社会人大学院の良いところは、実に様々なバックグラウンドの人達が集まっていることです。
職種、業種は多岐にわたり、自己紹介で皆さんの仕事内容を聞くたびに、それを実感します。ただ、年齢に関しては30前後~40歳が主流。
そんな中、『教授ですか?』と聞きたくなってしまう年齢の方も数名いらっしゃいます。
正直言って、私は今の年齢でも知力・体力が衰えているように思うのに、その年齢で通われるガッツと志の高さに感動です。
で、実は入学試験の時から、気になっていた年配の男性がいらっしゃいました。
一次の筆記試験を大教室で受ける際、私の斜め前に座っていたオジサマがその方です。
私は受験票を片手に自分の席につき、筆記用具をとりだしていると、斜め前にそのオジサマが座ったのです。
どう見ても、50代。
私はそんな方が受験している姿を見てえらく感動し、『オジサン、頑張ろうね』と心の中で語りかけたのでした。
そして試験が始まりました。
下書き用紙が配られたので素直にその用紙を使っていた私は、後で解答用紙に書き写す時間を考慮していなく、そして、まったくもって理解不能な問題に超・超・超パニクっていました。
その時私が書いた字といったら…下書き用紙のほうが、まだ読めるというくらいの殴り書きで、ひどかったんです。
試験終了の声がかかった後も、答案用紙を回収しに来るまでの数分間ペンを止めることをせず、とってもあせって書き写していました。
そう、斜め前に座ったオジサマよりも、自分のほうがよっぽどダメダメで、他人の心配なんて10年早かったのです。
時は流れ、大学院の学部別入学式。私はあのオジサマが座っている姿を発見しました。
あ、あの人は…そっか、合格したんだ、良かった良かった。嬉しく思いました。
そして授業が始まり、金曜日の授業。
私が一方的に気にしていたオジサマも同じ授業を履修していました。その授業が終わった後、オジサマから思いがけない言葉が。
『もしかして、受験番号7100前後じゃありませんでしたか?
筆記試験のとき、席が近かったですよね』
え!!
『いやー、下書きにキレイに書いていたのに、最後のほう時間がなくなって急いで書き写されていたんで、もったいないなーと思っていたんですよ』
『ギリギリまで答案書いていたでしょう。僕ね、あぁかわいそうに、まだ答案を回収しに来ないといいな、って見てて』
そ…そうなんですか!
どうやら、その時、目をグルグルにして、泡を吹かんばかりの奮闘振りをオジサマなりに心配して見守ってくれていたのでした。そして、
『それでねー、いやぁ受かったかなーって思っていたら、入学式でお見受けして、良かったなぁ…と安心したんですよ』
あっははははは…!!!
なんと、そんなに気にかけて頂いてたとは。
もう、大笑いです。
ご心配いただき、ありがとうございます。
おかげさまで、無事に入学いたしました。
えがった、えがった…