■孤独の街角 c/w 裁かれる女 / 小山ルミ (ユニオン)
昭和47(1972)年初夏に発売されながら、ほとんどヒットしなかった小山ルミのシングル盤です。
しかし、内容はなかなか深いんですねぇ~♪
尤もそれは所謂ポップスファンにとっての事象ではありますが、実はA面「孤独の街角」は原題が「Another Place, Another Time」として、曲を書いたのがアルバート・ハモンドとマイケル・ヘイゼルウッドなんですから、侮れませんよねぇ~♪
もちろんメインとして注目されるのは当時、「カリフォルニアの青い空 / It Never Rains In Southern California」のメガヒットで一躍世界的に有名になったアルバート・ハモンドなんですが、この人はご存じのとおり、イギリスで活動していたシンガーソングライターでありながら、実は歌手としてよりも、作曲家としての方が有能だったと言われています。
それは既に16歳の頃からスペインで歌手として認められながら、18歳の時に渡英し、以降は本格的な作家活動へ入ったそうですから、現状に甘んじない志は流石だと思います。そしてこの頃から共作コンビを組んだのが、マイケル・ヘイゼルウッドであり、一応はファミリー・ドッグ、あるいはマジック・ランターンズといったポップスグループのメンバーも兼ねながら、しぶとくヒット曲を作り出していたのですが……。
さて、この「孤独の街角」は本来、そのマジック・ランターンズがオリジナルでありながら、英米では全くヒットしていません。そして我国でも昭和47(1972)年にはシングル盤が出たという事になっていますが、リアルタイムでのサイケおやじは、この小山ルミの歌で曲を覚えたほどですから、これが英国産と知って、ちょいと驚いた記憶があります。
ちなみに小山ルミのバージョンは日本語作詞が千家和也、編曲が鈴木邦彦というヒットメーカーコンビでありながら、結果が出なかったのは、これ如何に……???
イントロから弾みまくったリズムのキモは明らかにスパニッシュ調であり、それが曲メロとアレンジ全体を貫きますから、小山ルミの情熱的な歌いっぷりが最高なんですけどねぇ~~~♪
実は告白すると、曲を書いたアルバート・ハモンドについては最初、「カリフォルニアの青い空」のイメージが強すぎて、てっきりアメリカ人だと思っていたんですが、後にキャリアを知ってみると、こういうスパニッシュ調も完全に肯定出来るのでした。
そこでB面に針を落とせば、その「裁かれる女」が素晴らしすぎるスパニッシュロック歌謡の決定版!
以前に書いた「憎いあなた」のところでも述べましたが、作詞:千家和也&作編曲:都倉俊一の名コンビは、同時期に発売され、忽ちの大ヒットになった山本リンダの「どうにもとまらない」と似て非なる路線ですから、さもありなんでしょう。
もちろんこちらも小山ルミの情熱歌唱が全開ですよ♪♪~♪
いゃ~~、繰り返しますが、この両面共が全くヒットしなかったのは、本当に不思議です。
ただし今になって回想すれば、問題の「どうにもとまらない」で見事な再ブレイクを果たした山本リンダは、当時としては強烈なヘソ出しルックで激しく舞い踊り、挑発的に歌っていましたからねぇ~♪ その頃には、ちょいとクールなイメージを狙っていたと思しき小山ルミの影が些か薄くなったのも納得する他はないのかもしれません。
ということで、これは小山ルミにとっては悲運のシングルでした。
まあ、人生には、そういう事もあるわけですが、しかし彼女の人気が落ちたわけでは決してなく、まだまだ素敵な歌をどっさり残してくれたのは、ファンにとっての幸せなのでした。