OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

バドカンはデビュー曲がすべてか?

2010-12-07 16:17:14 | Rock

Can't Get Enough / Bad Company (Island / Swan Song)

今にして思えば、1970年代ロックとは、如何に「らしく」やるかが命題であったのでしょう。

ですからスタジオミュージシャンがモテモテだったり、あるいは産業ロックなんていう忌まわしい言葉が使われたり、ついにはそうした間隙を突かれて、パンクなんていう自分にとっては許し難い奴等までもがブレイクする始末……。

しかも現実的には、その「らしく」やるための決定的な方策さえも、煮詰まっていたんですから、それも致し方ないところだったと思うばかりです。

ところが、全く単純明快に、その答えを出してしまったのが、1974年にデビューしたバッド・カンパニーというバンドで、本日ご紹介のシングル曲こそ、象徴的に忘れられない名演です。

もちろん、ご存じのとおり、バッド・カンパニーは単なるポッと出の新人グループではありません。

フリーのポール・ロジャース(vo,g) とサイモン・カーク(ds)、元キング・クリムゾンのボズ・バレル(vo,b)、そしてモット・ザ・フープルに在籍していたミック・ラルフス(vo,g) という4人組ですから、業界の辛酸を知りつくした面々による仕事には、抜かりが無くて当然でしょう。さらに当時は所謂「スーパーグループ」としての存在に、ファンが意識過剰な期待を抱いていたことも否定出来ません。

しかし届けられたデビューシングル曲の「Can't Get Enough」は、まさにフリーの衣鉢を継いだシンプルなビートで演じられる、最高にストレートなハードロック♪♪~♪

その小細工無しの歌と演奏は、サイモン・カークにボズ・バレルという重量級のロックなリズムコンビに支えられ、ミック・ラルフスの書いた単純明快なリフを頼りにグイグイとソウルフルに歌いまくるポール・ロジャース本来の魅力存分に発揮された傑作になっていますから、忽ち世界中で大ヒットしたばかりか、当時のアマチュアバンドでは必須の演目になったほどです。

既に述べたように、この「Can't Get Enough」が流行った頃の洋楽業界は、プログレやニューソウルがLP単位で売れ、またウエストコーストロックとブリティッシュロックが一般的な人気を競るという状況でしたが、やはり基本的にハードロックの人気は根強く、決定的でした。

ただし、その旗頭といも言うべきディープ・パープルやレッド・ツェッペリンに漂い始めたマンネリや凝り過ぎが、クイーンやエアロスミスといった新興勢力人気急上昇の一因であったとすれば、バッド・カンパニーこそが温故知新の最有力だったのです。

そして実際、デビュー盤はシングル&アルバムともに売れまくり、永遠の名作となったのですが、それゆえに以降の作品に感じられる、いまひとつの精彩の無さは否定出来ないと思います。

結局、バッド・カンパニーは、周囲の期待に応えて如何にも「らしく」登場し、その大成功ゆえに、以降は「らしく」演じることに腐心しすぎたのかもしれません。なにしろバンドそのものがメンバーの離散集合に関係なく、名前だけで存続し続けている歴史が、それを証明しているじゃないでしょか?

しかし、そんな生意気な事を書いてしまったサイケおやじは、やっぱり「Can't Get Enough」の前には、素直に平伏すしかありません。

また、こういう曲があるからこそ、ロックは楽しいと思うのでした。

コメント (2)
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