ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

『ロシア情勢の深層を読み解く』

2011-10-22 14:48:25 | ご講話・ヘラトリ・リバティ 

『世界の目を醒ます ヘラトリ・トピックス』
(第31号)


『ロシア情勢の深層を読み解く』

 RDN(ロシア伝道ネットワーク)の活動も、いよいよ本格化してきましたので、このあたりで一度、ロシア情勢(日・ロ・中三国関係)の今を、よく分析しておきたいと思います。
 来年3月で、事実上、首相へ更迭?されることが決まった、ロシアのメドベージェフ大統領は、在任中に、歴代誰もがやらなかった「北方領土訪問」を強行したり、あからさまに中国政府に接近したりして(対日外交上)、かなり日本の不興を買いましたが、
来年3月の任期切れとともに大統領を辞し、代わりに、あのプーチン氏が大統領職に復帰することが事実上決まって、さて、「今後の日ロ関係(東アジア情勢)はどうなるのか」をいぶかしんでいる方も、いらっしゃるかもしれません。

メドベージェフ時代には、航空自衛隊の対ロシア空軍機スクランブル(緊急発進)が倍増し、それは、プーチン復帰が決まった"野田首相就任直後"にも、まるで試すかのように繰り返されたので、余計にロシア側(プーチン)の意図を怪訝(けげん)に思った方もいらっしゃることでしょう。

 しかし、国際政治においては、この程度のことは、「挨拶(あいさつ)代わり」として軽くいなす“面(つら)の皮の厚さ”も必要で、諸葛孔明霊のように、「JALで解雇された一万六千人を航空自衛隊に編入して、北方上空の警備にでも充てましょうか」(注1)と、ひとこと脅し返せば済んでしまう話なので、いちいち新聞紙面で声高に叫ぶのは、やや大人げないと言えるでしょう。

むしろこの間、キラリと光ったのは、9/25付の産経新聞に掲載された、外務省OBの佐藤優氏の分析でした。
 

ロシアにとって、アジア最大の脅威は中国

 それによると、「プーチン氏は、「ロシアにとって、アジア最大の脅威は中国とみて、それに対抗するために、日本との関係を強化してきた」のに、メドベージェフ大統領のあまりにも"子供じみた"対日外交によって、それを台無しにされ、「他の分野でも力量不足で、国を危うくする」と不安視したモスクワの政治エリート達(議員・官僚)と組んで、メドベージェフの追い出しにかかったのが、今回の事実上の「政変」の真相である」との由。

 「KGB(秘密警察)出身のプーチン氏が親日家である」とは、誰も思っていませんが、少なくとも、「国の利害を冷静(冷徹)に判断して、組むべきところとは組む」発想をしてくることが、ほとんど報道されないところに、この国のマスコミの"中国傾斜"の強さを感じます。

 同じことは、今年5月、東日本大震災の影響で、フィギュアスケート世界選手権の東京開催が困難になったとき、既に1か月前を切っていた段階でロシアが政治決断し、代替地として手を挙げて、日本の面目を保ったときにも言えました。
この大会でロシアが示した、「被災国日本への特別な配慮は、特筆に値する」とは、多くの国が指摘したところですが、それは、「安藤美姫選手が、試合後観衆に向って、あえてロシア語で御礼を述べた」ところにも表れています。(注2)

このあたりも、日本の大手マスコミにはほどんど出てこない報道で、「あのお役所仕事の国ロシアで、これだけ短期間でモスクワ開催に漕ぎ着けた」こと自身が、プーチン首相の特別指示によるものであることは、関係者の間では有名ですが、こういうことは、日本のマスコミの視点からは観えてこないのです。
「相手の出しているシグナルを正確にキャッチする」努力が、もっと必要でしょう。


グローバルな視点で、ロシアを観る

 以上のギャップは、ニューヨーク・タイムズ(NYT)に目を転じると、もっと大きくなります。
来年3月の大統領選出馬を表明したプーチン氏が、「旧ソ連の一員だった中央アジア諸国との「ユーラシア同盟」を提唱し、10/10に北京訪問した際には、中国との間で一連の投資契約が結ばれたことに対して、「これは西側同盟(EU)に対する挑戦だ」
との報道(これには一部欧米メディアも同調)が飛び交いましたが、10/17付のニューヨーク・タイムズ(NYT)のオピニオン欄は、二人の専門家の共同論文
『Russia's Eastern Anxieties』
(ロシアの東方への不安)を掲載して、独自の視点を提供しました。その中で、「このユーラシア同盟は、一見、西欧(EU)に対する対抗のように見えるが、(というのは、旧ソ連圏のうち、ヨーロッパ方面の国は、あらかたEU(西側ヨーロッパ同盟)の方に加入してしまったので、「残った部分だけでも糾合しよう」としたように見えた)、
実体は、中国に対して劣勢に回りつつある中央アジア諸国(カザフスタン、タジキスタンなど)において、「対中国の巻き返し策」を図ろうとしたのだ」
との見解を示しました。

確かに、北京入りする五日前の10/5には、プーチン首相は、「ロシア製ミサイルに対するスパイ容疑で、中国人関係者を逮捕した」とわざわざ発表し、(拘束したのは去年の10月と古いことなのに!)、更には、NYTの言葉を借りれば、「あんたのお隣の中央アジア諸国と同盟するぞ! と一発かまして、北京入りする」、という、いかにもプーチンらしい手法で乗り込んだ姿を見ると、「湯水のように金をつぎ込んで、近隣諸国を次々と引き込んでいく中国のやり方が、ロシアにとって、最大の脅威である」というNYTの分析も、よくうなづけます。

 いずれにせよ、我々は、より広いグローバルな視点で、ロシアや中国のことを観なければいけません。それには残念ながら、今の日本のマスコミ報道だけでは、決定的に足りないのです。
(なお、RDNのニューズレターの方には、『年収が10年で7倍!~LNG景気にわくサハリン~』というコラムを掲載しておりますので、御関心のある方は、是非、下記のRDNアドレスに、御名前等お書きの上、「ニューズレター希望」と御申し込みください。)
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(注1)『もし諸葛孔明が日本の総理ならどうするか?』(大川隆法/幸福の科学出版)
(注2)ロシア問題専門家の菅原信夫氏のコメントによる。


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