介のアレサ・フランクリンが歌う「明日に架ける橋 / Bridge Over Troubled Water」は説明不要、サイモン&ガーファンクル=S&Gが1970年に放ったメガヒットの代表作というだけに留まらず、歴史に残るポピュラーな名曲ですから、カパーバージョンは星の数ほど残されています。

しかしサイケおやじが、これを特に気に入ったのは、S&Gのオリジナルバージョンが本来の味わいとしていた静謐で厳かな盛り上がりが、アレサ・フランクリンの演じるところでは、最初っから濃厚なテンションで披露されるというポイントに尽きます。

ご存じのとおり、それはS&Gのオリジナルバージョンを圧倒的な印象に導く、文字通りのピアノによる壮麗なイントロからアート・ガーファンクルが渾身の名唱によって、感動的の大団円へ向かって行く展開が圧巻だったわけですが、それをアレサ・フランクリンは自らに忠実なゴスペルフィーリングで見事に解釈!

なにしろノッケからエレピとエレキベース、そして如何にものオルガンとドラムスをバックにソウルフルなコーラスとボーカルが露払いを演じた後、本人のエレピとビリー・プレストンのオルガンが絶妙のコラポレーションを聞かせてしまう展開には、いきなりグッとシビれが止まりません。

もちろんそこにはスローミディアムの粘っこいソウルビートが厳然と存在しますから、自在にフェイクされるオリジナルメロディの魅力が尚更に顕著♪♪~♪

あぁ、この体の芯から揺さぶられてしまうグルーヴィな快感は、まさにアレサ・フランクリンの真骨頂でしょうねぇ~~~♪

しかも熱の入ったハイトーンのシャウトは、アート・ガーファンクルの美しいテノールの歌声とは似て非なる魂の発露であり、それはどちからが優れているかという問題よりは、十人十色の好き嫌いも確かにあるでしょうが、良い音楽を聴いているという充足感に他なりません。

当然ながら全篇の雰囲気の良さ、サウンドプロダクトの緻密さ、そこに強い存在感を示す名人ミュージシャン達の伴奏も素晴らしい限りですが、アレサ・フランクリンのバージョンでは、特にゴスペルムードを増幅させるコーラス隊とリードボーカルの並立が全く自然体の黒人感覚で、最高ですよ♪♪~♪

ちなみにサイケおやじがアレサ・フランクリの「明日に架ける橋 / Bridge Over Troubled Water」を初めて聴いたのは、国営FMラジオで放送されたフィルモアでのライプバージョンだったんですが、そこで瞬時にシビれながらも収録LPが経済的な問題によって入手出来ず、それからしばらく後、ようやく中古で掲載したシングル盤をゲットして仰天!?

実はこれ、サイケおやじは件のライプ盤からカットされたものだと思っていたんですが、なんとっ! スタジオ録音バージョンだったんですねぇ~~。

しかし、だからこそ、ライプバージョンと似たようなアレンジで演じられながら、さらに凝縮されたインスピレーションの素晴らしさは筆舌に尽くし難いほどです。

ちなみにアメリカでの発売は1971年3月であり、フィルモアでのライプギグが同年2月ということで、明らかに観客からの好評継続が狙いと思われますが、実際のスタジオレコーディングは1970年秋頃と言われていますから、あながちミエミエの商売とは言い切れないと思います。

そのあたりはB面収録の「A Brand New Me」が、やはり同時期にレコーディングされた事実とも符合しているというか、当然のようにこの歌も所謂フィリーソウルのカパーであり、例えばジェリー・バトラーやダスティ・スプリングフィールドのヒットバージョンは特に知られているはずです。

そしてアレサ・フランクリンが絶妙の4ビートも交えて軽く歌っていく中には、隠し様も無い濃密なゴスペルフィーリングに裏打ちされた前向きなムードが、全く最高♪♪~♪

ですから、何故にサイケおやじがアレサ・フランリンの歌う「明日に架ける橋」に惹きつけられてしまうのかは、本家S&Gが既成のゴスペルメロディを元ネタにしていたという真相を知らされて、思わず唸った現実に……!?!?

当然ながら、そうした裏話は後に知ったわけですが、ゴスペルが身に染みついているアレサ・フランクリンにしてみれば、既に世界的な大ヒットになっていた「明日に架ける橋」をナチュラルな自分流で歌ってしまう事は、なんの造作も無かったのでしょう。

そう思えば、これ以前、同じくゴスペルを焼き直したが如きビートルズの「Let It Be」をアレサ・フラクリンがジャストミートの感覚でカパーしていたのも、当たり前でした。

ということで、もちろんS&Gのオリジナルバージョンを否定するものではありませんが、機会があれば、このアレサ・フランクリンの魂の歌もお楽しみ下さいませ。

既に述べたように、どういうわけか、ご紹介のスタジオ録音バージョンは、リアルタイムで発売されていたアレサ・フランクリンのアルバム群には収録されず、つまりはシングル盤オンリーの存在でしたが、現在ではベスト盤を含む様々なCDで聴くことが出来ますので、ぜひっ!

コメント (4)
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