OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ブルース・プロジェクト中毒

2010-06-08 16:58:55 | Rock

泣かずにいられない / The Blues Project (Verve / 日本グラモフォン)

自分の洋楽鑑賞史において、かなり大きな部分を占めているのがアル・クーパーの存在です。

事の起りは例の「スーパーセッション」やBS&Tなんですが、いろいろと洋楽を聴いていく中で、例えばボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」でバカでっかいオルガンを弾いていたとか!?! また、ゾンビーズの「ふたりのシーズン」事件とか、プロとしてのヒット曲作りのあれこれ等々、実にサイケおやじの嗜好に直結していた人物だと知れるのですから、本人がBS&T以前に入っていたブルース・プロジェクトが気にならないはずがありません。

しかし経済的な余裕の無さから、とてもLPは買えず、そこでゲットしたのが、本日ご紹介のシングル盤でした。

そのブルース・プロジェクトは、やっぱり今でもアル・クーパーが在籍していたことで有名だと思いますが、決してアル・クーパーのバンドではありません。

当初のメンバーはダニー・カルヴ(g,vo)、ロイ・ブルメンフェルド(ds) が中心となり、他にトミー・フランダース(vo) とアンディ・カルバーグ(b,fl) が入っていたのが初期の姿であり、演じていたのは黒人伝承歌やブルースのコピーだったと言われていますが、そこへ後から参加したスティーヴ・カッツ(vo,g,hmc) とアル・クーパー(vo,org,p) の主導により、一気にブルースロックというか、ニューロックへの方向性が強まったようです。

そして公式なレコードデビューが1966年5月に発売されたLP「ライプ・アット・ザ・カフェ・オゥ・ゴー・ゴー」でしたが、その直前にトミー・フランダースが脱退したこともあり、以降はアル・クーパーとスティーヴ・カッツがメインで歌うという、庇を貸してなんとやら……。

ちなみに件のデビューアルバムはトミー・フランダースが歌っているところから、特に「featuring Tommy Falnders」とサブタイトルがつけられています。

で、そういう新体制になって最初に作られたのがスタジオ録音による「プロジェクション」という、なかなかの名盤で、そこからシングルカットされたのが「泣かずにいられない / I Can't Keep From Crying」だったというわけです。

衝撃的なオルガンとエレキビートで作られたキメ、そしてエキセントリックなギターソロの彩りも最高なイントロから、ドロドロしつつもグルーヴィなブルースロックの新しいスタイルが見事に提示される曲は、黒人ブルースマンのブラインド・ウィリー・ジョンソンが十八番のオリジナルをアル・クーパーがアレンジしたことになっていますが、もちろん原曲の片鱗は見事にサイケデリック&ニューロックへと昇華されているようです。

とにかくヒステリックなオルガンソロやノイジーなエレキギターが強烈ですし、その反面、なかなかジャズっぽいアドリブやグッと惹きつけられるエレキベースの歌う蠢き♪♪~♪ これだけの演奏をガッチリやってしまった当時のブルース・プロジェクトは、本当に世界でもトップクラスの先進バンドだったと思います。

全体をどっしりと支えるヘヴィなビートも良い感じ♪♪~♪

倦怠と熱血を併せ持ったアル・クーパーの歌いっぷりが、これまた時代にジャストミートしているんですよねぇ~♪

ですから忽ちブルース・プロジェクトに夢中になったサイケおやじは以降、日本盤で発売されていた3枚のLPを入手し、特に高校生の頃は聴きまくっていました。

ところがそれを、ある事情により無くしてしまったのは痛恨の極み!

そして、かろうじて残ったのが、本日のシングル盤でもありましたが、もちろん今ではアメリカ盤で揃えることに成功しています。

しかし、それにしてもブルース・プロジェクトは現代でも人気が無いらしく、CD化もそれほど良い状態での復刻は無いんじゃないでしょうか?

ボックスでも紙ジャケ仕様でも、とにかく音源のコンプリート復刻を強く望んでいるのですが、実はアル・クーパーとスティーヴ・カッツがBS&T結成に走ったのは、オリジナルメンバーのダニー・カルヴとの確執が原因だったという説がありますから、どうなんですかねぇ。1970年代にはリユニオンもありましたが……。

蘇れ、ブルース・プロジェクト!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする